6月16日(土)第155回例会(復活35回)

0-1 生徒のパフォーマンス映像(修学旅行の思い出)

・開始前には3年生の修学旅行についてのALTとの会話映像。発音がきれいでした。持ってきたパンフレットなどを見せながら、そのお寺に何があったのかを説明していました。ALTは、とても興味深そうに話を聞きながら、さらに質問をしたりなど生徒が自然に会話できるようにしていました。

・開始前 映像 3年生「修学旅行の土産話」北原先生曰く「過去最高の出来 発音はネイティブなみ。」特に原稿を用意している様子もなく、ALTの顔を見ながら、ジェスチャーを用いて自分修学旅行で行ってきた場所について話をする。時折、Have you ever been to Kyoto? など質問を交えながら対話を進めていく。 少し詰まると、ALTがDid you eat anything interesting? What other temple did you go? などの質問をして発話の糸口を作ってくれる。ALTが、生徒の発する英語を喜んでいる温かい雰囲気を出しながら進めてくれる。I like Ginkaku-ji better. Ginkaku-ji is Japanese style. Kinkaku-ji is not Japanese style. また、金閣寺の由来について、パンフレットを見せながら語る生徒。それを聞いて驚くALT。とても自然な対話が流れていく。さらに、旅先でのちょっとしたエピソードをも上手に説明しながら対話が流れていった。

 

 

 

0-2 西城秀樹追悼「ヤングマン」

・西城秀樹追悼「ヤングマン」 サビでは振りをつけてみんなで歌いました。タイムリーな話題を扱うことは大切だと思いました。印象にも残りやすいと思います。

・勤務校での業務の都合で5分強遅れて赤坂中に到着。2階の教室にむかって階段を上るとなにやら大音響で音楽がかかっているのが聞こえてくる。入室するや、それが西城秀樹・・・ではなくVillage People のYoung Manで、参加者の先生方がみんな歌いながらあのY・M・C・Aのフリを一斉にやっていた!北原先生が、西城秀樹、訃報のニュースのあくる日に実際に授業で生徒と一緒に歌ったもので、これはいまでも「うけますねー」と。話題性のあるものを時宜をとらえて授業に取り入れ、より生徒の心に残りやすいように、という配慮とともに、英語を楽しく教えるうえで、遊び心が大切なことを学びました。

・今回の北研は、ヤングマンから、始まりました。パワフルなサウンドに圧倒されましたが、英語の歌詞をしっかりと見たのは初めてだったので、勉強になりました。

・いきなり大音量で始まり、度肝を抜かれた。赤坂中では、西城秀樹が亡くなった翌日全学年で歌ったそうだ。大いに盛り上がったらしい。北研のメンバーも「YMCA」のところで、全員で振りをしながら歌った。

歌詞カードには、Y.M.C.A / Village People released in 1978 tribute song to Hideki Saijo covered in 1979 by Hideki Saijo who passed away on May 18,2018 at the age of 63, the same age as Mr. Kitahara

・「ヤングマン」の英語バージョンをみんなで歌って踊りました。(立ってはいませんが)わくわく授業のコメントの中で、タケカワユキヒデさんも言われていたのですが、コンサート中、手拍子だけでもみんなで一緒にやると、参加している、という気持ちがとても高まるそうです。というわけで、昨日の14時半、みんなで一体感を感じました。

・初めての参加で緊張していましたが、会が始まると同時に「ヤングマン」が流れ、振付を交え元気よく皆で歌っているうちに緊張が和らぎました。改めて英語の歌の効果を実感することができました。選曲や音源のシェアの問題から英語の歌の導入をストップしていたのですが、再び取り入れてみたいと思いました。

・西城秀樹「ヤングマン」のカバー前のVillage People Y.M.C.Aを西城秀樹の曲の振り付けで歌いました。雰囲気が明るくなりました。北原先生は西城秀樹が亡くなった翌日に全学年でこの曲を行い大変盛り上がったそうです。1年生には難しいと思いましたが、常に時事的な事にアンテナを張り、このように授業に入るのも楽しくなるために大切と感銘を受けました。

・大音量とともにいきなりヤングマンのイントロが始まりました。サビはみんでおなじみの振り付けをしながら歌いました。全学年で流したとのことでしたが、passed awayという言葉も西城秀樹さんが亡くなった翌日に紹介することで、子どもたちにも意味を想像させながら教えられるんだと感じました。

