12月6日(土)第234回例会

北研12月の例会は、講師に猪股俊哉先生をお迎えし、「飛び出せ世界に!日本人学校のおもしろさ!!」「学級経営を楽しむ!」をテーマにご講演いただきました。

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猪股先生は、在職中にアラブ首長国連邦ドバイ日本人学校(4年間)、フィリピンのマニラ日本人学校、退職後にアメリカのワシントン補習授業校 合計9年間勤務されたそうです。

第一部 飛び出せ世界に!日本人学校のおもしろさ!!
どうしたら行けるの?「日本人学校」に行くことは、特別なことではありません。(猪股先生より)

1.海外にはどんな学校があるの?
①日本人学校49か国、1地域に94校 およそ16,000人の児童生徒が学習。
日本同様全日制の学校 昭和31年タイのバンコク日本人学校が最初。

②補習授業校 51か国・1地域に242校 放課後や土曜日だけ学校に来る。児童生徒は平日は現地の学校や国際学校に通学している。
猪股先生は当時、火曜から金曜まで、先生方が使う教材や指導案を全部チェックしたり、先生や保護者からの質問に答える、先生の採用も研修もやるなどめちゃくちゃ忙しかったそうです。また、基本的には授業はしないですが、急遽代わりに授業をすることもあり、幼稚園から高校まで猪股先生は授業をされたということでした。

③私立在外教育施設 世界に6校ある。

2.子どもたちはどこで日本のことを学ぶの?
海外で日本の教育を受ける児童生徒の数は増加している。大きく分けると、
①駐在組・・・親の仕事で海外におり、近い将来、日本に帰国し、日本の学校で教育を受ける予定の児童生徒
②永住組・・・国際結婚家庭の子どもなど。こちらがどんどん増えている。

3.日本人学校にはどんな先生がいるの?
令和4年では1327人派遣されていて、毎年ほぼ400人入れ替わる。3年以上勤務経験があればエントリー可能だが、実際は10年以上経験のある先生が派遣される。猪股先生もドバイの派遣が決まる前に3回落ち、もうやめようかなというときに合格したそうです。

①現職派遣 長期研修で原則2年間派遣、最長4年まで任期延長が可能。
②シニア派遣 退職した教員が派遣。文科省は現在全部シニア派遣を考えている。
③プレ派遣教師 2010年から始まり、教師を目指す人が対象。2年間。
④学校採用教員 日本人学校と直接契約する。文科省から派遣される先生が足りないため、現地に住んでいる日本人の先生を採用している。海外子女教育財団が窓口になっている。年齢は問わない。
だんだん法律が緩和されていて、昔は配偶者は仕事を辞めていかなければならなかったが、現在は休職扱いで帯同することができる。

4.日本人学校を希望する人の派遣希望の理由は何なの?
文科省との面接や論文では、在外教育施設への関心やグルーバル教育の希求、海外子女教育への関心などを理由として挙げることが多いそうです。もちろん、住んでみたい、英語の勉強したい!という理由は心に秘めておいて、と猪股先生からお話がありました。確かにそうですよね。😅
また、教科書に書いてあることと現地の状況が合わないことは多々あるそうで、たとえば、教科書の植物について学習する場合、ドバイでは同じようにいかないので、それが面白い!というお話をしてくださいました。

5.日本人学校の魅力と言ったら!
日本と派遣先の国の良いとこどりができる「越境性」だろう。映像やネットではなく、直接触れる「ライブ感」が醍醐味。
・児童生徒ととことん向き合った教育活動ができる。
・児童生徒の実態、派遣先の国の状況に応じた指導ができる。
・日本語教育、国語教育を充実させることができる。
・現地との交流を生かすことができる。
・新しい環境での経験を児童生徒と共有し、興味関心を引き上げられる。
・今までの自己の指導法などを客観的に振り返ることができる。
・他の県の派遣教員と価値観を共有できる。(派遣一番は東京からの派遣、二番目は大阪からの派遣が多い。)
・日本に帰ってから、経験を指導や児童生徒に還元できる。(帰国後も、生徒との付き合いが続く。)

6.日本の公立小中学校との違いって何?
派遣先の地域や国によって違いがあるが、
・免許外の指導をする。基本的に先生が足りないため。ある程度いろんな知識をもっておく。
・小学校・中学校の壁がないため、1つの校舎に小学部中学部がある。小中一緒にやることもある。
・水泳指導、音楽指導
・ほぼ全員担任
・着任日から即戦力。現地に到着したその翌日から勤務。
・国語、数学、理科の先生が欲しい
・学校外での研修、出張はない
・全国の先生、現地の先生と一緒に仕事をする柔軟性
・高い危機管理意識
・長い長期休暇の活用(2か月程長期休暇があるそうで、猪股先生はヨーロッパ、フィリピンにいたときはアジアをまわることが多かった。)

本当に行きたい気持ちがあれば、教頭先生に去年の願書を一式くださいと言い、事前に書いてみて、教頭先生や行ってきたことがある先生にチェックしてもらう、など準備をしておくと良いそうです。

7.日本とのかけはしになる
帰国後は、日本人学校での経験を日本の教育現場で生かせる
①指導方法
②学校のルールやマナー
③日本人学校の教育文化や行事(アメリカでは学校の行事に警官がバイトとして来ることもあるそうです!)

8.日本人学校の落とし穴
①日本人学校に行くことが目的になってしまう!
②海外勤務になったことで天狗になってしまう!
③うちではこうやってきたからという「~ではの神」なってしまう!
④保護者、日本人会、理事会との信頼関係を保てない!
⑤派遣先の国の人や文化をバカにしてしまう!
⑥海外旅行の延長線上と勘違いしてしまう!
派遣先の文化の違いを感じたのは、住み込みのメイドさんを雇ったり、ドライバーを雇ったり(事故を起こしたり、日本人だと分かったらふっかけられるから)した経験だそうです。

9.日本人学校の先生になるために必要なこと!
①今の仕事を頑張る
・確かな学級経営、教科指導、生徒指導、保護者対応、円滑な人間関係
②幅広い研修を行う 専門教科に限らず幅広く研修を進める。
③日本人学校について情報を集める 帰国者の話。全海研情報
④家族で派遣についてよーく話し合う
⑤健康に気をつける
⑥そして、本をしっかり読む。いろんな本を読む!国語教育が大事。お金を貯める。
海外子女教育の雑誌を読む。単身の場合は給料は100%でない。健康診断でCより下になると行けない。もう一回健康診断しないといけない。

10 日本人学校派遣にむけた準備
10-1 試験に向けた準備
・12分の面接。現在はオンラインによる面接で自宅で受けられる。派遣が決まると即派遣と登録がある。願書に選択する欄がある。どちらも12月に行先の発表がある。

10-2 選考調査票について
選考調査票とは、受験に向けての志願書のことで、記載事項は一般的な内容とあわせて日本人学校に特化した内容もある。
たとえば、
・所有免許状
・過去5年間の授業担当教科、教えたことのある教科、指導経験はないが教える自信のある教科
・指導力について
 外国語の能力、武道、球技、水泳、ブラバン、合唱、和太鼓、ピアノ、進路指導、パソコン指導、ネット活用等
・現職中の研究実績や教育活動
・受験理由(志望理由)
 基本は海外で学習する児童生徒に対してどのような教育を実践していくかになる。

11 英語力は必要なの?
派遣教師としての応募資格に語学力に含まれていない。
・日本人学校の勤務では英語を使うことはない。
・派遣される国によるが、管理職は渉外や現地スタッフとのコミュニケーションにおいて、一定以上の英語力が必要な場合がある。
・私生活においては、英語を使う機会はあるだろう。

12 誰も教えてくれない派遣前後の費用
文科省から支給される旅費は外国旅行に係る支度料,旅行雑費,航空賃,日当,宿泊料,食卓料,着後手当及び移転料並びに上京(帰郷)時の旅行に係る内国旅費となるが、一旦自費で払い、後日上記の旅費が国内の銀行に振り込まれる。
・「内定前」の費用は全部自分持ち たとえば健康診断
・「内定後」(派遣先が決まった後)
引越し費用、ビザ取得費用とそれにかかる旅費、持参する書籍・教材など、派遣直近の東京への旅費と滞在費、予防接種などだそうです。特に猪股先生は予防接種が大変で、予防接種貧乏になった!とおっしゃっていました。予防接種は期間をおいて接種しないといけないものだし、狂犬病はなんと5回も受けないといけない!ということを知り、ビックリです。

・「着任後」
当面の生活費や住宅代、敷金などの住宅契約に係る費用、自分の子どもの日本人学校や幼稚園入学金・授業料、自動車購入代など
現地でもらう在勤手当、住宅手当などは早くても5月20日ころになるので、とりあえず約2か月は過ごせるように、お金を貯めておくことが大事。猪股先生は最初の派遣時は全く知らなかったため、共済で借りていったそうです。オンラインだったため、私の聞き間違いかもしれませんが、400万は持って行って!と聞こえました。😅💦(100万円の聞き間違いでしょうか…)。

また、海外から日本の教育を見ることは、今の時代特別のことではない。どの先生にとっても必要なこと。昔は海外勤務を終えると家が一軒買えるくらい…なんて言われていたこともあるが、最近給料はどんどん減らされている。日本からの給料は出るし、向こうで在勤手当と住宅代は出るが、足りなかったら国内の給料を使うようにと今では文科省が言っている。

<質問タイム>
Q.派遣が決まった後に辞退することは可能か。 A.一度決まったら断ることは基本できないが、健康状態で断る人もいる。
Q.旦那さんが派遣、奥さん休職の場合、奥さんは何をしているか? A.派遣されている奥様同士でランチをしたり、ボランティア活動したりしている。奥様会・婦人会がある。
Q.派遣中に一時的に帰国することは可能か。 A.派遣中に、慶弔関係や親のこと、健康のことで一時的に帰国することは可能。Max40日だったと思うが、それにかかる費用は自腹である。

第二部 学級経営をたのしむ!(50分)
感動のある学級経営、考えるこどもを育てる楽しい学級経営をお話してくれました。
ドバイから帰国後、3月に閉校し、新たに他地区と統合した学校へ赴任。さらにその年の中学3年を担任。統合もあって生徒同士の関係や児童養護施設から通う生徒(親が親権放棄した)もいて指導は大変だったそうですが、卒業するときには「このクラスで良かったな」と思えるようにすることを目標にし、生徒にも伝えたそうです。

基本を当たり前に続ける!
子どもたちとの 信頼関係 ←→ 集団の力 

1年後を見通して計画的に!
1 出勤したら自分の教室に行く

2 退勤前に自分の教室に行く
  ※先生はいつもいるんだ、という状態に。用がなくとも教室にいる。用はないわけではない。彼らの顔を見る。さりげなく。

3 朝の会、帰りの会を大事にしている 
  朝の会:1日の始まりを大事にする。伝達事項は日直に伝えさせる。(それを習慣づける。)担任はそれ以外の大事なことを言う。
  事務連絡で時間を使わない。子供の良かった行動や、大事なことをどこを向いて言うかを決めて話す。直接その子を見て言うよりもその友達に向けて言う時もあった。
  帰りの会:良かったことや気になったことを話したり、これはどう思う?と考えさせる時間を作ったりした。子どもがいろんな観点で考える。
  ステレオタイプの人間を作らない。

4 掃除を一緒にしている 
  猪股先生は生徒に自分は何をすればいいかと聞いて、黒板消しをやった。

5 毎日半数の生徒と話している 
  授業以外で。そのためには教室にいなきゃいけない。悪いことをしても先生は私を無視していない、きちんとダメと言ってくれたという場面を作る。
  話したことは必ずメモに残す。後々話すきっかけにもなる。付箋紙に書いている人もいるけど捨てないで取っておく!

6 学級の掲示物を気にする

7 だれとだれが友だちかを知っている

8 メモを大事にしている

意図的に ドラマチックに!
9 伝え方を工夫している 
  教卓をうまく使う 子供の前で話す 子どもの近くで椅子に座って話す(同じ目線に立って座って話しかける) 一番最初は全体を見る。
  自分の話す中身で話す場所、位置、タイミングを考えている。名前を呼ぶタイミングを工夫する。(さん付け、君付け、フルネーム)
  大事な場面なときには、フルネームで〇〇さん。子どもたちは大事にされたという感じを抱く。

10 教室にタイミングよくいる

11 間違ったときは、きちんと謝る 
  間違ったときはごまかさない。ごまかしていくと、子どももごまかすようになる。机の中身もそう。生徒には注意して、先生の机の中が汚いのは✖。

12 学級通信を出している 
  読んでもらえる学級通信を。子どもも読む。子どもの記事があったり、子どもの様子が写っていると親も喜ぶ。写真だけでなく、書いた作品も載せたりした。保護者を意識して学級通信を作る。子どもの笑顔は子どもが撮った写真だと見られることが多い。

13 学級のイベントを行っている

14 学校行事を大事にしている 
  子どもたちの意識を一つの方向に向けることができる

15 リーダーを育てている 
  リーダーをたきつけるのは先生だけど、集団を盛り上げていくのはリーダー。リーダーをいっぱい作る。リーダー一人では負担が大きい。
  どうしたら学級が動くか考えさせる。担任はそこにいるだけ。「考えたら紙に書いて。」「結果としてどうあればいいの?」「できなくても失敗してもいいよ。」「目標は何なの?」などその行程を何回も体験させる。「なんでこれをしているの?=「このクラスで良かったな」と思えるためにやっているんでしょ?」と考えさせる。
猪股先生は、学級でクリスマスケーキを作ったこともある。班ごとに作って、食べたそうです。ケーキの誉め言葉を奥さんから聞いて、勉強していった、というお話も楽しかったです!

「こころに響く」学級経営
1 情報は発信者に還る 
  良いものはどんどん発信しましょう。子ども通しで伝え合おう。良いものを発信すると自分に還ってくるよ。
  研究会で得たものを発信していく。(←これはまさに、北研レポートと一緒ですね。)
 「まねて崩して作る。」⇒まねて、アレンジして、新しいものをつくる。発信を続けていくことでコミュニケーションにもつながる。

2 コミュニケーションはYESから 
  「あとで」は「No」と一緒。まずはYESから。例えば教室でクリスマスケーキを作りたい!と言われたとしたら・・・何が必要?いつやるの?いくらかかるの?など考えてきたら教えて、と。だんだん実現は無理だと、子どもたちが判断する。そこにいくまでに時間がかかるけど、我慢! または、リーダーズ会議で考えさせたり、いくつか布石を置いといて実施不可能な方向へ もちろん道徳に反することは「〇〇の理由でダメだよ」とはっきりと伝える。

3 「見通し」をもった「準備」と「実行」 
  1年先を見通しておく。猪股先生は1学期の所見を書いたら、2学期・3学期の所見も書いておいたそうです。2学期はこうなるだろうと書いておく。
  そうすると指導にも生かせる。こうなったらいいなと。

4 ぶれない 
  自分で言ったことは記録しておく。変えるときは、前はこういったけど、〇〇だから□□だよと説明する。

5 見捨てない 
  叱っても さりげなく寄り添い、そっと離れる 愛着はもてど執着しない
  この仕事はすぐに結果でないけど。。。

6 自信と誇りをもつ 
  先生の仕事っていいですよね。また、事務的なことにはできるだけ時間を使わない。生徒との時間、保護者との時間を大事に。
  猪股先生が教頭先生のときに、文書の多さにびっくり。その場でできることはすぐにやり、後で見返すものにはチェックマークをつけたそうです。
  先生方が仕事しやすいようにするのが教頭先生の仕事。
  優先順位は先生方、子どものこと、親のこと。その意識をもって先生方に接すれば、教頭先生に相談しようとなる。

NGワード
あとで、めんどくさい、疲れた

NGリアクション
パソコンをバタンと閉じる、椅子をガタンとしめる、など

1年後の学級は!
統合してもった猪股先生のクラスは…なんと10月の合唱コンクールで1位を取ったそうです!
また一緒にいたいという仲間(クラス)
また受けてみたいという授業
また会ってみたいという先生

猪股先生のお話を聞いて、そんな風に学級経営をしたいなと強く感じました。今は教務主任となり、担任の仕事からしばらく離れていますが、担任に戻りたい!と強く思いましたし、その時は猪股先生の資料にあった学級経営をたのしむキーワードを大事にしたいです。あわせて、若い先生方にも伝えていきたいなと感じました。また、日本人学校の派遣についても興味を持っていましたので、実際行ってみた楽しさや大変さ、面接やお金のことなどあまり公には聞けないようなことも聞くことができ、大変勉強になりました。

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 ① 猪股先生
 日本人学校3地域を経験された。
 アラブ・ドバイ日本人学校 4年間
 フィリピンマニラ 日本人学校 4年間
 アメリカ補習授業校  1年間
補習学校は放課後や土曜日だけだが、一番忙しかったそうです。平日は、火曜から金曜まで先生方が使う教科書、指導案のチェックや保護者の質問に追われていた。
ドバイでは9.11を経験し、 突然校長から「明日荷物をまとめ、飛行機を予約しなさい・・・。」等言われたこと。学校の前には軍隊が来た事。生徒の三分の二は帰国したことなどのエピソードがありました。
 
日本人学校には、現職派遣、シニア派遣、プレ派遣教師、学校採用教員がいるとのこと。プレ派遣は教員採用試験にまだ合格していない人、対象で2年間体験が可能。
 
日本人学校の魅力について
・教育委員会が無いので、アンケートの回答や出張、外勤がない。つまり、ずっと子どもと、とことん一緒に居ることができる。
・そこに応じた指導を行う事。特に国語教育、日本語教育を大切にしている。(きちんとした日本語を話すように)
・子どもも教師も全国から集まってくる。
自分の指導を客観的に振り返る必要がある。また、子どもが大変な状況、生活をしていることを共感しながらどうにかして「大変だよね」と一緒に歩んでいくチャンスとしていくこと。
また、「どうしたら現地の日本人学校がよくなるか」この現状環境に一番いいのは何かを考えて柔軟性を持ちながら他地域の教師と折り合っていくことが重要。(価値観を共有すること)
 
その他のエピソード
・日本人学校では小学校・中学校の壁はなし。体育などは小中一緒の授業あり。
・高い危機管理意識が必要。・長い休暇が取れる。2か月ほど。
・運動会はポリスが来る。アメリカではポリスはアルバイトができる。それを推奨している。1日100ドル弁当付き。 救急車もナース付きで居てくれるとのこと。

他県からくる教師との価値観の共有については、日本で教える私たちにも共通する悩みだと思います。これまでこうやってきたからと毎年4月にはいろいろ戸惑う事がありますので。まさに、この学校をこれからさらによくするためにも価値観の共有は重要。

②「学級経営を楽しむ」
猪股先生がドバイから戻るとA中学校は無くなり、B中学校に行くことになる。また、中3の担任だと言われた。
A中とB中が合同となって、生徒にも緊張があった。大変な状況だったとのこと。そこで、先生自身の目標を「卒業する時は、このクラスで良かったと思えるクラスにすること」にされた。

1基本を当たり前にすること
2一年間を見通して計画すること
先生が行っていたことから…

•出勤したら教室へ
また、退勤する前も教室へ。今日一日を考えるのは教室で。一日を振り返るのも教室で。何も無い時は教室へ。
いつも担任が居るということを生徒に意識させるため。

