2月16日(土) 第162回例会報告

1、個人カルテ作り(赤坂中教諭指導 PC室にて)
 赤坂中に到着すると、先生がお忙しそうにご準備をしてくださっていました。(この1ヶ月、このため日のためにエクセルで仮データやデモンストレーション用のデータの準備をしてくださっていたそうです。)毎学期時間をかけて作成している個人カルテが、VLOOKUPを用い、いとも簡単に(とは言っても私の理解はまだ浅く、使える自信が無いので復習が必要ですが)作成できる素晴らしい方法を教えてくださいました。エクセル使用経験がまだ浅とおっしゃっていましたが、独学でこのような方法を身につけられたことに感心させられます。先生は、発音も電子辞書で学び、見事な発音を体得されてこられた話と合わせて考えても、1つのことにとてもストイックに学ばれる方なんだろうな、と思いました。見習いたいと思いました。

*Organizing Students’ Grades with Microsoft Excel (VLOOKUP): *
By creating tables and using functions in Microsoft Excel, we learned how
to input and organize students’ grades electronically. It was somewhat
complicated remembering which cells to select in order to create the
*f(x)* functions,
but Microsoft Excel is a very useful (and eco-friendly!) way of keeping
track of students’ grades. By having all the data readily available, we can
also track students’ progress throughout the year.


2、公開授業から
①ヘンな英語
授業者がToday’s your Goal(今日のあなたの目標と並べただけ?)と何度も言っていた。この表現に??と感じられた北原先生。そうではなくToday’s Goal /Your Goal todayではないか。Joel 先生も”Weird!JapaneseEnglish!”とのこと。

②突っ込みどころ満載の教科書
New Horizon 1年  Unit 10-2. Can you…?
・ツッコミどころ満載の教科書!
New Horizon 1年10-2  Can you…?
Ms. Brown:  This is Boston Common.  We can skate there.  Can you skate?
Saki          :    Yes, I can.
Ms. Brown: Let’s walk there.  We can see some wonderful buildings on the way.

Saki          : Who’s that?
Ms. Brown : Can you guess?
Saki           : No, I can’t.  Who is he?
Ms. Brown : He’s Benjamin Franklin.  He’s one of the Founding Fathers of America.
Saki          : Oh, I see.

できるかどうかを尋ねようCan を無理やり使う文章過ぎて変
①Can you skate?と聞いて、Yes,I can.と答えているのに、次のセリフがLet’s walk there.  We can see
some wonderful buildings on the way.→話題が変わり過ぎる
②タブレットにある誰かの写真を見て誰ですか?と聞いているのにCan you guess?→意地悪?
③dictation test と称して単語を書き取らせている
1.excited      2.winter      3.一文
excited のようにつづりと発音が一致しない語をなぜ書かせるのか?

④こんなに宿題?
①その日に習った単語の意味調べ(教科書の索引を使って時々辞書も。→その日に習った単語の意味をなぜ調べるのか。家にも辞書があるのか。)
②単語を5回書く練習→書かせる目的は?つづりを覚えさせるため?一回で覚えてしまう単語や長すぎる単語や人名も練習するのか?
③音読30回の後、暗写
(どうして学校でやらないのか? 宿題としてやらせるのはどうか?一人でやってさみしくないか?)
④英語のパートナー〔ワーク〕
授業中に答え合わせをしなかったが、いつやるのか。