 

 

 

1 随想

・ご自身の大学受験、大学生活、電車で見た大学1年生のドイツ語学習、イギリス エクセター大学留学時代のドイツ訪問、前日にみたオペラ「魔笛」、学生時代のフランス語、スペイン語学習、そして門田修平の本 と、北原先生が、語学学習に関連してつぎつぎと湧いてきた思い出やお考えを述べながら、全体が、この後取り上げられていくトピックの伏線ともなっている、といった内容でした。とくに心に残った点として、北原先生が大学1年生のときは、専攻のドイツ語を「朝三時まで」勉強されていたこと、後年、ドイツ語からしばらく離れた後通訳をすることになって三日で感覚が戻ったこと、大学2年次には、ゲルマン語であるドイツ語をやっているなら、ロマンス語もやっておくといいよ、とのことで、フランス語やスペイン語も学んでいたことなど。私個人的には、クラシック音楽が好きなので、実演で何度か聞いたことがある「魔笛」(Zauber Fl ö te)のお話がでて、Zauber という単語がベートーベンの第九のdeine zauber にでてくるあれだ!という話、それと、これもたまたま読んでいた門田修平氏の「音読とシャドーイングの科学」の話がでたので、どちらも再度、鑑賞・読み返しをちょっとしてみたいとおもいました。言語そのものに深い関心をもちつづけることの大切さ、それから、やはり言語はまず音なのだ、ということが、そこに流れているお話とおもいました。

・大学受験にまつわる北原先生の思い出話を伺いました。しっかりとオチのついた話で感心してしまいました。特に、大学の合格発表の、先生のお母さまが先生の名前を間違えた話は思わず笑ってしまいました。

・北原先生の受験大学 上智大 外国語学部英語学科 東京教育大学 東京外語大についてのエピソードが聞けた。大学で学んだドイツ語もすでに1年生レベルの単語でさえ、忘れてしまっていたが、日本人教師のための通訳を担った際に音で思い出すことができた。また、生徒さんたちとの「モーツアルトの魔笛」鑑賞の際も音で思い出すことができた。「門田修平の本」スピーキング、シャドウイングの効果について 音で入ってきて音で戻ってくる。

・北原先生のこれまでの半生を振り返り、学生時代のエピソードをいくつも紹介していただきました。大学受験の合格発表日に お母様が、「北原**」というよく似た名前を見つけて、息子が合格したと勘違いしたこと学生時代にドイツ語の通訳をしたことなど、どの話に必ずオチがあって、teacher talkのお手本として真似したい!と思いました。

・エクセター大にいるときに、ドイツ語学科だった北原先生が東京都の先生方がドイツに滞在中の通訳を引き受けたこと。ドイツ語を使用していなかったので初めはどうしようかと思ったとのことでしたが、お世話をしながらドイツ語を聞いているとだんだん堪が戻ってきたとのこと。「言語は音で入れないとダメだね~」  また幅広い興味関心があること(歌劇「魔笛」の題名ドイツ語が第九の歌詞にあったという説明)いろいろな話を聞いているうちに、私とは脳みその使用量が明らかに違うと思いました。

 

 

 

2 世界は英語だけじゃないよ② ~ゲルマン語・ロマンス語②~

①「英語の謎」岸田緑渓・早坂信・奥村直史 2018 角川文庫

はしがき

〇英語の単語にはフランス語の単語が全体の50%ぐらい入っている。本来の英語は25%ほどにすぎない。

〇11世紀にイングランドはノルマン人に占領された。占領されてから300年間はイングランドで英語が公用語ではなくなった。フランス語が支配階級の言語だったために「高級」なものと感じられて大量に英語の中に入ってきた。・ニュートン(1642-1727)は論文を英語で書かなかった。英語は「低俗」な言葉だったので高級な論文を書くにはふさわしくなかった。

②色などの共通点

〇白 white(英)、古くはwite、weiss(独)、blanc(仏・英)、vin blanc 白ワイン、Mont Blanc仏、(Monte Bianco伊)、blanco, blanca(西)

Casablanca(モロッコの都市)←casa blanca (house whiteの意)

Albion(古英)、chalk「白亜」

albus「白い」(ラテン語)、albino, Alps, albumin, album(表紙が白い)the White House

〇赤 red(英), rot(独), rouge(仏), rosso(伊), rojo(西)