•朝の会、帰りの会
事務的な事は、生徒に言わせる。担任は思いを語る。
語る時も誰にどの様に伝えるかを考える。良かったことも単に◯◯したから良かったと褒めるのではなく、ステレオタイプにならないように子どもに考えさせて伝える。
•毎日、学級の半分以上の生徒に授業以外で話す。話した事は必ずメモをとる。記録しておく。
生徒から話を聞いたらYESから。まず、受け入れる。どんな内容であっても受け入れ、それが可能かどうかは生徒が考えるように返事をする。
•伝え方を工夫する(担任が話す時)
指導であれば教卓から。生徒の顔を見て、間をとって。話しかける時は、教卓の前で。場合によっては座ったままで。子どもの目線に合わせたり、子どもの気持ちに寄り添うために変化をさせる。話の内容によって、話す場所、タイミングを考える。
•名前をフルネームで呼ぶ時。
生徒に大切な場面だと意識させる。賞状や通知表を渡す時など。
•学級通信を出す。
子どもの様子は親が喜ぶ。子どものいい笑顔や作品など。いい笑顔を撮るためには、たまには生徒に写真を撮らせるといい笑顔が撮れやすい。
•学校行事を大切にする。
どうやって行事を盛り上げるか。担任は、リーダーを焚きつけ、どうしたら学級が動くかを考えさせる。リーダーは1人にしない。複数リーダーをさせる。失敗してもいい、結果がどうなっても、どんな目標で動くかを考えさせる。

「こころに響く」学級経営を数多くのエピソードを交えてお話いただきました。
どれも温かく、それでいて視座がある。子どもたちが自然とそう成長できるように、意図的にドラマチックで、聴いていたこちらもワクワクする学級経営のお話でした。(もっとお聞きしたい)

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猪股俊哉先生は、66歳の先生。ドバイ日本人学校、マニラ日本人学校、ワシントン補習授業校、合計9年間ご勤務されました。ワシントン補習授業校はご退職の後、再任用で管理職としてご勤務されました。

トピックは、日本人学校の面白さと学級経営の2本。日本人学校の面白さを聞くと、自分も働きたいと思いました。日本の色々な都道府県からの生徒(最近は海外の人との結婚や二重国籍の生徒が多いそうです)や様々な都道府県の教員と相談しながら、現地の文化、環境も考慮しながら、教育委員会の管轄なしに思いっきり生徒、保護者と向き合うことができます。違う教科(体育や音楽など)を教えなければならないこともある場合もあるそうですが、日本人学校での経験は間違いなく、日本に帰った時に、教師力として生きていくそうです。
私は親が高齢のため、もう日本人学校を申請することはありませんが、もっと若かったら挑戦したかったです。

学級経営について。
「学級経営を楽しむ!」プリントより

1。コミュニケーションはYESから始まる

生徒から「ケーキ作りできないか?」と尋ねられて、教師が「あとで」というと、生徒にとってNo
ということになるし、教師が「できない」とすぐに答えるのではなく、生徒に、「どういうことか」を尋ねて、聞くことが大事とのこと。昨年、特別支援教育の校内研修で、ゲストティーチャー(子ども発達相談支援センターの方)が、「まずは生徒の声を聞くこと。それをしたら、生徒も先生の言うことをよく聞いてくれる」と行っておられたのと重なりました。

「教師が背中で見せる」ことの大切さもわかりました。掃除を一緒にすること、教師の言行一致のこと(間違えたらごまかさずに謝ることや生徒に叱るなら同じことが教師自身もできているかどうか)。

朝の会、帰りの会では、連絡事項だけでなく、担任としてのメッセージをしっかりと届けること、また、生徒に考えさせることとのこと。猪股先生は、朝の会の前に日直に連絡事項を伝えて、連絡事項を学級で伝えるのは日直の仕事、それ以外を担任からのメッセージを話されていたとのこと。関西学院大学小等部の先生が書かれていた本の中に、「朝の会を大切にする。」という項目があり、その中で、子供にとって朝の会の印象はとても心に残るので、そこで全力を出していると書いてあった。私も数年前に初任者研修教員として朝の会を5人の初任者に見せてもらう中で、一人の教員が連絡の前に、その先生自身の朝の出来事や前日のことの話をしていた。おもしろいので真似しようと思った。その翌年、自分が担任になったが、生徒は朝の会の私の話をよく覚えていたらしく、そのことを卒業後に話してくれた。

出勤時、退勤時に教室に行く話もあった。教室環境を整えること、生徒の机の上の落書きなどを見ることなどあった。私は今年担任のないフリーとして、1学期は学年すべての教室に毎朝行って、教室環境を確認していた。2学期以降は産休の先生がおられて、学年全体の欠席、遅刻者の名前の確認業務を朝にしていて、できなくなりましたが、教室環境を整えることやできるだけ長い時間教室にいたり、生徒と話すことは、最近の私にはできないことですが、確かに大事だなと思いました。

猪股先生のお話になくて、私が担任時代にしていたことは、辞書(広辞苑、国語辞典、英和・和英辞典)や自分の本(名作絵本を含む)を教室に置いていたことです。何かの場面で自主的に調べる生徒が増えました。また、絵本は生徒たちの心に響いているようでした(この時期、私の趣味は絵本を買うことで、時々、読み聞かせも行っていました)。

猪股先生は、私のしたことがない、たくさんのことをされていて、長年のたくさんの様々な経験があり、また管理職の時には事務処理をできるだけ早く終わらせて生徒・児童と関わったり、教員と関わったりしながら、教員の働きやすくなる学校をつくっておられたんだろうと思いました。もう私は教頭先生になれる年齢を越えてしまったので、管理職になることもありませんが、教頭先生はこういう気持ちで(同僚教員を縛るのではなく、サポートして働きやすくする)仕事をするといいんだと思いました。私は一教員として学校の同僚が働きやすくなるように努めたいと思いました。

猪股先生は終始笑顔で、楽しくお話しされていて、学んでいる私たちも楽しい気持ちで、共感しながらお話を聴けました。

「教員の仕事は、すぐに結果が出ないかもしれない。結果が出るのが10年後や20年後かもしれない。」と言われました。ここでは書きませんが、本当にそうだなと思うケースが私にもありました。

今日は、北原先生再任用前のご退職パーティー二次会以来10年ぶりにK先生に声をかけてもらい、T先生、F先生、元ベネッセのYさんとも話ができ、関西のM先生と元滋賀県のI先生と関西メンバーとも再会でき、そして何より京都でお見かけした時よりお元気になられていた北原先生を見れて、とても嬉しい1日でした。

さらに、北研後に、渋谷で、N H Kビジネス英語の杉田敏先生を囲んでリスナーの集いに行き、色々な仕事をしている人と話をする中で、今の世の中の様子を少し知りました。9月に転職して、完全にリモート(家)で仕事をして、職場に出たのはたったの3回と飲み会だけという方もありました。時代はものすごい勢いで変わっていると共に、「そんな状況だから先生も大変でしょう」と想像されていました。

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前半が「知られざる日本人学校」についてで、日本人学校は、時には免許外教科を指導したり、指導経験がない小中高の授業であっても担当する能力の必要性があることから、あらゆる指導の根幹をなす生徒指導能力の高さは必須であることから、後半は、生徒指導が中心という構成になった。

【1】当たり前のことを日々大事にする大切さ
出勤してから退勤するまでの学級担任の動きについては、話を聞いている間に、かつて、私がそれらを教わった先輩とのやりとりや、本を読んで学んだことを思い出した。内容自体は、どれも知っていること。
一番伝えたい生徒自身の顔ではなく、その生徒と繋がりがある生徒の方を見て話をして、その生徒が伝えることを期待したテクニックは、忘れかけていたこと。これは「発信した情報」にも繋がると思った。

「学級経営をたのしむキーワード」から
「30 情報は発信者に還る→情報は出すから還ってくる 出さなければ還ってこない 良質の情報は、さらに深みが増し、質が高まり、巡り巡って発信者に還る。 情報は、発信・シェアすることでコミュニケーションの無限ループにつながる。」

【2】待つことの大切さ
「教育は、10年先、20年先に結果が出ることがある」というお話があったが、親睦会では、もっと短いスパンの話もあった。
「物事の指導では、適度の待つ時間が指導者に求められる。その待つ時間の程度は、ケース・バイ・ケースで、主に、指導者の経験に裏付けられるであろう。待つ時間の絶妙な長さが、非常に大きな効果を生み出す。」

【3】「学級経営をたのしむ!」
36のチェック項目リストは、「01 コミュニケーションは○○から始まる」のように、読む人が考えるような工夫がなされている。

「36 NG(エヌジー)ワード!何気に使っていませんか?→マイナスオーラを気づかず出して?ないでしょうか!」は、個人的に、色々と、最近の出来事を思い出しながら考えさせられた。
ひとつひとつが、猪股先生の笑顔が思い浮かぶような問いかけ。
今後、たまに取り出して自分自身を振り返りたい。

【4】教育にかかわる問題の背景として知っておくべきこと
・コロナ禍以降、公立学校の研修の数が減った。
・英語指導と同じように、生徒指導もまた、保護者や先生自身が体験したことの影響を強く受ける。

私自身は、力で集団を動かす方法と、心で集団を動かす方法、主に二つを体験したり見たことを思い起こした。

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1 日本人学校に関するお話
(1)日本人学校とは
① 日本人学校 … 49か国1地域94校、全日制の学校
② 補習授業校 … 51か国1地域242校、土曜日または放課後に実施
※補習授業校は平日に授業がないため一見「暇そう」に思われるが、実際には現地の先生方の指導案チェックなどの業務が多く、猪股先生は「日本人学校で教えているほうがよかった」と話されていた。


(2)日本人学校の子どもたち
① 駐在組
② 永住組(国際結婚など)。フィリピンでは4割が永住組。


(3)日本人学校の先生
日本人学校全体で1337人がおり、毎年約400人がローテーションしている(原則2年、4年まで延長可)。
① 現職派遣
② シニア派遣(退職した教員)
*今後、日本人学校の管理職はシニア派遣の方が担うことが増えていくらしい。
※猪股先生は、現職派遣でドバイ、管理職としてフィリピン、シニア派遣としてワシントンに赴任された。


(4)派遣希望の理由とは
派遣希望を出す際、書類に記載する理由は「海外に行きたい」だけでは不十分。
① 在外教育施設への興味
② グローバル教育への希求
③ 帰国教員からの影響
④ 海外子女教育への関心
【以上を踏まえて私の志願書を書いてみました】
私が海外の日本人学校で働くことを強く希望する理由は、英語教育の研修団体で出会った多くの先輩教員の存在にあります。彼らの多くが日本人学校での勤務経験を持ち、そこで得た成長ややりがいを熱く語ってくれました。とくに「現地の状況に合わせて教材や指導を工夫し続けた経験が、教員としての力を確実に高めてくれた」という言葉に、強い憧れを抱くようになりました。現地の実情を踏まえながら日本の教材をどのように調整していくか――その挑戦は、私にとって大きな学びであり、必ず成長に繋がると確信しています。
また、私は英語に加えて家庭科の教員免許も所持しています。日本人学校では、専門教科以外の授業を担当する機会も多いと伺っています。これまで英語科で磨いてきた指導力を他教科にも応用したいという気持ちがあり、その経験は必ず英語教育にも良い影響をもたらすと考えています。幅広い教科指導に挑戦できる環境は、私にとって大きな魅力です。
さらに、私はこれまでの勤務校で、対面とオンラインの両方で海外の学校との交流活動を経験してきました。生徒たちが異文化に触れることで積極性を高め、視野を広げていく姿を間近で見て、その価値を強く実感しています。今後も生徒たちにグローバルな学びの機会を提供したいと考えていますが、自分自身が海外で生活し、現地を知ることで、より説得力のある指導ができると感じています。
海外の日本人学校で働くことは、私自身の成長だけでなく、これまで出会ってきた生徒たちにより豊かな学びを届けるための大切な一歩だと考えています。


(5)日本人学校の魅力
* 出張などがないため、生徒ととことん向き合うことができる
* さまざまな教科を教えることができる
* 他県の教員と価値観を共有でき、強い絆が生まれる(帰国後も続く)

(6)日本の公立学校との比較
* 高い危機管理意識が身につく(日本は平和)
* 長期休暇(夏休み)は2か月。現地から海外旅行へ行きやすい
*ドバイ勤務時はヨーロッパ旅行も行きやすかった


(7)日本人学校の落とし穴
* 日本人学校へ行くこと自体が目的になってしまう
* 海外勤務になったことに慢心してしまう
* 「これまで勤務してきた県ではこうやってきた」というような自分独自のやり方を押し付けてしまう「ではの守」になりやすい
* 保護者会・日本人会・理事会との良好な関係づくりが必要

(8)海外派遣のための費用
① 内定前 … 東京での面接費用(現在はコロナ後のためオンライン面接も)
② 派遣先決定後 … 東京での研修費、引っ越し代、ビザ代、飛行機代、予防接種代(戻るものもあるが、5月以降になる)。予防接種は20万円を超えることも。
③ 着任後 … 車の購入費、子どもの幼稚園・小学校の授業料(私立扱いのため)


(9)配偶者の生活
婦人会や日本人会のクラブ活動に参加できるなど、生活は意外と充実している。しかし意見の相違が出ることもあるため、海外派遣に申し込む前に夫婦でしっかり話し合っておくことが大切。


(10)海外派遣申し込みにあたって
* 登録(翌々年度派遣)と 即採用(翌年度派遣)のどちらかを選べる。
* 願書は書くことが多いが、学校で案内されるのは締切直前になることが多い。そのため、申し込みを考えているなら、前年度のうちに教頭先生から願書をもらい、志願書に書く内容を準備しておくとよい。案内が出てからその日のうちに全て提出できる程度に整えておくと楽。
*これは、私が長期研修に申し込んだ際と状況が似ている。長期研修も案内が出てから数日後までに研究計画を完成させて提出しなければならなかったため、前年度に資料をもらい、春休み中にゆっくり研究計画を書いておいた。
* 雑誌「海外子女教育」を購読しておくと、さまざまな情報を集められる。

2 学級経営に関するお話
猪股先生のお話を伺いながら、自分の経験を重ねて考えたことをまとめます。


(1)基本を当たり前に続ける
① 出勤後と退勤前に必ず教室へ
担任は「一国一城の主」ですから、自分の教室には常に関心を向けていたいと思います。同僚の中には、生徒が来る前に黒板へ毎日メッセージを書き、学級通信代わりにしている先生もいました。私はそこまでできず、朝は軽く教室を覗いて早く来ている生徒に挨拶をしたり、窓を開けて空気を入れ替えたりする程度でした。
帰りの会の時間に生徒に机・椅子の整頓や戸締まりを指示していましたが、退勤前には、自分でももう一度机の整理をしていました。その際、「今日はこの子と話せたかな」など、その机の主を思い浮かべながら振り返ることで、一日の学級を見つめ直す時間になっていました。
② 「何でもないとき」にも教室にいる
私自身、教室に長くいるタイプだと思います。職員室で先生同士のおしゃべりがあまり得意ではないので、授業には早めに入っておくか、自分の教室で座っていることが多いです。
以前担任したクラスでは、やんちゃな男子3人が毎回音楽などの移動教室前に自教室に残っていて、よく背中を押して移動させていました。ただ、他の生徒がいない場面では彼らも素直になり、本音で話してくれる時間にもなりました。
猪股先生がおっしゃっていた「何でもないときにそこにいることが、実は意図された時間である」という言葉は深く共感しました。
③ 朝の会・帰りの会を大切にする
猪股先生は、担任が本当に伝えたい話に集中できるよう、事務連絡はすべて生徒に任せていたそうです。そして担任自身は、「その日にあった良かったこと・悪かったこと」「日々の出来事から考えられること」を語ることに専念していたとのことです。
私は即興で話すのが苦手なので、帰りの会では学級通信を読みながら語りかける形式にしていました。また、どんなに話の途中でも帰りの会のチャイムが鳴ったら切り上げるようにしていました。落ち着かない生徒には、どんな良い話も届かないと感じていたからです。
④ 毎日、半数の生徒と話す
小学校と違い、中学校では担任も他クラスで授業があるため、半数の生徒と毎日話すのは意識しないと難しいです。私は以前、生徒に毎日の日記を書かせ、それを通して交流していた時期があります。

(2)意図的に、ドラマチックに
① 伝え方の工夫
伝えたい生徒に直接ではなく、その生徒の仲の良い友達の方を向いて話すなど、間接的に気持ちを届かせる伝え方があると聞き、納得しました。思春期の生徒には正論だけでは響かないことも多く、友達を介した方が素直に受け取ってくれることがあります。こうした「さじ加減」は担任の熟練が問われるところで、私自身まだまだ学ぶ必要があると感じます。
② 間違えたらきちんと謝る
こちらに非があるとき、個人的に謝ることもあれば、全体の前で謝ることもあります。軽く謝るときもあれば、丁寧に説明して誠意を込めて謝ることもあります。生徒を対等な存在として認めているからこそ、間違えたときにも素直になれるのだと思います。
③ 学級通信の発行
猪股先生は、毎日学級通信を書いていたそうで、保護者から「そんなに出されても読めない」と言われたこともあったそうです。
私も向山洋一先生の学級通信に憧れて、2年間で600号以上発行しました。スタイルは、生徒の日記に返信するように書く方式です。生徒に毎日原稿用紙1枚程度の日記を書かせ、そこからいくつか内容を拾って学級通信に載せ、帰りの会で読んでいました。この2年間は「自分は生徒のことを誰よりも理解していた」と胸を張れます。
ただ、毎日書くのはかなりの負担で、生徒に毎日日記を書かせるのも大変です。楽しさはあるものの、負担感の方が上回るため、今は無理のない範囲で行っています。
④ リーダーを育てる
リーダーは一人ではつぶれてしまうため、複数育てることが大切です。行事を通して生徒は成長し、特に合唱コンクールのような長期の取り組みは学級を大きく育ててくれます。
⑤ 学級のイベントづくり
猪股先生のクラスでは、班対抗のケーキ作りを企画したことがあるそうです。優劣をつけるよう生徒からお願いされたものの、それは良くないと判断し、各班の良い点を必死に探したとのこと。聞くだけでも楽しそうなイベントです。
今の学校では、食べ物を扱うイベントは難しいかもしれませんが、生徒のアイデアを頭ごなしに否定しない姿勢が大切で、「どうしたら実現できるか考えてみよう」と促すことで、生徒自身が「難しい」と気づく方が教育的にも価値が高いと教わりました。

(3)「こころに響く」学級経営
① 見通しを持った準備と実行
学級の一年後の姿をイメージしておくことは大切ですが、現実的にはそこまで余裕がないときもあります。その場合、まずは連休明けなど短いスパンで見通しを作ることも有効だと感じます。
私も4月の最初の学活で、「3月にこうなっていてほしい学級の姿」を書いた学級通信を配っています。
② 見捨てない
叱ることはあっても、生徒を見捨てない。必ず関わり続ける。これは学級経営の根幹だと思います。
私は以前、非常に問題の多い生徒を2・3年と続けて担任しました。その間に3回逮捕され、卒業式も拘置所で卒業証書を渡しました。学校にはほとんど来ず、私は週2〜3回、合計100回ほど家庭訪問を続けてつながりを保ちました。娘が生まれたときには、その生徒のご両親から出産祝いをいただき、昨年その生徒に子どもが生まれたときには私から出産祝いを渡しました。「あの頃、先生がいたから良かった」と言ってもらえたことは忘れられません。
見続けるのはしんどいですが、見放したらもっとしんどい。本当にそう感じています。
今では全身に刺青が入っていて、もし自分の教え子でなかったら目も合わせられないような見た目ですが、真面目に働き、家族を守る大人になっています。それで十分だと思っています。

担任をするのはしんどいことも多く、私は「できるなら担任は避けたい」と思ってきました。でも、猪股先生の生き生きとした語りを聞き、「もう一度担任をやってみたい」と思えました。しんどくても、きっと楽しさを感じながら仕事ができる気がします。貴重なお話をありがとうございました。

