11月9日(土)第170回例会報告

11月北研例会概要

・午前中は北原先生の2年生の授業が公開されていた。

0-1 どういう意味?

0-2こんな英語表現知ってた?じゃれマガ2019/11/01(金)より

0-3 上智大学生の疑問 レジュメより抜粋

1 北原先生の公開授業のビデオ研究

(1)都中英研研究部公開授業 1993.02.18 2年生

(2)全英連公開授業 1991.11.16  1年生

0-1 どういう意味?

・I wanna hold your hands  →「手を繋ぎたい」なのに邦題だと「抱きしめたい」になる。なぜ?

・Long walkってどう言う意味?隣の人と話して。→遠回りくらいの意味。徘徊老人じゃないよ。

・The Long Walk・・・日本語だと「脱出記」になっている。遠回りしてしまった感じではないのか?日本語になるとだいぶ変わってしまう。

・The Long Walk(第二次世界大戦中、旧ソ連シベリアに収容されたヨーロッパの人たちの『脱出記』)

・ちょうど授業でジブリの映画が英題でどのように訳されているのかを紹介したばかりでしたので逆バージョンも面白いなと思いました。

・洋楽の邦題は結構すごいのがありますよね。ビートルズの場合は、EMIミュージック・ジャパンのディレクターであり、ビートルズの日本における初代ディレクターを務めた高嶋引之氏が名付けたのだそうです。「僕は外資系の会社の社長までやったわりには英語があまり出来ないので、知った事じゃないと。だって、曲を聴いた時にそうひらめいたんだから。そういうイメージが僕の頭の中に広がったんだからしょうがない。」

ちなみに彼の娘はヴァイオリニストの高嶋ちさ子さんです。

・「脱出記」と「抱きしめたい」が日本語のタイトル。 「遠回りしちゃったよ」と「手をつなぎたい」ぐらいで良いだろうに。The Long Walk は第二次世界大戦当時のソ連の収容所から脱出したポーランド人がシベリアから脱出してインドへ行く話。北原先生は中学生時代、I want to~を習ったときに wanna を知ったとのこと。また、The Beatles のI Wanna Hold Your Handsは「手をつなぎたい」だろうにすぐに「抱きしめたい」に進むのか?と日本語タイトルの意訳に困惑。

・『脱出記』と『抱きしめたい』「日本語のタイトルって大げさすぎない?」っておっしゃてました。「手をつなぐといきなり抱きしめたくなるのかなって思ってた」っておっしゃてたので笑ってしまいました。確かに~。と思いつつも、最近の洋楽はタイトルはほぼそのまま英語で入ってきているのでこの訳す文化がなんだか、いいな~とも思います。タイトルって、歌や文学を表す、顔の部分というか、その歌や文学の本質を一言で表すので訳って難しいなと思います。『Scarlet Letter(緋文字)』なんかは、邦題では訳しきれない宗教的な文化的背景がありますし、『The Catcher in the Rye(ライ麦畑でつかまえて)』は原題と邦題では逆の印象があります。昔、翻訳家にあこがれていましたが、本当に言語って難しいですよね。

0-2こんな英語表現知ってた?じゃれマガ2019/11/01(金)より

I got a call from my son saying that his wife had gone into labor. He was taking her to the hospital. My husband booked plane tickets right away. When we got there the next day, we met our granddaughter. We were over the moon! Recently, many husbands are in the delivery room when the baby is delivered, but my son was not going to be with his wife. She accepted that, but the two maternity nurses didn’t let him say “No.” His wife was very nervous, and her mother could not come to the hospital. In the end, my son got to witness the birth. I believe it is good training for a father.

(孫の誕生を喜ぶお話の中の語彙です。)

gone into labor.→産気づく

over the moon →大喜びして

delivery room →分娩室

the baby is delivered  →赤ちゃんが出産される、産まれる

・欧米の宗教を基礎として考え方から、babyは神が授けてくれたからdeliverと使うのでしょうか。

・delivery と deliver に出産の意味があるのは知っていましたが、over the moonに「非常に幸せで」とか「大喜びして」、という意味があるのを初めて知りました。「嬉しくて飛び上がって、月を超えるほど」ということなんですね。勉強になりました。

・これを早速、応用して、メーリスでみんなで使うようお孫さんの誕生を英語でご報告してくださった北原先生はさすがだなと思いました。お祝いの表現など普段使わないからわからないなと思いました。もっと英語でやり取りする機会を作らなければと思いました。

・この例会の翌日に北原先生がここに出てきた表現を使って孫の誕生について書かれました。学習した表現をすぐに使うという学習のお手本だと思いました。

・moonは色々な慣用句がありますね。歌詞によく出てくるのは once in a blue moonですがask for the moonやpromise someone the moon、pay a person athe moonなんかもあります。調べてみるとmoonは「手の届かない存在」というメタファーがあるそうです。moon自体も動詞ではふらふらさまよい歩くなどの意味もありますね。簡単な語ほど奥が深いなあ。

0-3 上智大学生の疑問 レジュメより抜粋

・「なぜ赤坂中はライティングが少ないのか」と疑問をいただいたようです。Bパターンの授業だけを見た人はそう感じるのかも知れません。ライティングに特化したタスクも行っているし、ライティングノート月100文、長期休業中は200文を書いているので、実際は日本で一番書いている英文が多いのが赤坂中でしょう。英検準2級取得率や都学力調査の結果がそれを裏付けています。

・なぜ赤坂中学校はライティングが少ないのか。 →なんでもたくさん書かせる伝統的指導法を打ちこわすために北原メソッドは作られた。1年生冬から毎月100文、長期休業中は200文ライティングノートに書く。3年1学期末までに2800文書くことになる。卒業直前には英語文集を作成する。英検取得数で語数が違う。30年間の結論として、1年生1、2学期は聞く、話すが中心。3学期から2年生で「読む・書く」の比率を増やす。3年では「読む・書く」の比率が「聞く・話す」より高くなる。ということが実証された。