〇いいえ no, not, non-, nill(英)、nein, nicht, nie, nieder(独)、non(仏)、no(西)、no(伊)、

Het(露)

〇お茶 tea(英), Tee(独), the(仏), te(西), cha(中)

→土地によって音が異なり、音が変わっていく過程が面白いと思いました。

・タイトルを見たときに、難しそうという印象がありました。しかし英語とのつながりを身近に感じることができ、言語を探求するのも面白いなと思いました。大学の講義のようで、知らず知らずのうちにワクワクしている自分がいました。言語を教える者として、広い視野を持つことの大切さを改めて感じました。授業の中で少しでも紹介することができれば、生徒も言語を学ぶことにより一層関心を引き出すことができるかなと思い、どこかで実践してみたいなと思いました。

・特に印象に残ったのは、「お茶」という語についてです。中国語、日本語などでは「cha」の音ですが、ヨーロッパでは「tea, te」など Tの音になっている。私が学生時代に学んだトルコ語では「チャイ」と言います。つまり、お茶はシルクロードを通ってトルコまで「cha」の音で進み、ヨーロッパのどこかへ入る時に「te」に変容したのではないでしょうか。言語の変遷に想像力を膨らませた楽しい時間でした。最近、授業中にフラッシュカードを使って語い指導をするとき、イギリス英語とアメリカ英語の発音の違いや、K-popファン向けにハングルの表現を少し紹介すると生徒は喜んで使おうとします。「ことばって楽しい!」 この感覚は、語学を教える者として忘れてはいけないと思います。

・いろいろな言語の色などの共通点や聞いたことのあるカタカナ言葉の語源を教えていただきました。自分自身にとって、非常に興味深い内容でした。私たちは英語科教員ですが、英語という言語にとどまらず、幅広い引き出し(=知識)を持っていることが授業を豊かにすると感じます。実はたくさんある引き出しから一部を出すことで、授業に深みが出てくると思います。そのような授業ができるような深みのある人間となるべく、精進していきたいです。(紹介していただいた本「英語の謎」は、早速地元の本屋さんで注文しました。)

・「へ~、そうなんだ!」と思いっぱなしで,興味深かったです。特に,albinoは色素のない動物などのことだと思っていましたが,ラテン語で「白い」という意味の「albus」が語源だとは初めて知りました。Albionという化粧品会社の名前も白い肌からの連想かもしれない,albumは表紙が白いから,など,言葉って面白いと思いました。

・自分は大学時代、第二外国語を取らなくていい学部だったので、第二外国語を学んでいなかったのですが、これを機に何か学びたいなと思いました。また、『英語の謎』ですが、おもしろそうなので読んでみます。類書で若林俊輔先生の『英語の素朴な疑問に答える36章』という本もおもしろいで、ぜひ。

 

 

 

2.5 じゃれマガ(えかきうた)

・この週の水曜日に配信されたじゃれマガのTopic “A Drawing Song” に因み、「かわいいコックさん」参加者から募り、ホワイトボードに歌いながら描く実演。そのあと、ドラえもん絵描き歌の英語版を、女性の先生がとてもきれいな声でうたいながら実演。童心にかえりながら英語も楽しめるひとときでした。

(1)「ぼうがいっぽんあったとさ」

・このえかき歌は、知っていましたし、小さい頃に描いてもらった記憶はありましたが、正確な節は覚えていませんでした。先生のお一人がホワイトボードに歌いながら描いてくださいましたが、本当にかわいいコックさんが完成しました。余談ですが、先日娘のために図書館で借りてきた童謡のCDの中に、この「ぼうがいっぽんあったとさ」が入っていました!家で娘と一緒に描いて遊んでいます。

(2)「ドラえもんのえかきうた」

・このえかきうたは小さいころ大好きでしたが、英語版があることは今回初めて知りました。日本語版と英語版では、歌詞が違う箇所がいくつかあり、たとえば「芽」がlollipop、「6月6日」がcherriesとなっています。ホワイトボードに英語版で描いてくださった方の歌がお上手でびっくりしました!