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講師 猪股 俊哉先生
第一部 日本人学校のおもしろさ!
・海外の学校の種類について
・生徒の様子
・派遣形態について→文部科学省はこれから現職派遣ではなく、多くをシニア派遣にしようとしているという内容に驚きました。
・派遣希望の理由
→多い内容は
*在外教育施設への関心
*グローバル教育への希求
*海外生活への願望
*教職スキルの向上 など
・日本との比較
→*免許外の教科を教えることがある。
*小中両方を教える。
*水泳、音楽の指導があることもある。
*長期休暇が長い。
・落とし穴
・お金の事情

現地に行ったことのある先生だからこその、日本人学校の中身がとてもよくわかるお話でした。「えっそうなんだ!」と思う内容が多々ありました。

第二部 学級経営
様々なお話がありましたので、自分が特に心に残った内容を報告します。
・話す内容によって、教壇での立つ位置を変える。
・名前の呼び方(フルネームで呼ぶときはどのような時か?)
・リーダーを育てることの大切さ。
・「このクラスで良かったな。」と3月に思えるクラスにする。
・情報は発信者に還る。
・コミュニケーションはYesから。
・間違ったら謝る。
・ぶれない→結構大変!
・見捨てない。

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1 日本人学校・補習授業校の話を聞いて
 以前、ドバイの日本人学校を見学させてもらったことがあります。限られた敷地の中で、どのように教育が行われているかを知ることができたことを思い出しました。今回はさらに具体的に日本人学校や補習授業校で教えるにはどのようなことが必要なのか、面白さなどが知識として得ることができました。

 特に印象に残ったことが2つあります。

①海外には日本の教材はない、日本の教科書を用いながら現地の状況に合わせてアレンジしながら工夫して教えていくことが必要であることであるということです。

このことを聞いて、その状況に合わせた教員の柔軟さ、工夫はどこにいても必要なのだなと改めて感じました。大切なことに改めて気づくことができました。

 ②日本の全国から先生や生徒が来ること。今まではこうだったからここでも…と「ではの神」になってしまうとうまくいかない。環境や生徒たちの実態に合わせてアレンジしていく柔軟性が大切であるということです。

それは今の私たちにもあてはまることで、その学校や生徒たちに合わせて「どうしたら(    )のために一番いいのか、(     )がよりよくなるのか」を考えながら授業や生徒支援に取り組んでいくこと、同僚と一緒に同じ方向を向きながら働いていくことが必要なのだなと再認識しました。

2 学級経営の話を聞いて
 私は以前、猪股先生に授業を見てもらい助言をいただいたことがあります。元気な生徒が多い学校でうまく授業が進められず悩みながらの日々でした。そのときも、生徒たちの頑張っている姿をしっかりととらえてくださり、生徒を大切に思い誠実に向き合うことはきっと伝わるよと励ましてくださったことを思い出しました。

 こちらも印象に残ったことを2つ取り上げたいと思います。

①基本を当たりまえに続ける
 生徒との関り・信頼関係をどのようにして深めていくかの大切なことをたくさん伝えてくれました。集団の力を上手につかっていく、1年後を見通して計画的に進めていく。用はなくても用はあるから生徒と一緒にいること、さりげなく生徒の様子(顔)をみること…生徒にいかに自分が伝えたいことを伝えるかの工夫が必要なこと(立ち位置やタイミング、視線、名前の呼び方など)も「そうだよなぁ」と自分の生徒たちを思い出しながら聞いていました。今の若手の先生たちにも、伝えなくちゃとたくさんメモしました。若手の先生たちにも伝え方を工夫しながら、「そうだよなぁ」と思ってもらえるように伝えます!

②情報は発信者に還る
 いいものは帰ってくる、いいことを聞いたら心にとめて誰かに伝えていこう。
 生徒にも、まわりの人たちにもこれからたくさん伝えていこうとあらためて思いました。
 そして猪股先生の「仕事をしやすいように職場環境を作る」という言葉も心に残りました。

最後に猪股先生の言葉から
また、一緒にいたいという仲間
また、受けてみたいという授業
また、会ってみたいという先生

心にしっかりと刻んでおきたいと思います。

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講師は、猪股俊哉先生(北海道、胆振地区より)。
現在は国際理解、学級経営、英語指導法、国際理解教育、日本人学校などの研修・講演・ワークショップなどをされている。
北原先生からは、「人を集めるのが上手い。人が寄ってくる先生」とご紹介がありました。

第1部【日本人学校について】
猪股先生が派遣された海外の学校は3校(今まで2校以上に派遣経験のある方と出会ったことがありません!さすが!)。
1.アラブ・ドバイ日本人学校(4年間、9・11のあったとき、小中学部で60名)
2.フィリピン・マニラ日本人学校
3.アメリカ・ワシントン補習授業校(退職後シニア枠)
→3回目の面接で、前と同じだと芸がないから、補習校を希望された。
土曜日のみ学校だから、平日は暇?と思いきや、教材と指導案のチェック、教師の採用、会議、など日本人学校より多忙だった。

日本人学校は、世界に94校。
補習授業校は51か国に242校。現地採用者が授業をして、派遣教員(管理職)は授業をしない。猪股先生は、一日7-8km校内を巡回され、体調不良者が出たら代打授業(幼稚部~高等部まで)をされていた。

私立の日本人学校もある。

現在は世界中に1,327人(R4)の教師が派遣されており、毎年400人が入れ替わる。
1. 現職派遣…原則2年、最長4年。10年以上の経験があると受かりやすい。1回では受からない。2-3回目で受かる。
2. シニア派遣…猪股先生は退職後2年間教育委員会で勤めて、その後アメリカへ。補習校派遣はほぼシニア。
3. プレ派遣…学生、講師など。2年間。
4. 学校採用…日本人学校との直接契約。

教材を確保するのが大変。注文しても届くのは半年後。国によっては検閲アリ。
国によっては、現地生活の理論と掛け合わせながら教える(ドバイの砂は水をどんどん吸収しちゃう!そのため、日本の教科書の説明と矛盾することも)。

教育委員会がないので、委員会の仕事、出張などがなく、とことん子どもと向き合えるのが良さ。
子どもも教師も全国から集まってくる。指導法も経験則もバラバラ。ポイントは、「現状の日本人学校をどうよくしていくか」の柔軟な視点。帰国後も連絡を取り合う絆がある。

教員数が少ないので、免許外の指導も普通にある。猪股先生は、小学部社会などを担当。体育は小中合同の場合も。

早めに昨年度の願書をもらっておくといい。一度書いてみる!シュミレーションして、管理職や過去派遣経験のある教員にみてもらう。4月中に管理職に希望を伝えておき、清書の準備をしておく。5月に募集が来たらすぐ出せるように。海外に住んでみたい、英語の勉強したい、は採用理由としては難しい。

<落とし穴!>
1. 日本人学校に行くことが目的になってしまう
2. 海外勤務になったことで天狗になってしまう
3. うちではこうやってきたからと「ではの神」になってしまう
4. 保護者、日本人会、理事会との信頼関係
5. 派遣先の国の人や文化をバカにしてしまう。
→住み込みのメイドやドライバーを雇う。それも文化なので大事にする。
6. 海外旅行の延長線上と勘違い

今からできることは、
今の仕事を頑張る。確かな学級経営、教科指導、生徒指導、保護者対応、円滑な人間関係。
専門教科に限らず、幅広く研鑽を積む。様々な種類の本を読む。海外では、国語教育を充実させることが大切。そして、お金を貯める。

派遣決定後は、登録or即派遣かが、12月に決まる。
英語力ABCにAをつけると、英語圏に行くことが多いかも。
一度決まれば、派遣先の国が嫌だからなどの理由で断れない。

第2部【学級経営を楽しむ!】
出勤後、退勤前に自分の教室へ行く。
ストーブの周りでみんなで輪になって話す。用がなくても教室にいる。子どもの顔を見る。
朝の会、帰りの会を大事にする。
伝達事項は担任でなくても伝わる。事務的なことは日直の仕事。子どもの心に刺さること、よかったこと、気になったことを担任は話す。どこを向いて話すか、あいつの顔だけを見ているとバレるから、あいつの友達を見ながら言うとか、作戦を計画しておく。誰とは言わなくてもいい。子どもに考えさせる。最初からほめない。どう思う?と振る。子どもがそれぞれの観点で振り返る、考える。考えるチャンスを与える。何考えてんの?と振る。道徳の時間もあるけど、毎日あるルーティンの朝と帰りの会を大事にする。何もない時はスパッと終わる。メリハリ。

掃除を一緒にする。
何すればいい?と生徒に聞く。1年間毎日黒板を消したことも。筋が見えないくらいに。一生懸命やっている姿を生徒に見せる。

生徒観察。
直接生徒に伝えたり、友だち経由で伝えたり。
毎日、授業以外で生徒と話す。結構大変。教室に行く時間もないことも。話したことは、後でメモしておく。記録。そうすると話すきっかけが増える。
誰と誰が友だちか知っておく。

意図的にドラマチックに。
教壇を挟んで話すと、境界線がある。指導する伝え方。教師―生徒の区別がはっきりする。話題によって使い分ける。
教壇の前や横に立つときは、話しかけたい時。
同じ目線にしたいときは、椅子に座って話す。より子どもの気持ちに近づくかもしれない。
タイミング、話し方、立ち位置を工夫する。

名前を呼ぶ。
いつフルネームで呼ぶ?さん付けする?それは、大事な場面で。子どもは大事にされた感じが増す。クラス全員のフルネームを漢字で書けるか。

学級通信。
毎日出していたときもあったが、保護者に「毎日出しても読まないから」と。北原先生は、朝刊夕刊を出されていた!
大切なのは、読んでもらえる学級通信であること。子どもも、保護者も。
そのためには、子どもの記事があること、子どもの様子が分かる(写真)こと。そしたら保護者も喜ぶ。親を意識して記事を作る。子どもの笑顔の写真を撮るためには、子どもにカメラを持たせるのもいい。

リーダーがクラスを盛り上げる。
学校行事を大切にする。学級委員一人では無理。リーダーをいっぱい作る。リーダーに考えさせる。リーダーズ会議。考えて計画して、紙に書く。いつ何をやる?結果としてどうなればいいの?できなくてもいい、失敗してもいい、でも目標は何?合唱コンで指揮者とピアニストが決まった。学年コンテストで1位になる。そういう取り組みを何回もさせる。自分たちで考えないと、前に進まない経験を積ませる。「このクラスで良かったな」と年度末に思えるように、毎日生活している。
クラスでクリスマスケーキを作ろう!という企画も楽しかった。どの班が一番美味しいか言ってください!と言われて、ケーキの感想テンプレを奥様から事前に教えていただいていたとか。

こころに響く学級経営を。
情報は発信者に還る。いいものはどんどん発信する。担任から子どもへ。子ども同士。いい話を聞いたら、心に止めて、次の誰かへ伝えよう。そう子どもにも伝えている。自分だけが得しない。さらに良くするために、真似て、崩して、作る。自分なりにアレンジ、自分でできることを足す。
「今それ言う?今忙しいよ」と思うときもある。でも、「あとで」は言わない。子どもたちにとってそれはNOと同じ。
学校でケーキ作りしましょう!も実際はNOな場合も、「わかった」とまずYES。何が必要?どうやる?お金は?と考えさせる。いきなりNOにすると、ケーキ=ダメ、と子どもは思考停止する。考えてきたら、教えて。聞くから。と伝えておく。すると実現不可能と子どもが判断するかもしれないし、「次の案を考えます!」とさらに思考するかも。
これには時間がかかる。忙しいけど、我慢。教師の頭の中には伏線があるが、子どもに言わせるようにもっていく。リーダーズ会議で仕込む。最初から決めつけない。

1年先の見通しをもって、準備と実行。
初見は1,2,3学期分一気に書いてしまう。こうなるだろう、こうなってほしいなという予想で。大変だけど楽。そういう風に指導できる。個々のメモノートに書いておく。

ブレない指導。
間違ったら謝る。自分の言ったことは記録しておく。ブレそうなときは、きちんと子どもに説明する。勝手に変えない。「違うこと言ってる」と思われる。

一人ひとりを、どんなにやんちゃな子どもでも見捨てない。
さりげなく寄り添い、そっと離れる。その子が気付いたら、離れる。しつこくしない。いつまでもべたべたくっつかない。愛着はもてど、執着しない。必要な時にだけ必要なことを話しかける、してあげる。フリでもいいから、見捨てない。この仕事はいつ成果がでるかわからない。子どもたちが大人になった何十年後に成果が見えることもある。

先生の仕事っていい。
できるだけ事務的なことに時間を使わない。子どもと話したり、子どものことを考えたり、親と会ったりに時間を使う。
教頭時代、文書が拷問だった。調査も多い。瞬間的にどんどん答えるようにしていた。教頭の仕事は文書処理ではない。先生方が働きやすく授業がしやすい職場環境を作ることが仕事。優先順位は、先生方、子ども、親。

NGワード、NGアクションを使わない。
「あとで、めんどくさい、疲れた。」周りにどう思われるか。
本やPCをバタンとしめる。自分はポンとやっているつもりかもしれないが、周りがどう思うかの意識をもって、周りや子どもと接する。

「また一緒にいたい、また受けてみたい授業、また会ってみたい仲間・先生」
そう思ってもらえるような締めくくりを。
卒業式後の学活の時間には、学級卒業式を。1年を振り返るビデオを観ながら。地元にいると、卒業後何年たってもまた、どこかで出会う。

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第1部 飛び出せ世界に!日本人学校の面白さ
猪股先生はシニアも含め9年間日本人学校に行かれていたそうです。
1.海外にはどんな学校があるの?
①日本人学校  タイの日本人学校が最初
 49か国、1地域に94校の学校があり、約16,000人の児童生徒が学習している。(2024年)
② 補習授業校  21,000人の児童生徒。平日は現地の学校に行き、土曜日や放課後だけ学ぶ。管理職のみ。授業を見て、生徒に声かけて学校内の様子を確認。教員の休みなどで急に授業の代わりに入ることもある。
③ 私立在外教育施設  世界に6校
立教英国学院 帝京ロンドン学園 スイス公文学園 慶應義塾ニューヨーク学院
早稲田渋谷シンガポール校 西大和学園カリフォルニア校
2.
駐在組か多かったが、最近は国際結婚の増加により、永住組が増えている。
3. 日本人学校の先生
令和4年 1327人の教員が派遣されている
① 現職派遣  長期研修で原則2年派遣、最長4年まで任期延長可。
② シニア派遣 2007年より 退職した教員が派遣される。補習校はほぼシニア
③ プレ派遣教師  2010年から教師を目指す人が行く
④ 学校採用教員  日本人学校と直接契約  現地で足りない人を採用する

4.日本人学校 派遣希望理由  (海外子女教育財団調査から)
① 在外教育施設への関心(82%)、②グローバル教育への希求(64.2%)
② 海外生活の願望(59.7%)、④教職スキルの向上(58.2%)、
⑤ 教員からの影響(52.2%)、 ⑥自己改革のチャンス(51.7%) ⑦海外子女教育への関心(45.3%)、⑧国内教育の行き詰り ⑨同僚、管理職らのすすめ

5. 日本人学校の魅力
直接触れるライブ感が醍醐味。
児童生徒ととことん向き合った教育活動ができる。子どもたちに共感しながら一緒に歩める。
児童生徒の実態、派遣先の国の状況に応じた指導ができる。
日本語教育、国語教育を充実させることができる。
現地校との交流を生かすことができる。
新しい環境での経験を児童生徒と共有し、興味関心を引き上げられる。
今までの自己の指導法などを客観的に振り返ることができる。
他の県の派遣教員と価値観を共有できる。
日本に帰ってから、経験を指導や児童生徒に還元できる。

現地では、なかなか日本の本が手に入らないそうです。副教材なども半年後になることも。
他県の派遣教員と協力してどうすれば派遣先の日本人学校がよくなるかを考えられる力が求められる。いろいろな県のいいところを取り入れて、それを楽しめるかが大事。
いろんな県の先生たちとの絆が帰国後も続くことも醍醐味のひとつ。
教科書に書かれていることが、その土地の特性で異なることも。たとえばオーストラリアだと南半球なので、教科書に記載されている星座と異なるが、その違いを楽しむ。

6.日本の公立小中学校と比べてみると
免許外の授業も教える。K先生は家庭科も教えられているそうです。
小中一緒に学ぶ学校が多い。
学校によって音楽や水泳.を教えることも。専科がいるところもある。
ほぼ全員担任
ドバイに行ったら翌日から仕事をされていた。着任日から即戦力。
国語・数学・理科の先生が欲しい。他県から来た全国の先生、現地の先生と一緒に仕事をする柔軟性。高い危機管理意識か必要
長期休暇があり、海外から海外旅行に行くこともできる。ドバイからはヨーロッパにすぐ行ける利点があった。

7. 日本との架け橋になる
帰国後、日本人学校での経験を日本の教育現場で共有し、還元することができる。
児童生徒に外国に対して興味関心を持たせることができる。
児童生徒に英語を学習するきっかけを与えることができる。
地域社会に海外での様子を伝えることができる。

8. 日本人学校の落とし穴→ こうならないよう気をつける
① 日本人学校に行くまでの準備などで、行くことが目的になってしまう。
② 海外勤務になったことで、天狗になってしまう。
③ うちではこうやってきたからという「~ではの神」になってしまう。 うちの県では~ ×
④ 保護者、日本人会、理事会との信頼関係を保てない。
⑤ 派遣先の国の人や文化をバカにしてしまう。
⑥ 海外旅行の延長線上と勘違いしてしまう。
自分で運転せず、ドライバーを雇う。事故を起こすと日本人だとわかるとふっかけられる。


9.日本人学校の先生に必要なこと
① 今の仕事をがんばる 
確かな学級経営、教科指導、生徒指導、保護者対応、円滑な人間関係
② 幅広い研修を行う
専門教科に限らず幅広く研修を進める。いろんな本を読んでおく。
③ 日本人学校について情報を集める。
帰国者の話を聞いたり、全海研情報を調べたり、「海外子女教育」を読んだりしておく。
④ 家族で派遣についてよく話し合う。家族でイメージを作る。
⑤ 健康に気をつける。健康診断でCより悪い結果の人は難しい。C以下だが、海外勤務には耐えうるという診断書を書いてくれるといいけれど・・・
⑥ お金を貯める。とりあえず400万くらい用意しておく必要がある。あとで返ってくる。

10-1 試験に向けた準備   
即派遣と登録(翌々年派遣)がある。どちらにするかは自分の希望が通る。
【2026年度・2027年度派遣のスケジュール】
・2025年5月 選考調査票の提出
事前に、校長、教頭先生に相談
在外教育施設の書類が教育委員会から送られてきてからだと間に合わないので、前年度の提出書類のコピーに下書きしておき、教頭や経験ある先生に見てもらっておき、話が来たら、すぐに提出できるようにしておく。出願書類に添付する顔写真も準備しておく。
・2025年6月 局での面接 健康診断書の提出を求められることも。
・2025年8月 局での面接に合格したら、文科省での集団面接、個人面接(コロナ後はオンライン)
・2025年12月 選考結果が送付される。
即派遣(2026年4月派遣)の場合は、派遣先の日本人学校が知らされる。
登録(2027年4月派遣)の場合は、登録と記載され、1年間の研修期間となる。
2026年1月 即派遣の場合、内定者研修、配偶者研修がある(オンライン)
2026年4月 即派遣者は、4月5日前後に派遣先に出国

10-2 選考調査票について   志願書
①  所有免許状
②  過去5年間の「授業担当教科」「教えたことのある教科」「指導経験はないが、教える自信のある教科」
③ 指導力について
外国語(読解、会話)の能力、武道、球技、水泳、ブラバン、合唱、和太鼓、ピアノ、進路指導、パソコン指導、ネット活用等 【A 自信がある Bなんとかできる C  自信がない】
全部Aである必要はない。正直に答えてよい。
④ 現職中の研究実績や教育活動   研究会でこんなことをしたとか。
⑤ 受験理由(志望理由)
基本は海外で学習する児童生徒に対して、どのような教育を実践していくかを書く。
自分探し、語学研修、海外旅行、貯蓄ではない。

11. 英語力は必要なの?
日本人学校の勤務で英語を使うことはない。私生活で使うことはある。
現地の先生との打合せ、修学旅行など外での活動時、病院、買い物、近所付き合い、家の契約、自分の子どもの幼稚園などでは必要になる。インドネシアでは、英語ではなくインドネシア語。

昔より給料は減っている。
奥さんは、昼ホテルでランチしたり、婦人会で活動したり、サークルに入ったりしている。
派遣中に一時帰国は慶弔関係、親の介護など一時的に帰国できることもあるが、
40日がMAX(自費)

第2部 「学級経営を楽しむ」です。
感動ある学級経営ということで、
考える子どもを育てる楽しい学級経営のノウハウを猪股先生から教えていただきました。

日本人学校から戻っていきなり中3のクラス。おまけにヤンチャな生徒がいる学校とお坊ちゃまお嬢ちゃま学校が合併したタイミング。
そんなまとまらない状態の学校で私にできる事はなんだろうと考えられ、
生徒たちが、「このクラスでよかった」
先生が「あの子たちと同じクラスでよかった。」と言えるようにしたい。」と生徒たちにも伝えた。

「基本」を当たり前に続ける。信頼関係、集団の力をつけることを心がけた。

1 コミュニケーションは YES から始まる
まずはYESと言う。後でね。はNOと一緒。
例)クリスマスケーキ作る。いいよ。とまずは言う。どうやって、いつ、お金はいくらかかるの?と聞く。
それ、ちょっとおもしろそうね。考えてきたんだよね。
実現が無理だと気づいたら、無理ですよねと自分たちで言うように持っていく。リーダー会で話し合う。
本当にダメなこと、道徳的にダメなことは、こういう理由でダメと毅然とした態度で言う。

2 計画的に! 継続的に! 組織的に!

