2016年2月20日(土)北研例会第129回例会報告
1 英語劇練習
役者の皆さんが12:00に集まり、英語科室にて立ち稽古。その後照明や音響も加わり体育館で練習をしました。例会以外でなかなか全員で集まって練習をする機会を持てないのですが、スカイプで練習を重ねてこられました。その効果もあって、完成度がぐっと上がっています。
(先生方の感想)
・それぞれの先生方が「プロ」でした。それぞれのキャラクターに合わせられた衣装を身にまとい、ご自身の人格を離れて「その人」となって演じられている姿に目が釘付けになりました。台詞、動き等々、何をとっても1人ひとりが個性的で、魅力ある人物に感じました。
・北原先生からはスポットライトを浴びに行くくらい目立って存在感を出すようアドバイスをいただきました。また、全体的に声が聞こえないこととnotが脱落することが本番までの課題です。電話が鳴って「Shall I answer?」とmanに尋ねるシーンは電話が鳴って全員が固まり、電話の方を見るという間を十分に取るといいとご指導いただきました。またmanが恋人と電話をしてhello hello…といいって受話器を置くところも間がなくDid she hang up?と入れてしまっていたので、間を取るべきところとかぶせていくところをうまく使い分けていきます。
・高速読み合わせ
演技はつけず座った状態で高速で台詞を言っていく練習です。自分の前の人の台詞をマーカーを引いて頭に入れ、前後のつながりを全員で確認でき、とてもいい練習だなと感じました。
・1回目、セリフと段取りがまだまだでした。北原先生の激がとび、役者の動きや間合いなどのアドバイスをいただき、高速で台本読み合わせ。自分のセリフの前後のセリフもアンダーラインをつけて 確認して読み合わせをしました。(私も、最初から前のセリフにラインをひき、前のセリフと一緒に覚えていましたが、あとのセリフのチェックはまだでした。いい方法だと思いました)2回目リハーサル。絡み方や細かい動きをとめて練習しました。1回目のリハより、格段によくなっていました。課題は「アイコンタクト」と「感情入れ」私たちがいつも生徒たちに求めているもの、そのものです。
・12時から4時まで、息次ぐ間もなく、緊迫感漂う、中身の濃い、真剣度100%の練習ができました。役者のみなさん、スタッフのみなさん、ありがとうございます。10月の発足~2月の練習まで、計5回の練習で、完成された芝居が上演できたら、まさに「奇跡」です。限られた回数、時間の中で、私たちはさまざまな練習方法を「必然的」に生み出しました。夜10時ごろからのスカイプでの練習。2時間の練習のための休日の新幹線での上京。役者は各自、自宅で、学校で自分のセリフや芝居をビデオでとって、演出担当に全員提出。演出担当からは全員にフィードバックを通信でお届けしました。集中して、限られた時間の中で、疲れた体に鞭を打ちながら、みな練習に励んでいます。どうぞみなさま、ご覧いただけたらありがたいです。
・キャストの皆さんが、服装や小物に工夫を凝らして、登場人物になりきっていました。最初のリハのあと、北原先生から「自分の前のセリフをよく聞くように」と、指導が入りました。自分のセリフだけでなく、全体の話の流れが頭に入っていないと、自分の前のセリフにすぐに反応できないので、全体の流れをしっかり頭に叩き込むようにしなければと思います。また、細かな動きの確認をしながら、とおしリハを繰り返しました。長男役の自分の場合、男の足を引っかけるときの立ち位置、引っかけた後の財布を盗み取る動き、盗んだ後のしぐさなど、細かな動きをつけました。台本にはすべて書かれているわけではないので、キャストが工夫したり、プロデューサーから指示を受けたりして、舞台の動きは仕上がっていくのだという演劇が完成するまでの道のりがわかりました。北原先生からは、「本番では役に入り込むから、一番いい演技ができる」と背中を押していただきました。
・顔にファンデーションを塗って臨みました。体育館の後方からステージの方に向かって発声練習をしました。萩先生に送るビデオを収録するために台詞の練習を重ねたのが功を奏したのか、演技はともかく台詞は余裕を持って言えるようになりました。しかし、自分の台詞と台詞の間が適当な大きさでないと他のキャストの先生がうまく台詞を挟めなくなってしまうことも自覚しました。他の先生方の演技にも目が向くようになり、演技の途中からもっと演技がうまくなりたいと思うようになりました。1回目の練習の後、北原先生からキャストに演技の諸注意がありましたが、恋人に電話をかける場面では、左手で受話器を持ち、右手でダイヤルを操ったり、キャストに肘で拒否するそぶりをしたり等細かい演技指導がありました。この日の練習の模様はビデオで見返すことができていません。申し訳なくまたありがたく思いますが、萩先生がDVDを送って下さるそうですのでしっかり反省すべき点を見直して当日を迎えたいです。北原先生や萩先生がご覧になって、まだまだ私の台詞にも演技にも課題は山積みなのでしょうが、体育館の後方にも届くように大きな声を出したいです。発音や滑舌、本番の緊張による台詞のど忘れなど不安要素はたくさんありますが、やるだけのことはやりたいと思います。この劇のことは赤坂中学校のホームページにも、英語教育の3月号にも載っています。金子先生や江淵先生が尽力して下さった美しいポスターにもこの劇に賭ける人達の思いが込められています。後には引けないなと改めて思いました。