・じゃれマガでdrawing songについての内容だったので、すぐさま 絵描き歌 を実践「あっという間にかわいいコックさん」「どらえもん」の2つを実践し、さらにドラえもんについては英語で黒板に描いているところをビデオに収めていました。生徒にじゃれマガと一緒に月曜日に見せるのかな~。教科書を超えて、さまざまなことを授業に持ち込む柔軟な部分、工夫を目の当たりにして、これが違いだよな~~~ と感じました。

 

 

 

3 3年生のライティング

Picture describing――3年生1学期の中間テストより

(問題)別紙の絵を5文の英語で説明しなさい。ただし、The girl is Yuki. She is Japanese.のような人物紹介はだめです。難しい単語のつづり間違いは減点しません。正しい文につき2点あげます。6文以上書いてもいいです。(解答用紙の行数いっぱいまで書いていいです)ただし同じ文型は2回以上使ってはいけません)(10点配当 点取り放題)

※お寿司屋さんの店内の絵です。絵の下部には、横並びの3人の客が椅子に座って、お寿司を食べています。カウンター越しには寿司職人が2人いて、寿司を握っています。彼らの背後にはいけすがあり、メニューがかけられています。

 

(生徒が書いた英文)

The woman on the right looks happy.

I think the man on the right is tired.

The man on the left is drinking beer.

He is enjoying.

They are eating sushi.

There are two bottles on the table.

Maybe the name of the restrant is sushisuke.

Tuna is sixty yen.

The doll on the left looks like a cat.

I can see five people in the picture.

The fish behind the man are liveing.

They will die.

・1学期中間テストのpicture describingのテストの生徒の解答から学んだ。どのように訂正するか。また、どのような順番にすればより自然な描写になるかについて皆で考えた。日本人が書く英文はすぐばれる。なぜならばDiscourseがしっかりとしていないから。教師の側にきちんとした知識・技能がないと、生徒の誤りを訂正し、次につなげるような指導ができないと感じた。小中高大の連結が一番うまく行っているのは、青学、その後を追随しているのが立教。

・Picture Describingでお寿司屋で食事をしている風景を描写するというテスト。実際の生徒の回答をもとに、改善案を考えました。以下、その抜粋です。

I think the man on the right is tired. →I think a cook on the right is tired.

He is enjoying. → He is enjoying himself.

They are eating sushi → the customers eating sushi.

There are two bottles on the table. → There are two bottles on the counter.

The doll on the left looks like a cat. → The figure on the left looks like a cat.

I can see five people in this picture は文の始めに持ってくる。Discourseを意識した指導が大切!

※General → specific になっていくように文を組み立てる必要がある。

・同じ文型は、繰り返しつかっても点にならない。そしてその集計結果と北原先生の分析・講評を生徒に伝えるプリントに、つぎのようなタスクが掲載されている。「ある生徒の例(12文からなり、誤りをいくつも含むもの)をもとに、どこがおかしいかをみつけなさい」 この日の参加者もこの課題に取り組み、、思うところをランダムに発表。プリントには、文例の後につづいて13項目からなる文法・語法上の注意点が列挙されている。例えば「①人物を指すときにいきなり代名詞HeやSheを使うのはおかしいです。最初はThe man on the right/left とかThe man with glasses と言って次からはHe/ Sheといいましょう。」や「⑥テストでは言えるところからかいていきますから、順序がバラバラになりがちですが、なるべく「大きいところから小さいところへ」「全体から細部へ」説明するように心がけてください。」「⑧「~がいる・ある」という文ですが、原則的には不特定(aがつく、theがつかない)の名詞のときにはThere is a cat in the picture. とします。特定のときにはMy cat is in the picture. とします。」など、非常に懇切丁寧でした。⑥の「全体から細部へ」という観点から、この文例の12の文をならべかえる課題が参加者に与えられる。隣近所どうしで、話し合いながらやりましたが、中学生の英語とはいえ、手強いもので、悩みながら取り組みました。北原先生は、「一個一個の文がよくても流れがわるかったら良い文章とはいえない。この流れのことを英語でなんというか?」と問いました。こたえは「discourse」。(あ、discourse analysisという講義うけたことあったな、と思い出しました!)こういう言葉、英語教師は知らなくてはならない、と北原先生は指摘されました。