赤坂中の宿題
③音読最低25回
④英語のパートナー
これだけでも1年生は30分以上かかる
中学生はやることが沢山あるからあまりに沢山の宿題はかわいそう…..
ALTの
3、パフォーマンス最新映像
⑴2年生スキット「CM」Sun Shine My Project 6
元気がよい、ノリが良い、勢いがある、楽しんでやっている、丁寧さはない、適当(いいかげん)
(2)1年生英本の読み聞かせ「Grandma Baba」Sunshine,program11
5人1組で丁寧な発音で、動きをつけてわかりやすく演じる。真面目にきちんと取り組んでいる。可愛い!素直そう!好感度高い!
⑶2年生スピーキングテスト「場面と人間関係を選んで」
Joel先生へのインタビュー
○アメリカ出身男子生徒
ふざけてるように見えたが楽しんでいた?ALTの先生から日本はどう?と聞かれても自分は昨日来たからわからないとか??日本はvery very very very very beautiful !発音は良いが、真面目さがない。(ように見えた。)寿司は作れるか?というJoel先生からの質問に大袈裟に日本指でねと答える。英語力はまあまあ?(のように見えた。)
○ニュージーランドから来た男子生徒
真面目に受け答えしていた、ネイティヴイングリッシュスピーカー、Joel 先生と自然なやりとり、日本の生活は忙しすぎる生徒からALTの先生への質問Who is your favorite student?  →T:  It’s you!、Who is your favorite teacher?→T:   Of cause Kitahara sensei!
(4)1年生英語劇New year visit Sunshine, program 9
2学期入って教科書が終わったので、パフォーマンスをさせた。教科書をアレンジして人数を増やしてやっていた。
○2年生3学期スピーキングテスト
成績により場面指定あり、指定された中から1つ選んで練習をしておく、1〜10までの場面があるが、教室に入ってからどの場面を選んだのかをALTの先生に伝える

①Sunshine 2, My Project 6 (2019年1月収録)では、創意工夫に満ちた作品に仕上がっていた。・嫌いな食べ物が好きになる目薬?飲み薬?・Super Cooking Machine・「どこでもドア」に、持ち運び便利になるように「どこでもドア」をつけて売る。「遅刻しなくて良くなるよ」電話番号を宣伝の後で紹介して、実際におもちゃの電話機2台を使って、値段交渉と「予約待ち」のような、売り手と買い手の交渉場面を入れることによって、前に学習した電話のやり取りをリサイクル。
②2年生スピーキングテスト「場面と人間関係を選んで」
1~10から生徒が自分で選ぶ。
例:
1. At schoolTina(you) – Ms. Brown(Joel)
Tina tells Ms. Brown about her life in New York.
(Unit 1 “Tina’s Speech”)
1~5は教科書のUnit 1 ~5
6. At SchoolYou – Joel
You talk about the summer school trip to Niigata
(夏季学園)
7~9. Unit 6,7 & 9
10. At the Minato Cable TV studio
Interviewer(you) – Joel
Interviewer asks Joel about his life in Japan and teaching in Akasaka Junior High School.
多くの生徒達は、難易度の高い後半の番号を傾向があり、最初の方の順番には、英語に自信がある生徒が流暢にELTに話しかけていた。決まった時間内に会話が止まってはいけないらしく、動画を一緒に見ながら、北原先生が笑いながら、「知ってるなら聞くなよ、ハハハハ」と、男子生徒のパフォーマンスを見ながら楽しそうにツッコミを入れていた。

・初めに、2年生のスキット「CM」(Sunshine My Project 6) 一つの商品を(小道具なども使って)ペアでユーモアも交えながら紹介しPRしていくもの。いつもながら声の大きさ、堂々とした態度、大きくて豊富なジェスチャーが強く印象に残りました。この日の冒頭が評価に関することだったので、「あ、一つ一つが評価の観点として、生徒に従前から徹底して伝えているからこうなるのだな、」と気づきました。(いまさら当然のことですが…)あと、演じるスキット自体の長さ=語数の多さも圧巻でした。よくあれだけのものを暗唱してかつ自然に演じられるものだと思いました。日ごろから様々な活動で暗唱を鍛えられているからだと改めて感じました。
2番目が1年生の絵本読み聞かせ、Grandma Baba Sunshine Program 11
。これまでこの絵本の映像はなんども見てきましたが、今回はひとりひとりが楽しそうに演じているという面がとくに印象に残りました。
3番目に視聴したのが、2年生3学期スピーキングテスト。これはこれまで学んできた教科書の各Unit
にでてきた場面や登場人物が設定してあり(全部で10種類)、そのなかから各自一つ選んで「なりきって」、ALTのJOEL先生との対話やインタビューに答えられるよう用意してくる、というもの。成績上位者は、9番目と10番目(終盤のUNIT=難しめ)のどちらかに選択肢が限定されている。10番目の場面設定が ケーブルテレビのスタジオでJoel先生(本物としての)に日本での暮らしや、赤坂中で教える仕事について尋ねるインタビュアーを演じる、というもの。この場面を選んだ男子生徒とJoel先生のパフォーマンスのなかで、
生徒: Who is your favorite student?
Joel:You!
生徒: Who is your favorite teacher?
Joel:Mr. Kitahara!
のやりとりに参加者一同爆笑でした。
最後に視聴したのは、1年生英語劇「新年訪問」Sunshine Program9より、登場人物5
名で、朝出かける準備の最中に電話がかかり、手が離せない母親が「Can you answer the phone?
と他の家族にきくものの、それぞれみな身支度に忙しく出られない、というにぎやかな様子がよく演じられていました。これらのパフォーマンステストすべて、2学期までで教科書を終えているからできること。