2 通常の例会(4時半頃より)
(1)授業効果の検証
北原先生の生徒が書いたことをもとに授業効果の検証をしたものをご紹介頂きました。分析通り、2、3年生ともに授業で狙った効果が確認できたそうです。北原メソッドの3本柱の1つは「データ取り」です。
3年生2学期指導の重点
・大量のリーディング(じゃれマガ・読みトレ・教科書のExtensive Reading系をたくさん 他)
・即興スピーキング(赤坂中紹介・日本文化紹介)
・文法の復習(リーディング教材を通して)
・連語、熟語の拡充(『お助けブック』、受験用60秒クイズ、リーディング教材を通して)
「できるようになったこと」に関する記述
1位(即興)スピーキング(13人)
2位 リーディング(12人)
3位 文法(10人)
4位 連語・熟語、語彙(7人)
5位 リスニング(6人)
5位 ライティング(6人)
5位 英語劇(6人)
関心・意欲・態度(4人)
個性的な自学(3人)
発音(3人)
辞書(2人)
フォニックス(2人)
2年生2学期指導の重点
・大量のスピーキング(教科書Basic Dialog, Power-up Speaking, Talk&Talk …他多数)
・丁寧な語彙指導
・文法の復習(リーディング教材を通して)
・ディクテーション
「できるようになったこと」に関する記述
1位(即興)スピーキング(18名)
2位 関心・意欲・態度(11名)
3位 ライティング(7名)
4位 語彙(7名)
5位 文法(6名)
6位 辞書(5名)
7位 定期テスト(4名)
7位 リスニング(4名)
10位 発音(3名)
11位 英語の歌(1名)
(先生方の感想・考察)
・自分が今回一番参考になったのは「指導の重点」です。2年生と3年生では違います。当たり前と言ってはそれまでなのですが、より明確になりました。一番の違いは2年生は「大量のスピーキング」で3年生は「大量のリーディング」だと言うことです。おそらく1年生は「大量の音読(リスニング)」だろうと考えます。時間は限られていますから、学年や学期によって重点を変えるのがやはり大切だろうと思いました。”4技能をバランス良く”とはよく言いますが、1年生からライティングに力を入れるよりは、北原メソッドのように少しずつスピーキングからライティングに重点をシフトしていく方が生徒の負担が少ないと感じます。1年生ではとにかく音読をガッチリやる。その代わりライティングまでは求めない。2年生では音読で築いた英語回路をもとにスピーキングをガッチリやる。語彙を増やし表現力を高める。ライティングに関しては「言ったことが書ける」ことを求める。3年生ではそれまでに築いた音声言語のベースを基に文字言語にシフトする。リーディングとライティングの正確さを求めていく。大学の時に勉強した「BICSからCALPへの流れ」が目の前に現れたようでした。北原メソッドは実践して研究すればするほど、理論と合致したものであるとわかります。すぐれた理論は世の中にごまんとありますが、公立中学の実践でその理論が機能している例は多くはありません。これからも理論と実践との融合を目指し、北原メソッドを学び続けていきたいと思います。
・私は生徒に振り返りは書かせていましたが、学期ごとの指導の重点を考えていなかったので、せっかく取ったデータを生かしきれていなかったことに気づかされました。教師の思いと生徒の思いが合致したとき素晴らしい結果が生まれるのですね。
・私は12月に職場復帰してから、ちょくちょく生徒の色々な声が耳に入ってきていたのですが(フラッシュカードに対して「なんでこんなことすんの?」「単語はそんなにやらんでいい」等)、北原先生から1月にいただいたお言葉で、「どの層の生徒がそう言っているのかデータでとったらいいじゃん。」の一言で「そうだ!」と思いました。データで残しておけば、今後どのような状況でどのような指導、活動をしたらいいか等々、わかるようにもなりますよね。「生徒の声を聞く」ことで見えてくるものは多いですよね。(今年度最後に授業のアンケートを取るのが少し楽しみになっております。)
・このようにまとめると、その学年ごとの到達目標に達成できたかどうかが客観的に分かる。生徒の声を聴くということはこのようなことである。1年生で大量のしかも正確で丁寧な発音指導を行い、2年生でそれらを使ってスピーキングにつなげる。そして3年生でライティングにもっていく。ゴールから逆算した大きな流れが見えています。生徒の声を聴き、データ化して記録を取っておく。自分の授業の振り返りができるので、データ化しておこうと思います。