・describingの英文を添削しました。私と、私の隣に座った河瀬先生は、12文も書かれているだけでも驚きましたが、英文全体がストーリー性をもつように要求されていることを知り、またまた驚きました。私(たち)は箇条書きのように単発で絵の説明ができればいいと思っていました。北原先生はdiscourseが悪いと相手に理解されにくい。generalからspecificになっていないとおかしい、とも言われました。相手の視界に入ってくるものが何かを考えて順番を考えるように、とも言われました。日本文化紹介の時にはそのような視点をもって指導することは分かっていましたが、PDでもそうだったのか、と知ることができました。テストなどで、まとめて書かせるときに意識して書くように伝えたいと思いますが木曜日のテストまでに生徒ができるとは思いませんので、テストが終わってから、話そうと思います。しかし、今打ちながら思いましたが、まとまった英文を書くときにはdiscourseを意識して書くのは当たり前ですね。

・ピクチャー・ディスクライビングの活動をやっていて、その効果の大きさに驚きます。

①全員参加できる(自分のレベルで文をつくれる)

②既習事項を何度も使わせられる(生徒が習ったことを、すぐ使おうとする)

③まわりの友達が使っている表現から学ぶ(間違った文は、他の生徒に直させる)

生徒にとっては、短時間で本当に多くの学びがあります。

・授業で取り組んでいる活動をテストにも出して授業への参加を促したり、授業中の活動に積極的に参加させるサイクルを作り出していました。さらに、テスト返却の中で生徒の例を提示し、その例文を活用しておよそ⑬項目の文法的な説明やら相手意識を持った英文の書き方を紹介。説明する相手が理解しやすいように文を構成することを扱う。まず絵の全体を示す。「場所、人、場面、その後、具体的に誰が何をしているか 細部へ」GeneralからSpecificへ Discourseについてもきちんと触れて生徒に伝えていることにゴールの高さ(私自身の中にはなかったものなので)にある種の感動を覚えました。

・3年生から始めたピクチャーディスクライビングの日頃の成果を試す出題でした。昭和時代の感じが漂う寿司屋の絵を拝見して、もしかすると北原先生は“Express Yourself”という教材から出題されたのではないかと思いました。平成時代生まれは、寿司と言えば回転寿司、好きなネタはサーモンという者もいてかえって難しい出題と言えるかも知れません。一人の生徒の答案を引き合いに出して、丁寧な講評が記してありました。これを基に次回のテストに取り組めばきっと大幅な点数アップが望めるでしょう。ここまで努力されているから、生徒の力が伸びるんだと改めて思いました。個々の文で英語として不適切な箇所を指摘されるだけでなく、12文全体のまとまりや構成、ディスコースのことにまでふれておられました。多人数の生徒を相手にする日頃のピクチャーディスクライビングでは、なかなか指導しにくいことで、テストで出題してこそ可能な指導でしょう。

・例として挙がっている生徒の解答は、おかしいところを指摘するために挙げられているものですが、量も内容もよく書けていると感じました。普段の授業からしっかり取り組んでいるからだと思います。概ねよくできているものを、文法ミスからdiscourseに関することまで、徹底して改善していく。これが北原メソッドの素晴らしさだと思います。

 

 

 

4 15年ぶりに「わくわく授業」を見てみよう。

・2003年にNHKで放送された、先進的な授業の取り組みを紹介する番組「わくわく授業」を見て、今と変わらない点と、現在改善された点をグループで話し合いました。

 

(★今と変わらない点)

・ジェスチャー音読、歌、立たせて行う発音の指導、放課後の発音指導、スキットのパフォーマンスをビデオにとる、その場で見て生徒同士で採点させる、授業規律、など。

・歌で始める。

・宿題の答えあわせで答えが合っていたら、周りの生徒はリピートする。

・loveなどlやv、frなどの音を含む単語の発音は、生徒を全員起立させて一人ひとりチェックし、出来た人は座らせる、できなかったら昼休み/放課後に行う。(蛇のようにくらいついて!)