3  1 年先の見通しをもつ
見通しを持って「準備」と「実行」
一人ひとりの目標となる所見を一学期のうちに書いておく。想像して、望みを書いておくことで、その生徒の目標として指導できる。
変われば、所見を書く時に書き直せばよい。

4 仕込みとさばき

5 子どもの心を 動かすのは、こどもの力

6 リーダーを育てる
1人にやらせるとつぶれるから、数名でリーダーをやり、リーダー同士で生徒を動かす方法を考えさせる。 紙に書く、どうやるか、結果としてどうなればいいか。を考えさせる。
学校行事を大切にして、最終的に、どうしたいか、優勝?合唱祭では、一緒に歌えるようにする?優勝?目標を子どもたちが決める。

7 信頼と集団の力でクラスが動く

8 無駄なく、無理なく、むらなく

9 ぶれない 指導、あたたかい 語りかけ

10 さり気なく寄り添い、そっと離れる
今すぐ伝わらないこともあるが10年先に生徒が気づくこともある。
私もこのことは強く意識していて、命の授業は、今はわからなくても辛くなった時などに思い出してもらえたらと思い、子どもたちに毎年伝え続けている。私自身、中学3年生の卒業時に担任が、「なにやってもいいが、人だけは殺すな!」と言っていたのを覚えていて、あの時は、そんなの殺すわけないよって思っていたが、そういうことって言葉で伝えていかなくてはいけないと今は思う。

11 1年後の目標
1年後の学級が
・また一緒にいたいという仲間(クラス)
・また受けてみたいという授業
・また会ってみたいという先生
となっていれば学級経営は成功したと言える。

12 最後まで見捨てない
必要な子どものところに行き、見捨てない。
英語やパフォーマンステストを受けたくないという生徒には、友達と一緒にテストをするとかハードルを下げてあげる。
みんなが一律である必要はない。できることを頑張らせる。

13 主人公は子ども、子どもが動く場面を、あえて作る。1年経ってこのクラスでよかったと言えるように。

14 こどもの名前を正確に漢字で書ける→フルネームで呼ぶタイミングが大事。
入学式、卒業式の呼名だけでなく、表彰、いいことをした時、通知表を渡す時にもフルネームで呼んであげる。

15 真似て!くずして、創る→絶えず新しいものを求める。 守破離

16 愛着は持てど、執着はしない→形式や物、過去の習慣にこだわらないことも大事。

17 先生からやって見せる→いやなことほど担任から始める。子どもはいつも見ている。

18 何かを始めようとしたら、何かをやめる。何物も失わずして、何かを得ることはできない。

19 つまらない授業(学級経営)は✕→ひとり語り 話が長い 子どもの話を聞かない。
子どもを見ない 単調でポイントがはっきりしない 威圧的 規則(教科書)通り
子どもの目を見て名前を呼ばない(おまえ、つぎ、ただ指さすだけ)
「おい、そこ!」と注意しない!

20 人間だもの間違うこともある→その後がポイント 間違ったら謝る 訂正する 直す
間違った時はごめんなさいと言い、ごまかさない。先生の机ぐちゃぐちゃで生徒に「きれいにしなさい!」とは言えない。

21 いつ教室にいるのか→授業や用事があるから教室に行くと思っていないか。

22 心が伝わる話し方・聞き方
話し方の工夫 → 話すときの表情 話す態度 声の大きさやスピード 言葉遣い 内容 構成 話す場所 タイミング
聞き方の工夫 → 共感的に聞く 目を見て聞く ポイントをリピートする 言いたいことをまとめる。

23 ほめ方、叱り方?→行為そのものをほめる叱る、ついでにあれもこれも褒めたり、叱ったりしない。
伝え方、全体を見る、伝えるときは、教卓で話す。ちょっと話しかける時は子供の前に行って話す。座って話すと生徒に近づける。

24 教室環境 掲示物の効果→教室正面・側面、後ろの掲示板を意識的に活用。

25 短い時間だからこそ大事にしたい朝の会帰りの会→ 朝の会・帰りの会を効果的にする。 
連絡、伝達に終わらせない、伝達事項など事務的なことは日直が伝える。
担任からのメッセージ
1日の始まりに、「今日はこうしよう」とか
子供の良かったことなどは担任の先生が話す。
帰りの会
今日、気になったこと。「今日こんな事あったけど、みんなはどう思う?」など考えさせる時間を作ることが大事。何もない時はスバッと終わる。

先生はいつも、用事がなくてもさり気なく教室にいて、たわいない話をしたり生徒の様子を見たりする。

26 一緒に汗を流す掃除の時間→こどもとコミュニケーションが取れる貴重な時間 担任の姿勢を見せる時間。
一緒に掃除をして、一生懸命やってる姿を見せる。

27 こどもの人間関係に敏感→微妙に変化するこどもの人間関係を絶えずキャッチする。

28 読んでもらえる学級通信→子どもに関する記事 保護者も意識しつつ、子どもが書いた記事を掲載。
写真を入れると保護者にも喜ばれる。写真でいい笑顔を出すのには、信頼関係が必要。
子どもに写真を撮らせるのもいい。子ども同士だと笑顔も増える。

29 大切にしたい学級独自のイベント→学級の帰属意識、チームワークを高めるイベントを子どもが企画。
グループごとにクリスマスケーキを作ったり。猪股先生は、奥様からケーキの褒め言葉を教わり、それぞれの班のケーキの良いところを褒められた。

30 情報は発信者に還る→情報は出すから還ってくる 出さなければ還ってこない。
良質の情報は、さらに深みが増し、質が高まり、巡り巡って発信者に還る
情報は、発信・シェアすることでコミュニケーションの無限ループにつながる。
心に響く学級経営情報は発信者に還る。
いいことを伝える。生徒にも、自分の中で留めておかず、いいものは返ってくるよ。コミュニケーションが取れる。と伝える。

31 ヒューマンネットワークの大切さ

32 聞いたことは忘れ、見たことは覚え、体験したことは忘れない。

33 先生の仕事に自信と誇りをもつ 
先生の仕事っていい。事務的なことに時間を使わず、生徒や母親との時間に使う。

34 メモは水に流さない
生徒と話したことは必ずメモに取っておく。

35 グチの前に行動を!→しない理由を探すのではなく、〜する理由を探す。

36 NG ワード!何気なく使っていませんか?→マイナスオーラを気づかず出していないか。
グチ、 ため息をつく、 言い訳をする、 人のせいにしない「疲れた・忙しい・あとで・めんどくさい」など。
NG アクション!何気にしていませんか?
→ パソコンのリターンキーをバンとたたく パソコンや本をバーンと閉める、机をドンとたたくなど。
先生が忙しそうにしてて、生徒が声をかけにくくなることのないように。

こいうったことを続けられ、3年の合唱祭で1位を取り、最初はまとまりのなかった学級の雰囲気が変わっていったそうです。

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猪股先生に、日本人学校と学級経営についてお話していただきました。生徒との関係を楽しそうに笑顔でお話しされ、先生としての仕事が好きという気持ちが自然とにじみ出てきていると感じました。北原先生と重なるところだと思いました。


1部 日本人学校・補習授業校の話を聞いて
 日本人学校の魅力は、日本のいいところと海外のいいところのいいとこどりであるということ。現地の状況に合わせて、教材もアレンジしながらつくり、工夫して教えていくことが必要であるということ。そこで育つ子どもたちの成長ぶりを見てみたいなと思いました。
 また、日本人学校には日本の様々な地方から先生や生徒が来るということから、現地の環境や生徒たちの実態に合わせて対応していく柔軟性が大切であるということを強調されたいました。


2部 学級経営の話を聞いて
 生徒と先生が、互いの信頼関係を深めていくには、教室という空間を共有していくことが大切である。集団の力を利用して、1年後、そして卒業する時を見通して、お互いのことを考えられる関係を築いていくことが大切。先生としては、朝、帰りに教室へ行くことや、用はなくても教室に行き、子どもの顔を見ること。話したことは、記録すること。それを続けることが大事。基本的なことを続けることの大切さをあらためて教えていただきました。

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1 飛び出せ世界に!日本人学校のおもしろさ!!
 本テーマの詳細につきましては、すでに多くの皆様が報告をされていますので感想のみ書かせていただきます。猪股先生のお話に吸い込まれました。先生のお話を聞いた多くの参加者が、日本人学校に行きたいと書かれていることがその証左です。この数十年、海外留学を希望する日本人の数が激減しています。今後一人でも多くの日本人学生が海外で視野、見識を広めてほしいと思っています。そのためにも、多くの先生方が日本人学校で経験したことを、帰国後中高生に伝えてほしいです。因みに私の教え子はこれまで30人以上海外留学を経験し、彼ら彼女たちのうち、アメリカ人、オーストラリア人、ドイツ人等と国際結婚した教え子が7人います。現在各分野で大活躍しています。私も大学院や海外派遣等を当時の管理職に希望しましたが、なぜか希望が叶いませんでした。

2 学級経営を楽しむ!
 昔を思い出しながら猪股先生のお話に没頭しました。常に笑顔で、ユーモアたっぷりの先生のお話が印象的でした。教員としてのゆとりを感じました。
次に印象に残ったことがらについて報告します。
○ 全体的な印象として、猪股先生の常に先を見据えた緻密な準備に驚きました。学級経営も英語指導と全く同様で、1年先、半年先、3ヶ月先を見据え、周到な準備をすることが不可欠です。ケーキのお話もよかったです。見通しをもった準備と仕込み、そして実行力が凄いと感じました。
○ 「この学級でよかったなあ」と最後に思える学級作りが大切。終わりよければすべてよし!ですね。生徒は理屈では決して動きません。感動とは、感じて動くことです。先生が生徒の心をつかみ先生を信頼して生徒の心が動いたからこそ、この学級でよかったなあ、と心の底から思えます。猪股先生の生徒は幸せですね。「教育は尊敬と信頼によって成り立ち、愛情によって育つ」という名言を思い出しました。
○ ぶれない、見捨てない学級作りを一年間通すことは本当に難しい。でも猪股先生はそれを徹底されてきたのでしょう。生徒の折々の写真の表情がすべてを物語っていました。
○ 懇親会で猪股先生といろいろな話をしました。そのなかで、先生が「問題行動を起こす生徒、保護者には毅然とした態度でしっかりと指導することが大切です」と言われていましたが、全くその通りだと思います。しっかりと叱り飛ばすけど、生徒のことは決して最後まで見捨てない、関わりきろうとする担任の姿勢が、最後には必ず生徒保護者に届きます。また、問題行動を起こす生徒には厳しく指導するその担任の指導を、周りの生徒が見ています。そして、徹底的に厳しく指導する担任を生徒は信頼します。優しいだけではだめです。「厳しさと温かみのある」学級経営、生徒指導が求められています。

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1.「誰も教えてくれない海外の日本人学校に行くための方法」

(猪股先生のプロフィール)
1. ドバイ日本人学校勤務:3回応募して×⇒その後4度目の正直で赴任が決まる。9.11の時期に勤務。
2. フィリピン・マニラの日本人学校勤務:狂犬病の予防注射、ほか1回で5つの予防接種をするなどの準備をしてご夫妻で赴任。
3. シニア派遣で、アメリカ・ワシントン補習授業校「ワシントン日本語学校」に勤務。管理職として赴任。「土曜日だけの授業」といっても、じつは一週間すべての教科の指導案に目を通して授業をアレンジ。先生方の補充授業などもこなす。補修授業校は、世界51か国にある。
4. 現在は、「国際理解」の出前授業など。⇒気になったのですぐHPで検索してみると・・・

*シニア派遣のシステムは2007年~、現地校と直接雇用をする学校採用教員制度もある。(海外子女教育財団HP参照)

(1)「海外日本人学校」に応募するコツ…「どうやって応募するかなんて、誰も教えてくれないよね」と猪股先生。「だから教えます」

5月頃、教頭先生がこの件について告知をする。告知したとたん「締め切りは明日です」(締め切りまで1日しかない)と言われるのが現状。⇒そのための応募の戦略・極意は「前年度の応募要項を教頭先生から早めに手に入れて、志望動機などの応募書類を下書きして、教頭先生たちにあらかじめチェックしておいてもらう」⇒そうすると「締め切りは明日です」と言われても、すぐに清書をして提出することが可能になる!!(なんという現実!なんというすごい裏技でしょうか)思えば、日本人学校に赴任した人も、告知でも「どうやったら応募できるか」だれも教えてくれたことはないし、だれも知らない「秘密のカギがかけられた」扉を、イノマー先生は果敢にもこじ開けて見せてくれました。(なぜ、この派遣システムは、そんなに秘密にされるのでしょうか?)

・「派遣理由」はみなさんなんですか?⇒「そう、海外に行きたいから。海外に住んでみたいからですよね」と猪股先生。みなさん、これが本音ですよね。「でも、それだけじゃだめなんで、次のようなことを言う人が多いです」

1. 在外教育施設への関心 ②グローバル教育への関心 ③帰国子女教育への関心(願望)⇒こうした理由付けが、志望動機には適しているようです。



(2)日本人学校の魅力:「日本と派遣先の国のよいところどりができる越境性」「映像やネットではなく、直接ふれるライブ感。体験したからこそわかる醍醐味」「生徒の実態に合った、派遣国の状況に応じた指導ができる」「現地校との交流を生かすことができる」など。

(3)日本の公立小中学校を比べてみると:免許外の教科の指導、小中の壁がない。

(4)アメリカでは、運動会のときに「ポリス(警察官)を1日100ドルでアルバイトでやとって、安全保障をしてもらった。アメリカではこういうことは当たり前のことで、このやり方が推奨されている」

(5)日本人学校の落とし穴:自分が天狗になってしまうこと。保護者会・日本人会・理事会との信頼関係を保つことが重要。


2.学級経営において、猪股先生が大切にして、生徒との関係を育てた極意

①1年後を見通して、計画的に、その時期にあった育ちをさせていく。

② 一番大切にしたことは「とにかく、教室に生徒と一緒にいること」

・出勤したら、まず自分の教室に行く。⇒今日1日のことを考えてみる。
・退勤前に、自分の教室に行く。⇒その日のこと、生徒のことを1つ1つ振り返る。
・体が空いたら、昼休みでもいつでも教室に行って生徒と過ごし、話す。1日にクラスの半分以上の生徒と話す。「生徒がストーブにあたっていたら、その中に入っていって『あーさむ。先生年よりだから寒がりなんだよね。先生もストーブあたらせて。最近どう?』というスタンスで、生徒たちとたくさん話す」⇒わたしは、教師にとって、こうした姿勢が一番大事だと思うし、イノマー先生のすてきなところは、こういう姿なんだろうなと思います。
・朝の会、帰りの会を大切にしている。よかったことも話すし、「気になった」ことも前もって意図して「どっちを向いて話すか」までを計算して、「これはどう思う?」と生徒に考えさせる。そして、短くぱっと終わる。生徒が「え~、もう終わりですか」というくらい短く話す。⇒この一連の思想の中に、教師にとって大切な極意がみっちり詰め込まれていると思います。こうした教師でありたいと思います。
・掃除を一緒にしている。「先生、どれをやったらいい?」と生徒にたずねて、それを誠心誠意みっちりやる。 ・毎日、半数の生徒と話している。 ・学級の掲示物を機にする。 ・誰と誰が友達か、知っている。・メモを大事にしている。生徒と話したことは、必ずメモして残す。「人の記憶はあいまいになるから」生徒ごとにノートを書いている。記録が大事。
・生徒への「伝え方」を意図的にドラマチックに。伝え方を工夫している。⇒どこで話すか。全体をじっと見渡す。⇒前で話すか(指導)、横で話すか(話しかける)、横で椅子に座るか(子供と同じ目線で話す)
・間違ったときは、きちんと謝る。 ・教室にタイミングよくいる。 ・学級通信を出している。 ・学校行事を大切にしている。 ・一クラスに、複数のリーダーを育てている。学校行事を使ってリーダーを育て動かし、盛り上げていく。リーダーは一人だとつぶれてしまうので、複数リーダーをいっぱい育てる。⇒個別に声をかけて「君がリーダーになれるからね」「いいね」「助かる」「みんなが助かる」と声をかけ続ける、など。
・成績の「所見」は、一学期に、2,3学期分も一緒に書いてしまう。⇒「生徒はこうなるだろう」と考えて指導する。

「事務的なことには、出来るだけ時間を使わない。生徒や親と会うことに時間を使う」が極意。
「1年後の学級は」と考える。「また一緒にいたいという仲間、クラス」「また受けてみたいと思う授業」「また会ってみたいという先生」に。

最後に・・・「Salamat Po!」(サラマッポ)フィリピン   シュクラン・ジャジーラ(ありがとうございます)ドバイ、アラビア語

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【第2部「学級経営を楽しむ!」】
今回は猪股先生のご経験から、「自分で考えて行動できる生徒を育てる」、「学級経営は楽しい」「子どもも楽しい」というテーマで、学級経営について今回お話されました。

①学級担任として、自分の仕事
ドバイ日本人学校から帰ってきたら翌年、合併した中学校で価値観の異なる生徒同士が存在する学級を担任されました。
当初、子どもたちは「何でこいつらといっしょにいなきゃいけないんだ」という思いがあり、
担任として苦労され、猪股先生の仕事は何だろうと考えられたそうです。
生徒が「卒業するときには、このクラスで良かったな」と思ってほしい。
これが猪股先生の一年間の目標となったそうです。

【学級経営を楽しむためのキーワードから】
猪股先生が、その目標のために取り組まれてきたことについてお話していただきました。
すべてを記すことはできませんが、特に心に残った点を箇条書きでまとめさせていただきます。