・なぜ赤坂中は「ライティングが少ない」のか?についてプリント。決して少ないわけではなく、3年間を見通していつ、どの時期に何をすべきかを計画されているからである。1年では音読指導をしっかりと行うことが第一で、むやみやたらに書かせることから始めない、ということである。

・北原メソッドは「赤ちゃんが言葉を覚えるように」という視点で指導している。音声指導が十分にできた状態での文字指導。そのため、1年生からたくさん書かせるのではなく、音声を十分に聞いて、真似して発話できることに時間をかける。北原メソッドでは、1年生の1、2学期は「聞く・話す」を中心に、3学期から2年生で「読む・書く」の比率を増やし、3年生では「読む・書く」の比率が話すより高くなっている。一場面を切り取ったら、わからないことが多いと思うが、ライティングノート等を含めると北原メソッドはライティングが多いのではないかと思う。また、3年生の学年末テストは先生へのメッセージを書くなど、書く力が鍛えられていると思う。

・(レジメより)北原メソッドはコスパの悪い勉強法を生徒に強いる日本の「伝統的指導法」をぶち壊すために誕生しました。悪い指導法はいくつもありますが、その一つが「なんでもたくさん、1年生から書かせる」ことにあります。「赤ちゃんが言葉を覚えるように」指導する北原メソッドではまずは音声を十分に聞かせ、真似して発話させることに時間をかけます。そして、「言えるようになったこと」を書かせます。

・ライティングノート・・・1年冬から始めたライティングノートは、3年1学期末に全員2800文書く。毎月100文、長期休業中は200文。(詳しくは下巻4章3節。ただ書くのではないことに注意しましょう!) 卒業直前には英検の取得級によって、最低の文数が違う。(級なし0文、5級40文、4級50文、3級60文、準2級70文、2級80文、準1級90文!)すごいレベルです。これだけ書ければ、世界に対して「日本で中3終えたレベルは、これだけできます!」と言えそうですね。

○なぜ赤坂中は「ライティングが少ない」のか?

1 アルファベット大文字・小文字が書ける can write the alphabets (小学校)

2 単語が書ける(発音通りのつづりの語が書ける)つづり間違いは許容する can write words (spelling mistakes are not important) (小学校)(中1)

3 句が書ける(アクションカードの動詞句など) can write phrases (中1)

4 文が書ける can write sentences

・コピーできる can copy

・横方向へコピーできる(教科書→ノート) can copy horizontally (textbook to notebook) (中1)

・縦方向へコピーできる(黒板→ノート)※障がいのある子には特に難しい can copy vertically (blackboard to

notebook) (中1)

・言えた文が書ける(常にスピーキングが先行) can write what Ss can say (中1)

・オリジナルの文が書ける can write original sentences (中2~中3)

5 文章が書ける can write passages (中2~中3)

結論:北原メソッドでは1年生の1,2学期は「聞く・話す」を中心に、3学期から2年生で「読む・書く」の比率を増やし、3年生では「読む・書く」の比率が聞く・話すより高くなっています。

・ “北原メソッドはコスパの悪い勉強法を生徒に強いる日本の「伝統的指導法」をぶち壊すために誕生しました。悪い指導法はいくつもありますが、その1つが「なんでも、たくさん、1年生から書かせる」ことにあります。”いわゆる悪い指導法を受けてきた人たち(北原メソッドに出会うまでの私も)、悪い刷り込みがたくさんされてきているので、そこから抜け出すまでには多少の時間が必要だと思います。でも、北原メソッドでのデータを見れば、もう悪い指導法は「悪い」と断言できるようになると感じます。現在T2の授業で1年生に入っていますが、最初からろくに教科書が読めないのに(毎回フリガナプリントを配布し、クラスの大半がそれを読んでいるような状態で)本文写し、単語テスト…。生徒が気の毒でなりません。どの先生(どのような指導法)に出会うかで、生徒の英語学習が始まると思うと、これはまさに悲劇ではないかと思うほどです。優秀な上智大学生ですら、悲しい英語の授業を受けてきた学生ばかりのようですが、始めは北原メソッドに対し半信半疑(特に後期受講の学生)だそうです。しかし、これまでのお話を聞いてきた限り、その優秀さ故に、北原メソッドの理解も飲み込みも早いだろうと想像します。彼ら彼女らがまた新たに英語教育会を北原メソッドで変えてくれたら…と希望を持ちます。(日本中によりたくさんの同志が増えてくれたらいいなぁ、と思っています。)

・私自身も、研修会等で一番よく質問されるのが、「この教え方で『書く力』がつきますか?」というものです。この質問を聞くたびに「先生が考える『書く力』は本当に『書く力』ですか?」と問い返したくなる質問です。北原メソッドが「書くこと」が少ないと思ったことはありません。むしろ意味のある書く活動が多い指導法だと思っています。私が北原メソッドを取り入れて以来、一番平均点と差がつくのも書く力です。今回の愛媛県の英語力検証テスト(中3生に英検3級程度の力があるかを測るテスト)では「書く」領域の正答率は85%を超えていました。まだ、自校の結果を自分で集計しただけで県平均等は出ていませんが、おそらくトップクラスだと思います。ただ、これが飛込の学年だと、うまくいかないときもあって、1年生のインプットの大切さを痛感します。3年間を見通した段階的な4技能の指導をしていかないといけないなと、本当に感じます。そして、継続して教えることの重要性をもっともっと広めていきたいです。北原先生の赤坂中の進化の一つの要素は先輩の真似をしてよりよくしようという姿勢だと思います。それを、仕掛ける先生の演出。教師は演出家でなくてはいけませんね。

