2025年8月・静岡沼津合宿・北研レポート

北研合宿in沼津
1日目 北研メンバーによる実践発表

発表者1人目 N先生
 1校目で北原メソッドを知り
 2校目で3級取得率の84%を達成  3校目で北原メソッドに対して、一部の生徒から猛反発
 4校目Chrome Bookを活用 自由進度学習、ラウンド学習(領域ごとに教科書を繰り返す)  早めに教科書を終わらせて自習の時間を確保できるというメリットがある

スピーキング力を高める単語学習の実践
・ロイロノートの実践  テスト直後の授業で次のテスト範囲の新出単語の冊子(意味と品詞)で配布
 単語  その冊子で音声を発音・録画させ、ロイロノートで提出させる  いつでも、どこでも、何度でも、記録に残る
 教科書  教科書本文も単語同様に音読を録画させる  (生徒はデジタル教科書を参考に練習する)
・Kahootの実践  帯活動での実践を定期テストに繋げる
・読みトレやじゃれマガまがの代わりに、AIで読み教材を作成  場面や登場人物を設定する(CEFRのレベルで設定するとより具体的なレベルの設定が可能)  私服についての教材を読み、それについて意見を問う技能統合型の課題  これもロイロノートで提出させる
 原稿を用意しないで即興でスピーキング
・ロイロノートの採点
・Kahootの作成

発表者2人目 M先生(26歳初めての車の免許合宿に参加) 1 大学時代から北原メソッドとの出会いまで

2 文法指導 昨年度から少しずつ北原メソッドを導入し始めた  ・ジェスチャーを助けに、英語が苦手な生徒が楽しそうにB.D.をしている  ・授業の板書予定を実際に前もって幹ノートに書いて準備している(菅:生徒目線でいいなー)

3 授業映像
 ・1年生 7月Top of the World ノリノリで踊りながら歌っている  ・BINGO前のワードフラッシュ よく読めている
・BINGO
・文法導入(板書) Whoの導入で生徒の知らないキャラを画面投影  ・Basic Dialog 生徒はジェスチャーを駆使し、スキットを発表          教師はボンゴボンゴマシンで即時評価  今年は心を鬼にして、生徒の発音をチェックしている

発表者3人目 H先生(信州トラベルエッセイ)
・Song コツは、1年生の4月から歌を始めること、先生自身がたくさん練習して楽しく歌うこと(先生が一番のガキ大将に なること)
実際にCountry Roadジェスチャーをつけて、笑顔で歌う

1年生  4月「Sing♩」  5〜7月「Country Road」  9、10月「大きな古時計 英語版」  11、12月「Top of the World」
 1〜2月「DO-RE-MI♩」
2年生  5〜7月「Stand By Me」  夏休み〜秋にかけて「I Just Call To Say I Love You」
3年生
 その年の3年生の様子に合わせてチョイス
「H先生の授業が大好き」という学年

3年間を通した音読指導、音声指導とパフォーマンスのアウトプット
・いろいろな映像
●聴覚過敏の生徒(その他診断がある様子)  教科書の音読と英語による質問に対する応答 やりとりが完璧で質問に対して、よく考えて自分の意見を英語 で表現している。

●女子生徒  頭の中にある内容をそのまま英語で話している様子。 ●1年生 授業の音読の映像  綺麗な発音、教えられた発音の仕方を一生懸命にやっている。 ●2年生 買い物スキット
 ペアで楽しそうに発表している。

●その他いろいろな映像
 どの映像も温かみのある映像で、ある種、ホームビデオを観ている感覚になりました。それほど生徒と関係を 密にし、先生と生徒が繋がっているんだなと思います。

北原先生講評 どの生徒も発音が素晴らしい。

N先生へ
意味づけをし、それを伝えると生徒との合意形成を行う。 冊子やリストとして使用すると、その方が覚えるのが早い(効率的)。 文脈がないと使えるようになるか疑問だが、生徒たちにとってはそこまで障害にならないのかも。 定期テストにも出す、やって終わりではないところが良い。
AIをうまく活用した教材づくり。

M先生へ
Top of the Worldは難しい。1学期に歌えるのすごい。 BINGOはコンパクトに。
 板書後に生徒が日本語を喋っているのは勿体無い。
Basic Dialogを40人でやるのは厳しい。 リピートしない生徒への指導が必要。聞いていないっていうのは失礼、逆に聞いてくれていたら嬉しいよね、とい う指導。
B.D.の評価は、間違いがあったら「ブー」と押すだけ。あとは生徒が考える!