①出勤したら、自分の教室に行く
②退勤前に自分の教室に行く
・机の配置、落書きがないか、机の中に変な物がないか。
・今日一日をふり返る。(職員室ではなく教室で振り返る)
・座っている子どもたちの姿がイメージできる。
・教室に行くのは朝と終わりの会だけではない、
時間があるとき必ず教室にいる。
生徒にいつも私がいるのだと意識づけさせたい。

③朝の会、帰りの会を大事にする。
・単純な伝達事項など事務的なことは日直に伝えさせる。
・担任はそれ以外の大事なことを伝える。
・朝の会は、子どもの行動、心に刺さること、良かったこと、気になったことを話す。
・どこを向いて話すかも計画していく。
・終わりの会は、良かったこと、気になったことを伝える。
「今日こんなことがあった、これはどう思う?」と伝え生徒に考えさせる。
最初から褒めてしまうと生徒は考えない。
話の中で「どう思う?」と聞くことで子どもはいろいろな観点で考えることができる。
それが大事。一つのことで決めつけない、考える生徒を育てたい。

④毎日半数の生徒と話している。
・生徒と何気ない話をする、ほめる。
・生徒と話すためには、教室にいないといけない。
・「先生が話しかけてくれる」、「私が悪いことは分かっているけど、先生は私を無視しない」
そのような場面をつくりたい。
・生徒と話したことは後で必ずメモる。
忘れてしまうので、メモを見直すことで生徒と話すきっかけとなる。
・付箋紙やメモは捨てない、ノートに貼っておく。記録が大事。

⑤まちがったときは、きちんと謝る
まちがったときは、ごまかさない。「ごめん!」と謝る。
教員が生徒に対してごまかすと、生徒もごまかすようになる。

⑥学級通信を出している
猪股先生は、昔毎日出されていた。
定期的にだすように、読んでもらえる学級通信にするように。
→そのためには子どもの記事がある、写真で子どもの様子がうつっている。
親を意識して通信を作る。

⑦学校行事を大事にしている
学校行事は、クラスを同じ方向に向かわせる一つのチャンス。
学級を盛り上げるのは職員の先生だけど、盛り上げていくのは学級集団の中のリーダーである。
リーダーは学級委員長とかいるけど一人だとつぶれてしまう。
だからリーダーは一人にさせてはいけない、リーダーを多く作る。
そしてリーダーで考えさせ、計画ができたら「紙に書いて」と言う。
・誰がリーダー?、何をするの?
・結果としてどうなればいいの?
(できなくても失敗してもいい、でもクラスの目標は何なのか?)
例:合唱コンクール
・指揮者は○○さん ・ピアノは○○さん ・全体のリーダーは○○さん
・最終的には→「学年のコンテストで一位取ります!」が目標
・これを紙に書かせる。
これを何回も経験させると自然にやり方が分かってくる。
・ときどき、なぜこのようなことをしているかも説明される。
卒業するときに「このクラスでよかったな」と思えるクラスにするためにしている。
皆はいっしょに生活している、「ケンカして卒業したくないよね?できれば仲良く卒業したいよね。」ということを伝える。
こういうことを何回も繰り返して、学校の行事を大事にする。

⑧学級の行事もつくる。
学級でクリスマスケーキをつくった。そういうのも自分たちで決めなさいと伝えた。

【「こころに響く」学級経営】

① 情報は発信者に還る
良い話は出して初めて良いものかどうか評価され、人に伝わり、最終的には出した人に還っていく。
これがコミュニケーション、良いものは伝えていきたい。
担任の先生から子どもたちに伝えることもあれば、子ども同士で伝え合う場合もある。

②コミュニケーションは、YESから
・生徒とのコミュニケーションでは、まず否定せず「いいよ」と受け止め、必要なことを生徒自身に考えさせる姿勢が大切である。
・最初から「無理」と言うと生徒は思考を止めてしまうため、実施場所・費用・必要物などを問い返し、自分たちで実現可能性に気づくよう導く。

③ぶれない
・自分が言った事は記録するなりメモをするなりしてぶれないようにする。
・またブレそうになるときには、ちゃんと子どもに説明する。
・勝手に方針をパンと変えると生徒は、「こないだあのように言ったのに、違うこと言っている」など思ってくる。

④「見捨てない」
どんなにやんちゃな子でも見捨てない。叱っても見捨てない。「さりげなく、寄り添い、そっと離れる。」

⑤「自信と誇り」を持つ
先生の仕事がブラックとか働かせ放題とか言われているが、先生の仕事って本当に良いもの。
事務的な事はできるだけ時間を使わない。
それ以外のこと(子どもと喋るとか、子どものことを考えてあげるなど)で時間を使う。

【今回の感想】
猪股先生のお話を伺い、先生が担任されていた生徒たちの姿が鮮やかに思い浮かびました。生徒と笑顔で語り合う様子や、リーダーの女子が男子に「おい、シャツ入れて」と声をかけながら合唱練習に取り組む姿など温かく生徒が前を向く学級づくりが伝わってきました。そのために猪股先生が笑顔でときに真剣に声かけされているのが想像できました。今回の講話を通して、私自身も目の前の生徒への関わり方を深く振り返ることができました。人生の大切な3年間をともに過ごす彼らが、友だちと楽しく過ごし、自分で考え、周囲を思いやり、成長に向かって努力できる生徒として高校へ進んでほしいと強く感じています。
私は現在、学年主任で担任ではありませんが、学年の担任の先生が教室で生徒と丁寧に向き合う姿が思い出され、その姿勢にあらためて敬意を抱きました。担任の先生とともに、生徒のために学年経営・授業・部活動に力を尽くしていきたいという思いが強まりました。貴重なお話をいただき、誠にありがとうございました。

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1️⃣志望理由の書き方

多くの志願者が「私はこれができます!」と〇〇できる攻撃が炸裂するであろうと予測し、敢えてそこは強く出さず、いろいろなタイプの人たちと、和をもって物事を進めていくことに価値をおいて働いている、というようなことを書いた覚えがあります。
そして何より、この志願票を見るのはご高齢の老眼の方々なので、細かい文字を羅列しても絶対に読む気になってくれないはず!最重要事項のみ記入し、詳しいことは面接で質問してもらえるような文章にしました。

2回目の時の志望動機は、先回の勤務から見えた日本人学校の問題点を提起し、それを解決するためにどう働くかを記入しました。


2️⃣日本人学校の落とし穴
私の頃は、赴任1年目職員はお客様、2年目職員は奴隷、3年目職員は神様と言われ、とにかく2年目の仕事量は半端なかったことを思い出しました。1年目職員のお世話、プラス組織を動かすポジションにもなり、さらに3年目の職員の言うことには逆らってはいけないという暗黙のルールがありました。3年目職員がただ3年目というだけで天狗になっていることに違和感を持ちました。

そして、雇用形態が様々なので、それぞれの給与は話題にしてはならないとも言われていました。そんな中、文科派遣者が他の雇用形態の人より偉いと勘違いする人もいました。また、現地スタッフ(学校の施設管理部門を担当してくれる人)と普段からコミュニケーションをとっていないと、いざ仕事でお願いする時になり苦労している場面も目にしました。

3️⃣うちではの「ではの神」
「うちの県では〇〇」よく耳にしましたし、自分も口にしていたと思います。要は、その後だと思うのです。じゃあ、今目の前の子ども達に合うのは何だろうという前向きな思考ができないと危ない!前はこうやっていたからという守りに入ってしまうと「ではの神」になってしまうのだと思いました。

4️⃣東京と大阪の教員以外は要らない
なんともドキッとしますが、実際日本人学校でよく耳にしました。東京と大阪から来ている子どもが多いのも事実でしたし、中学卒業後の進路情報が欲しい保護者の本音でしょう。
そこで、私は、絶対に学級経営で見返してやる!と田舎教師の不屈の精神をもって仕事にあたりました。

いのまー先生の学級経営のお話の中にもありました学級だより、私も毎日発行しました。クラスを名簿前半と後半の2グループに分け、それぞれ班ノートを順番に回し、その日あったことや、思っていることをノート半ページに記入。翌朝、2冊の班ノートが私の手元に届きます。子どもが書いた文章に私が赤ペンで応え、それを縮小コピーしてお便りに貼り付けます。他に「昨日のホームラン」と題し、クラスとして良かったこと、〇〇さんの一言や一行動が光っていた!というような、私から見てよかったことを載せ、印刷して帰りの会の最後に配布。必ず読んでから「さようなら」をしました。このお便りの利点は、「昨日のホームラン」は前日の放課後に準備しておけるので、当日バタバタしなくても良かったこと。さらに、帰りの会で辛辣なことを言っても、最後に配るこのお便りで空気が軽く明るくなって一日を終えられること、また班ノートの書き忘れ、家に置き忘れがあっても原稿に直接書けるので、空欄は100%なし!記入忘れは、次の日も書かなくてはならないので、回転が良い!
中3を担任した際は、卒業前には親ノートというのもプラスし、親御さんからのメッセージもいただきました。これがなかなか評判がよく、お父さんの寄稿も多く、世の中の厳しさやこのクラスで切磋琢磨してきたことへの賞賛に、子ども達だけでなく私も元気をいただきました。未だにそのノートは捨てられず、実家に保管してあります。

行事に全力投球!
これも中2を担任した時に、中3を食っちゃおう!と球技大会から体育祭、合唱コンクールまでそれぞれリーダーを育てながら、みんなで楽しんで取り組みました。どんな時にも同じ子どもがリーダーではなく、その子の持ち味が出せる時に「さぁ今度は誰がリーダーデビューするかな?」と、こちらとしても楽しみでした。

朝の会と帰りの会を大切に!
日本人学校の学級は、全国各地からの集合体。これは〇〇県では何というの?という他愛のない話にも花が咲きます。方言クイズは楽しくて驚きもあって面白かったです。

当時担任した子ども達は30歳を超えました。今でも近況を伝えてくれる子もいます。海外赴任が決まり、年末に飛び立つ子が、異動前に会いたいと言ってくれ、今週末新潟に来てくれます。なんとも有難く教師冥利につきます。

5️⃣帰国後も楽しい
例会後の懇親会は残念ながら参加できませんでした。実はその日、日本人学校OB会だったのです。当時一緒に赴任した人が早期退職をし、赴任していた国で仕事に就き、今はスクールカウンセラーとして日本人学校に勤務しています。彼の一時帰国を狙って、みんなで集まりました。今の日本人学校のことはもちろん、当時同期の小学生だった娘さんが立派に社会人になって働いているという話を聞き、「あの小学生がねぇ。私たちも歳をとるわけよね」と時の経過をしみじみと感じました。

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今回は北海道胆振地区でご指導されている猪股俊哉先生が登壇されました。
猪股先生は海外日本人学校や海外補習校に複数回派遣された先生で、実際に経験をされてきたからこそ伝えられる確かな情報がギッシリと詰まった講演会となりました。
会の前半では日本から離れた地で指導をする大変さとやりがい、日本では当たり前のことがそうではないこと、海外で指導する心構えについて話されていました。また、後半では学級経営について話がありました。

私にとって「学級経営って何?」というところからでしたが、経験に裏打ちされたきめ細やかな指導は目からうろこが落ちる感覚になりました。前半・後半のどちらの話でも、すべては子どもたちのためにという信念があり、引き込まれるように話を聞かせて頂き大変勉強になりました。猪股先生、ありがとうございました。

特に勉強になった点は以下になります。

・日本人学校の魅力について
生徒たちととことん向き合った教育活動ができる。
生徒たちの実態や派遣先の国の状況に合わせた指導ができる。
ライブ感があるということが醍醐味。

・日本人学校における落とし穴について
多くの問題点を列挙されていた。
日本人学校に行くことが目的になってしまう。
また、うちの県では~とか、うちではこうやってきたからといった「ではの神」になってしまうと、他の先生とコミュニケーションをとることができなくなる。

・日本人学校における教材の確保について
教材が日本人学校へ到着するのに非常に時間が掛かる。
地域によっては検閲が入る場合がある。
配送が日本からほぼ船便になってしまうため非常に日数が掛かる。
日本にいると当たり前のことがそうではない。

・海外日本人学校へ赴任を希望するための準備について
前年度の提出書類を入手し、下書きをしておく。
それを管理職や海外赴任経験のある先生に見てもらっておく。
時期が来たらすぐに清書をして提出ができるように準備をしておく。
英語の勉強をしたいとか、海外に住みたいという理由だと採用は通らない。

・学級経営について
猪股先生から「学級経営をたのしむキーワード」のレジュメが配られた。
先生が時間を掛けてつちかってきた多くのポリシーは非常に勉強になった。

いろいろな生徒が先生のことをちゃんと見ている中で、先生自身がどう振舞うかは生徒との信頼関係に直結する大切な要素であると感じた。

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北海道の猪股俊哉先生が、日本人学校のことについて、なかなか聞けない話をしてくださいました。

猪股先生とは、以前、洞爺湖湖畔の素敵なコテージ(?)での宿泊研修で、北原先生が北海道の先生方に対して研修をされたときにご一緒させていただきました。あの時のことをなつかしく思い出しながら話を聞いていました。

第1部 飛び出せ世界に!日本人学校の面白さ

・学校の種類
 ①日本人学校 全日制 教科書は、各教科、日本で一番採択されているもの。
 ②補習授業校 土曜日のみ 月曜から金曜はすべての先生方の指導案をチェックしたり、会議、研修ととても忙しい。
 ③私立の在外教育施設

・どのような人たちがいるのか
 ①駐在組
 ②永住組 
 日本のことをどこで学ぶのか。特に永住組は、日本に行ったことがない人もいるため、学習だけでなく、日本のことを学ぶ大切な機会ともなる。

・日本人学校の先生(雇用形態)
 ①現職派遣 基本2年で、MAX4年
 ②シニア派遣 退職した教員
 ③プレ派遣 教職を目指す人 (この制度は知りませんでした。現職になる前に行くのも非常にいい勉強になるのではと思います)
 ④学校採用(現地採用)

・希望理由
 住んでみたい、英語の勉強がしたい、は本音かもしれないが、それだけではダメ。
 在外教育やグローバル教育への関心、海外で生活する人をサポートしたい、スキルアップなども。
 今まで気づかなかったことが、海外では教材がないこと。日本のように問題集やワークなど、すぐに手に入るわけではないとい うことです。言われてみればそうなのですが。現地の教材をうまくアレンジするなどして活用する必要があるそうです。

・魅力
日本と現地のいいとこどりができる。
児童生徒ととことん向き合った教育、状況に応じた指導。日本語教育、国語教育、現地校との交流、他県出身の教員と知り合い、学び合える。しかし、「うちの県ではこうしてた。」などの発言で、他県を排除するような姿勢はよくない。

・日本の公教育とくらべて、免許外の指導が多い。小学校、中学校が一緒になっているところが多い。即戦力になる、国語、数学、理科の教員が高い。

・応募について
 毎年、希望者を募られるが、たいてい期間が短い。昨年の願書を事前にもらっておいて、下書きをしてすぐに出せるように準備しておくべき。

・落とし穴
 行くことが目的になってしまう。海外勤務で天狗になる。「うちではこうやってた」と言ってしまう「~ではの神」になりがち。保護者・日本人会・理事会との信頼関係が大事。派遣先の人や文化を馬鹿にしない。海外旅行の延長と勘違いしない。

・必要なこと
今の仕事を頑張る(学級経営など)、海外子女教育に関して情報を仕入れておく。家族としっかりと話し合っておく。健康管理。本をたくさん読む(国語教育にもプラス)、お金を貯める。(予防接種をたくさん受ける必要がある国も多いし、5月20日までの滞在費は必要。自動車購入費も自分で出さなければなりません。)英語力は管理職でなければ学校では使わないそうです。


第2部 学級経営
猪股先生の学級経営に関するお考えや、どんなことをされてこられたのかなどを聞かせてもらいました。
・自分で考える子ども育てる楽しい学級経営。一年間このクラスでよかったと思えるクラスにする。
・そのために、基本を当たり前に続ける。
・信頼関係が大事。
・1年間を見通して計画的に !朝の会・帰りの会を大事に。連絡事項は誰が言ってもよい。よかったこと、心にささることなどを話す。「~があったけど、どう思う?」と考えを問う。また、一日で半数の生徒とは話す。話したことはメモする。
・意図的にドラマチックに!伝え方を工夫する。(立ち位置、タイミング、名前の呼び方など)
・学級通信(毎日書いているそうです)読んでもらえるように、親を意識して子どもの様子を伝える。
・学級のイベントをする
・学校行事を活かす。
・リーダーを育てる。リーダーをたくさん作る。リーダー会などを開き、子どもに考えさせる。


「こころに響く」学級経営
・情報は発信者に還るので、いいものを伝えるようにする。
・コミュニケーションはYESから。否定から入らない。
・「見通し」をもった「準備」と「実行」
・ぶれない
・見捨てない
・自信と誇りをもつ

真似て、くずして、作る
さりげなく寄り添い、そっと離れる(しつこくしない)
1年後の学級は・・・また一緒にいたいという仲間。また受けてみたい授業。また会ってみたい先生。

1年後、「このクラスでよかった」と思えるクラスにしようと、4月にいつも学級で話しますが、私は、そうなるための1年後の見通し、ビジョン、そしてそのための手立てが全然できていなかったなぁと思いました。休み時間などもなるべく教室や子どもの近くにいるようには心がけています。これは、私が生徒指導で大変な学校に勤めていた時、何もかもうまくいかずに悩んでいた時に、北原先生や田尻悟朗先生にも言っていただいたことです。そっと寄り添い、そっと離れる、離れること、離れるタイミングの方が難しいかもしれませんが、それまでに寄り添いながら一緒に活動していると、だんだんと子どもが自立していくようにも感じています。なかなか聞けない貴重なお話、ありがとうございました。

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0 今後の北研について
1月 「中学生から始める英語フォニックス指導」第5回
   また、この日4時間目(11:30〜12:20) 昭和女子大学附属中学校1年生の示範授業を予定。

2月 「赤坂中と同じ生徒の動き!我孫子市立白山中2年生を対象にした過去最高の示範授業」ビデオ視聴。
3月 「英語劇Friends10周年」北研会員より演じた演目のビデオ視聴。
4月 「ツッパリ・やんちゃ生徒が熱狂!仮設実験授業」(仮題)小原茂巳先生
5月 「『未来の英語教育を語る会』の3人の若手大学教員と北原のパネルディスカッション」(仮題)
 ※4、5月は日程の関係で反対になるかもしれません。

1猪股俊哉先生の講座
<1> 飛び出せ世界に!日本人学校のおもしろさ!
 北海道の小学校の教員であった猪股先生は現在66歳。現職中に4年間ドバイ日本人学校、フィリピン日本人学校へ派遣され、現職を退職後はアメリカワシントンの補習授業校へ派遣されてお仕事されたそうです。世界にみる日本人学校や補習校の数はかなりのもので、名前は聞いていたが、こんなにあるのかと驚かされました。また、以前は親の仕事都合による駐在家庭(いずれ帰国予定の子女が中心)の児童生徒がほとんどだったのが、現在は国際結婚の家庭(帰国予定はわからない)の子どもたちが増えてきたそうです。
 