・*2年生 CM:* Students produced interesting advertisements for made-up products. Their gestures and intonation were great. I was impressed by sentence structures like “if you eat it, ○○○”, “it’s so that ○○○”, “it’s perfect for ○○○”, and “first ○○○  , secondly ○○○  .” Students had an understanding of language used in advertisements and how to talk about the benefits of their imaginary products.
*1年生 Storytelling: “Grandma Baba”:* Not only was this a chance for students to practice reading expressively, it was a nice teamwork activity. Students had great reading voices, gestures, and body language. They didn’t simply memorize the text — I believe the students really understood what they were reading.
*2年生 ALT Interview:* Students had nice reactions to the ALT’s responses to their questions and also weren’t taken aback when he asked them questions in return. I was impressed by students’ overall fluency.
*1年生 Skit:* Students performed a skit about the New Year’s holiday with loud, clear voices. They used nice props and gestures to convey their story.

・2年生スキット「CM」
内容はもちろんユニーク。何と言っても本人達の「しゃべりたい」という気持ちが全面に出ていて(しかも相手の台詞にかぶせるように間髪入れずバンバンしゃべる)、1つのスキットが長く、面白い。使っている台詞に思わず吹き出しそうになりました。(興奮した相手にCalm down! ふさけた?内容にAre you serious?)
1年生絵本の読み聞かせ「Grandma Baba」
とてもていねいに発音されていて、明瞭で聞きやすい。紙芝居の後ろで、台詞が無い生徒はジェスチャーしたり、みんなで台詞を合わせて言ったりするなど、チームワークが素晴らしかったです。
2年生スピーキングテスト「場面と人間関係を選んで」
上位の生徒は、難しいカードから選択。2分間インタビュー。ALTの突然の質問にうまく返していたり、鋭い質問のやりとは見事で、即興発話力抜群でした。これもそれまでの積み重ねがあってこそと思うと、新しい学習指導要領で求められる「即興性」「やりとり」は、一朝一夕には、そりゃできないよな、と感じます。
1年生英語劇「新年訪問」
台詞が無くても全員が動き、いきいきと台詞に気持ちが乗っていました。3年生の集大成の英語劇までのワンステップになると思いますが、英語劇の基本がこのような積み重ねで身につくのですね。

4、中学時代に北原メソッドで育った生徒たちのその後
A:先生はとにかく明るい
B:先生  明るい 叫んでいる
C:北原先生はきびしいけど楽しい

Q:共通点があるぞと気づいた瞬間は?
*英語の歌(歌詞の穴埋め)
*スピーチ
*じゃれマガ
*ジャパニーズカルチャー(Aは記憶していなくて、あれ?やったんだけどなあ→先生より)
*中学校でやったことが出てきた
*しゃべったり、歌ったりするので楽しい
Q:中学校ではどうだったか?
     A:中学校時代は英語は苦手だった
     難しいものだと思っていた
B:中学校時代は成績が良くなかった
    悲惨だったが受験で頑張った
    出来なくても楽しんで取り組んでいた
C:北原先生の授業は楽しかったけど緊張感があった
    成績がよくないと怒られた(→北原先生:えっ!?)
Q:高校ではどうか。
    A:高校に来てからの成績はスピーキング力が伸びている。授業をきちんと聞くのは当たり前。課題がわからないところはきちんと質問する
    C:授業で先生自身が英語をよく活用してくれている
        音読を勧めてくれたので続けられている
        辞書をすぐに活用する
        自分ですぐに調べる
        高校で勉強量が増えた

