北研6月例会(133回 復活第13回)
1.Friends1973
①北原先生が大学1年生のときに出演したTIAF(東大、ICU,青山学院、東京外大の4校による英語演劇体系)のFriendsの録音テープを聞きました。
Scene 8~Scene 13最後まで(どういうエンディングか?)
北原先生の役はレポータ役で、客をドカンと笑わせていました。セリフだけではなく、
ジェスチャーや間などがはまった感じだと思います。当時から体に英語をしみこませた
レベルの高い演技力だったのでしょう。そうでないとあの笑いを生み出せないと思います。
また、当時、先生が買ったペーパーバックも見させてもらいました。そこには、北原メソッドに
つながるメモがありました。
センテンスにはイントネーションのポイントが _П__П という形で記されていました。
また、t、d、b、s、l、f、g にもアンダーラインが引かれていました。
Friendsに出演し、終わった後に先生から、セリフの最後の子音が聞こえなかったと指摘を
いただいたことを思い出しました。
北原先生は、日本人が最も苦手とする強弱、子音の発音を18歳から意識していたんだと、
この劇団、団体の凄みを感じました。
また、生徒バージョン・北研バージョンの台本よりも数段難しい台詞でしたが、当時の東京外語大学ESSの方々の発音はとても明瞭で聞きやすかったです。
阿部公房の原作と英語の翻訳からあのような中学生にもわかりやすい台本を書き下ろす北原先生のご苦労と英語劇への熱意に改めて敬意を表します。
②英語劇Friendsをビデオで見た東京外語大ESS先輩の感想
・北研版Friendsは、劇作家や演出家がステージに上がって演じる「文士劇」のような雰囲気もある。
・あれだけ発音がしっかりしている中学生の人たちを見て、「きっと英語を学ぶことの楽しさを満喫している真っ最中なのだろう。
2.最新のパフォーマンステスト映像
(1)2年生スキット「スキット作りを楽しもう」
Sunshine English Course My Project 4
①I’m going to~、②I have to~、③I’m going to visit~
のいずれかでスキットを作る。
どのスキットもオリジナリティにあふれていました。
ジェスチャーをつけようとすると、
機能語よりも、内容語にジェスチャーがつけやすいためか、
ジェスチャーをつけながら、内容語を発音しているときに、イントネーションが上手に行われていたように感じました。
指導するときに、
内容語にジェスチャーをつけて、音読させると、イントネーションがよくなるかもしれないと思いました。
内容は、数学を勉強する、シドニーに行く、宇宙に行く、などの内容でした。
生徒達のはしっかりジェスチャーを入れなからも、v、th、er、lといった発音がしっかり
出来ており素晴らしかったです。
(受講者の感想)
・私も、ビデオ撮りをしていますが、つい、制限時間までやってしまい、日本語がでてしまってもアウトにしていなかったこと。
日本語を使ったらそこでアウト(終わり)を徹底したいと思いました。
・2年生どの生徒も良いのですが、Sydney とか、I think~の発音が現3年生ほど良くないなと感じました。
自分が発音最強学年の赤坂中3年生に慣れてしまっているのか。。文法的に間違ったものもあり、そこは、 あまり、先生の手が入らずに自分たちだけで積極的に作ったものだと理解できました。
・それぞれのペアのやりとりが長いです。教科書にある例は3往復でしたが,それ以上続いています。長い対話でも覚えて発表することができるのは,BDの延長にこのスキットがあるからなのだと思いました。自分の見ている生徒も,去年からBDに取り組んできた子と,今年初めて取り組む子では,覚えてチェックを受けに来るまでの時間の差が歴然です。続けることで,短期記憶が鍛えられることの証たと思います。
・スキットの内容は,オリジナリティあふれるものばかりでした。中学生の発想力には,いつも驚かされます。また,日本語を使用したらそこでストップ,ということも徹底されていました。
(2)3年生スピーキングテスト「修学旅行の土産話」
Show & Tell “My Memories in Kyoto”
ALTとの1対1のインタビューテストでした。
生徒は自分が手に入れたパンフレットなどをもとに、ALTに修学旅行の思い出を説明していました。
北原先生のレジュメより
「修学旅行のお土産やパンフレットなどを見せて2分間対話を持続させる」
話の組み立て方のヒント
①相手の注意を引く
Look at this. / Take a look at this picture. / Here is a **** I bought/got
in Kyoto.
②行った場所と日を言う。
We went on a school trip to Kyoto and Nara from May 23 through 25. On the
second day, my group went to **** in / near ****. Do you know ****?
③そこで見たものと感想を言う。
I saw a five- storied pagoda there. It is more than 700 years old. I was
surprised that it is so old.
It was a lot of fun. / I enjoyed myself very much. / I was surprised to
see …
I’m sure that it will be one of my best memories in the junior high school
life.
