第161回 例会報告
・北原先生蔵書頒布会
(来月もやってくださるそうです。)
・文献や資料の管理について
現玉川大学日臺滋之先生との若き日の会話。「英語の文献どうしてる?私は置く場所がなくて泣きながら捨てます。」北原先生→どんどん次の学校に送って保管、授業記録も全て残っている。東京都毎週都に授業の進度表【週案】を提出義務がある。北原先生専用のオリジナルフォーマットの進度表。
・来月の予告編
高校生インタビュー
1年、2年、3年生の3人。 それぞれ別の中学で北原メソッドで習った生徒。誰かが中学でこういうことやったと言うと、そうそうと自然とうなずく。(※北原メソッドで中々結果が出せない方や、英語が苦手な層の生徒に対して指導の不安を感じている先生はぜひ!)
0「ヘンな英語」本の紹介
『教科書にのっているヘンな英語』(スパルタ教育著 インデックス・コミュニケーションズ社出版)
大正3年の英語の教科書に突っ込みを入れていく
Have you two ears?
I sleep for seventeen hours a day.
・Is this a cup? ← 見ればわかるだろ。This pencil is short. ← シャーペンを買え。Have you two ears? ←失礼だろ。といった具合で、挿絵付きの英文にツッコミを入れています(挿絵もなかなかシュール)。この本は読み物として楽しいのはもちろんですが、「文法的に合っているだけじゃダメだよ」というメッセージを投げかけているのだと受け取りました。(この導入は、この後の例会内容の布石となっていました)
・As an introduction, we looked at an older textbook with strange English and Japanese sentences. Many of the sentences were phrases we would never say (e.g. “How many mouths do you have?” or were somewhat morbid (e.g. “He can’t swim” – with an accompanying image of a boy seemingly drowning). While it’s fun to look back on older textbooks, it’s promising that current English textbooks are more appropriate.
1. 英作文のコツ(3年生の授業実践から)
まとめて英作文のコツをまとめた時間を取って教えたことがあるか?
「基本問題集」を購入させる
手順:自分でどのコースにするか決めさせる
カメさん、トカゲさん、ウサギさんコース
英語が苦手な人、ところどころわかっていないところがある人
基礎を確かめよう&実力をつけようという人
提出日を設けて提出させる。
カメさんコースは重要なところ指定して、ここだけやればいい。
・教師の英語力隠れパート6
思考…どんな場面か思考
判断…言いたい核心は何か判断する
表現…最も適切な表現を使う
北研メンバーが挑戦、その後黒板に各々書く、北原先生とネイティブチェックからフィードバック
① 図書館で子どもが2人おしゃべり、図書館司書の方が困った顔をしてなにか言う吹き出し
Q右の絵の女性の言葉として考えられる6語以上の英文を1つ作りなさい。
先生たちの答え
Please be quiet.
We must be quiet.
Can you stop talking?
You have to be quiet
英作文授業の手順:出来たら持ってくる、出来る人は早いから、あと3つ書きなさいと言う。
今年の三年生は自信がないから、あまりやらない
SWでパラフレーズなどやってるはずなのになかなか出てこない。
大きな情報から説明するよう指示。
② 教室のイラスト →男子1人読書、女子3人おしゃべり
Q右の絵を説明する6語以上の英文を6語以上の英文を3つ作りなさい。
This is a picture of a classroom and there are four students there.
There is the
→The ではなくa
The boy wants to talk with girls.→with the girls
ただのgirlsだと一般的な女の子になる
There are no teachers in the classroom.
ネガティブなものは点数になるのか?高校の先生方どうでしょうか?
③ 女の子の3コマの絵
探し物をしたあと、手のひらを上に向けて残念そうな顔をしている。
Q女の子の言葉をあなた自身で考えて英語で書きなさい。ただし答えは、6~15語を用い、それぞれ1文または2文で書くこと。
I can’t remember where I put it.
I can’t do my homework without it.
I can’t find it around here.
I’m tired of looking for it.
I have lost it 3 times this month.
I can’t find it. What should I do?
Well, do I have to buy one again?
I have no idea where it is.
What shall I do to find it?
I don’t know where I put it.
I’m always doing like this.
④ 何か思いついたように手をポンとしている
Oh, I lent it to my friend two days ago.
I found I used it in
Oh, I remember!
My brother borrowed it.
Never mind. Tomorrow is another day.