    B: 辞書の使い方
        調べた単語は線を引く
        ページをくしゃくしゃにして開きやすくする
        すぐに先生に聞くのではなく辞書を開く
Q:成長に役立っているものは?
      A:先生が発音を教えてくれた
         英語の歌で覚えやすいかった
      B:先生の発音(スピード)に合わせることで自分も苦手だったが速くなった。なるべくネイティヴに近づける。
      C:言ったことをすぐに書くという流れが良かった。
Q:一言で中学校と高校のいい共通点は?
    やることか決まっていて黒板に書いてくれる
    発音の出来ていないところを教えてくれる
    グループワーク
Q:英語に関する将来の夢は?
   A:東京オリンピックでボランティア
   B:英検3級、TOIECを取り、ホテルで働きたい
   C:スペルミスをなくしたい、英検3級取りたい
Q:先生達に一言どうぞ
    A:先生へ
        中学校ではおせわになりました。
        消防士になる夢ができた。
    B:先生へ
        中学校の時から英語の授業が楽しみでした。

        趣味から仕事へと英語を生かしてがんばろうと思います。
    C:北原先生へ
 スピードが速くて大変だったけど楽しかったから高校では座ってばかりだったらどうしようと心配だったが、良かったです。今、頑張っています。赤坂中にまた行って3年生の英語劇とかみたいです。

高校のALTの先生より
 以前から北原メソッドで教えられているので授業の対話的な授業の焦点を理解している。授業中90パーセント英語で授業をしているが、歌やスピーキングが共通点。スキットやグラマーや他によくわかっていない生徒に教えてあげている。リーダーシップ取れる。チームアクティビティ、歌、ペア活動、スキット、スピーキングでも自信がある。
高校の先生より

 Aさんを高1と高2で教えていたが高2でブレイクスルーしたBさんは高1、高2で教え、Cさんは高1で現在おしえている?初めはどの生徒も期待するほどパッとしなかった。4月の段階でガブリエル先生と一対一でテストしたが、Cさんは平均の生徒だったので、あれ?という感じだった。でも夏休み明けからbreakthroughして誰だ?この子は?というくらいかわった。満点二回取った。Bさんも高1ではなんでもなかったが、高2の11月くらいから朗読させたらとてもうまい。自分でもびっくりしていた。Definition gameも一人勝ち。Aさんも準2級取ってから自信を持ったよう。深沢高校では準2級取れたらトップレベル。中学校の先生は北原メソッドでやって来た事が確かに伸びるので、信じてやってほしい。三単現のSからやっているが、中学校時代は隠れてやり過ごしていた生徒たちばかり。北原メソッドは絶対に活動させるので、脳が活発に動いている

北原先生
幹の本を出そうと思ったのは、これで間違い無いと思ったから。誰でも出来るもの、これは長先生も同じ。音をきちんと入れることが1番。中学校英語は頭のいい悪いは関係ない→田尻先生も言っている。北原先生→中学校は知的レベルは関係ない英検で論文を書いた。楽しくやっていたら力がつくと証明したかった。