1 北原先生の公開授業のビデオ研究

(1)都中英研研究部公開授業 1993.02.18 2年生

○Procedureは以下の通り。

1Greeting 

2Warm up1 -Bingo

3Warm up2 Karaoke

4Review  Paced Reading/Shadowing

5Review  Role-Playing

6Introduction of New Materials

7Review of Comparative and Superative

8Assignment and Greeting

◎Warm up1のビンゴは形容詞。形容詞を読むだけでなく、先生が即興で英文を作って読み上げている。生徒はそれを聞き取っていく。どんな使われ方をするのかがよく分かる。

◎Review  Paced ReadingとShadowingはテキストあり、なしでトライ

◎Introduction of New Material

  生徒がリスニングで聞こえた単語に丸をつけたり、7枚の絵を並び替えたりする。(1st Listening)

 単語をフラッシュカードで見せて、生徒が意味がわからないものはストップと言わせて、意味を確認する。

 映像を見て、物語を理解させ、そのあとさらに8問の選択問題にトライする。(2nd Listening)

  映像を見て、空欄補充をする。(3rd Listening)

◎Review of Comparative and Superlative

4Corners だが、体育館での授業のため、7箇所に情報を張り出す。グループのリーダーはその場に残り、班員から得た情報を聞き取る。リーダーは情報を整理していく。

(授業の大まかな流れ)

○形容詞ビンゴ、センテンスビンゴにした。長先生のビンゴブックを活用。I like it.

弱形でも聞き取れるかを確認するため、その場で文を作っていたとのこと。

I don’t think your voices are not enough.

Make usual pairs.  机を向かい合わせる。

Start roll play.

・研究部の研究テーマはTeacher Talkだったのでこの授業を行った。Teacher Talk については東京都中英研のホームページで見れる。

・1991年に研究部でイギリスに行った研究報告として行った授業。この文はformal?  informal?  neutral?

机を元に戻す

We are going to start

I don’t want to open your text book.

Let’s listen to the tape.なかなかならないテープ。鳴ったのは韓国語?仕込みか?Strange……

Nothing happened.  Give some time.

Three times.  Circle the word.You should be alright.

Is this English?  Is it a language in Africa?  In Asia. Which language is it? You have no idea. It’s a Korean language. OK, listen again. Today Yyu will study Korean story.  民話folk tail

According to the other.

バーコードリーダーを駆使している。

聞こえた単語に○

絵を入れ替える

終わったら立つ

・未修語フラッシュカードを確認しながら知らない単語が出てきたらPlease say “stop”.と言うように指示。

・Upon、Attack、Away、Climb、Pray、God、Heaven、Throwなどが新語。裏には手書きで日本語が書かれている。訳と品詞。を確認。

・サンシャインが裏に初めて訳を書いたが、それは北原先生が初めてしたこと。ほかの教科書はすべて真似した。While 、Look at up lightってどう言う事?とやらせてみて確認。

Turn your paper over.

来年から軽重をつける参考になる。生徒が知っている語はサラッとやる。

・当時の教科書はNew Crown。音楽付きの画面アニメーションのリスニング。良く読んでわからない時は飛ばしていいですよ。→緩めるところは緩める。

答え合わせの場面では、机を向かい合わせる。

3人の比較最上級が説明しやすい。

○○is the oldest △△.

教室では4コーナーズが出来るが、体育館なのでやり方を少し変更していた。

○Aims of the period

1. To help students grab the gist of the whole story.

2. To revise the comparatives and superatives of adjectives through a fun activity.

・復習。教科書を見て、次に、見ないでシャドウイング。

I want you to close the textbook.

・Top Down Listening

朝鮮半島の民話なので、冗談で、間違えたふりをして韓国・朝鮮語を流して、質問をしている。Teacher Talkとして、どこの言葉?アジアの?等の後で、「朝鮮半島の民話をやる」に繋げている。ストーリーに出てくる単熟語を、選択肢の中から選んで〇で囲んだり、ストーリー順に絵を並べ替えたりを、聞き取りながらやる。

最後は動画で確認。

・Flash Cardについて大量に生徒に見せながら先生が発音をする。全部を丁寧にやる必要はないので、

生徒がStop!と言ったら裏面の意味を見せる。北原先生「この方法は語彙が増える新学習指導要領に使えるのでは?」

○中英研の授業 テーマは「リスニングの授業」、研究テーマは「Teacher’s talk」初年度。活動の指示、説明を、すべてあますことなく、英語で説明する若い北原先生の姿があります。

 ・adjective bingo  ・sentence bingo  ・sentence readingなどの活動の中で、先生からの英語の指示、トークは次のようなものがありました。(一部抜粋)

 ・I think your voice is not big enough.

 ・Now make pairs.  ・Usual pair, please.

 ・Decide who will be a dog or cat.(どれを読むかを決める場面で)

  ・Now today we’re going to do Korean story.(若々しい声で)

  ・Please circle the words.

 ・(テープから流れる言語の音声を聴かせたあとで)Who think it’s Chinese?

  ・Now write the word.

・Which is the picture?

 *当時、「オールEnglishで授業をしよう!!」という時代の意気込みが伝わってくる。

○teacher talk

Introduction of New Materials

 Today we are going to study about a story.

 I don’t want you to open your textbook.

 I have to give you this paper.

 See what happens.

 Strange.  Nothing happens.

 What are you going to do?

 Circle the word you hear.

 What’s this?  Which language is this?  Is it a language in Europe?  Is it a language in Asia?

 Who thinks it’s Korean?  Who thinks it’s a Korean language?

 We Japanese have a lot of folk tales.  So do Korean people.