I’m sure it’s in my desk at school.
Maybe→×その場合の絵はポンっと手をたたかず首をかしげる
※文法的に正しいからいいとは限らない。ニュアンスが大切ということを伝えていく。
⑤ 会話の一部が( )になっていて4語以上の英語を書きなさい(岩手県立)
Hi.
( )
Yes, please. I’m looking for a T-shirts.
May I help you?
Do you need anything?カジュアル
他は?だてに映画見てないだろう。思い出せ2年の時、見た「ホームアローン」の店員さん
How can I help you?→more polite
映像と内容があったからハッとした生徒
言葉ってそういうもん。
相手がいて場面があってのもの。
・問題は、北原先生が3年生にやらせている「3年間の総整理問題集」の英作文パートからでした。(問題集のやらせ方は『幹本(授業映像編)』のP142~143を参照してください)3題やりましたが、どれもが Picture Describing でした。1問目は「図書館でしゃべっている中学生に司書が注意している」絵で、そのセリフを考えるもの。これを表現するだけでも、10個以上考えられます。出てきた主なものは、Don’t talk. Please be quiet. You must be queit. You mustn’t talk. Stop talking. Could you~?Can you~? Why don’t you~? Would you~? I’d like you to ~. I want you to ~. などなどポイントはこれらのものは「全て習っているもの」であるが、いかんせん「出てこない」こと。なお、It is not good to talk in the library. も出ましたが、参加していたネイティブの先生によると「文法的には合っているけれど、司書はそのようには言わない」とのことでした。2問目は「教室で窓際の男子が1人で本を読み、廊下側で女子が3人話している」絵で、その説明を考えるもの。There are four students in the classroom. Three of them are talking. The other student is reading a book by the window. などなど書くときに大切にするのは Discourse で、「大きいところから順に」ということでした。日本文化紹介の指導に似ていると感じました。3問目は3コマ漫画で、1コマ目「女の子が自分の部屋で机の引き出しから本を探している」絵。2コマ目は「あきらめて肩をすくめている」絵。3コマ目は「何かひらめいて手を打っている」絵で、2コマ目と3コマ目のセリフを考えるもの。大切なのは「言いたい核心」が何かを判断すること。特に3コマ目は「手を打っている」ので、Oh, I got it! などが望ましいとのことでした。3問を通して北原先生が強調していたのは、”文法的に正しいから良いのか” ということ。どんな場面か”思考”し、言いたい核心は何か”判断”し、最も適切な”表現”を使うことが「英作文のコツ」ということを教わりました。
・1.英作文のコツ(裏タイトル;教師の英語力第6弾) 3年生は教科書が終わり、英作文のプリントに取り組んでいるそうです。今日は、教師の英語力第6弾ということで、英作文をしました。 問題1 右の女性の言葉として考えられる6語以上の英文を1つ作りなさい。(絵;図書館で女の子と男の子がおしゃべりをしている様子。そこで職員のセリフが空欄になっている。)挙げられた答 You mustn’t talk ~. Don’t talk ~, Pleasebe quiet. Would/Could you ~?, Can you~? I’d like you to ~. I want you to ~.should, noisy, Go out ~. It’s not good to ~.というのが挙げられました。ただ、ネイティブの先生からIt’s not good to ~.は文法的にはOKだけど、司書は使わないと話がありました。 問題2 右の絵を説明する6語以上の英文を3つ作りなさい。(絵;教室に生徒が4人いる。3人は女の子で教室の右側でおしゃべりしている。左側の窓際には男の子が一人本を読んでいる。)私が書いた答 This is a classroom. There are threegirls in the right side of the classroom. And there is a boy near the window.The girls are talking and the boy is reading a book.北原先生から「まずは大きなところから書く」という話があり、This is apicture of a classroom and there are four students.やThereare four students in the classroom.のように全体的なことを述べ、その後詳しく書く(ここでは女の子たちや男の子のこと)。また、これができるようになるためには、Picture Describingの活動をしていないと難しいとおっしゃっていました。また、There are no teachers in the classroom.のようにnoを使った文だと何でもありのような状態になるので好ましくない。生徒のあるある間違いとしてThere is the boy ~.のように、theを使ってしまう、とおっしゃっていました。 問題3 女の子が本を探しています。次の3コマの絵の中の女の子の言葉①と②をあなた自身で考えて、英語で書きなさい。ただし、答えは6語~15語を用い、それぞれ1文または2文で書くこと。(1コマ目;女の子がWhere ismy book?と言っている。