4択問題:1個ずつ入れて行ってごらん。違和感があれば×。文の意味がわからなくてもできる。くっつく音に違和感があれば違う。成績がオール1の特支学級の生徒でも出来る

・北原メソッドは音と発音を重視している
中学校レベルの英語は頭の悪い、いいは関係ないと北原先生は考える。平泉渡部論争:1975年平泉渉議員と渡部昇一上智大教授の間で行われた英語教育論争。英語は一部の人だけが学べばいいという意見。
北原先生の意見:中学レベルは知的レベルは関係ない。担当した特別支援学級の生徒は他の教科は1でも、英語はできる。音声が入っているから、4択でなんか変と違和感を感じ正解が分かる。並び替え問題も意味が分からなくても頭の中の音声を検索をかけて正解が分かる。何人もそういう生徒を見てきた。
最近3年生にスピード命と教えている。英語も早く言うトレーニングをしていかなければならない。教師もいつまでもゆっくり話していてはいけない。高校生インタビューの先生の教え子の生徒も先生の早い英語と指示についていくうちにリスニング力がついたと実感すると話していた。3年生には、スピード命、2秒経って頭の中の検索をかけて出てこなかったから、辞書を引くよう指導している。英語は数学とは違う。ゆっくり考えても分からないものは分からない。
感想:
・北原先生、皆様、発表の機会をありがとうございました。この企画の案を北原先生からいただいた時は、他の先生のようになんの結果も出していないし、自分と自分の生徒でいいのかと不安でいっぱいでした。宮根先生にはNHKのドキュメンタリーみたいでよかったと言ってもらえました。インタビュアーも中々難しくうまくできなかったので、よく生徒の話を引き出していたよと言ってもらえてとても嬉しかったです。有難いです。また、DVDの編集や撮影、事前のアンケートの内容の考案から先生に協力してもらって作成しました。
・複数の先生から高校のリーディングの授業でどのように北原メソッドを導入しているのか?音読は25回やらせるのか?100%導入しているかの?と質問をいただきました。(結構悩まれている高校、専門学校の先生もいらっしゃったので今後も情報交換を出来たらいいなと感じました)ちなみに中1の内容で苦戦している生徒に高校の教科書で教えるのは、なかなか苦戦すると思います。一昨日、個別指導した生徒はwhere,hour,teacherが読めなかったです。(彼らにとって)教科書はほぼ新出単語だからです。先日公開授業をさせていただいた際、情報、数学、美術、社会、国語の先生たちから、「あの子たちが集中して先生のいうことに反応して、立ったり、座ったり、楽しそうにやってることがとにかく驚いた。」とコメントをいただきました。ベテランの英語の先生からは、今まで色々な文法指導を見てきて、あんな方法初めて見た!全く飽きなかった!といっていただけました。

・普通の中学校では、英語の授業が苦痛で、授業が終わるのをじっと耐え忍ぶような、余り話好きではなかったり、英語が苦手な生徒達が、北原メソッドでは楽しく参加できる。生徒達が認識しているこのメソッドの特徴。・やることが決まっている。ルーティーン化。・発音の徹底・グループワーク、指導者の側からの言葉としては、ガブリエル先生の言葉が特に印象深かった。3人の生徒たちの特徴として、英語授業だけではなく、部活動などの他の場面でもリーダーの役割を果たしたり、他の生徒への手助けをして中心的な役割を果たしていると聞いて、「そうだろうなあ」と思った。それぞれの生徒は、中学時代では、トラブルをよく起こしたり、日本語を使って話している場面があったか?という生徒だったのが変化している。英語教師として、英語の力をつけるだけではなく、社会で生きるための、他の人との付き合う力、関わる力を指導することは、授業で英語と同じぐらい重要ではないかと私は考えている。目的意識を持った学習が、英語を使ったボランティアをしたいとか、消防士やホテル関係の仕事に就きたいなどの目標を見出すことにも繋がっているとも思う。

・東京都でもトップクラスの高校というわけではありません。どちらかというと、勉強が苦手な生徒が多いと思います。ただし、二次募集があるため、一次でトップ高を受検して、ダメだった生徒が入学する場合もあります。そのため、中には英語の成績が元々よかった生徒もいるらしいのですが、今回のインタビューに出てきた生徒3名は、いずれも苦手だったようです。その3名が、高校の英語でトップクラス。インタビューでも、自信をもっている様子が伝わってきました。興味深いのは、3名とも中学時代の授業で思い出される内容が、「歌」であるという事。歌は、リズムもあり、記憶に残りやすいのと、フレーズで頭に入っているという事。ネイティブの発音もそのまま脳に残るので、やはり、有効なんだなと思います。北原先生のコメントで「頭の中に検索をかけて、入ってなければできないんだから・・・」という言葉がありましたが、フレーズのまま頭の中に入ってきて、そのまま記憶に残る歌という威力は最強だなと思いました。