○単語導入…become-became-becomeと活用の確認, 使い方を例示(while→for a while, pass→five

minutes have passed等)、ジェスチャーで確認(light→天井をさす)

・単語の扱い方について、「教師の発音を聞かせる」に留めるものと、しっかりやるものと分けることは来年度からのヒントになるのでは。

・現在のフラッシュカードは裏面に日本語と品詞が書いてあるが、当時のカードの裏面は白紙だった。当時は主流の考え方だったが、北原先生が裏面に書くことを始められた。

・4corners→「読む、話す、聞く、書く」の4技能を使う活動。最近話題になっていて知りましたが、この頃から行われていたと聞き驚きました。この活動の説明の際、“When you cross the teachers, what do you say?”, “Don’t cross the teachers like this.”のように、参観されている先生の前を通るときExcuse me.と頭を下げて歩くよう英語で話がありました。

・最近All Englishという名のもと、100%英語で授業を進めることを良しとする話を聞きます。文法用語すら英語で、日本語を使わなかったという教員の満足重視のように思え、生徒を見つめていません。現在の北原先生も、今回の映像も、必要なところはさらりと日本語を使われており、「生徒目線」であることが再確認できました。

・研究のテーマはTeacher Talk。リスニングを扱った授業で,前回の北研で見せていたいただいたものを後ろから撮った授業でした。前半は静かな感じで進んでいきましたが,後半は以前流行ったという4corners。生徒は活発に活動していました。指示は全て英語。帯活動では形容詞BINGO。比較級の学習に先駆けて形容詞を思い出させるため。単語だけのビンゴではなく,文で行っていた。その時の英文は即興で思い浮かんだもの。自分も月曜日のBINGOからセンテンスビンゴをやってみました。

・はじめビデオを拝見したときは、北原先生はいつ出てくるのかと思っていましたが、目の前に映っていたのが、若かりし頃の北原先生でした。イギリスから帰ってきて間もなかったので、英語はとても流暢でした。でも、今に比べると先生がたくさん指示をして生徒を動かしていました。ちょうどteacher talkを研究部で研究されていたころだったそうで、支持するときの表現等、ご自身たちで作成したりもしたそうです。また、90年には文科省のテスト作成をしたり、91年にはリスニング教材(リスニングトレーニング)を作成されたりと、すごい勢いで英語教育に貢献されていました。この当時から画期的な授業(ペアワーク)を研究、実践され、どんどん改良、そして進化をされ今の北原先生と北原メソッドがあるのだと思ったら、その原石を見せていただいたようなとても貴重な映像に感じました。当時は画期的で大いに話題になったであろう授業だと想像しました。(その分、古典的英語教育をされている方々からの反発のようなものも当時もしかしたらあったのかな、とも思いました。)

・表に英語、裏に日本語が書かれている仕様のFlash Cardや、歩き回ってのペアでのSpeaking活動(座って横の人とではなく)、教室の四つ角にそれぞれ別のインフォメーションを貼っておくFour corners、特定の文法や言語材料を絞ったペアでの会話練習(教材)、教科書のBasic Dialogなど・・・北原先生が日本中に広められ、今やStandardになっていることはとても多いと改めて感じました。若かりし北原先生の授業ビデオを拝見し、今の日本の英語教育スタンダードのルーツを観させていただいた気がしました。そして、これから私たちは、次の10年、20年、30年後の日本の英語教育を見据えて、どんな授業にチャレンジし、どんな授業を残していけるだろう。どんな風に”授業改革”していけるだろう、と考えました。北原先生を初めとし、中嶋先生、稲岡先生、田尻先生、薪田先生などが築き上げてきてくださった英語教育や授業は、私に取ったらもう十分すぎるというか、もう飽和状態というか。さらに発展していけるのだろうか、そこを超えられないような…そんな気がしています。でもそうして思考停止していてはダメなんだろう、という思いがあります。北原先生は北原メソッドを確立されて、北研を通して全国の先生方に英語の授業デザインを伝授してくださっています。北原先生と出会い、こんな風に授業って変えられるんだと心が躍ったのは私だけではない!と、北研の先生方を見てひしひし感じます。それと同時に、今回過去の北原先生の授業ビデオを2本拝見して、北原先生ご自身も常にアップデートを繰り返してこられたのだと(当たり前ですみません)思いました。過去のビデオを視聴しながら北原先生が「このときは練習することが大事だと思っていたな、いまだったら誰がどこ住んでるかなんてどうでもいいじゃんって思うね。これ生徒面白いのかな?の視点で授業が作れていなかったね」と言われたもの印象深かったです。北原先生から学んだことを、実際にどう「調理」していくか、その活動の先に、どんな生徒の「育った姿」を描くのか、北原先生の「スタイル」だけを継承していくのではなく、その奥の「思い」を知り、受け継いでいくことこそが、北原先生から直接学べている私たちの使命と言うか、大事なところなのだろうと、今回強く感じました。北原先生の「歴史」を見せていただきました。ありがとうございます。

・北原先生「自分が疑問に思ったことをとことんやるべき」「当時はまだ生徒の視点で考える事が足りず、とにかく練習することが意味を持つと思った。誰が何しているかなんか知っても面白くない。スーパーペアワークの「少年少女実業家ゲーム」のような(クラスの友達が何をいくつ持っているかをきくような)ものをやるべき」。2枚の指導案。新しい指導案では、以前は右にあったStudents’ Activitiesが左に変わった。昔、同僚に「生徒が主体なので左にする。上の欄が主語になるので、上に書いたStudentsに続くように内容の部分は動詞で始める」と教わった。「Greet with the T.」のように、北原先生の指導案が、私が教わったのと同じようになっているのを見て懐かしく思った。「授業の背景」の部分では、次の所が印象に残った。「「話すこと」が円滑に行われるためには相当量の「聞くこと」のトレーニングが全段階でなされなければならないということはKrashenの他、多くの言語学者の指摘することである。さて、他国の英語学習者に比べて日本人が劣っている技能は従来、「話すこと」とされてきたが実際は「聞くこと」「読むこと(特に速読)」ではないかというのが私の実感である。」Teacher Talkが研究テーマの時期の授業ということとも繋がる。