2コマ目;空欄①で、両手を広げため息をついているような絵。3コマ目;空欄②両手をポンっと叩き、明るくアッというような表情になる。)挙げられた答 2コマ目;I can’tremember where I put it. I can’t do my homework without it. I can’t find itaround here. I’m tired of looking for it. I can’t find it. What should I do? Ihave lost it three times this month. Well, do I have to buy it/one again? Ihave no idea where it is. I’m always doing like this. 3コマ目;I got it! Ilent it to my friend. Oh, I should ask my teacher tomorrow. Oh, I remember! Mybrother borrowed it. Maybe/I’m sure it’s in my desk at school. 私はあまり思いつかず、他の先生方が挙げる表現を見て、なるほどと思いました。英語ができてもダメ、発想の力が大切!と北原先生から言葉をいただき、自分の表現力も広げないといけないと感じました。Maybe/ I’m sure~.の文では、絵から見るとMaybeだとポンっと手を叩くような絵にはならないだろう、I’m sure~.のほうがより絵にあっている。文法的に合っているだけではダメ。ニュアンスを伝えることが大事、とお話がありました。 問題4 [1]に4語以上、[2]に10語以上の英語を書きなさい。文の数はいくつでもよい。(岩手県の公立高校入試問題。中2のSunshine買い物ででてくる会話に類似。[1]には店員のセリフ。[1]に対してHiroshiがYes, please. I’m looking for aT-shirt.と言う。[2]は店員からTシャツの値段を聞き、「高すぎる。ほかに違うものはないか。安いのはないか。」といった内容が考えられるセリフ。)答 May I help you? 私はDo you need anything?を書きました。ネイティブの先生からは少しカジュアルな感じだそうです。また、Do you need my help?だとrudeなかんじ、myよりanyのほうがいい、などという話も出ました。また、ホームアローンの映画にはHow can I help you?と店員が言う場面があり、May I helpyou?よりも丁寧だと知りました。
・絵を見て、英文を考える(writing)
①図書室で大きな声で話している2人に、司書の女性が声をかけるシチュエーション(2人は周りを気にせず楽しく話している。司書は困った様子で話しかけようとしている)で、女性の言葉として考えられる6語以上の英文をできるだけ多く書く。
②教室の様子(窓側に本を読んでいる男子生徒や、ドアの近くでおしゃべりをしている3人の女子生徒など)を説明する6語以上の英文をできるだけ書く。
③3コマのストーリーに沿っての女の子のセリフを書く。【1コマ目】’Where is my book’→本を探している女の子のセリフ(すでに書いてある)【2コマ目】問①:本が見つからなくて、諦めている女の子のセリフを6〜15語の1文または2文で書く。【3コマ目】問②:何かを思い出した(ひらめいた)様子女の子のセリフを6〜15語の1文または2文で書く。
④( )に当てはまる英文を4語以上で書く。(買い物のシーン)
The sales clerk : Hello.
Hiroshi : Hi.
The sales clerk : ( )
Hiroshi : Yes, please. I’
m looking for a T-shirt.
王道は、”May I help
you?”
“Do you need my help?”は、一見良さようだがお店の人が使うセリフではないとのこと。(ネイティブの先生より)
→picture describingのトレーニングをしていないと対応できない。
→文法的に合っていても、場面、状況と合っていないと意味がない。
→想像力と発想力を鍛えないと文は作れない。
→英文やセリフのニュアンスもしっかり教えること。
・(1)図書館で大きな声で話している2人になんと図書館員の人が話しかけるか。
問題は「6語以上の英文を1つ作りなさい。」でしたが,今回はスペシャルで「思いつく限り書きなさい。」Don’t speak, please. Could you stop talking? Why don’t you ~? What are you doing? Please stop ~. I’d like you to ~. I want you to ~. You should stop ~ It’s not good to ~ . You must be quiet. You have to ~生徒から多様な答えを引き出すことが大事であり,引き出した答えに対してALTのネイティブチェックも入れる。今回はIt’s not good toが不自然という意見が出ました。
(2)教室の右端で女の子3人が話をしていて,左端で男の子が1人本を読んでいる絵を見て,「右の絵を説明する6語以上の英文を3つ作りなさい。」Picture Describingの活動をやっていないと,とても難しいと感じる。実際の指導では,ディスコースも意識させる。「概要」から「具体」へ①This is a picture of a classroom and there are four students there.②Three of them are talking.③The other is reading a book.④There is nothing written on the board.