・音読はジェスチャーをともなって行う。教師のジェスチャーをみながら、再現する。

・アクションカード的なフラッシュカードの活用でcollocationなども学ばせていく。

・カードの提示の速さ

・本文音読は教科書をもって、という学習規律

・発話が多い

・テスト結果は出来るだけ早く生徒にフィードバック

・一人一人の発話量の確保・ジェスチャーリーディング・ビデオ撮影後の相互評価・ワーク答え合わせの方法(決して書かずに音声で答え合わせ。合っていれば、他の生徒もリピートする)

 

(★改善された点)

・出語の導入に使用していたリズムボックスを現在は使用していない→うるさいため

スキットのレベル・即興性が現在の方が高い など

・FCでされていた動詞と動詞のコロケーションの練習が、今のアクションカードになっていること。

 

・スキットに関しては、NHKの撮影のために、通常よりも早く生徒に取り組ませたという裏話を北原先生から伺いました。スキットのレベルが、現在の方が優れて見えたのはそのような要因もかかわっていたようです。

・個人的には番組ゲストのタケカワユキヒデさんが言っていた、先にスキットや歌などの活動があって、生徒はそれを通じて英語が上手くなり、英語を好きになっていく授業だ、という旨の発言が本質を突いていると思いました。

・また、特別支援の生徒からジェスチャーリーディングを学んだ話などを伺い、常に「生徒目線」で授業を組み立て、そこに「理論」と「データ」を加えていく大切さを再認識しました。

・2003年にNHKが取材し、放映したもの。当時赴任されていた都内の中学で1年生の授業。ゲストコメンテーターがタケカワユキヒデ氏。(北原先生と大学の同窓で、ESSで劇をやったときにも関わりがあったが、NHKはそのことは知らずにこの人選をおこなったそうです)番組のメインは中学1年生が、単元の文法を含んだ文をもとに男女のペアでオリジナルのショートスキットを作成して発表。これをビデオ撮りしたものをみんなでみながら互いに評価しあうというもの。この番組をみんなで見て、今の北原メソッドと「変わらない点」と「改善された点」を見つけよう、というのがこの日のタスク。見終わったあと、4人ひと組になり気づいた点をシェアし、そのあとグループ毎に発表。改善された点よりも圧倒的に、今と同じ点が多い、というのが私の印象でした。2003年の段階で北原メソッドはほぼ完成されていた、と言えるでしょうか。各グループから発表のあと、北原先生から、「種明かし」。NHKも結構演出する。3,4回分の授業を撮影1年生の5月おわりに、オリジナルスキットなどやったことないが、「こういうのやってます」といったら「そのスキットやりましょう」となった。時期的にやはりまだ無理があった。

・DVDで販売されているものと違って、テレビで放映されたものには、タケカワユキヒデ氏が、感想や解説を述べており、とてもためになった。タケカワユキヒデ氏がどのように英語を自分のものにしていったかを語る。ビートルズのレコードと一緒に歌い、向こうの声が聞こえるとずれている証拠である。ちょっとでもずれていると気分が悪く、何度でも練習を重ねた。 小学校高学年から中学校にかけて音から入っていった。

・ビデオの前半を見終わり、再びタケカワユキヒデ氏の登場、感想を述べる。「立ち上がったり、歌ったり、ジェスチャーしたり参加できるから、皆楽しそうで、いきいきしている」「授業中何もしないでいるのはつらいだろう」「歌詞を忘れたとき、どうやって歌詞を入れるか? 体の動きと一緒に覚えた歌 詞は忘れない」「ほんのちょっとした動き 歩いたり右を見たり左を見たりするだけで 覚える。ただ、ふだんとちがうことをすると忘れてしまう」「ジェスチャーと一緒に覚えるのは理にかなっている」

・自分たちでオリジナルのスキットを作り発表。タケカワユキヒデ氏の感想

「スキットがとても楽しそう」「人前でビデオで撮られるのは恥ずかしいそれでも前置きがたくさんあり、参加するのが当たり前になっているから平気何かやらないと気が済まない状態に誘導していくのが上手なのでは。」タケカワ氏も、お客に参加してもらうだけで、手拍子だけでも明るくなるロックコンサートでも参加できるか参加できないのかが大きい参加するイベント続きだから、イベントがメイン知らないうちに英語がはいっていて好きになっている それが大切

・特別支援学級の生徒は、昼休み北原先生と遊ぶのが好きであった。作文に雨の日に先生が卓球しに来てくれると書いてあったそうだ。また、ジェスチャーリーディングをやる中で、「ライブラリー」の動きは彼らが教えてくれた。

・ピクチャーディスクライビングも教師がいちいち説明するのではなく、子供の目線で言える表現は言わせて発話量を増やす。北原メソッドの「終わったら立つ」も当時ならありえない。「生徒に何をさせる」と言って、校長教頭に叱られた。