・日本人学校の先生には4種類あり、「現職派遣」「シニア派遣」「プレ派遣教師」「学校採用教員」とのこと。
・希望する人の理由は多い順で「在外教育施設の関心」「グローバル教育への希求」「海外生活の願望」「教職スキルの向上」
・日本人学校の魅力
  児童生徒ととことん向き合った教育活動ができ、実態・派遣先の国の状況に応じた指導ができる。日本語教育、国語教育を充実させる。
  現地校との交流。経験を児童生徒と共有し、興味関心を引き上げられる。客観的に振り返ることができる。他県の派遣教員と
  価値観を共有できる。日本に帰国後に経験や指導を児童生徒に還元できる。
・日本の公立小中学校と比較して
  免許外の指導。小学校と中学校の壁がなく、小中一緒に学ぶ。水泳指導と音楽指導。ほぼ全員が担任。着任日から即戦力。国語、数学、理科の
  先生が欲しい。学校外での研修、出張がない。全国の先生、現地の先生と一緒に仕事する柔軟性。高い危機管理。長期休暇の活用。 
・日本との架け橋になる
  ①指導方法 ②学校のルールやマナー ③日本人学校の教育文化や行事
・日本人学校の落とし穴
  ①日本人学校に行くことが目的になる。 ②海外勤務になったことで天狗になる。 ③うちではこうやってきたから・・の『〜ではの神』に
  なってしまう。 ④保護者、日本人社会、理事会との信頼関係を保てない  ⑤派遣先の国の人や文化をバカにしてしまう。 ⑥海外旅行の
  延長線上と勘違いしてしまう。 
・日本人学校の先生に必要なこと
  ①今の仕事を頑張る ②幅広い研修  ③情報集め  ④家族で話し合う、イメージを持つ ⑤健康に気を付ける ⑥本をしっかり読む
・英語力は必要?
  語学力が必要と言われていないが、管理職は渉外や現地スタッフとのコミュニケーションで一定以上の英語力が必要な場合がある。
・費用について
  ①内定前は健康診断に。 ②内定後は引っ越し、ビザ取得と旅費、現地通貨、予防接種、滞在費、持参する書籍、教材など
  ③着任後は当面の生活費、住宅代、住宅費用、子供の入学金授業料、自動車の購入代

 情報は発信者に還る。
  2〜3年海外で教えることはとても意味がある。教科指導や学級経営に。

<2> 学級経営を楽しむ!
 閉校した学校との統合により、他校の生徒と同じクラスになる。しかし、お互いを受け入れることができず目が楽しくないと語る状態。しかし、担任として猪股先生は卒業する時、「あいつらと一緒で良かった」と思えるようにしたいと目標を持ったそうです。そのために猪股先生が心に決めて大切にして行った事を話してくださいました。

1)基本を当たり前に続ける!
  信頼関係と集団の力、1年後を見通す、計画的に
 ・出勤したら自分の教室へ ・退勤前に自分の教室へ ・朝の会と帰りの会を大切にする(担任が大切な事を言う) ・掃除を一緒にする
 ・毎日半数の生徒と話をする ・学級の掲示物を気にする ・誰と誰が友達か知っている ・メモを大事にする
  
2)意図的にドラマチックに!
 ・伝え方を工夫する ・教室にタイミングよくいる ・間違った時はきちんと謝る ・学級通信を出している ・学校の行事を大事にしている
 ・リーダーを育てている 

3)「こころに響く」学級経営
 ・情報は発信者に還る
 ・コミュニケーションはYesから
 ・「見通し」を持った「準備」と「実行」
 ・「ぶれない」
 ・「見捨てない」
 ・「自信と誇り」を持つ
 
 事務的なことには時間は使わない。子供や保護者との時間を大切に使う。
 めんどくさい、あとで、とは言わない。

 1年後の学級は!
 また一緒にいたいという仲間
 また受けてみたいという授業
 また会ってみたいという先生

「学級経営をたのしむ!」と言うプリントには、『学級経営を楽しむキーワード』がNo.1からNo.36まで書かれており、1つ1つが教師としてどのように生徒に接していくべきかが書かれてあります。日頃、自分も気をつけている項目もありますが、ついうっかりで怠っていたものもあります。そして更に自分では気付かなかった大切な項目もあり、じっくり考える機会をもらえました。それぞれを考えると、また20代に戻ってやり直したい!と思わずにはいられません。生徒との関係作りって難しいなぁ、と思うこと多々。でも、それこそ日々ちょっとしたことを「めんどくさい」と思わずやっていくと、ある時にすごい事が起こったりします。教師になって良かったと思える瞬間です。

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北海道より、猪股俊哉先生が講師として登壇され、在職中日本人学校3高経験(ドバイ、マニラ、ワシントン補習校)でのご経験を中心にお話をうかがう貴重な機会となりました。

第1部 飛び出せ世界に!日本人学校の面白さ!!

1海外にはどんな学校があるの?
ドバイ 小中60人くらい在籍

在職中、9.11
いきなり校長から連絡があり、帰国の準備をしておくように指示
生徒が一人でも残っていたら帰国できない。

①日本人学校 普通の日本人学校 バンコクが最初
教科書はベストセラーを採択する。帰国後ヒットしやすい。

②補習校 土曜日だけ
ワシントン日本語学校 ➡日本人学校という呼称は差別につながるからNG 月から金は先生方の指導案を全部チェックするなどめちゃ多忙

③私立の日本人学校 立教 慶應など

2 子どもたちはどこで日本のことを学ぶの?
海外で日本の教育を受ける児童生徒の数は象か

①駐在組
近い将来、日本に帰国し、井本の学校に進学する。

②永住組
保護者が国際結婚 海外で在住

3 日本人学校の先生
日本からの派遣教員ⒽあF¥R4で1327人

①現職派遣                 929人
②シニア派遣    退職後に派遣 372人
③プレ派遣教師               26人
④学校採用教員

4.派遣希望の理由
住んでみたい。 海外で暮らしてみたい。
    「在外教育施設に興味があります。」「グル―バル人材を育成したい。」

①在外教育施設
②グローバル教育への希求
③海外生活の願望
④教職スキルの向上
⑤帰国教員からの影響
⑥自己改革のチャンス
⑦海外子女教育への関心
⑧ 現地には教材がないが、現地に合わせて用意する。それが面白い。勿論苦痛の人もいる。

5日本人学校の魅力
日本と派遣先の良いとこどりができる「越境性」 ライブ感が醍醐味
現地では本が手に入らない。興味関心を引き出す。一緒に歩ことができるチャンス
東京・大阪が多いが、全国から集まる。 子供も様々なところから来ている。
他県の派遣教員と価値観を共有できる。
補習校の派遣教員は授業をしない。

6日本の公立小中学校と比べてみると
免許外の指導
小学校・中学校    ➡壁がない
水泳指導・音楽指導 学校によって事情が異なる。
専科がいればお願いできることもある。
ほぼ全員が担任
国語・数学・理科の教員が急募
学校外での研修・出張
全国の先生、現地の先生と一緒に仕事をする柔軟性

7日本との懸け橋になる
日本人学校の経験を日本の教育現場へ
①指導方法 ②学校のルールやマナー ③日本人学校の教育文化や行事

8 日本人学校の落とし穴
①日本人学校に行くことが目的になってしまう!
②海外勤務になったことで天狗になる。
③うちではこうやってきたからという「ではの神」になってしまう。
④保護者会、日本人会、理事会との信頼関係を保てない。
⑤派遣先の国の人や文化をバカにしてしまう。 (メイドを雇う ドライバーを雇うなど)
⑥海外旅行の延長線上と勘違いしてしまう。

9日本人学校の先生に必要なこと
①今の仕事をがんばる
②幅拾い研修を行う
③日本人学校について情報を集める
④家族で派遣についてよく話し合う 
昔は配偶者帯同 現在は単身可だが、給料が100%出ない。
⑤健康に気を付ける   
⑥本をしっかり読む

10 準備
5月頃管理職に相談 8月に面接があるので、5月ごろ管理職の先生にコンタクトをとることから始まる。

11 英語力は必要か?
日本人学校の勤務では英語はほとんど使わない
校外学習で現地のスタッフ等とやり取りがある
管理職では対外的な対応で必要になる。
私生活では必要

12 派遣の費用
①内定前 すべて自己負担
②内定後  公費から
健康診断(本人) 引っ越し費用
③着任後 公費
現地でもらう手当等は速くても5月20日ごろ それまでは立替払い
その他諸々かかる

教職生活で2~3年間、海外で教えることはとても大きな意味がある。
日本人学校での仕事は面白い。日本人学校管理職は日本の学校で管理職経験者のみ
派遣期間中に一時帰国は可能。その場合、費用は自己負担

第2部 学級経営を楽しもう
感動ある学級経営 考えるこどもを育てる楽しい学級経営 という目標を掲げ、
教科指導のみならず、学級経営を大切にされていました。
帰国後の最初の学校が、他の中学校と統合が決まった学校。
この子たちが卒業するときに「このクラスでよかった」「あいつらと一緒に卒業出来てよかった」と思えるようにすることが目標であることを生徒に伝えた。
児童保護施設から通う生徒もいた
基本を当たり前に続ける!
子どもたちとの信頼関係と築く、集団の力を育てることが大事

1年後を見通す計画
1 出勤したら自分の教室に行く
2 退勤前に自分の教室に行く  教室で1日を振り替える
3 朝の会、帰りの会を大事にしている
   日直に連絡事項を伝えさせる 担任はそれ以外の大事なことを話す。
   子供のよかったこと、注意すべきことを話す。事務連絡に時間を使わない
   誰に視線を送って話すか、シミュレーションもする。考える時間を作る。
4 掃除を一緒にしている   
   「何をすればよい?」 生徒に問いかける
5 毎日半数の生徒と話している
   教室の空間を一緒に共有する。
   話したことはメモする。後で話すきっかけにもなる。記録が大事
6 学級の掲示物を気にする
7 誰と誰が友達か知っている。
8 メモを大事にしている
   意図的にドラマチックにする
9 伝え方を工夫している
  全体を見る。
10教室にタイミングよくいる
11 間違ったときは、きちんと謝る
12 学級通信を出している
13 学級のイベントを行っている
14 学級行事を大事にしている
15 リーダーを育てている
    学級を盛り上げていくのはリーダー
    学級委員1人に任せるのではなく、他にも数名育てる。
    リーダーズ会議で話し合わせる。
    「失敗してもよい。でも目標は何?」
    学級でケーキを作る。担任は全班分食べるのが大変 

心に響く学級経営コミュニケーションはYesから
1情報は発信者にかえる
  よいコミュニケーションになる。良い情報を発信する。自分だけのものにしてはだめ
  まねてくずしてつくる。
2コミュニケーションはYESから 後ではNOと同じ。
   子どもたちは決めつけられたり。「ダメ」と否定されることは嫌がる。
3見通しを持った準備と実行
   生徒一人一人にノートを作り、1学期の内に2学期3学期の生徒所見を書く。
    「こうなるだろう。こうなるといいな」という予測の下、作成しておく・
4ぶれない
 変えるときは「前にこう言ったけれど、○○な条件も加わったから、…」のように、生徒にきちんと伝える。
5見捨てない 
   さりげなくよりそい、そっと離れる。いつまでもべたべたつかない。やんちゃな生徒、問題のある生徒
  この仕事は成果が出るまでに時間がかかる。  事務的なことに時間をかけない。
  NGワード 面倒くさい。後で。
6自信と誇りを持つ
 1年後にまた一緒にいたいという仲間、また受けてみたいという授業、また会ってみたいと思う先生を目指すことが大事

猪股先生の講演の後半は、生活指導を中心にお話をうかがいましたが、自分にとっても普段の生活指導を見直すヒントをたくさんいただき、
2月に大学より預かる教育実習生にもぜひ伝えたい内容でした。

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0 本日の北研と今後の北研について
  北原先生より、来月に行われる1月24日(土)には昭和女子大学付属中学校1年生の示範授業をされることから、来年の5月までの例会の予定が話された。

1 猪股先生の講座
1 「飛び出せ世界に!日本人学校のおもしろさ!」
 猪股先生は、アラブ首長国連邦ドバイ日本人学校、フィリピンのマニラ日本人学校、退職後にアメリカのワシントン補習授業校、計9年間勤務されている。現在は、日本人学校の実態を伝えたり、「国際理解」の出前授業を行ったりしている。
1 海外にはどんな学校があるの?
  ① 日本人学校
  49カ国1地域94校あり、16,000人が学んでいる。全日制であり、教科書は日本と同じものを使っている。タイ・バンコクにある日本人学校が最初の学校(昭和31年)
  ② 補習授業校
   51カ国 1地域 242校あり、21,000人が学んでいる。アメリカ・ワシントンが最初(昭和33年)平日は、現地の学校や国際学(International School)に通っており、土曜日や放課後に授業を受けに来る。
  ③私立在外教育施設   世界に6校
2 子どもたちはどこで日本のことを学ぶの?
   ①駐在組       ②永住組(国際結婚家庭の子ども等)
   →アメリカや東南アジアに多く、最近は、①より②の方が増えている。
3 日本人学校の先生
   教員数は1,327人。毎年約400人が入れ替わる。
   ①現職派遣(原則2年間、最長4年勤務可能) 
    →応募資格は、採用されてから3年経っていれば可能であるが、実際は、10年以上在職していることが求められる。
   ②シニア派遣(退職後)
    補習授業校は、シニア派遣の方がほとんどである。
   ③プレ派遣(教員を目指している人)
   ④学校採用教員(日本人学校と直接契約する。)
4 日本人学校を希望する人の派遣希望の理由は何でしょう?
   ①在外教育施設への関心 ②グローバル教育への希求 ③海外生活への願望 ④教職スキルの向上
5 日本人学校の魅力
   ・児童生徒と、とことん向き合った教育活動   ・日本人学校の実態・派遣先の国の状況に応じた指導
   ・日本語教育、国語教育の充実   ・現地校との交流  ・児童生徒と経験を共有→児童生徒は、東京や大阪から来ていることが多い
   ・客観的に振り返ることができる   ・他の県の教員と価値観を共有   ・帰国後、経験や指導を児童生徒へ還元できる
6 日本の公立小中学校と比べてみると
   ・免許外の指導(体育や図工などを行うこともある)  ・小学校、中学校(校種の壁がない)  ・水泳指導、音楽指導   
   ・ほぼ全員担任   ・着任日から即戦力   ・国語、数学、理科  ・学校外での研修、出張がない   ・2ヵ月の長期休暇
7 日本とのかけはしになる
8 日本人学校の落とし穴
   ・日本人学校に行くこと自体が目的になってしまう。   ・海外勤務になったことで、天狗になる。
   ・うちでは・・・「~ではの神」になる。   ・保護者、理事会などさまざまな人との信頼関係を保てない。
   ・派遣先の国の人や文化をバカにしてしまう。   ・海外旅行の延長線上と勘違いしてしまう。
9 日本人学校の先生に必要なこと!
   ・今の仕事をがんばる。   ・幅広い研修に参加する。   ・日本人学校についての情報を集める。
   ・家族でよく話し合う。   ・健康に気をつける。→健康診断の結果
   ・そして、国際理解をするためにも、本をたくさん読んでおく。
10―1 試験に向けた準備
   採用には2つの種類がある。①即派遣②登録(1年後の採用)①か②は希望できる。
10-2 選考調査票について
11 英語力は必要なの?
   応募資格に語学力は含まれてはいない。勤務校で英語を使うことはそれほどない。しかし、渉外や現地スタッフとのコミュニケーション、私生活においては、一定以上の語学力が必要である。
12 誰も教えてくれない派遣の費用
   ①内定前 ②内定後 ③着任後

2「学級経営を楽しむ!」=「感動のある、考える子どもを育てる楽しい学級経営」
  1年後を見通して計画的に。基本を当たり前に続けていく。子どもたちと信頼関係を築く。集団の力を高める。そして、最後には、このクラスで良かったと子どもたちが思えるクラスにしていく。
1 出勤したら自分の教室に行く      2 退勤前に自分の教室に行く
3 朝の会、帰りの会を大事にしている
  伝達事項は、担任である必要がなく、誰がしてもよいこと。生徒に伝達をしてもらってもいい。
  担任はそれ以外の大事なこと(子どもの良かったこと、気になったこと)を話していく。
  朝の会や帰りの会で話すことは、伝え方もシミュレーションしておく。話すときの位置や目線など。
4 掃除を一緒にしている    掃除を一生懸命にやる姿を見せる。
5 毎日半数の生徒と話している
  特別、用がなくても教室に行って子どもたちの様子を見たり、コミュニケーションをとる。
6 学級の掲示物を気にする     7 だれとだれが友だちか知っている    
8 メモを大事にしている  子どもたちと話したことは必ずメモに残しておく。
9 伝え方を工夫している
  教卓で話すときは指導するとき。教卓の前に出る時は語るとき。座るときは、同じ目線で話すとき。
10 教室にタイミングよく居る   11 間違ったときは、きちんと謝る
12 学級通信を出している   読んでもらえる内容にする。親を意識して書く。子どもの記事が喜ばれる。
13 学級のイベントを行っている     14 学校行事を大事にしている   同じ方向に向かわせるチャンス。
15 リーダーを育てている
   リーダーをたくさんつくっておく。リーダー会議を開き、どうしたら学級が動くか?どういう結果になればいいか?等を考えさせる。

「こころに響く」学級経営
1 情報は発信者に還る   
2 コミュニケーションはYESから  「後で」という答えはNG。生徒にとってはNoと同じ。
3 「見通し」をもった「準備」と「実行」   4 ぶれない   5 見捨てない    6 自信と誇りをもつ

1年後の学級は・・・
「また一緒にいたいという仲間」「また受けてみたいという授業」「また会ってみたいという先生」

猪股先生の講座を終えて・・・
まず、日本人学校について、どのようなシステムなのかをほとんど知りませんでした。しかし、今回、海外にはどのような学校があるのか、というところから聞くことができ、将来の選択肢の一つとして考えたいと思いました。ただ、今は目の前の子どもたちを大切にし、日々の職を全うすることに力を注ぎます。いずれ、チャレンジしたい!と思うときが来たら、教えていただいたように管理職へ早目に相談して準備をし、新たな縁をつないでいこうと思います。
また、現在、私は担任という立場から離れています。しかし、授業や部活動、あらゆる場で生徒と接していますので、とても参考になりました。話を聞きながら、これまでの自身の教員としての姿勢や心構えはどうだったのか?を振り返るとともに、今後の在り方についても深く考えることができました。いただいた「学級経営を楽しむキーワード」は、今後の私の指針です。出会いから1年後を見通して一人ひとりの生徒ととことん向き合い、一瞬一瞬を大切にしていきたいと思います。このような貴重なお話を聞ける機会をいただき、感謝いたします。ありがとうございました。

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今回の例会は、北海道の猪股俊哉先生の講座でした。

1部.飛び出せ世界に!日本人学校のおもしろさ!