・別々の中学で、異なった先生より北原メソッドで学んだ3人の生徒が同じ高校に入学(それぞれ、3年生男子、2年生女子、1年生女子)。この3人へのインタビュー(ビデオで視聴)と、この高校で北原メソッドを実践する先生による、この生徒たちの学習状況の報告を聞きました。3人とも、中学の英語はほとんど「2」で「3」がたまにあるかどうかだったそうです。授業についての生徒の感想や印象としては「成績は良くなかったけれど楽しかった」「楽しかったけれど緊張感があった」「音読たくさんしてくれてスピーキングや聴きとることが伸びた」「わからなければすぐ辞書を引く、という習慣がついた」「辞書でしらべた単語には線を引くとか、よくつかうページはくしゃくしゃにする、など辞書の使い方を教わり、わからないときはすぐ先生に聞くのでなく自分で辞書を見るようになった」
「英語の歌は、先生がプリントをくれて何度も歌い、発音もやってくれてメロデイーも覚えやすく意味も頭にはいってわかりやすかった」「発音もライティングも速くするのが苦手だったが、なるべくネイティブに近い速さになっていった」「スピーキングの練習で言えたことをすぐに書く、という流れがよかった」

 将来の目標・夢は、男子3年生は、オリンピックボランティアと消防士になること、女子2年生は、英検だけでなくTOEICなどにも挑戦し、将来ホテルで働きたい。(女子1年生は声が小さく聞き取れませんでした)
 中学で教わった先生へのメッセージとしては
「お世話になりました/英語大好きで、洋楽を楽しんでいて、英語を使う仕事をしたい/高校では座ってばかりのつまらない授業かとおもったが、(また北原メソッドの授業なので)楽しく勉強できている/中学を訪問して後輩の3年生の演劇をみてみたい」――など
 この後、中学でこの生徒たちを教えた三人の先生からのコメント。一様に、3人とも英語が苦手だったことや、日本語でも口数が少なかったこと(3年男子と1年女子)ことなど、当時の様子を述べられました。
 つづいてこの高校で北原メソッドを実践する先生からのまとめのコメント。ALTの先生からは、この三人が、みな授業の中でしっかりと学習し身につける力があること、オールイングリッシュの先生の説明や指示を大方理解できていてcomfortable にすごしていること、さらにスキットや文法など他の学生を助けようとするリーダーシップ、グループ活動の姿勢が身についていることを評価していました。
 最後にこの高校で北原メソッドを実践するJTLの先生がまとめ。
 入学当初、北原メソッドで学んできた生徒とおもい期待していたが、発音、スピーキング、パフォーマンステストなどでも、あれ?という感じだった。ところが、高2のときに、この男子生徒は準2級合格(家では全く勉強していないとか)、女子生徒は、やはり2年の夏明けにと突如発音がよくなりスピーキングで満点というbreakthrough。「あれどうしたの」というと「私、最近そうなんですよ」との答え。北原メソッドを実践してまだ効果が出ず「大丈夫かな」と思う先生もいるかもしれない。できない子から、「中学の授業では、だまって座って時の経つのを待っていた」などと聞くが、北原メソッドは、絶対参加しないといけない授業で脳が常に動いている。だからあとでその蓄積が結果になるのだとおもう。
最後に、北原先生まとめのコメント。
「幹本を出そうとおもったのは、これで間違いなくできるようになる、と確信をもったから。一番のプライオリティは音!耳!だから発音にだれよりもこだわっている。自分の発音で自分の耳にインプットになる。中学レベルの英語は、頭のいい悪いは関係ないと前から言っている。1970年代に平泉―渡部の英語大論争があった。渡部氏は、「英語は『教養』」といったが、それは中学レベルでは関係ない。そのことを証明したかったから英検に論文を書いた。この時期入試問題を授業でやっていて、特別支援の子でもできる。4択問題など『選択肢の言葉を入れて読んでごらん」というと、頭のなかに入っている音(これまでの暗唱で得た)に検索かけて、聞いたことないものを消去していけば、正解できる。(たとえ意味がわからなくても)」