・この年度の北原先生の授業の基本姿勢

① リスニングの充実:日本人が劣っているのは「話すこと」と言われるが、「実際は聞くこと」、「読むこと(特に速読)」である。⇒現在もそうだと思います。

② 週4時間の4時間目(当時、プラスワンと呼んでいた)はFun Activitiesを通して言語活動の深化・発展を目指す。

③ (週3時間の授業において)Individual, Pair, Group, Class それぞれのWorkの統合

④ 語彙指導の充実:ビンゴの活用。語彙を広げる。定期考査では、教科書中心の語彙。

⑤ Authentic Reading Materialsの導入:生徒の興味を引くリーディング指導の大切さ。しかし、他の活動を圧迫しない長さで。

・リスニング活動をするために用意したテープに音が入っておらず、音声が流れないというハプニング。実は演技だったのですが、北原先生の演技が上手すぎです。見ているこちらが焦るほどでした。後で演技だと知り、計算された授業の流れに脱帽です。韓国語を聞かせるために、用意していたことがわかり、その用意周到さに驚きました。今から30年近く前の映像でしたが、当時のことを考えると相当画期的な授業です。この時期、講師の身分でしたが、すでに学校現場にいたので良くわかります。北原先生すごすぎです。

・この年度から中英研ではteacher talkの研究がスタートし。Teacher talkにフィーチャーした授業となっている。北原先生のteacher talkは自然で、指示も的確。北原先生がイギリスに行った際に多くのリスニング教材を仕入れており、それを基にリスニング指導を行なっている。この授業で未習語の確認の仕方が新学習指導要領での指導にも役立つヒントとなっていた。生徒が単語の意味がわからない時には”Stop.”と生徒に言うよう指導しており、stopというと意味をみせる。その際、ジェスチャーをつけて言ったり、イディオムで指導したりする。日本語は話さない。この手法はなるほどと思いました。語彙が増えた時に、今と同じように指導していたら時間がかかってしまうけれども、生徒が分からない語だけ意味を見せるというのは時間の短縮にもなり、効率的だと感じた。フラッシュカードは当時、意味や品詞は書いておらず、北原先生がSunshineで取り入れ、広まったそうです。フラッシュカードには意味・品詞があるのが当たり前だと思っていたので、本当にありがたいです。4 cornersの活動は読んで、伝えて、聞いて、書くということができるため、4技能を総合的に育成するためには良い活動。班のリーダーは座っていて、ほかの生徒が壁にある情報を読み取り、リーダーに伝える。勉強不足で、この活動は初めて知りました。発展的な活動の際に取り入れてみたいと思います。

・東京都中英研のテーマが Teacher Talk だった。また全体的にリスニング中心の授業であった。形容詞ビンゴ(先生はセンテンスを言う)から始まり、Paced reading や Review, Role-playing,  Teacher Talk などが盛り込められていて、先生の英語を常に聞いているall Englishの授業。(リスニング中心の地味な授業で、参観する側にすると面白くない・・・・北原先生談)ほとんどall Englishの授業に生徒の集中力がすごい。頭が下がる思いで見ました。このころのフラッシュカードの裏は白紙。自分で手書きで日本語を書くようになった。→サンシャインがその後他の教科書に先駆けて裏に意味を書くようになった。リスニング中心の授業になったのは、「聴くことの指導」を文科省の仕事で研究していた。この研究授業の前年にエクセター大学を再訪している。1989年ベルリンの壁の崩壊の年。

・1993年のビデオを見せていただきました。Teacher Talkの研究を始めた1年目とのことです。私はこの時まだ1歳で、20年以上前の映像ですが、古さを感じませんでした。行っているアクティビティも、4 cornersをなさっていましたが、今年行かせていただいたニュージーランド研修でもWriting Dictationという名前で同じことを紹介していました。4技能を高めるのに効果的ということです。良いものは変わらないのだなと改めて感じました。また、当時フラッシュカードは裏面が白で、意味や品詞は書かれていなかったそうです。書かれているのが当たり前だと思っていたので、衝撃でした。北原先生が取り入れてくださったことで広まったとのことです。

・中英研の授業のテーマは「Teacher’s Talk」で、イギリスの大学留学から戻ったばかりの、若々しい青年教師といった感じの北原先生が、やや緊張した面持ちでやや段取りに手間取りながら、リスニングの授業でした。煩雑な指示や説明もすべて英語で行われていました。今思うと、学習効果からいえば、減らせる指示語も多くあったように思います。現在の北原先生の「指示の少なさ」は学習効率からいっても一番効果的で、肩の力がすっとぬけた感じで、熟練のいい時期はやはりいつも「今」なのではないかと感じました。

(2)全英連公開授業 1991.11.16  1年生

○Procedureは以下の通り。

1Greeting

2Bingo

3Song

4Listening

5Activity1

6Activity2

7Closing

◎Activityで大切なことはMonitors Ss to find common errors. Stop the activity.

使うべき表現を使っていない場合は、すぐに活動を止めて使うことを伝えて、活動を再開する。

◎Activity2は誰がどこの家に住んでいるかを伝えながら、最終的に、誰と誰が一緒に住んでいるか&5番の家に住んでいる人を確認するというもの。この活動について、現在の北原先生は「誰がどこの家に住んでいるかどうでもいいよね」とおっしゃっていました。ですが、私はこの活動が1991年に行われていたことに非常に驚きます。自分が中学の英語の授業で会話らしい会話をした記憶はありません。このような活動を、イギリス留学後、様々な現地の教材をもとに北原先生が始められたことを考えると、生徒への熱い想いを感じずにはいられません。

〇1991年 全英連の授業(北原先生がイギリス留学を終えて帰国してすぐの時期の授業)

・イギリスのフラットに住んでいる人達についての情報を英文で聞き取る活動。ALTが英文を読み、生徒が聴く。北原先生はそのようすを静かにObserveしている

・手製のアクションカード⇒北原先生はカードをめくる。ALTがその英語を読む。

・Reading ALTが英文を範読、生徒がリピート。北原先生は生徒をモニターする。

・情報を聴き取って埋めるペア活動。(Changing Pair- work)ALT,JTがデモをする。

⇒生徒は、ペアを変えながらペアワークをする。 

ペアワークや、相手を変えながらのペアワークの活動をやったのは、北原先生が最初。

 下に置いて書かせないように、紙の下に下敷きをもたせる。

 ⇒最後にALTが英文で質問して生徒に答えさせる。Who is typing ~?