(3)1枚目女の子が本を探している。2枚目探すのを諦めている。3枚目何か思い出した。という3コマ漫画の2枚目と3枚目のセリフを考える問題。書けた人から前へ出て黒板に板書し,北原先生が後から評価していく。(2枚目)I don’t remember where I put it.(3枚目)I got it! I used it in the living room this morning.(4)会話文の途中が抜けていてその部分を考えさせる問題。服のお店にお客が入ってきた場面でガチな答えは”May I help you?”のところを他の言い方を考えさす。Do you need any help など映画「ホームアローン」では”How may I help you?”という丁寧な表現が出てくる。
・We examined an
English composition activity completed by third year students. The first
exercise included a picture of two students talking in a library, and we had to
write what we thought was most suitable for the librarian to say. Students had
to write a sentence with at least six words, but as English teachers we
brainstormed longer and more unique expressions. After writing our responses on
the whiteboard, we went through each one by one to decide which was more natural
and/or if any of them had a mistake.
The second exercise was more like a picture-describing activity in which we had
to write as many sentences as possible about what was happening in the image.
We discussed whether writing about what “isn’t” in the picture would be
permissible. For example, in a picture of a classroom, we wondered
whether it would be okay to write “There is no teacher in the classroom” because
one could easily write something like “Doraemon is not in the classroom.”
The third set of images was similar to the Eiken Grade 2 speaking test in which
a sequence of pictures is provided and we must describe the situation. After
going through all the images, we talked about the
importance of nuance and to carefully look at the picture. We then read a short
dialogue between a clothing store clerk and customer and decide which
expression we thought most suitable for the clerk to say. While grammatically
correct, we discussed how there are different levels of formality, like “Do you
need my help?” versus “How may I help you?”
2. 受容語彙と発信語彙
大修館「英語教育2019年2月号」から4人の記事
・(1)「受容と発信:こう考える・こう具体化する」投野由起夫(東京外大) 大修館「英語教育2019年2月号」より *投野先生は日本一のコーパス言語学者・1億語のBritish National Corpusの頻度上位2,000語で話し言葉の90%、書き言葉の80%をカバーできる。・20歳の英語母語者は固有名詞を除いて20,000Word familyを知っている。見出し語換算で4〜50,000語。・BNC で話し言葉の異なり語数は5万語に対して、書き言葉は52万語もある。・目標・・・高校修了時までに基本2,000語を発信語彙、3000語を受容語彙。・上位2,000語で主要な文法の導入と基礎概念を説明できる語彙が導入できる。・上位2,000語には会話の60〜70%をカバーするトップ100の単語(20程度の動詞と機能語)がその中心を占める。・2,000語の半分を占めるのは名詞。・基本2,000語はCEFRのA2れべる(英検の準2級レベル、日本の高校1,2年レベル)に相当する。・A2レベルの学習者は2〜3倍の語彙を受容語彙として持つのが自然。→受容語彙は5,000語。