猪股先生は、ドバイ日本人学校、マニラ日本人学校、退職後にワシントンの補習校で計9年間勤務されていました。日本人学校へは、現職で2年いくことが出来、勤務成績などで最長4年に延長することができる。また、3年の経験で派遣のための受験資格があるが、1回では合格できず、何回かかかる。希望する理由として挙げられていたのが、在外教育への関心、グローバル教育への希求、海外生活への願望や国内教育の行き詰まりなどが挙げられる。

日本人学校の魅力としては、教育委員会がない。出張や調査もない。何よりも学校教育で大切だとされている、子どもたちと向き合える。日本に帰ってから指導や児童生徒に還元できる。自己の指導方法を客観的に振り返ることができる。全国から先生方がやってくるので、先生方と価値観を共有でき、派遣が終わってからもずっと連絡が取りあえる。しかし、その反面大変なこともあり、教材の確保が大変で、欲しいものは1年前から頼んでおく必要がある。教材のビデオの内容も検閲を受けることがあり、バーモンドカレーの箱に入れて誤魔化すなどもあった。全国から先生方が集まるので「うちの県では〇〇だった。」で話がまとまらないこともあった。

日本人学校の落とし穴として、天狗にならない、保護者、日本人会、理事会との関係性、他の文化を馬鹿にしない、海外旅行の延長戦と勘違いしないなどがありました。

日本人学校にいくにあたって、今の仕事(授業、学級経営、分掌など)を頑張る。幅広い研修で常に学び続ける。帰国者の話や全海研情報などで情報を集める。家族とよく話し合う。健康に気をつける(健康診断で
C以下だとアウト)。本をしっかりと読む。

派遣に関する費用は、健康診断代、当面の生活費、住居費、車代、書籍、予防接種(狂犬病20万?)など、諸々込みで400万程かかるそうです。

以前の学校で、知り合いの先生が補習校に行くことになったときに、もっと話を聞いておけばよかったと思いました。猪股先生の話を聞いて日本人学校に行くにあたって、知っておくべきことがよくわかりました。派遣の試験を受けるには、派遣の希望を叶えるためには、今の仕事を今よりスキルアップしていきたいと思いました。また、国際理解などについて広く勉強をし、試験で志望動機を明確に述べることが出来るようにする必要があると感じました。管理職とも相談する必要があるので、理解のある管理職に出会う必要もあると感じました。



2部 学級経営を楽しむ
学級経営ですが、未熟故に上手くいっていない部分ではあります。

本校では、学級の掲示物のレイアウトの統一、朝の会、帰りの会の手順の統一、学年担任制で今年度は、お試しで火曜日と木曜日に担任が変わるという取り組みをしています。それは、学級間での指導にずれが出ないように、誰もがどのクラスに入っても同じ指導をするためです。その状況でも、猪股先生の「学級経営を楽しむキーワード」は、私個人が心がければできる部分が大いにありました。その中で印象に残った部分と意識し始めたことをここで記載します。

1 コミュニケーションはYESから始まる
ダメなことはダメと言ってしまうのですが、子どもと一緒に考えてあげるということが大切だと思いました。「ダメ」という言葉をおさえるようにしました。

7 信頼と集団の力でクラスが動く
信頼関係=集団の力。

12最後まで見捨てない
上手くいかない生徒に対して、すごく大切なスタンスだと思いました。

20 人間だって間違うことがある。
間違ったら謝る、訂正する、直す。すぐにごめんなさいというと生徒も寛大になってくれますね。

21 いつ教室にいるのか
出勤後に一日のシミュレーション、退勤前に一日の振り返りを教室でする。この2つは、いくら忙しくても心がけるようにしています。それを意図的にするように心がけるようになりました。

25 朝の会 帰りの会を大切に。
本校では、看護日誌というものがあり、日直の先生方が気づいたことを書き、共有することができるものもあります。今まで以上にその内容も伝えるように心がけています。

26 一緒に汗を流す清掃の時間
掃除で生徒が気づかないところを意図的にやっています。それを繰り返してやっていたら何人かの子がその箇所をやってくれるようになりました。清掃の時間のコミュニケーションを大切にしたいですが、本校では、静かに掃除をさせるということが共通理解事項となっています。教卓の後ろで指導的な内容か教卓の横で語りかけるか使い分けることも重要。

28 読んでもらえる学級通信
保護者を意識して書く。北原先生は、朝刊、夕刊と毎日出されていたそうです。私自身も学級通信を書こうと思ったのですが、学年主任⇒教務主任⇒教頭⇒校長の順番で起案しないと生徒に出せないので、断念しています。その代わりに、黒板に毎日メッセージを書くようにしています。読んでもらえるメッセージを心がけます。

35 NGワード
つい最近やってしまったのは、本校では掃除が終わってから帰りの会をするのですが、始まる様子が見られないことがありました。しかも、学年の先生が教室にきて生徒とおしゃべりをしている。私は、教師用の椅子に座りながら、思わず「はぁ~」とため息をしながら、机を軽く叩いたら、クラスの雰囲気がなんとも言えない静けさで支配されてしまいました。細かい行動に気をつけます。

北原先生が猪股先生は冒頭で「人が寄ってくる人。」とお話をされていましたが、軽快な話しぶりで、いくらでもお話を聞いてみたいと思いました。あっという間の2時間30分でした。クラスは落ち着いており、他の先生方からも褒められる部分もありますが、特定の子と上手くいかない部分があり、しんどい思いもしていましたが、猪股先生の話を聞いて、学級経営をもっと楽しみながら頑張っていきたいと思うことが出来ました。
学級経営に関して、私自身、もっと勉強しないといけない部分があるので、猪股先生のお話をもっと聞いてみたいと思いました。

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1 飛び出せ世界に!日本人学校のおもしろさ!!
 猪股先生のお話の感想を書かせていただきます。
 日本人学校に勤務された方に出会ったことはありますが、申し込み方法や現地での生活の様子等の詳細について、深く知る機会がなく、大変貴重なお話でした。
 海外で生活する日本人の子どもたちが安心して学べる環境づくりの重要性を改めて感じました。
 現地の文化や言語に触れる機会を大切にしている点はもちろん、学校行事を地域の方や保護者の方々とつくり上げてらっしゃるところも印象的でした。
 (働き方改革という名のもと、さまざまな行事が削減されていて、ありがたい反面、どこか寂しく感じていました。)
 また、教員が子どもたちの生活面を丁寧にサポートし、海外ならではの不安や悩みに寄り添う姿勢にも心を打たれました。
 今後の教育においても学ぶべき点がとても多いと感じました。

2 学級経営を楽しむ!
 こちらも、心に残ったことをまとめさせてください。
 学級経営についてのお話を通して、猪股先生のあたたかさや笑顔が、学級づくりにおいてどれほど大きな力を持つのか実感しました。
 北原先生が親しみを込めて「いのまー」と呼んでいらっしゃる様子や、お話の冒頭で猪股先生を紹介してくださったときに、「ほんとにあったかい人なんだよ~」とおっしゃっていた点に大きくうなずけました。
 生徒との信頼関係は、一日で築けるものではなく、日々の小さな小さな声がけや丁寧なかかわりの積み重ねによって生まれるという言葉が深く心に残りました。
 また、「見通しを持たせる」「毎日の作戦を立てる」というような具体的なキーワードは、学級経営で欠かせない視点であり、私も復帰したら取り入れたいと思いました。
 さらに、猪股先生が楽しそうに語るお姿から、学級を、そして生徒一人ひとりを大切にしている気持ちが子どもたちに伝わり、安心して挑戦できる環境がつくられていくのだと感じました。
 今回学んだ多くのヒントをこれからの実践に活かし、子どもたちが「また一緒にいたい仲間・クラス、また受けてみたい授業、また会ってみたい先生」と思える学級づくりを目指していきたいです。

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  1. 日本人学校
    ・今の時代、日本人学校への派遣は特別なことではない。全ての先生が経験しても良いのではないか。
    ・日本の教科書通りにならないこともあるし、日本では簡単に手に入る教材が手に入らないこともあるが、現地の状況に合わせて、アレンジする楽しさがある。
    ・日本人学校の魅力の一つは出張や校外での研修がないため、生徒たちにとことん向き合えること。
    ・応募に際しては家族との話し合い、健康であることが大事。お金も貯めておく。
    ・海外に行くことが目的になってはいけない。選ばれたことに天狗になってはいけない。
    ・教員も全国から来ているので「ではの守」になってはいけない。様々な価値観を共有し、現状・課題に対応する柔軟性が必要。

    2.学級経営
    ・1年間を見通して計画的に。一年経って「このクラスで良かったな」と思えるために。
    ・朝の会、帰りの会を大切にする。事務連絡で時間を使わない。生徒に言わせても良い。何もなければスパッと終わらせる。
    ・伝え方に工夫。意図的にドラマチックに。教員が言うのではなく、友達に言ってもらう、教卓をうまく使うなど。
    ・毎日半数の生徒と話すことを心がける。そのためには用がなくても教室にいる。タイミングよく教室にいる。そして、話した内容をメモしておく。
    ・通知表を渡すときなどの大事な場面ではフルネームで名前を呼ぶ。全員の名前をフルネームで漢字で書けるようにしておく。
    ・リーダーをたくさん作り、リーダーたちに考えさせる。結果としてどうしたい?目標は?どうしたら学級を動かせるか?
    ・コミュニケーションはYESから。決めつけずに「いつやる?」「どうする?」子どもたちに考えさせる。「後で」使わない。
    ・机を叩くなどのNGアクション、「後で」「面倒くさい」「疲れた」などのNGワード、何気にしていないだろうか?
    ・「ブレない」指導を。決めたことを変えるときはきちんと説明する。間違えたときは謝る。
    ・学級経営を楽しむキーワードより 「さりげなく寄り添い、そっと離れる」「愛情はもてど、執着しない」「グチの前に行動を」

    感想
    実は数年前、日本人学校への勤務を考えました。しかし、旦那に反対されました。我が子たち(社会人3年目の長女、大学4年の長男、高2の次男)と一緒にいられる期間ももうそう長くはないのにと。それに抗うまでの気持ちはなかったもののモヤモヤした気持ちのままこの数年を過ごしていました。
     しかし、今回の猪股先生のお話をお聞きし、まさに私はただ海外に行ってみたいだけであることに気が付かされました。また学級経営のお話でも分かっていてもできてないこと、忘れてかけていたこと、新たに気付かされたこと、やってみたいことがたくさんありました。
    そして改めて自分が何をしたいのかを考えました。その結果、今私がしたいことは「目の前にいる生徒たちの学力と生きていく力をつけること」「残り少ないかもしれない5人家族として一緒にいる時間を大切にすること」でした。この数年間のモヤモヤが晴れ、前向きに日本人学校勤務を希望しないことを決めました。
    このように考える機会をくださった北原先生、猪股先生、北研の皆さま、本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。

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0. 本日の北研と今後の北研について
1月24日 「中学生から始める英語フォニックス指導」第5回 ※最終回
昭和女子大学附属中学生1年生の示範授業
⇒北原先生の示範授業をライブで観られる大変貴重な機会です。
2月21日 我孫子市立白山中2年生を対象にした過去最高の示範授業
3月28日 「英語劇 Friends10周年」+北原先生の大学時代のESSの音声も聞けるチャンスです。
⇒北研の先生方が準備時間の限られる中で圧巻の英語劇をされ、その映像を視聴。(ライブで練習の様子や本番を観た私は、とてつもなく感動しました。あの感動をもう一度!)
4月 北原先生の元同僚のO先生がゲスト
⇒理科の先生で、生徒指導ではなく教科指導でツッパリややんちゃを熱狂させた先生のお話。
5月 「未来の英語教育を語る会」のパネルディスカッション     ※新年度の予定は入れ替わる可能性あり

1. 猪股先生の講座
猪股先生は1959年生まれ、66歳。第1回目は、ドバイへ。当時ドバイの認知度は低く、周りには心配されていた。アメリカ同時多発テロ9.11があり、イスラム圏のドバイも危険を危ぶまれる状況になり、学校閉鎖するかも、という話を校長先生がしていたこともあった。生徒の3分の1は帰国した。
その後、フィリピンのマニラ、アメリカのワシントンの補習授業校へ。計9年間日本人学校を経験。今はその経験を生かされて、出前授業をされている。

日本人学校の先先生は、①現職派遣、②シニア派遣(補習校はほとんど。)、③プレ派遣教師(教師を目指す29歳以下)、④学校採用教員(海外子女教育財団がまとめて採用に携わる)

派遣希望の理由は、正直に「海外で働きながら暮らしてみたい」では不十分。猪股先生は応募しても2回落ちて、3度で採用された。希望するのであれば、募集要綱が公になってから(5月頃?)の受付期間が短いので、事前準備をしておくとよい。まず教頭先生に去年の願書をもらって下書きをしておき、次年度すぐに応募できるようにしておくとよい。

日本人学校は魅力だらけ。とことん生徒に向き合った教育活動ができたり、派遣国の実態に合わせた教育や、現地の交流ができるのも大きな魅力。ただ、教材は自分達で作らねばならないことが多い。日本に注文しても、届くのに半年かかる。しかも、ドバイにいた頃は、検疫が厳しく、VHS(ビデオテープ)をバーモントの箱に入れて送ってもらった等の珍エピソードも。(笑)
日本の教科書が必ずしも現地の実態に合わないこともある。例えば、砂漠の植物を育てたり、観察することなど。
日本人学校では、自己の指導法を客観的に振り返ったり、他県から来ている教員の集まりなので、価値観を共有できる。日本に帰ってから現地での経験や指導を生徒に還元できる。

補習校は3度目に行ったが、補習校は予想外に大変だった。現地の先生の指導をしたり(自身は直接授業しない)、欠席の先生がいた場合はその調整に追われたり、何でもする必要がある。

日本の公立学校と比べると、専門教科以外の担当もしなくてはならない。プールや音楽など。国語、数学、理科の先生が特に必要とされている。現地によって何が起こるかわからないので、危機管理意識が必要。
ほぼ全員担任で、着任当日から即戦力とみなされる。研修や出張はなく、長期休暇には旅行にも行ける◎しかし、一時帰国ができるのは、親のことや慶弔関係のみ。40日間が最大で自費。

日本と現地校のかけはしになる手段の1つに、運動会など身近な行事がある。アメリカでは運動会(綱引き)では、アメリカ人のお父さん達にとても喜ばれた。ただ、その行事に警察や看護師など来たのには驚いた。(文化の違い)

落とし穴として、行くこと自体が目的になり、「天狗」になってしまう。「うちでは」の「では」の神になってしまう。保護者、日本人会、理事会との信頼関係が大切。派遣国の人や文化を馬鹿にしたり、見下したりしてしまう。例えば、現地では住み込みのメイドさんを雇う必要があったりする。海外旅行の延長線上として勘違いしてしまう。

日本人学校の先生に必要なこととして、幅広い研修や情報収集、健康(健康診断で「C」より下はアウト。猪股先生は、主治医に相談し、何とかクリアした。)の他に、家族でよく話し合ったり(猪股先生は、奥様はよかったが、奥様の親の説得が必要となった)、事前に色々な本を読んでおくこと、お金を貯めること。

英語力は勤務校では英語を使うことはないが、派遣国によっては渉外や現地スタッフとのコミュニケーションに英語を使うことになるので、必要となる。

渡航前の予防接種などでお金が意外にかかる。猪股先生は渡航するときに400万円を懐に忍ばせて現地へ行かれた。昔は日本人学校に行くと給料が増えると思われていたが、現在は手当はついても持ち出しもあるので、特にお得感はさほど感じられない。

2. 学級経営を楽しむ
猪股先生のまたすごいところは、この学級経営です。北原先生との共通点もたくさん感じました。
【生徒目線】
どんな生徒・クラスとも常に関わる。休み時間等、授業以外の時間以外は常に教室にいる。冬はストーブの前にいて、自然と生徒が寄ってきやすい隙を作る。(これは猪股先生の人柄から伝わってきました。)

生徒との信頼関係を作る。見捨てない。さりげなく寄り添い、そっと離れる。いつまでもベタベタしない。しつこくしない。愛着は持っても執着しない。

生徒理解が進むと、「誰と誰が」友達かもわかる。

集団の力を育む。掃除も一緒にする。猪股先生は黒板消しをずっと担当。
名前を呼び方も工夫もする。いいことしたとき、通知表を渡すなどフォーマルなときは、フルネームで呼ぶこともある。生徒にとっては大事にされた感が増す。

間違ったときはきちんと謝る。ごまかさない。
NGワードは言わない:あとで、疲れた、忙しい、「バタン」と大きな音を立てる等

【とにかく楽しむ】
行事やイベントを大切にしている。クラスで班対抗のケーキ作り。全ての班のケーキの味見をすることになり、奥様にケーキの味見コメントについて相談して、下準備⇒味見⇒班ごとに異なるにフィードバック。

ドバイの砂漠で1泊校外学習をしたこともあった。最初にしたことはまずトイレを作ること。面白かった。

【ぶれない】
ご自身のモットーや信念を持たれている。
(※配布していただいた「学級経営を楽しむキーワード」はまさにそれを感じました。いつか猪股先生の実践を本にしていただきたいです。)
メモを大事にする。何でもメモ。自分の言ったことも記録に残す。言うことに一貫性を持つ。勝手に変えない。
事務的なことに時間を遣わず、子どもと親と関わる。

【緻密で計画的】
話をするにも誰に、どのように伝えるか、誰の顔を見るか等、事前に作戦を立て、「心に刺さる」ものにする。

帰りの会は、「よかったこと」「気になったこと」を伝えるが、生徒たちに「どう思う?」とこちらの考えを伝えるのではなく、考えさせる。生徒の観点で考えさせるチャンスを与える。

伝え方にも工夫をする。教卓の後ろに立つのは指導時。離れて話したり、場合によっては椅子に座って伝えることを意図的に。

学級通信を出すが、毎日だったら「読めない」という生徒もいたので、定期的に出していた。子どもが載っている。いい顔の写真がある(子供に撮らせるとよい写真が撮れる)◎親も見るので、親にも伝えるつもりで意識的に。
集団の中でリーダーをつくる。リーダーは1人ではなく複数。どうしたら学級が動かせるかをリーダー達に考えさせる。先生の思いを吹き込む。

【ゴールを明確にしている。常に見通しを持っている】
1年後のクラスがどうなっていてほしいかをイメージしたり、言語化して生徒達に伝えている。通知表の所見欄も1学期に通年分書いておく。そこには先生の願いも込められている。

出勤したら教室に、退勤する前にも教室へ行く。
1日を「こうしよう」とする。連絡や伝達は誰が伝えてもよいので、日直に任せる。地震はそれ以外に大切なことを語る。

【サービス精神が旺盛】
「情報は発信者に返る」自分から出さなければ何もならない。出すことがコミュニケーソンにつながる。先生から生徒、生徒と生徒も同様。「伝えていこう」ということを生徒にも伝える。

コミュニケーションは「Yes」から。忙しいときでも「No」とは言わない。「後で」も言わない。実現不可能なこともまずはYesで始めて、生徒に考えさせる問いを投げかけ(先生は我慢)、最後は生徒が結論(現実無理など)を出させる。生徒は最初から決めつけられることがきらい。

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1.日本人学校について

「派遣教員が陥りがちな落とし穴」(日本人学校あるある)が印象的でした。

・学級経営ができないと日本人学校ではもたない。
→ そうでした。ほぼ全員担任なので、即戦力が求められます。
・派遣が目的ではいけない。
→ 実際にいます。適当に仕事している人がいると、学校があっという間に崩れます。
「なんでもやります、できます」の精神がある人が求められています。

・出羽の神になってはいけない。
→ いろんな神に出会いました。
何歳になっても、謙虚に学び続ける教員こそ派遣されるべきだと思います。
I先生、K先生のように!