H先生へ
圧倒された。3年の3学期の歌声、感動もの。 各映像に一言二言編集付きの映像がプレゼントとして素晴らしい。 普段喋っている言語がただ「英語」になっているだけ。 2年生でスキット・オリジナルやれるなんてレベルが高い。
ところで、なんで英語やるの?
英語をやるともう一人の自分に会える、なれる。
英語だったら言えるようになること、表現できることがある。 高校生の時、吃音を発症(菅、初耳)した際に英語だと言えたし、発音もうまいので周りからすごいと言われた。 別の人格になってみる機会が大切。結果、それが一つの個性になり、自分になる。

2日目 北原先生を中心とした講義

 0 北研合宿の歴史

1 北原発信語彙論文、問題集、Kahoot!
「中学校発信語彙リスト三種」 2022年   ベネッセHP
「中学校発信語彙問題集」   2024年9月 ベネッセHP
「北原発信語彙問題集Kahoot!」 2025年3月 クラウド上
Kahoot!のHPへ「一般公開コンテンツを検索」に「北原発信語彙」と入力 紙でベーシックにやって、まとめとしてゲーム感覚でやるのが良い。

・じゃれマガカルチャー
教科書のリテリングについて、ちょっと知識をかじっただけではその内容を話そうとは思わない。 即興発話「言いたいと思わせるもの」ではなくてはならない、読んだものの語彙を使う。
・ワクワクペアワーク
・なるほど英文法(実践) 復習から始める⇨これが学校に来る意味 基礎力へ

2 北原メソッドBパターン
1Spiral Worksheet
作成するときは既習語彙、既習文法のみを問う=復習 新しいページのところをなんとなく分かった状態で授業が受けられる。

授業規律(S.W.時のルール)
一回でいいから手をあげてね(起立する必要しない、時間が勿体無い)
生徒の声が小さければ、そのまま続けたり教員が復唱したりせず、大きな声で、みんなが聞こえるような声で解答する=みんながその子のことを聞いていないといけない。
解答が速ければ’Slow down. 解答を列挙するパターンの場合、最後に’That’s all.’ 品詞の概念を中学校でやっておくと高校に行って断然有利。肘が曲がっている人は当てない。

 2ピクチャーカードを使ったQ&A
生徒は解答できれば座る。知らなかったらI don’t know. 次からI don’t know.を繰り返すのではなく、I have no idea.など他の言い方を促す。複数のものがあったら必ずWhat are these?を聞きThey are ~.を引き出す。2時間に1回の活動なので、Q&Aは非常に力がつく!

3オーラル・イントロダクション
(教科書本文はスケルトンな状態、そのスケルトンな本文、内容に、母親が子供に読み聞かせをするときのよう に「肉付け」をしていく 菅、鳥取合宿で学んだことより)

4新語の導入
・1回目(英語面フラッシュ)⇨データ収集 生徒が発音できるかどうか確認
・2回目(英語面フラッシュ)⇨音の指導
dad
口を横に開いて発音するんだよ
turn
他にurを使う単語
right
ghは発音しない、他にサイレントghの単語をペアで8語 早く終わったペアは他の終わったペア同士で行う。
wipe
-i-eの単語をペアで10語
・3回目(英語面フラッシュ)⇨データ収集
みんながジェスチャーができれば知っている単語ということ、重点的に指導しなくていい。
・4回目(英語面フラッシュ) スピードよくフラッシュ
・5回目(英語面フラッシュ) カードの一部しか見せずフラッシュ
・6回目(日本語面フラッシュ)
・7回目(日本語面)
日本語面を見て空でスペルを書かせる。
合ってたら手をあげさせる(データを取る)
北研のHP おっきな木の下に「Word Flash2」 「ファイルから読み込み」で手持ちのエクセルデータ(教科書付属のCDROM等使用)をインポートするとフラッ シュカードが完成する。