これはCEFRのB1レベル(英検2級レベル、日本の高校卒業レベル)のユーザー語彙サイズに相当する。 (2)「小学校の指導で押さえるべき受容語彙と発信語彙」星野由子(秀明大学)大修館「英語教育2019年2月号」より・小学区で扱う語彙は600〜700語(受容語彙と発信語彙を合わせた数)従って全部の語彙を使えなくても( speaking, writing )よい。・リスニングスクリプトの総語数はLet’s Try(3年生で1,489語、4年生で3,332語)、We Can!(5年生で7,365語、6年生で7,882語)・100回以上現れる語は34語、50回以上は65語。ここまでは発信語彙と考えていい。・10回以上現れる語は285語、5回以上は472語。10回以上の285語を全て発信語彙と考えない方がいい。(すると小学生の発信語彙はざっと200〜300語程度となろう。 北原註)・文字で触れる総語数はLet’s Try(3年生で769語、4年生で1,042語)、We Can!(5年生で3,092語、6年生で3,290語)・リスニングスクリプトにも教科書にも出てくる語数は283語。(250語程度が発信語彙だろう) 3 「小学校を踏まえて中学校での受容…発信語彙の指導」佐藤剛(弘前大学)大修館「英語教育2019年2月号」より・教員になって間もない頃に参加した東京のある授業研究会(長先生の「英語授業研究会」北原註)でのこと。講師の先生から「我々は生徒が英語だけ勉強しているのではないことを理解しなければいけない・・(中略)・・少しでも生徒の負担を減らす工夫をすべきではないだろうか?」(註 北原の発話)というお話を聞いて、教科書にある単語はすべからくビシバシ指導して、単語テストを繰り返す指導をしていた私は頭を殴られたような衝撃を覚えた。さらにこのような経緯から、東京都の中英研では中学生の発表語彙リストを独自に選定していると説明を受けて、またまた衝撃を受けた。」(註 2004年 都中英研研究部冊子「語彙と教育(27)」北原研究副部長)・小学校語彙が平成28年度(2016年)版中学校6社教科書に占める割合は中1で53%、中3で45%、中学校の英語の教科書語彙の半分は小学校で触れた語彙・小学生の語彙サイズテスト(受容)結果は平均500語。(北原註 北原(2015)では赤坂中の3年生の語彙サイズの平均は2,900語)・中学校で扱う語彙は2,200語〜2,500語。(小学校の600−700にくわえて1,600―1800語) 4 「受容語彙はどのように獲得されるか」相澤一美(東京電機大学)大修館「英語教育2019年2月号」より・従来、「単語と日本語訳を併記したリスト学習は好ましくない」「英語を多量に読んで文脈の中で学習するのがよい」とされてきました。しかし語彙の受容的知識は文脈に何度も触れることで深まっていく側面と文脈だけでは習得されにくい側面があります。また、上級にならないと文脈の中で偶発学習することは困難でもあります。特に入門機の学習者の場合はPrince(1996)が提案するように、学習者の負担を軽減するために単語の翻訳リストを活用する方法が有効だと思われます。(北原註 10年くらい前に麗澤大学の望月正道教授がそう紹介していた)特に、新出語の導入では語形と意味の連結の補強のために日本語訳を十何位使った指導が考えられます。(北原註 昔のフラッシュカードは裏に日本語訳は書かれていなかった。北原式フラッシュカードから日本語訳を書くようになった)」・日頃から辞書の使用を励行して語彙の多面的な知識を身につけさせたいものです。 ここから、私の考えです。・まず、教科書に出てくる単語を受容語彙と発信語彙に分ける必要があると思います。この際、6社の教科書のうち何社で扱っているかのデータが必要になるでしょう。・同じ学年の先生と相談して、同じように指導する。・テストの時に発信語彙は必ず正確に書かなければいけないことを生徒に伝える。・リストを配るなら、授業でコロケーションなどもやった後に配る。・リストは単語のみでなく、コロケーションや場合によってはシンプルで使える場面がある例文も併記する。(現在、作ってみたい気持ちになっています。それで単語テストをするつもりは今のところないですが…。)・小学校英語の内容(新学習指導要領の)確認を来年度中にできるだけ早くやる。新しくですテキストにちゃんと目を通す。見本本を早く手に入れたいですね。・何にしても、大事な語はまず自分から繰り返し何度も使うようにしたいと思います。 以上のようなことをこれからも先生方と一緒に真剣に考えていきたいと思っています。語彙力って、とっても大事ですよね。評価の項目も3本柱になりますよね。それの点数のバランスもどうするのかな、と気になっています。
1)投野由紀夫(東京外大)→日本一のコーパス言語学者
「受容と発信:こう考える・こう具体化する」、投野先生について→全英連の英語でやる分科会で再会、英語が堪能な方という印象、NHKにも出演 コーパス100語で英語、※ブリティッシュナショナルコーパス(BNC)ネットでチェックすべきhttp://www.natcorp.ox.ac.uk/→イギリス人がデーターを集めたもので1億語になった。どういう言葉が一緒に使われていたかをまとめたもの。これから派生してコロケーションが入った。例えばeat。Eatの後ろに最も使われる語彙ベスト10を考えてみよう予想:together breakfast lunch dinner in out it。
コンコーダンス
I eat____
Did you eat
Did didn’t eat
The food I wanna eat
Let’s eat __ tonight.
Let’s eat ____up.