・派遣前に家族でよく話す
→ 家族の協力なくして、派遣は成り立ちません。
現地では、思い通りに行かないことが職場、生活でたくさんあります。
家族の話し合いは、慎重すぎるぐらいでちょうどいいと思います。
私も妻と二人の生活だったおかげで、楽しく過ごせました。

私の場合、免許外の小5・6・中1社会、小5国語を教えました。(土曜日は家にこもって教材研究)
英語が半分以下です。しかも、ネイティブ生徒もいて、彼らから英語を教えてもらいました(汗)
分掌は教務主任(現地校の管理職と毎週の打ち合わせ)
研究主任として、最新の学習指導要領を伝えます(まるで指導主事!)
英語科主任として、現地採用のネイティブ教員と指導を共有しないといけない・・・。生活指導の英語が出てこない(大汗)

その他にも、ここには書けないこと山盛りの3年間でしたが、いろんな経験をして、旅をして、人を見て、学び、教員として、人間として何倍にも成長できました。

20代で言われたことがあります。
社会には3種類の人間がいる。「いてほしい人、いてほしくない人、いてもいなくてもどちらでもいい人」
学校が大変になったとき、職員室で声をあげて、学校を良くしようとした人、学校にいてほしい人は、残念ながら少数でした。
これが現実です。でも、その人たちが力を合わせて、学校を支え、すばらしい学校になりました。
北研で学ぶ、すばらしい人たちが、日本人学校にチャレンジして、力を合わせてよい学校をつくってほしいです。

2.学級経営について
いのまー先生は、緻密な計算のもと、心を砕き、生徒に寄り添う理想の教員像そのものでした。
学級担任としてはもとより、教科担任としても不可欠な指針になりました。
あの日以降、今週は、いのまー先生の心がけを自分事として、生徒に寄り添い指導しています。
ときに熱く語り、ときに見守る。
朝と帰りの会の1分1秒をどう使うか考えるようになりました。
1人でも多くの生徒と話す時間をもつように心がけています。

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講師 :猪股俊哉先生(元胆英事務局長)

ドバイ日本人学校、マニラ日本人学校、ワシントン補習校で勤務(計9年間)

1日本人学校について
「飛び出せ世界に!日本人学校のおもしろさ!!」
2018年から2021年にドイツの日本人国際学校で勤務した4年間を振り返りながら聞かせていただきました。
猪股先生が「海外日本人学校での勤務は特別ではない、どの先生にとっても必要」と繰り返しおっしゃっていた通り、本当に貴重な体験でした。

〇派遣希望の理由
猪股先生と同じく「海外に住んでみたい」が私の動機でした。旅行ではなく住んでみたい、全く違う文化圏でぶっ飛ぶような経験をして自分の枠を壊したいという思いがありました。派遣前のドイツのイメージは質実剛健で勤勉、職人の国。日本と文化的に違いが少ないのではないかと、贅沢にも派遣先を知ったときは少しがっかりしました。実際は日々の生活の中で感じる(時には困る)合理性や移民の多さ、コロナへの対応など、様々な違いと日々向き合うことになりました。

〇「越境性」は大きな魅力
新潟県のやり方が全国共通だと思っていましたが、県によって様々な違いがありました。特に高校入試にかかわる教員の動き、「内申書」の形式や内容。それぞれの都道府県に合わせて入試事務をこなす中3担任は大変です。時差があるため、早朝出勤をして日本の教育委員会や学校と電話でやり取りをすることも。「うちの県では・・」は減っていき、「へー、そうなんだぁ」が増えました。猪股先生が強調された「ここではこうする」という柔軟性は海外だけではなく国内の異文化に対しても必要ですね。現地採用の先生方の勤務条件も一人ひとり違っていて驚きました。「朝が弱いから」という理由で2時間目からしか授業が組めないドイツ語教師、コロナ期間には、高齢の家族に感染させたくないからと本人は元気でも長期間休む外国語教師など、「優先順位が違うんだな」と受け入れざるを得ないことも。

〇英語の授業と免許外教科の指導

海外経験豊富で英語の必要性を肌で感じているため、生徒の英語力は極めて高かったです。英検一級、準一級を取得しているだけでなく実践的コミュニケーション力の高い生徒が多く、教科担任としては常にプレッシャーを感じながらの授業でした。逆に日本から渡独したばかりで英語力や意欲があまり高くない生徒もいましたが、周囲に影響されてどんどん差を詰めていきました。環境次第で子どもは伸びることを実感しました。

社会科教員の帰国にともない、4年目は中1から中3の社会を担当しました。教科書と指導書はありましたが、迷いながらの授業準備でした。先に帰国した先生が、ご自分の勤務校の社会科の先生が作成した教材を日本からデータで大量に送ってくださり助かりました。空き時間や週末はひたすら教材研究とワークシート作りに費やしました。大変でしたが世界と歴史への興味はさらに広がりました。

〇長期休業
生徒は帰国したり家族旅行するためほぼ登校しませんでした。日本のように生徒指導や研修等は入らないので、自分の見聞を広げることに集中できます。ただし、旅先で盗難被害には要注意です。私は2回ほどヒヤリとすることがありました。未遂で事なきを得ましたが、一瞬の気の緩みにつけこまれます。「私は警戒しています!!」オーラ全開で行動していました。帰国しても、そういった警戒心は残っています。

猪股先生のおかげで、日本人学校での勤務を振り返ることができました。違いを受け入れる柔軟性の大切さ、平和の尊さ、外に出てみて再認識した日本の良さ、国によるシステムや価値観の違いの背景にあるもの、移民の子供たちへの言語教育の必要性など、気付きや学びがたくさんあったことを改めて確認し、それらが今の自分に大きな影響を与えていると思いました。

「学級経営を楽しむ!」

学級担任をしなくなってしばらく経ちます。猪股先生のお話に深く頷きながら、自分の至らなかった日々を振り返っていました。

〇基本を 当たり前に 続ける
〇間違ったら謝る、ごまかさない。
〇ぶれない。変わるときは、その理由を具体的に説明する。
〇とにかく教室にいて、さりげなく子どもの様子を見る
〇授業以外で子どもと話す。必ずメモを取り、次の会話につなげる。
〇見捨てない。さりげなく寄り添い、そっと離れる。愛情はもてど執着しない。
〇朝の会、帰りの会など、毎日のルーティーンをうまく使う。伝達事項は日直、担任はそれ以外の大事なことを!
〇意図的にドラマティックに。誰に、どの位置で、どのタイミングで、どのように伝えるか。
〇教師が一生懸命にやっている姿を示す(掃除の時間の黒板けし)
〇リーダーをたくさん育てて、自分たちで考えさせる(リーダー会議)。自分たちで考えたことを紙に書いて持ってこさせる。
〇コミュニケーションはYESから。まずは受け入れ、子どもに具体的に考えさせ、自分たちで判断させる(正しく判断できるような仕組み)

〇見通しを持った「準備」と実行」。まずは短いスパンで見通しを持つ。
1学期の所見を書くときに、2,3学期の分も書いておく。「この子はこうなるだろう」「こうなったらいい」という予測や想像、望みが指導につながる。

〇自信と誇りをもつ。優先順位をもって事に当たる(猪股先生の場合:教頭の仕事は文書の処理ではない。先生方が仕事をしやすい環境を作ること)

子どもへの愛情や成長を願う強い思い、細やかさと綿密な計画性(戦略)、ぶれない強さと柔軟性が「感動のある学級経営、考える子どもを育てる楽しい学級経営」につながっているのだと強く感じます。子どもだけでなく職場でも誰に対しても大事にしたいことが満載で、安心感と遊び心とチャレンジ精神と覚悟が伝わるお話でした。

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海外における日本の教育と日本人学校の現状について

1.海外にはどのような日本の学校があるのか
海外で日本と同等の教育を行う在外教育施設は、主に三つの種類に分けられる。
第1に日本人学校である。日本人学校は、49か国・1地域に94校設置されており、約16,000人の児童生徒が学んでいる(2024年4月現在)。日本国内の学校と同様に全日制で教育が行われており、最初の日本人学校は1956年に開校したバンコク日本人学校である。
第2に補習授業校がある。補習授業校は51か国・1地域に242校設置され、約21,000人の児童生徒が在籍している(2024年4月現在)。児童生徒は平日は現地校やインターナショナルスクールに通い、土曜日や放課後などに日本語で日本の小・中学校の一部教科を学ぶ。最初の補習授業校は1958年にワシントンで開設された。なお、日本政府からの派遣教員がいない補習授業校も存在する。
第3に私立在外教育施設があり、世界に6校設置されている。立教英国学院、帝京ロンドン学園、スイス公文学園、慶應義塾ニューヨーク学院、早稲田渋谷シンガポール校、西大和学園カリフォルニア校などが代表例である。

2.子どもたちはどこで日本のことを学んでいるのか
海外で日本の教育を受ける児童生徒の数は年々増加しており、その学習環境も多様化している。
児童生徒は大きく**「駐在組」と「永住組」**に分けられる。
駐在組は、近い将来日本に帰国し、日本の学校で教育を受ける予定の児童生徒である。
一方、永住組には、国際結婚家庭の子ども、日本への帰国予定が明確でない児童生徒、永住予定の児童生徒、二重国籍の児童生徒、現地国籍の児童生徒などが含まれる。
以前は日本に帰国することを前提とした駐在組の児童生徒が多かったが、現在では永住組の割合が増加しており、在外教育の在り方にも変化が求められている。

3.日本人学校の先生について
日本人学校には、日本から派遣された教員が配置されている。世界各地の日本人学校には、令和4年(2022年)時点で1,327人の派遣教員がおり、毎年およそ400人が入れ替わっている。
派遣形態には以下の4種類がある。
1つ目は現職派遣で、長期研修として原則2年間派遣され、最長4年まで任期延長が可能である。
2つ目はシニア派遣で、2007年から始まり、退職した教員が派遣される制度である。
3つ目はプレ派遣教師で、2010年から始まり、将来教員を目指す人を対象としている。
4つ目は学校採用教員で、日本人学校と直接契約を結ぶ形態である。
令和4年度の派遣人数は、現職派遣教員929人、シニア派遣372人、プレ派遣26人で、合計1,327人であり、充足率は96.1%となっている。また、派遣教員だけでなく、現地採用の日本人教員も日本人学校の教育を支えている。

5日本人学校の魅力
日本と派遣先の良いところと知ることができ、現地にいることでライブ感覚でいろいろ経験できることがだいご味である。
・生徒児童と向き合った教育活動・児童生徒の実態、現地の状況に応じた指導・国語教育の充実・現地校との交流・経験を児童生徒と共有し還元できる。・これまでの指導法を見つめなおすことができる。

6日本の公立学校と比較して
水泳・音楽指導など免許外の指導を求められ全員が担任として意識しなければいけない。日本とは違い出張や研修はなく現地の先生たちと一緒に仕事をする柔軟性が求められる。また派遣先の国にもよるが危機管理意識を高くもっている必要がある。

7日本との懸け橋
帰国後は派遣先での経験を日本の現場で児童生徒、先生たちと共有や還元をしていく使命感がある。地域社会に海外での様子を伝えられたり、児童生徒の
英語学習する意識を高めたり、海外への興味関心をもたせることができる。

8日本人学校の落とし穴
派遣されことで自分のキャリアやスキルに過剰に自信をもつことで、日本に帰国後は同僚や保護者などとの信頼関係を構築しづらくなってしまったり、海外旅行気分で現地に勤務することになったりしまうことがある。

9日本人学校の先生に必要なこと
今の仕事(学級経営、指導力、外部折衝力)を頑張る。・幅広い研修を行う・日本人学校についての情報を集める。・家庭で派遣について話し合う・健康に気をつける

10、試験に向けた準備を
選考から派遣までのスケジュール、選考調査票について

11英語力は必要?
応募資格には語学力は含まれていないが、手続きや現地のスタッフとのコミュニケーション、私生活での使用のために一定以上の語学力が必要になる。

12派遣費用について
・内定前は健康診断
・内定後 予防接種、健康診断、引っ越し費用(派遣先への荷物)、ビザなど
・着任後 2か月文の生活費、住宅費、住宅契約費など
文科省から旅費は支給されるが、経費はいったん自費で支払う必要がある。渡航して2か月は暮らしていける費用を準備しなければならない。かなりの費用がかかるので、貯金をしておきましょう。

海外における日本の教育は、日本人学校、補習授業校、私立在外教育施設といった多様な形態で展開されている。児童生徒の背景も、帰国を前提とした駐在家庭だけでなく、永住や多国籍な背景をもつ家庭へと広がっている。こうした変化に対応しながら、日本人学校と教員は、海外においても日本の教育の質を維持・発展させる重要な役割を担っている。
教師としての姿勢や資質を向上させること、目の前の児童生徒を大切に信頼関係を作りあげ集団の力を作り上げることを大切にしていきたいと感じた。猪股俊哉先生の学級経営を楽しむキーワードをもらい、じっくりとこれまでの自分とこれからの自分を考え、一度新しい気持ちで教壇に立ちたいと思った。

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〇猪股先生の自己紹介
アラブ首長国連邦ドバイ日本人学校、フィリピンマニラ日本人学校、アメリカワシントン補習授業校の3校に、9年間勤務。(日本人学校は全部で94校)
★日本人学校に行くには、学級経営がしっかりできていないといけない。

①飛び出せ世界に!日本人学校のおもしろさ!!
・情報は発信者に還る
・日本人学校に行くことは、特別なことではない。
・海外にある日本人学校の種類:日本人学校(94校)、補習授業校(51か国・1地域に242校)、私立在外教育施設(6校)
・子どもはどこで日本のことを学ぶ?:
(1)駐在組(近い将来日本に帰国し、日本の学校に学ぶ予定あり)、
(2)永住組(国際結婚家庭の子ども、日本に帰国予定がはっきりしない)
・現職派遣:10年の経験がないといけない。1回では中々受からない。
・補習授業校の派遣はほぼシニア派遣が多い。
・日本人学校と直接契約することもある。(現地在住の日本人教師)*JOES 海外子女教育振興財団
〇日本人学校の派遣希望の理由?…在外教育施設への関心、グローバル教育への希求、海外生活の願望、教職スキルの向上…(海外で暮らす子供たちのサポートなど)
理由は極めて複合的。複数の希望理由を用意しておく。
〇教育委員会の仕事・出張がない。とことん子どもたちと関われる。
・バックグラウンドが違う子どもたち・同僚との出会い。価値観の共有。指導法の共有。
・日本の公立中学校と違い
・免許外の指導(カリキュラムの事前確認)
・小中学校の壁がない。一緒の授業をする学校もある。
・水泳指導、音楽指導
・ほぼ全員担任になる。現地到着後、次の日から。
・高い危機管理意識。
・長期休暇の活用。
・管理職に、去年の海外派遣の願書を一式もらう。早めに下書き作成し、いろんな人に見てもらう。
「研究実績」は、授業研でやっているもの、北研で自主的にやっているもの、など何を書いても良い。
〇日本とのかけはしになる
〇落とし穴
・日本人学校に行くことが目的になってはいけない。
・天狗にならない
・うちではこうやってきた「~ではの神」にならない
・保護者、理事会、日本人会との信頼関係を築く
・派遣先の国の人や文化を大切にする。(マニラの住み込み家政婦、ドライバーを雇う、など…)
・海外旅行の延長線上と勘違いしてしまわないように。
〇必要なこと
・今の仕事を頑張る
・幅広い研修を行う
・情報を集める(『海外子女教育』全海研)
・健康に気をつける。(健康診断でC評価以下だと行けない。)
・そして、本をしっかり読む。お金を貯める。

②学級経営をたのしむ!
・信頼関係と、団結
★考えさせる。すぐにNOと言わない。
・常に自分の教室を基盤に動く。いつも先生がいると思わせたら勝ち。
・伝達事項は、日直に伝えさせる。(朝学活)担任はそれ以外の大事なこと・気になったことを伝える。
(どこを見て話すかも考えておく!どの子に向けて話すか?)
(帰り学活)先生が気になったことを言う⇒「それについてどう思う?」必ず考えさせる。チャンスを作る。
話を誰かに振ってもいい。でも無理強いはしない。何もなければサッと終わる。
・掃除の時間:「先生何をやればいい?」と聞いてみる。or黒板消しの当番はゆずらない。一生懸命にやる姿を見せる。
・毎日半数の生徒と話をする。「先生は自分が悪いことをしたことは知っている。でも無視はしないな」
⇒話したことは必ずメモしておく。誰と誰が友達か把握しておく。
・学級通信、英語通信などは親を意識して書く。
・リーダーを複数育てる。考えさせる。
・1年間の所見ノートを作り、1年間分の所見を簡単に作っておく。⇒指導がしやすい。見通しがもてる。
こうなったらいいなあという希望が持てる。

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前半は、日本人学校での貴重なご経験を語っていただき、もっとたくさんの方に挑戦してもらいたいとのお話で、猪股先生の生き生きした語り口もあり、わくわくするような内容でした。
日本人学校では、満足に教材がなく、自作しなければならないこと、教科書に書いてあることが現地の実際と合わず、内容がそのままでは使えないことなど、ご苦労されたことも面白おかしくお話してくださいました。
本がなかなか手に入らないこと、日本の画材は素晴らしく、図画工作の教材が揃わないこと、免許外教科を教えることは当たり前なことなど、興味深かったです。
また、予防接種に1回20万もかかり、狂犬病は5回接種すること、自分の子女の入学金、授業料、自動車代など、お金に関することも大変そうでした。

後半の学級担任のお話は、基本を当たり前にやるとのことでした。
印象に残った言葉の箇条書きです。
「朝まず教室に行く」「帰り、教室で振り返る」「話したことをメモに残す」「学級通信は親を意識して、読んでもらえるものを出す。」
「リーダーをいっぱい作っておく。」「考えさせる。」
「情報は発信者に帰る。良いことをどんどん発信していく。
「コミュニーケーション。『あとで』はNo」
「子どもたちが決めるのを待つ。忍耐」
「ブレない指導」「見捨てない」「さりげなく寄り添い、そっと離れる」「愛着を持てど、執着しない」

質問の中で、苦手から逃げる子どもにはどう接するかという問いに対して、「友達やグループと一緒に活動させてあげる」「ハードルを下げてあげて、できることの中で挑戦させてあげる」
などの言葉が印象に残りました。
何か一つでも実践できるように、挑戦しようと思います。

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1 北海道の室蘭、苫小牧の小、中学校を勤務され、3つの海外日本人学校で勤務された。
① ドバイ 2001年〜4年間
② マニラ 2015年
③ 米国ワシントン補習授業校(現地名はワシントン日本語学校)・・・生徒は土曜日のみ登校する。世界では2万1千人ほどが通う。
海外で日本の教育を受ける児童・生徒の数は増加している。・・・(1)駐在組 (2)永住組

いくつか、心に残ったことを。
・「情報は発信者に還る」
・日本人学校は学級経営が大切。
・日本人学校の魅力:児童・生徒と、とことん向き合った教育活動ができる。(教育委員会がない、出張もない、研修もない)
・全国から集ういろいろな教育を受けている教員と一緒に働く。・・・「自分の県では・・・」と自分のやり方を他の人に押し付けない。郷に入っては郷に従え。

日本の公立学校と比較してみると・・・
・免許外の指導あり。小、中学校
・水泳指導、音楽指導、ほぼ全員担任
・着任日から率先力 
・高い危機管理意識が必須。
・現地日本人社会から注目されている。
・長期休暇の活用(旅行など)
・日本との架け橋になる。
・保護者、日本人会、理事会との信頼関係が大切。
・日本人学校の先生に必要なこと・・・・国語教育!国語教育重視。いろいろな本を読んでおく。お金を貯めておく。

誰も教えてくらない費用
1 内定前→自己負担。   2 派遣先決定後->文科省負担。
派遣前に400万円くらいは貯めておくとよいと言われた。昔と違って今は大変。(円安など)出発前に必要な予防接種などは、2万円くらいするものも。家族全員では、うん十万円にもなる。

2 「学級経営を楽しむ!」
担任に大事なことは朝の会、事務連絡で時間を使わない。(事務連絡は日直に。私も学級委員に事務連絡をさせていました。同感です。)
何か、問題が起これば、「こういうことがあったけれど「どう思う?」と考えさせる」(考える時間をつくる)
メリハリを大事に。
・言いたいことをその本人に言わずに、友だちに言ったり。また、話したことはすぐに記録しておく。メモを大事に。
・意図的にドラマチックに話す。
・名前を呼ぶ。フルネーム→大事にされた感がある。
・リーダーをたくさん作っておく。→考えさせる→紙に書かせる。→それを持って来させる。
・「結果としてどうなればいいの?」
・「ああ、このクラスでよかったなぁ」と思わせて卒業させる。
・いい話は出す。→出さなければ還ってこない。
・良いものは伝える。発信する。
・「いい話をどんどん誰かに伝えていこう!」
・最初から新しいものを作るのは大変→真似て、崩して、つくる。
*これは、北原メソッドを忠実に実践ー>「守・破・離」に通ずるものがあると感じた。
*1年後の学級は? 「また一緒にいたいという仲間(クラス)、また受けてみたいという授業、また会ってみたいという先生に!

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