5本文の内容理解
生徒黙読後、モデルリーディング(音声で聞いたら分かる箇所があるかも)

6音読
・リピートwith gesture 疑問文は顔を傾ける、Sorry I can’t, Dad. 顔の表情にも、TV setって何?文化の違い にも言及。演読 場面、状況や言い方に注目してもう一度リピートwith gesture
・リピート(×2、3)
 ・Paced reading(×2、3) 遅れている人は弱形を強く読んでいる人 ・Shadowing
・Individual Reading(5回) 大きな声で読むよう指導

7ライティング

3 フォニックス指導基礎
1年生の最初に導入する「ブブブブb」音を教える
BCDGPTVZ(音「いー」を含むグループ) FLMNSX(音「え」で始まるグループ) AEIOU(母音グループ) JK(音「えい」を含むグループ)

Sの感想
どの発表者の方も素晴らしい発表でした。
一貫して皆さん、音や音読の指導を徹底されているなと感じました。北原メソッドが大切にする幹を踏襲している授業実践でした。

N先生
英検3級の取得率が80%越え。これってかなり凄い数字だと思うのですが、北研メンバーの皆さん、どうなんでしょう。勤務する学校の特性、地域性によって左右されるものだと思いますが、いずれにせよ驚異的な数字です。
西原先生のおかげで、僕の目標が一つできました。

M先生
北原メソッドを忠実に実践されている授業風景が印象的でした。フレッシュな先生の実践を拝見 し、僕が当時訳もわからず北原先生に連れられて北研に参加していた日々を思い出しました。なぜか土曜の午後に各地方から英語科の先生が赤中の旧校舎に集まり、教室をパンパンに埋め、勉強をしている空間に身を置いていたことを。 年下の先生に負けずに、精進しようと思いました(当分抜かれるつもりはありません)。

H先生
まさに萩ワールドでした。先生の舵取りに生徒がついてきて、そして生徒の力がついてきて・・・。 英語を中心とした時間が、空間が、そして3年間が形成されているのだろうなと身をもって知ることができました。 今回の発表で気がついたことがありまして、それは萩先生が北原先生と共通することの一つな のですが、コロナで突如休校となったあの時に、生徒と離れなければならない寂しさや授業がで きない悔しさを萩先生の発表からヒシヒシと伝わってきたことです。萩先生も北原先生も、本当に生徒を、生徒との時間を大切にしているのだなと痛感しました。

北原先生の講義から
レポートの随所にも散見される「データの収集」。常に生徒を見て、判断し、的確な指導を施す。 無駄なことをしない、効率的に、力がつくものを!といった一貫したスタイルが北原先生にはあります。 授業以外でも同様に、定期テスト後の集計結果、学習効果測定や学力調査の分析など、自らの指導をやりっぱなしにせず、必ず回収し、分析し、振り返り、次に活かす。徹底したPDCAがあります。長年のご経験の中であまた繰り返されてきたPDCAによって、最終的に残った、洗礼された形を我々北研メンバーは享受できることは、RPGのゲームで例えるならば、主人公(教員)としてチート級のレベルアップを達成できるようなものなのだと思います。
  ただ、この施されるものにかまけていてはいけないなと今回の北研合宿で感じました。北原先生の「分析し次に繋げる姿勢」から学び、北原メソッドを更に「進化」させていく責任が、北原先生 だけでなく、むしろ北原先生ではなく、現場の教員である我々北研メンバーの一人一人の双肩に あるのだと感じました。
 最後になりますが、お世話になりましたI先生をはじめ、今北研合宿開催に際しご尽力いただいた先生方に最大の感謝の意を込めて、北研合宿in沼津のレポートとさせていただきます。ありがとうございました。