 *当時のALTの活用の仕方、日本人とのTTのひとつのモデルパターンと思われる。

 *今、ALTのJoelと同じ速さの流暢な英語でわたりあう北原先生の現在の指導パターンのほうが、北原先生の実力が存分に発揮される真骨頂だと思う。

○Subject: Present Continuous

Aims of the period:

1. To sensitise students to the real use of the target language.

2. To cultivate students’ willingness to learn English through fun activities.

・Flash Cardを北原先生が動かし、ALTが2回ずつ読む。

・インフォメーションギャップの活動。Are you -ing ~?

ペアワークの後で、得た情報を元にグループで活動。

「書きやすいように、生徒に堅いものの上にプリントを乗せてペアワークさせる。」

「座ってペアワークが終わったら、立って別のペアとやる。」

「生徒の活動中はしっかりとモニタリングをして、

Are you doing my homework?のように変なことを言っていたら止めて、

全員に正しいことを周知徹底させた上で再開する。

間違った形が定着しないように。」

「ここまでは素材の練習にすぎない。

イギリスにはそんな初歩的すぎるコミュニケーション教材は一つもなかった。

(授業の流れは、)これからが本当のコミュニケーション。

(ALTがWho is painting in the living room?など生徒に質問)」

・エクセター大学での留学中に、ペアワークとグループワークについて研究され、同テーマで論文を執筆され、この頃のご実践の中で、ペアワーク、グループワークの原形が作られ、スーパーペアワークで完成されたということです。ペアワークで得られた情報を次のグループワークの段階で、4-5人に伝えて共有することで、後のレポーティングの活動につなげるために、他の仲間の話をしっかり聞くことにもつながります。この授業では後半がほぼ生徒の個別活動でしたが、個別活動が始まったらモニタリングをし、生徒たちがどんな言語を使っているか、観察をすることが欠かせない、教師が次の活動の準備をする時間ではないと補足されていました。北原先生ご自身の自評で、この頃の方が、英語そのものは流ちょうだったが、英語を話すことを楽しんでいなかった、ということもお話されていました。しかしALTとのTTでの活動、授業中でのTeacher Talk等で北原先生がご自身の英語力を維持するために様々な努力をされている話も以前伺い、そのこととも合わせ、改めて英語力は勿論のこと、教師自身がコミュニケーションを楽しむ、生徒の発言を上手に拾って、フィードバックを与えたり、全体で共有したりなど、どのように生徒たちに還元していけるかという点も改めて教師に必要な力であると思いました。

・最初は北原先生と認識するまでしばらく時間がかかりました。よくよく見ると1993年の公開授業とあります。今から20数年前の映像でした。よく考えると私自身がちょうど中学生の時代です。自分自身の中学生の頃を思い出しながら拝見していますとその時からオールイングリッシュで授業を進めておられました。机の隣の人とペアワークをするスタイルは過去にも存在していたがどんどんペアを変えてペアワークを行っていったのは北原先生が最初とのこと。ただし、自由に活動を生徒が行っているときに片付けをしたり次の準備をして放ったらかしにするのではなく、生徒が使っている言葉をチェックし、もし間違いが頻発していたら一旦止めて全体でアドバイスを共有することが肝要。全英連の映像ではALTと一緒に授業をされていました。やり方を理解してもらい、効果を実感してもらい、ALTと共に作り上げていく授業のその当時の北原先生のお姿を拝見することができました。

・ALTとのTTの授業。ALTが話す英語を聞いて,誰がどこに住んでいるかを当てる会話活動。会場が広いため,マイクを使っての授業でしたが,生徒から聞こえてくるのはすべて英語。初めはペアで。次に歩き回って会話。この時も下敷きを使用してアイコンタクトをとれるようにしている。会話中はメモをとりながら生徒の会話をモニタリング。間違った言葉を使っていたら,活動をいったん止めて全体に指導。ペアワークで得た情報を使ってグループワークを行う。その後,全体で。スーパーペアワークの活動を見ているようでした。北原先生の指示は今よりもかなり多いように感じました。30年近く前の授業なのですが,英語を使って生徒がこんなにたくさん動く授業が行われていたことに驚きました。

・すごく若くて、声も今よりも鋭くて「かっこいい~。」と思いましたが北原先生は「楽しんでないよね、そこがよくないよね。」とおっしゃっていました。Teacher Talk研究の初年度の発表の公開授業だったということで、豊富なTeacher Talkでした。私も昨年、中英研研究部の研究冊子を読んで自分のTeacher Talkを分析しましたが、北原先生のTeacher Talkは単なる命令形とか、誉め言葉だけではなく表現が多様なのに、使用する文法や語彙は理解しやすいのです。読むだけでわからなかった指示の表現の広がりを感じました。ただ、現在の北原メソッドはそれすらも超越して、無駄な指示の言葉がないので、それもすごいと思います。新出語いの導入のところで、北原先生がフラッシュカードを見せながら、生徒がわからない単語を見つけると「Stop」と言わせて「Stop」がかかった語彙だけ裏の品詞と日本語を見せていました。「これって、これからの語彙指導のヒントだね。」とおっしゃっていたように、指導要領の改訂により激増する語彙指導の参考になります。軽重のつけ方はもちろん生徒の目線に立つべきで、そう考えると、一人でも「Stop」という単語は丁寧に語彙指導をするが、そうでもないものには、英語だけでよい気がしました。生徒の目線。これを無視してよい授業になるわけありません。因みに、フラッシュカードの裏側に日本語訳を書いたのは北原先生が最初だそうです。