Ant.conc
Easy.conc
キーワードFrequencyと打てばたくさん出てくる
なるべくよく使う例文をコロケーションとして教えてあげればいい
・1億語のBNCの頻度上位2,000語で話し言葉90%、書き言葉80%カバーできる
・20歳の英語母語話者 20,000word family、die died dying death dead deadly はWord family→1語、文科省→6語・BNC話し言葉5万、書き言葉52万、日本語も書き言葉の「拝啓」絶対会話では使わない、・目標…高校卒業までに基本2,000語を発信語彙、3,000語受容語彙、2000語の半分を占めるのは名詞、会話の60~70語をカバーするトップ100の単語(20程度の動詞と機能語)、・基本2000語はCEFR(common European framework of reference of languages)のA2、一番下はA1. 対照表はHPに載っている 英検,IELTS,GTEC,TOEIC,TOEFL,、・投野先生→これを日本に持ち込んでCEFRJを作った、Iceberg effect発信語彙、受容語彙が多くないと上が出てこない、受容は2から3倍あると言われている。発信語彙2000語の生徒は受容語彙は5000語 合わせて7000語、B1英検2級レベル
2)「小学校の指導で押さえるべき受容語彙と発信語彙」星野由子(秀明大学)
・小学校で扱う語彙600~700語 →発信+受容、・リスニングスクリプト総語数 Let’s try!(3年1489語、4年3332語)We Can!(5年7365語、6年7882語)、学問上これは発信語彙というのを考えた。・100回以上現れる語は34語、50回以上65語。ここまでは発信語彙と考えていい、10回以上285語 全て発信語彙と考えない方がいい、北原先生→小学校の発表語彙は250~300語だろう。
3)佐藤剛(弘前大学)
「小学校を踏まえて中学校での受容・発信語彙の指導」
長先生の研究会に出て衝撃、「単語テスト至上主義を否定!少しでも生徒の負担を減らす工夫をすべきではないだろうか?」「都中英研の独自の中学校の発表語彙リスト」→語いと英語教育(27)http://www.eigo.org/kenkyu/・負担軽減のため、つづりまでかけなくていい単語を探してあげよう、アメリカ人がはじめてつかう辞書(First Dictionary)この本を7社シアトルの本屋で買ってきた。7冊共通してある言葉を全て分析、どういう単語が載っているか調べたかった、その分析結果を活用して、フラッシュカードの赤丸をつけるようになった。赤丸はつづりまで覚える単語、小学校の語いサイズテスト(受容)結果平均500語、2015年 赤坂中学校3年生語彙サイズは平均2900語、これをどのように調査したか?ちなみに中学校で扱う語彙は2200~2500語、みんな自分が何語知ってるか知りたいよね?
知ってる単語マーキングしなさい、1回3分、1年かかった。まだCやってるの?2学期になってもまだF、Aで何語?Bで何語と表にまとめた。それを望月正道さんにも贈呈。
小中校大学のESSも一緒、大妻嵐山高校→現麗澤大学、この調査法は日本で過去にもこれからもオンリーワン。語数について、中学校:900→現1200語→新 小学校600-700語、中学2200~2500語、理由は中国韓国諸外国の教科書がそうだから。英検、3級1200語、準2級2400~2500語、準2は語彙不足で1次がなかなか受からない、本校の生徒は平均が2900語、理論上英検準2級 50%受かる、ついにH30 50%達成した
4)相澤一美先生(東京電機大学)「受容語彙はどのように獲得されるか」
〇語彙指導マニュアル バイブル、最新の語彙研究「望月先生」→単語は日本語訳と併記して配ってどんどん覚えさるべき、北原先生→初めはすごい驚いたが今は日本語訳を柔軟に使った指導、長研のフラッシュカードは昔は1語につき1語と意味が限定されるため日本語訳ご法度。批判もあったけど、北原先生は日本語訳を裏に書き始めた。その後教科書会社に教科書の後ろ日本語の意味書きましょうと提案。
他の教科書会社もパクる。・日頃から辞書の使用を励行して語彙の多面的な知識を身につけさせるべき
・北研メンバー4人グループでディスカッション
「今後、語彙指導をどうすべきか」
・1.英語だけが出来てもダメで、問題に対してどんなアイデアがひらめいたか、(数学の途中式のように)どういう過程を経てその考えに至ったのかたのか説明することが求められる。2.この手の英作文を中学生がトライする時、picture describeを普段の授業でやってないとなかなか出来ない。3.スパイラルワークシートで既習表現を何度も復習しても、いざ表現をで使おう思う時に単語がパッと出てこない。4.文法的に正しいからと言って、適切な表現になるとは限らない。実は私も3.は経験したことがあります。中3の授業で修学旅行の班行動中に訪問する神社仏閣(1つ)について英語でプレゼンテーションをするという課題を出したとき、言いたいことが言えなくて困っていた生徒がいたので、必要な単語について説明をしたら「なんだ、そんな簡単な単語でよかったのか。」と呆気に取られていました。知っているだけの単語から話す、書くときに使える単語に持っていくのは本当に難しいです。