・Thank you all for your insight and comments on the interview of students taught by Kitaken members.
As I mentioned on Saturday, one of the main things I noticed about the students was that they are able to learn the lesson’s content by carefully paying attention and being active during class rather than by studying at home. They are accustomed to being in a class where we use 80 ~ 90% English and follow all tasks and rules with little trouble. They enjoy songs and make an effort to sing and learn the lyrics.
Compared to their classmates, students became more comfortable speaking English with me and have confidence during speaking tests and skits. They also serve as leaders in the classroom, often helping other students who struggle with the lesson’s content. In this situation called “scaffolding,” both students benefit. For the student having difficulties, a concept is made clearer to them by their peer, and for the student “teacher,” their knowledge of a particular concept is reinforced by teaching it to another.
It is evident that the “Kitahara method” positively impacted these students since their days in junior high school. I look forward to seeing them further excel in the future and hope to inspire other students to grow to like English and study it more actively.


北原先生のお宝オークション
*Let’s Karaoke2枚
*授業で使えるピンポンプー

5、教師のキャリアアップ
北原先生が今に至るまでの経緯
1977年 東京外国語大学ドイツ語学科卒業
在学中ESS所属ドラマセクションチーフ
葛飾区立綾瀬中学校教諭になる。しかし。北原先生も力で抑えていたツケがまわり、羽交い締めにされ、入院したことも。暴力は問題を解決しないとわかり、解決策を考えた。

1981年  学年教員の推薦で学年主任になる。26歳最年少だった。学年主任をした最初の年に長先生に出会った!こんなことをやっている場合じゃない!と気づいた。当時は部活で生徒たちに自己肯定感を付けようとかスーツで授業しようとかいろいろやったが、ある程度成果をあげてもそれ以上は変わらない。やはり授業をきちんとやらないとダメだと気づく。バレーの専門委員、水泳などで葛飾にいると体育関係から引っ張られるので、1年間学年主任をし、一昨年その学年の生徒と出会ったが良かった。
1982年
北原先生  墨田区錦糸中学校に移る
1985年
北原先生  墨田区第1回中学生海外短期留学生引率(米国ワイオミング州)30歳
管理職養成講座の参加を打診をされたが、子供の世話があると奥さんに言われ、断念。
1987年
(研究員、開発委員会は管理職になる人は必須)
1988年
北原先生 東京都教育開発委員になる
1989年
北原先生  英国エクスター大学大学院へ文部省海外研修
文科省中学校外国語指導資料「英語を聞くことの指導」作成協力者
日本で2回目、中学校では初めて海外研修へ
6か月行ってきた
4年文科省
1990年
北原先生は東京都立研究所基礎研究員になる。
1991年
北原先生 杉並区立和田中学校に移る
第41回全英連東京大会公開授業者
文部省中学校外国語指導資料「コミュニケーションを目指した英語の指導と評価」作成協力者
1992年
北原先生 東京都教育課程編成委員
1993年
北原先生 都中英研研究部公開授業者
1994年
北原先生 第44回全英連東京大会第2分科会発表者
文部省教育課程実施状況調査分析協力者
1995年
北原先生  第7回英検研究助成論文入選・執筆
1996年
北原先生 文部省教育課程実施状況調査分析協力者再任
1997年
北原先生  第47回全英連東京大会第3分科会発表者(スピーキング・ライティングの指導と評価)
1998年
北原先生 第10回英検研究助成論文入選・執筆共同研究者
1999年
北原先生  東京都町田市立本町田中学校へ移る
町田市市教研英語部会  公開授業者
2000年
北原先生  日本英語検定協会派遣講師
2001年
北原先生  第54回東京都中学校英語学芸大会第3位Bus Stop
2002年
北原先生 東京都狛江市立狛江第一中学校へ移る
2003年
北原先生 文科省英語教師5カ年研修講師名簿登載
新・日本英語検定協会派遣講師
2004年
英語指導技術研究会(北研)発足
2005年
北原先生 英検セミナー講師、都中英研研究部長
2006年
北原先生 東京教師道場助言者、第55回全英連東京大会ワークショップ発表者
2007年
北原先生 英検セミナー講師、英検優良団体賞受賞
第20回英検研究助成論文入選・執筆(Can-Doリストを使ったSelf-Access Learning リスト作り)
2008年
北原先生  港区立赤坂中学校教諭(英語特区拠点校)に移る
2009年
北原先生 英検セミナー講師
第58回全英連東京大会ワークショップ発表者
港区教員研究奨励論文入選
2010年
北原先生 東京都港区立赤坂中学校主任教諭
英検セミナー講師
港区教員研究奨励論文執筆および研究発表者
2012年
北原先生 英検セミナー講師
第64回東京都中学校英語学芸大会出場Run,Melos,Run
2013年
北原先生 英検セミナー講師
第66回東京都中学校英語学芸大会優勝Barefoot Gen
2014年
北原先生 英検セミナー講師、東京都教育委員会「学力向上を図るための教材作成等委員」
第67回東京都中学校英語学芸大会特別賞受賞the Diary of Anne Frank
2015年
北原先生 都英研研究部公開授業者612名参加
3月末日をもって定年退職
2016年
北原先生 再任用で赤坂中学校継続勤務
英検セミナー講師
英検奨励賞受賞
第69回東京都中学校英語学芸大会出場Night on the Milky Way Train
北研アカデミー発足
2017年
北原先生 再任用で赤坂中学校継続勤務
英検奨励賞受賞
2018年
北原先生  再任用で赤坂中学校継続勤務
上智大学文学部英文学科・愛知淑徳大学交流文化学部非常勤講師
第71回東京都中学校英語学芸大会第3位Angels With Broken Wings