ペアワークも北原先生が英国留学されたときの研究を持ち帰って、現在のペアワークの形が確立されたとおっしゃっていました。すごいなあと思っていたら「この時は、練習させることが大切だと思ってたけど、誰がどこにいるかなんて今となってはどうでもいいよね。」「ここからが本当のコミュニケーションだよね。」等々おっしゃっていて、正進社の『スーパーペアワーク』の原型を見せていただきました。北原先生が今回見せてくれたビデオと現在の進化を考えると、つまり、北原先生ご自身はこんなころから今でも十分以上に「すごい」とされる授業をしているにも関わらず、今の日本の教育界のあまり進化のない現実を考えると、日本の公立の学校でこんなに差がついて良いのだろうかと考えます。

・「TTのいくつかの条件の一つに「準備する時間が十分にあること」というのがあると思います。この点に関しては現在のところほとんどの学校では保障されていないわけで、そういうところも保障していかなくてはならないと思います。今日の2人の授業ではそんなに準備する時間はなかったと思うのですが、それにしてはwell-organized classだったと思います。」⇒私の実感では、当時より今の方がさらに「準備する時間」は無くなっていると思います。

・実は私はこの全英連の公開授業に参加していました。お恥ずかしいのですが、内容はあまり覚えていませんが、北原先生の颯爽とした姿は印象的で「あんな風になりたいな。」と思ったことを覚えています。また、服装!?ははっきり覚えていました。今回ビデオを拝見するにあたって服装について私の記憶があっているかどうかが楽しみでした。バッチリ正解でした。時々、私が言ったことは全然覚えていない生徒が髪型とか服装とかは覚えていて「どこ見て授業を受けているのかな?」なんて思うことがありますが、まさに自分がそうでした。せっかくの機会に遭遇していながら学んでいなくて申し訳なくなりました。今、拝見しても学ぶところが満載の授業ですが、当時としては本当に最先端のパイオニアの授業で、「すごいなあ。」と感動したことは今も鮮明に覚えています。

・この授業はALTとのTTである。このALTは最初休みがちであったが、この授業をきっかけにやる気がでて、公開授業後すぐにヘッドハンティングがあった。この時期、授業が週3から週4になったため、プラス1時間でその週のまとめの活動を行う方針であった。この授業はそのプラス1の授業。ペア活動でペアを変えるのは当時では初めて。ペアワークの間、教師は生徒がどれくらいの英文を使っているのか、モニタリングする必要がある。本授業ではペアで得た情報をもとにグループワークをしている。生徒が知っている情報をもとに先生が質問するround up sessionという方法もある。私はこの映像の頃ちょうど中学生でした。自分が受けていた授業を思い出すと、教科書の英文を日本語に訳するだけでした。ペア活動などやったこともありませんでしたので。その頃オールイングリッシュで言語活動を多く取り入れているこのような授業は本当に最先端であったのだとつくづく感じます。

・1991年の全英連の授業。イギリス留学時に学んできたペアワーク活動が中心の授業。スーパーペアワークに行きつく。今は、どの授業を見てもいろんな人にインタビューする活動が見られるが、それまでは教室内を動き回りながらインタビュー活動をするペアワークがなかったそう。当時、会場にいた人は、マイクで音を拾えないこともあり、何をやっているのか理解できなかったかもということでした。ペアワーク中はきちんと見て回るモニターの役目を行うことが大切。間違っていたら全体で共有する。今は基本文型後にリアクションを入れるように指導しており、それも評価に入れる。2つのビデオと現在の北原先生を比較すると、一番違うのは指示が短くなっているということだと思いました。いかに先生の発言を短く、生徒に多く英語を使用してもらうかを考えてメソッドを確立されてきたからなのだろうと思いました。私はまだまだ指示を出しすぎているなと反省です。指示を出しすぎて、生徒を指示待ち人間にさせているのだとハッとさせられました。英語を通してどういう力をつけるかも大切ですが、英語教育を通して主体的に学ぶ生徒を育てることも大切なのだと感じています。

・和田中学の生徒は同じで、1本目の授業に登場した2年生が1年生の時のもの。ALTとのティームティーチングで、ここでもall Englishの授業。ALTが英文を読んで、生徒はそれを聞き、教材の絵から選ぶ。イギリスで買ってきた教材。(イギリスのアパートflat の絵でどの部屋のどの人が何をやっているか)その後答え合わせ。House 4・・・・drinking tea など。隣同士のペア活動はその頃もあったが、ペアを替えていくというのはなかった。北原先生が最初にやった。教師は生徒のペアの活動中に生徒の使っている言葉をチェックしていく。中に入って聞くこと。monitoringが必要。(まだこのころは生徒の目線に立ってやっていない。・・・若気の至りで。・・北原先生談)2つのビデオを拝見して感じたことは、これが30年前に行われていた授業なのかという驚きと、最初に「誰が授業者?」とわからなくなるほど北原先生のお声が今と違っていたことです。今の授業もall Englishですが、そのころは独り言まで英語で(意図的な独り言でもあるでしょうけれど)、イギリス留学を終えられたばかりということもあるかもしれませんが、よりナチュラルに聞こえました。また、北原メソッドが確立する前の歴史を見ることができたように思います。北原先生の40年間のデータ、理論、生徒目線が融合されて完成されたメソッドは単純にすごいとしか言いようがありません。様々な無駄を削ぎ落とし、生徒のコスパも考えぬいた、またどんな先生でもできるように考え尽くされたものだと新たに学ぶことができました。歴史を経て確立されたこのメソッドを100パーセントでやることの大切さとその時の生徒との関わりを大事にしながらやるべきことと、ストップする活動を選び、常により良い授業を考えながら進化していくことも今回学んだことでした。

・1991年のビデオは、私が生まれる前の映像でした。ペアワークが活動の中心でした。イギリスのアパートメントの絵を見て、進行形で生徒たちが答えていました。teacherは次の準備をするのではなく、モニターをし、生徒たちのミスを拾わなくてはダメという言葉に、今まで次の準備をしがちだった自分を反省しました。ペアワークで得た情報を基にグループワークをしていましたが、スピーキング活動をする際に、下敷きのようなものをはさむと、顔が上がってアイコンタクトがとれるという工夫も教えていただきました。さっそくやってみようと思います。また、スピーキング活動の際にはALTとの連携をしっかりしなければと感じました。