・1.投野由紀夫(東京外国語大学)『「受信」と「発信」:こう考える・こう具現化する』2.星野由子(秀明大学)『小学校の指導で押さえるべき「受容」語彙と「発信」語彙』3.佐藤剛(弘前大学)『小学校を踏まえて中学校での「受容」・「発信」語彙の指導』4.相澤一美(東京電機大学)『受容語彙はどのように獲得されるか 「見たことがある」から「理解できる」への転換』大事なところをかいつまんで書くと・British National Corpus (BNC) 頻度上位2000語で、話し言葉の90%、書き言葉の80%をカバーできる。・よって高校修了時までに基本2000語を発信語彙、それにプラス3000語を受容語彙として、合計5000語が語彙指導の目標。・基本2000語はCEFRのA2レベル(英検準2級)に相当する。・A2レベルの学習者は発信語彙の2~3倍の受容語彙を持つのが自然。→ 受容語彙は5000語。・語彙は氷山(iceberg)のようなもの。水面下の受容語彙が増えないと、水面上の発信語彙も増えない。・(公表はされていないが)英検3級の語彙数は約1200語、準2級は約2400語。・赤坂中の語彙サイズは平均2900語であるから、学年の半分が準2級以上を取得したことは頷けるものである。・3級 → 準2級の語彙数は倍である。だから準2級合格には語彙指導が大事。・新学習指導要領になると、中学校の語彙数は2200~2500語(小学校の600~700語に、中学で+1600~1800語)。・現行の課程では中学は1200語である。この倍増する語彙に授業では今後どう対応するのかが課題。・相澤一美氏の提案によると、入門期の学習者には「単語の翻訳リストを活用する」方法や「日本語訳を柔軟に使った」指導が有効。→ 北原先生は10年以上前にこのことを知っていて、フラッシュカードの裏に日本語訳を書くようになった。(以前のフラッシュカードには裏に何も書いていなかった。訳を書くことに批判もあったそうだが、北原先生が始めてから他社も追従した。)解説のあとは、今後の語彙指導についてグループで討議をしました。
・北原先生:British National Corpus(BNC)とWord Familyについては、「ここにいる全員が知っておかなければならない。」Word Familyの数え方は、日本の英語教育での数え方と全く異なる。これから指導語彙が大幅に増える中で、どう対応すべきかグループ討議をした。最後に、そこで言い忘れたことも踏まえて、私の実践報告をしたい。望月正道教授が紹介した「単語の翻訳リスト」、フラッシュカード、その両方を使った場合、北研に参加するようになる前に3種類を試したことがある。
①リストの利点と欠点
・ペアでチェックし合って、生徒は教師による指導よりも楽しく感じるように見えた。
・楽しいので、おしゃべりなど身勝手な行動をする生徒はほとんど出なかった。
・リストをポケットに入れて、満員電車の中でも折りたたんだリストで学習できる。
・発音時に教師が全員の音を一人ひとり聞けないので、発音の矯正をしにくい。
・学習スピードのコントロールも生徒にゆだねるので、時間設定をしても遅いペアは遅い。
②フラッシュカード
・全員で発音するので、即座に発音の矯正ができる。
・生徒の反応で、定着の度合いが分かりやすい。
・定着した語彙カードを外したり、定着していないカードを新しい束に混ぜて再利用しやすい。
・リストでは、覚えた単語をやらないで飛ばす技を生徒同士ではできないことがあるが、カードは可能。
・友達の様子から「えっ、もう覚えたの?」と生徒がつぶやいて「自分も頑張ろう」とする。
③両方使った場合
・フラッシュカードをやっている時に、こっそりとリストを広げて発音する生徒が出て、
その生徒の気持ちをどう理解して授業を進めるかの判断が難しい。 かなり苦手な生徒の手助けになるか、甘やかしになるか、集団学習での平等原則では指導しながら悩んだ。
・フラッシュカードのみを使った方が集中しているように見える。
・総合的にはフラッシュカードのみが最も効率的に語彙が全体に定着するという結論に至った。
①「受容と発信:こう考える、こう具体化する」投野由紀夫先生(東京外大)
・1億語のBritish National Corpusの頻度上位2000語で、話し言葉の90%、書き言葉の80%をカバーできる。→必ずリストをチェックすること!