講演場所と回数
本日までで557回。中学校教師としては間違いなく日本一。なぜそんなにたくさん呼ばれた?
557回のうち5つの都道府県以外はすべてリピートして講演依頼が来ている。東京都は143回、北海道は41回。

*都立高校教諭による「北原メソッド導入後の生徒の変容レポート」
アンケートの結果
英語が好き、大好きという生徒は4月から12月で39人から51人に。嫌い、大嫌いという生徒は43人から21人に。英語の授業が好き、大好きという生徒は38人から63人に。嫌い大嫌いという生徒は34人から14人に。データの考察として五段階評価で1を取るような生徒が英語が好きになった。Basic Dialogで音声から基礎を学び直し、書くことは話せたことのみというスタイルは続けて欲しいという反響が大きいとのこと。スキット作り、Q&A、ALTとのテスト、ライティングノートにより、自分の話したいことを英語に出来た達成感や楽しさを実感する生徒が多い。

・今回発表されて高校の先生に直接質問ができました。どのくらいの忠実度?で北原メソッドをやっておられるのか、と。本文の音読はさせない、ということが驚きであり発見でした。北原先生のアドバイスで、生徒のレベルに対し、教科書の語彙が、音読には向かないレベルだから、とのことでした。本文理解は、難しい単語には日本語を添えてあげたりして、生徒の負担を軽減し、あわせて4コーナーズという動きのあるグループ活動(強く勧めてくださいました!)、ピンポンブーを使ったベーシックダイアログなどは喜んでやっていることなど、教えていただきました。授業の各活動を、「A 役に立つ、楽しい、B役に立つ、つまらない  C役に立たない、楽しい、D役に立たない、つまらない」という選択肢のアンケートで答えてもらい、Dが多かった活動はなくしていくなど、生徒目線で授業をおこなう工夫をされているとのこと。音読をさせないというのは、驚きでしたが、考えて見れば、生徒目線からすると当然のことであり、そのように柔軟にやっていくこと、が大事なのだとおもいました。有益な情報をありがとうございました。