・いただいた資料を見て最初に感じたことは、「データを残し、分析することの大切さ」と「バックワードデザインの大切さ」です。学年、学期ごとにどのような力をつける必要があるのか、そのためにこの学年のこの時期でどんな活動を行うのか、北原メソッドはこれまで北原先生がとられてきた膨大なデータにより、理にかなった状態で提示されています。(4冊の「幹本」)これほど、ありがたいことはありません。この後は我々が自分の目の前にいる生徒と向き合いながら、データを自分で積み上げていくことで、北原メソッドの効果を実証していくことが我々の使命であると考えます。
・2学期の指導の重点、ここを見て気づくのは、大量リーディング、計画的な即興スピーキング、リーディングを通しての文法の復習、そしてこの時期、得点力を確実に上げるための連語、熟語などの指導にフォーカスして指導が行われているところです。まさに本物の英語力をぐんと上げるための「北原式インテンシブ・コース」の骨格をここに見ることができると思いました。北原先生の指導の骨頂は、効果的な学習をセグメントして指導⇒データを取る⇒検証⇒また次の指導にデータを生かす、の繰り返しです。それを積み重ねて、研磨することで「北原メソッド」が構築されました。よって、「北原メソッド」を忠実に追試することで、誰でもある程度までの手ごたえが得られます。そして、北原先生と同じように「データをとる」「検証⇒フィードバック」を積み重ねることで、私たちなりに、生徒を育てることができるようになるのだと思います。逆にいうと、その「愚直な努力の積み重ね」でしか、北原先生の実践や結果に近づけないのだと、あらためてそんな思いを深くしました。北原実践から生まれる「生徒の事実」は、どれもみな、実にダイナミックで実践的で、ドラマチック。胸がえぐられます。中学の英語で、ここまでの事実を生み出すことが現実にあることに。その後の生徒の人生に、大きな影響をもたらしています。こんな本物のコメントを生徒からいただけるような指導を目指したいと思います。北原先生が、英語を「実技教科」としてとらえ、授業を3年間、1年間、1学期のスパンで「指導の重点」を組み合わせながら構想され、実際に指導をされているゆえ出てくる「生徒の顕著な事実」でした。
・どの声からも、できるようになったことに対する「あふれる自信」が感じられます。その自信を文字にして、生徒自身や下級生にフィードバックすることで、生徒はますます自信がつき、また、下級生は上級生たちを目指して、さらに励むと思います。
(2)助動詞の復習
北原先生のクラスでは教科書を一通り終えた後は、前に戻って教科書の内容を復習します。授業効果の検証で2年生生徒が「助動詞の使い方がわかった」とあったので、実際に最近の授業を再現してみたとのことです。2月12日、バレンタインデー直前の授業で、この前日の朝、生活指導主任のMr.Eggから生徒に「チョコなどは学校に持ってきてはいけない。見つけたら没収する」というおふれが出ました。それを使っての授業です。
Friday, February 12, cloudy
Program 3-2
「北原先生、強引だからなあ・・・」
We must bring a Valentine chocolate for Mr. K.
「あげたくないけどチョコ持ってこないと成績下げるよ、って言われちゃった」
I have to bring a Valentine chocolate for Mr. K.
「E先生から文書が出たから・・・」
Mr. Egg said that we must not bring a Valentine chocolate for Mr. K.
「みんな持ってきてくれるからおまえはいいよ、って言われちゃった」
I don’t have to bring a Valentine chocolate for Mr. K.
上の太字の部分は最初空欄になっていて、何を書き入れるか生徒に考えさせます。
最初のmustの部分には他にmay, will, can, shouldなどの答えが考えられます。
(先生方の感想・考察)
・人間関係と場面・状況を作っての助動詞の文法説明。とてもわかりやすく、これならそれぞれの違いが頭に落ちやすいと思いました。このような指導のアイデア、少しずつストックしていきたいです。
・説明を一切せずに、「そういう状況だからあげざるをえない」という場面で使うものを考えさせる。状況から使い分けができるようになります。やってみて、頭をフル回転させていました。これかな、あれかなと助動詞が頭の中をぐるぐる回りました。とても楽しく復習ができました。
・状況が分かっているから、分かりやすく文法の復習ができる。教師の日本語での余計な説明がいらない。“must”と”have to”の使い方の違いも感覚でつかむことができる
・have toとmustの違いを2月という指導時期に合わせてバレンタインをテーマに話してくださいました。シンプルな言葉で使用場面を説明し、生徒に考えさせることで、私自身も違いがすっきりと頭に入ってきました。なんとなくこの表現を使うというのではなく、教師がプロ意識をしっかりと持ち、文法についても正しい知識を持って説明できなくてはいけないと改めて思いました。
・場面設定を行うことで、英語が生きてくるのだと思いました。