・同じ発音の単語を書かせる際も、1つ書いたら右向き、2つ書いたらさらにもう1回右向きというように机の向きを変えることでより生徒の理解を把握しやすくなる このように常に子供たちからデータを取っている。

・子供たちの目線で見れば変わることがある

「この子たちができない ではなく一緒に走りたい」

・種明かし&北原先生の解説:1年生の1学期にスキット発表はしていない。そのため、発音で未熟なところがある。子ども目線で考える。先生が言えるものを生徒に言わせる。子どもとおしゃべりをして情報を得る。「生徒目線」「理論」「データ」が大切。スキットの発表では、最初は派手なパフォーマンスが生徒の票数を獲得するが、だんだんと生徒の見る目もレベルが上がり、北原先生と評価が一致してくる。面白いことが当たり前になってきて全体のレベルが上がっているからである。当時の映像では、北原先生の笑顔が印象的だった。生徒に指導する時間が多くあったため、表情が柔らかかった可能性がある。現在は生徒に指導する時間よりも、生徒が活動する時間が多い。

・学んだこと:当時の北原先生の授業を受けていた生徒のコメント「当てられても先生がたくさんフォローしてくれる」「参加できるから楽しい」、タケカワユキヒデさんのコメント「先生と生徒が一緒になって参加している。参加が当たり前になっている。歌うときに観客に手拍子してもらうだけでも違う。何かやらないと気が済まない。イベント続きで、一緒に楽しもうとしている。知らないうちに英語が好きになっている。」

・ゲストがタケカワユキヒデさん(大学時代に同じESSで活動していた旧知の中とのことでしたが)タケカワさんの話から「体の動きを一緒に覚えた歌詞はその動作をすると思いだせる。ステージで:動作(右手をあげる、左を向くなど)で歌詞を引き出す。授業で:ジェスチャーも英語を引き出すことができるんでしょう。」「参加できると気持ちがのる、楽しい。コンサートで:手拍子をする場面を入れると、お客さんの表情が明るく、楽しそうになる。授業で:スキットなど参加できるのが楽しくて英語が好きになる。」

・「わくわく授業」は、自分でDVDを購入し、何度か拝見しましたが、今回はタケカワユキヒデさんも出演されたテレビ放送版を見せていただきました。タケカワさんが「英語の歌はそっくり真似た。自分がそっくりに歌っていれば歌手の声は聞こえないが、歌えていないとずれて聞こえる」と言われ、とても心に残りました。狛江一中のビデオでは、今ちょうど生徒を相手に「オールド マクドナルド ハド ア ファーム」をやっているところでしたので、手でリズムを取って歌わせるところなど大変参考になり、翌日からすぐに取り入れました。また先生は生徒にとって歌いにくいと思える所を御自分が口を動かしてきちんと伝えておられたので、まだまだ自分の指導など遠く及ばないと痛感しました。また日頃はあまりなさらないそうですが、中学1年生が非常に短いオリジナル・スキットを作って演じているのを見て感心しました。間違った表現はその場ですぐに直されるのもとても良いと思いました。私は今年中学1年生が2名いるので、Program 2の由紀とマイクの台詞の実写版をやらせたのですが、オリジナルスキットの方がいいと思いました。またビデオの中で先生が「逆転現象」のことに言及されていました。生徒が自己表現を英語で言い換える、それは決して知的な作業ではなく楽しく自信につながる。私のように特別支援学校に勤務する者にとって英語の活動のこのような特性に注目し活用することはとても大切です。

 

 

5 北原先生からの話

・「日本で最初に(北原先生が)やったものがある。2003年の段階。ジェスチャーなどまだ誰もやってなかった。当時の勤務校で特別支援学級の生徒とよく昼休みに遊んでいた。その生徒たちからlibraryのジェスチャーを学んだ。」「ジェスチャ-リーディングや、ピクチャーディスクライビングなどは、海外の文献よんでそのまま実践にとりいれたのでなく、子供目線でどうしたらわかるか、できるようになるか、懸命に考え、言えることは言わせてみよう、とおもいはじまったもの。」「今はよく見る、おわったら立たせることなど当時はなかった。生徒が立てば、おわっていない生徒が誰かわかるのでそこに行けばいいし、まわりの子もそこに集まってくる」