④お土産で買ったものなどについて説明する
It was used at night when there were no electric lights in Edo period. /
There are Japanese traditional sweets. / Long time ago some people began
to make this as a souvenir.
⑤形、材質、色、用途、値段を説明する。
Its shape is square. / It’s made of wood. / We used sugar and flour to
make this. / You look fashionable if you wear it around your wrist. / It
cost 1,300 yen.
⑥ALTの先生にする質問を用意しておく
Do you like sweets? / How do you like it? / Have you ever seen this
before? / How often have you been to Kyoto? / Do you understand? / Are
you with me?
⑦ALTの先生の質問を予想して答え方を練習しておく
Where did you buy this? / How many students went there with you? / Why
did you choose that? / What is this made of ? / How do you use it? / How
did you feel (about that)? / Did you have a lot of fun? / Who did you
give this to? / How much was it?
⑧その他効果的なワザ
とにかく笑顔が一番! 相手の目を見て話す わからなかったら聞き返したり、わからないと言う
Grading of Speaking Test 1 ( Show and Tell )
For two minutes the students must keep the conversation going.
Criterion are as follows;
①Whether the students can use as many vocabulary, sentence pattern, and
expressions as possible.
②Whether the students can respond to your questions appropriately and
quickly.
③Whether the students can make the most use of non-verbal expressions such
as gestures, facial expressions, and eye-contacts.
Rating
A : Satisfying all the conditions above.
B+: Satisfying two of the conditions. ( Lack of one item )
B : Satisfying one of the conditions. ( Lack of two items )
B- : Satisfying none of the conditions. ( Lack of all the items )
C : Can’t keep the conversation for 2 minutes.
(受講者の感想)
・どの生徒も発音、ALTからの質問に対する返事が素晴らしく、ALTとの会話を楽しんでいるように感じました。
・伝えたいという気持ちが出ているので、 「間違いを恐れる」ことを全く感じさせない、
表現する楽しさ、伝える楽しさを経験してきているからこそ、自然に英語が出てくる、そんな感じがしました。
・会話がストップしない。
・会話を楽しんでいる。(テストっぽくない)
・2分間があっという間
・1つの話題が終わったら自分から新たな話を切り出している。
・ジョール先生に自分から質問している。
Have you ever been there?
which do you like~?
Do you know~?など
・ジョール先生のリアクションが素晴らしい(会話がどんどん引き出されていく)
・質問の意味をしっかりと理解してきちんと答えている。
・2分間は「長い」と感じると思うのですが,どの子も対話が継続できていて,「もう終わり?」という印象でした。現在完了や受け身など,3年生で新たに学習したものもたくさん使用していました。北原先生からは,間違っても伝えようとする気持ちや,場を与えてあげることが大切だ,というお話がありました。目標とする姿です。
3.北原メソッドAパターンの授業
(1)2年生 Program 5-1 There is / There are
Tokyo Skytree (is) in Sumida-ku.
Mr. Chin’s Dining (is) a good Chinese restaurant.
「How many?」→「Only one」=「特定」
I know (a) good Chinese restaurant in Akasaka.
「看板がイメージできない」→「不特定」
(There) (are) some good Chinese restaurant in Akasaka.
(There) (is) a TV station in Akasaka.
「特定のもの、不特定のもの言い方がちがうよ」
(2)2年生 Program 3-2の復習 2016.2.12
「北原先生、強引だからなあ・・・」
We (must) bring a Valentine chocolate for Mr. K.
「あげたくないけど、チョコ持ってこないと成績下げるよ、って言われちゃった」
I (have) (to) bring a Valentine chocolate for Mr. K.
「E先生から文書が出てから・・・」
Mr. Egg said that we (must) not bring a Valentine chocolate for Mr. K.
「みんな持ってきてくれるからおまえはいいよ、って言われちゃった」
I (don’t) (have) (to) bring a Valentine chocolate for Mr. K.
文法指導の4要素
1 場面
2 前後の文脈
3 類似文法との比較
4 適切な例文
この4つが入っているか必ずチェックする。
北原先生の授業は生徒から既習事項を引き出しのが本当にすごいです。
★何回も練習させる
★出させる訓練
がかなり入っています。
Teacher’s talkで引き出すも良し意識して使わせていかなければいけない。
(受講者の感想)
楽しさと、できるかな、どうかな、というスリル感。これが北原メソッドの、基調になっていると気づきました。(それにひきかえ、私自身の授業のゆるいこと、を反省しました)また、かつて北原先生が、「生徒のショートメモリーを一年生のときからずっと鍛えてきた」ということをおっしゃり、その時はそのための教材として「Talk& Talk」を紹介されていましたが、この
「そのまんまスキット」もまさに、そのショートメモリーを鍛える格好の活動だと感じました。
(引用)『英語教師のための英文法指導デザイン』(大修館 田中武夫・田中和聡2014)