“eat”の後に続くベスト10を考える。(北研メンバーで考えた)eat : breakfast,lunch,dinner,food,in,out,it,together,a
lot,healthy【参考】生徒が書いたコロケーション(英語授業の幹をつくる本、上巻第5章第9節P146〜 参照)・語彙は氷山の一角であり、受容語彙を増やすことで発信語彙が増えていく。・目標は、高校修了時までに基本2000語を発信語彙、3000語を受容語彙。・この上位2000語で主要な文法の導入と基礎概念を説明できる語彙が導入できる。・上位2000語には、会話の60〜70%をカバーするトップ100の単語(30程度の動詞と機能語)がその中心を占める。・2000語の半分を占めるのは動詞。・基本2000語はCEFRのA2レベル。
②「小学校の指導で押さえるべき受容語彙と発信語彙」星野由子先生(秀明大学)
・小学校で扱う語彙は600〜700語(受容語彙と発信語彙を合わせた数)しかがって全部の語彙を使えなくても良い。・リスニングスクリプトにも教科書にも出てくる語数は283語(北原先生の見解では250語程度が発信語彙だろうとのこと)
③「小学校を踏まえて中学校での受容・発信語彙の指導」佐藤剛先生(弘前大学)
・少しでも生徒の負担を減らす工夫すべきではないのか。・東京都中英研では、中学生の発信語彙を635語に選定しリストを作成。(英語授業の幹をつくる本、上巻第5章第7節P139〜 参照)・中学校で扱う語彙は、2200語〜2600語(小学校の600〜700語に加えて1600〜1800語)・2015年の赤坂中学校3年生の語彙サイズは2900語。
④「受容語彙はどのように獲得されるか」相澤一美先生(東京電機大学)
・入門期の学習者の場合は、学習者の負担を軽減するために、単語の翻訳リストを活用する方法が有効だと思われる。・新出単語の導入では、語形と意味の連結の補強のために日本語訳を柔軟に使った指導が考えられる。昔のフラッシュカードは裏に日本語訳は書かれていなかった。北原先生の「北原式フラッシュカード」から裏に日本語訳を書くようなったとのこと。
「これからの語彙指導について」(北研メンバーによるグループ協議)
・2200語〜2600語(小学校の600〜700語に加えて1600〜1800語)の指導をどのように工夫するか。フラッシュカードが今の倍くらいになる。・語彙は増えるが、教科書は厚くはならない。ということは、本文が複雑になる?本文以外で扱う語彙が増える?・教師の授業デザイン力、指導力がより重要なものとなる。(発信語彙と受容語彙の見極めて指導)・教材研究を重ね、生徒の負担を減らす工夫を常に考える。・目的 ・場面・状況を意識して、繰り返し語彙を活用する。・辞書を活用して、多面的な知識を身につけることが重要。
・We tried a useful activity where we examined a word and decided which word(s) would be more suitable before and after. *For example, word(s) to follow the word “eat”:* Breakfast, lunch, dinner, a snack, healthily, a lot, a little, too much, unhealthily, out, in, it, together, regularly, something, soon, now *Word(s) to follow the word after “eat”:* Let’s, did you, the food I want to, I will We also looked at word families. *For example: “die”:* Die, died, dying, death, dead, deadly
※懇親会にて
・北原先生が成人式で中2まで不登校の生徒と再会。2年間学校に来ていなかったが、英語はなんの問題もなく中3から参加できた。なぜか。不登校の間、 その生徒に「一人で勉強できるような教科書を作ったよ、左から順に家で勉強してみな」とサンシャインの教科書とスパイラルワークシートを渡していた。田尻悟郎先生曰く英語は唯一自分ひとりで勉強できる教科。不登校時代の遅れを気にしていたが、上位の大学に現役合格して通っていると聞き安心。・英語教師の英語力、発音、語彙の深さが問題。特に高校、大学でしっかり本物触れることが大切。高校時代の北原先生は英字新聞を購読、FNNを聞く。