・「わたしの教師生命が終わろうとしている。この北研のメンバーで引き継いでもらいたい。裾野がひろがってきて、支部も各地にでき、北研アカデミーでは非常にハードな課題を与えている」 「なんとか、つなげてください!」「これ以上良い方法があれば結構だが、いまのところない」「大事にしているもの、1)生徒目線、2)理論、3)データ、これ以上大事なものない。あ、それとビール(笑)」「一番できない生徒が、高校にいってトップになる、これは本当の話。」「わくわく授業のこの学年3年のとき、準2級16%に上がり確信した」

・北原先生が大事にされている3つのことは、「生徒目線」「理論」「データ」北研のメンバーでこれらのことを引き継いでくれないと困る、と(机をたたいて)熱く言われました。私は心の中で「はい、分かりました。」と返事しました。

・北原先生から、語気を強めて、「私の教員生活も、あと少し。北研メンバーで、引き継いでもらわないと困る」 大事にしてきたのは、①生徒目線、②理論、③データ。「終わったら立つ」という手法も、始めた当時は、「何をしてるんだ?」と言われたそうです。

・最後に,北原先生より北研メンバーにメッセージがありました。北研は2004年から始まり今も続いていて,なんとか引き継いでいってもらいたい。子どもたちの目線で見れば,何かが変わることがあるのかも知れない。①生徒目線②理論③データの3つがあれば大丈夫。という熱いメッセージでした。子どもだったらどう思うか?と常に考え授業をしていきたいと改めて思いました。

・1 子供目線、2 理論、3 データ。これ以上大切なものはないと思っている。この3つを大事にしていれば絶対(生徒は)伸びてくる。「その子たち」ができるようにったのは誇りに思うし、誰でもできる。長先生が昔おっしゃった「(できるようになったのは)生徒たちが努力したからだ」という言葉も思い出しました。生徒には涙が出るほど嬉しいし、後を追って歩む者には確信となりますね。

 

 

 

6 感想

・今回の北研もありがとうございました。普段、勤務校では授業方法について、教員間で話し合うような雰囲気もなく、自分が孤立したように感じることもあるので、北研では毎回、元気をいただいております。今後ともよろしくお願いいたします。

・北研合宿 長崎支部 島田さんが中心で8月25,26日に開催。

最近、少し疲れ気味でしたが、北研に参加させていただき、元気をもらうことができました。

また、がんばります。北原先生、そして北研の皆さま、ありがとうございました。

・7月7日は北原先生のおすすめの内容。

9月には、「1学期のパフォーマンス映像がたまったので一気にご覧いただきます。想像通りで、今年の3年生は素晴らしいです。」

・自分の担当する中学3年のことですが、今週に1学期のまとめ活動としてサンシャインに出てくる「有名人にインタビュー」をやりました。生徒が選んだ有名人は、ニャンちゅう、西郷どん、ジャニーズの社長、きゅうりの妖精、など。私が予想もしない人(?)たちばかりでした。生徒がインタビューを心から楽しんでいるのが見ていてわかりました。教科書を使いつつ、生徒の発想を取り入れて、楽しく英語を使わせる、まさに生徒目線を大切にする北原メソッドの力を実感しました。英語は、単語を暗記したり、文法書と向き合う、そんなつまらない苦行ではない。楽しく自然に身に付けるものだ、その環境を用意してあげるのが英語教員なのだ改めて感じました。北研で地道に学び続ければ、必ず生徒の力がつく授業、生徒が楽しみながら学べる授業ができるようになります。私自身がそうでした。学校経営、学級経営、生徒指導、部活動、いろいろ、本当にいろいろありますが、英語の授業をやる時が一番楽しいです。力をつけていく生徒を見るのが本当に楽しみです。皆さん共に力をつけ、学んでいきましょう!

・4月から自分のチャレンジとしてジェスチャーリーディングをしています。これについては継続をしていけそうな予感があります(笑)またテスト返却を翌日にすることと、テスト分析もして生徒に戻しました。しかし、扱い方が効果的だったかどうかは、わかりません。

・この日のレジュメを見ながら、何かがひっかかっていたワタシ(妙に振り返りモードでして)。北原先生、ヒデキ、タケカワユキヒデ。この3人に2つはある共通点:同い年(くらい)、東京外語卒、シンガー(ヴォーカリスト)。そしてここにもう1人足したら共通点が増える。英語教師。「人見元基」さんです。世界的なレベルの歌のうまさとすごい声。探してみて下さい♪