・全英連の授業は、「ペアワーク」の活動がメインの当時の先駆的な実践を公開されました。当時、ペアを組み始めたばかりのALTが英語部分を担当し、北原先生が英語をあまり話さずにControlとObservingにまわっていたのが、もったいなかったように思えました。当時のALTの役割はあのようだったのかとも拝察されました。やはり、現在のJoel先生と五分五分の英語の量、スピード、発話があってこその北原先生で、こうしたさまざまな大舞台を通して、どんどん先生の力量が鍛えられて現在に至るという過程を見せていただきました。人にHistoryあり。

(北研に参加しての感想)

・毎回、北原先生が生徒にどのような言葉を掛けているのかを学びに行っています。もちろん、授業の内容や流し方などもですが、とても為になります。先生と生徒とのやり取りや言葉掛けから先生の生徒に対する愛情が伺えます。どういう言葉を使って鍛えれば良いのか…。1か月ぐらい先生の学校生活をモニタリングしたいです!(懇親会では言いたいことに半分も伝えきれず、言いそびれておりましたので、ここに記しております。)そして、毎回、北原先生のお蔭で、頑張っていらっしゃる全国各地の皆様とも出会え、充実感満載で終える北研に参加できたことを幸せに思います。『東京には北研でしか行ったことがない』と言っても過言ではありません。(長崎組のみんなはだいたいそうですよね。)また、MLで勉強させていただきます。懇親会でも、お世話して頂いた先生方、お話をして頂いた先生方、楽しかったです。皆様にお世話になりました。ありがとうございます。

・あえてリスニング中心の授業、当時初のペアワークなどを公開され、これまで北原先生がいかに英語教育へ多くのことを提案してきてくださったのかがわかりました。懇親会で先生方のお話にあがったように、この英語教育を担っているわたしたちが、北原先生から学んでいることを引き継ぎつつも、新たな何かに気づき提案できるくらいにならなければならないのだと気づかされました。まだまだ完全に真似ることすらできていない私にとってはその道のりはあまりに長いものですが、生徒の笑顔のために邁進していきたいと思います。懇親会では全国からいらっしゃった先生方とお話することができて、とても充実した時間を過ごすことができました。貴重な学びの時間、パワーを充電できる時間をありがとうございました。

・懇親会に初めて出席させていただきました。とても楽しかったです。特に南は九州宮崎から北は北海道知床まで全国から集う先生方のパワーと情熱、そして、使命感にはただただ敬服です。MLで全国津々浦々から先生方が集っていることは存じていましたが実際にお話しを伺うとさらにそのパワーを実感しました。北原先生始め皆様どうもありがとうございました。まだ、懇親会に参加されたことがない先生方、是非、ご一緒しましょう。

・当日は授業も公開してくださり、参観者を受け入れてくださるにあたり、事前の準備や校長先生をはじめとした同僚の先生方への配慮など、北原先生への感謝は尽きません。ありがとうございました。また、懇親会参加者の取りまとめや受付・司会などを担当してくださった先生方にも感謝申し上げます。たいへんありがとうございました。例会や懇親会では甲斐先生の授業についてもお話がありました。K先生とS先生からのレポート、とても興味深く読ませていただきました。今後数日、先生方からの例会や授業見学のレポートが送られてくるでしょうが、先生方からのレポートを読んで、自分の学びをさらに深めたいと思い、楽しみに待ちます。

・授業参観をされた先生方からお話をうかがうことができて良かったです。また、久しぶりにお会いした先生方もいらして、色々なお話をすることができました。北原メソッドを通して、全国に仲間がいると思うと、とても心強く、自分も頑張ろう!と前向きな気持ちになります。北原先生、お会いした先生方、本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。

・北原先生の若かりし日の授業映像が、きちんと残されていることに、まずは、驚きました。現在は、データでいくらでも残すことができるのに、私は何もしていません。自分の指導力を磨くためにも、生徒の映像だけでなく、授業の映像も残していこうと思いました。北原先生は、中学校英語教師の英語力が課題であると繰り返しお話されますが、自分の発話を記録して振り返ることで、教師の話す英語もブラッシュアップされていくように思いました。若かりし日から、大きな研究授業や全英連での授業者に選ばれる力、他の教師から抜きん出ている力、があったのだろうなと想像します。北原メソッドをそのまま取り入れようとしても、上手くいかないことも多く、諦めてしまっている活動もたくさんあります。私のような凡庸な力の英語教師が北原メソッドを使うために、メソッドの下支えになるような、教師の資質・能力を、明らかにして、その差を埋められるようなトレーニングや取り組みをまとめるようなことも、意味のある活動だと考えます。世の中の数多あるメソッドでも、「誰でもできる」と謳っているものは、多いと思いますが、「誰でもできる」に根拠、エビデンスは、全くないと思っています。数多あるメソッドは、誰にでもできるわけではない、というのが、私の見てきた真実です。北原メソッドもそうであると感じています。であるならば、できない教師ができるようになるために、何をしなければならないのか、という視点は重要であると考えます。私と北原先生の、北原メソッドを使う上での資質・能力の差は何であるのか、それを埋めるには、何をしなければならないのか、深く考え、自分を高めるために、行動していかなければならないと、強く感じました。

・何人かの先生が書かれていますが、今回、「自分が気になったことをとことん追求する」という言葉が心に残りました。自分の場合は、気になることは日々ありますが、忙しさにかまけている部分が多いです。生徒のデータを分析し、理論を学び、とことん追求できる一人になりたいです。今回、30年前の英語教育の先駆けの授業を見させていただきました。自分はこれから何ができるか、これから英語教育はどこに進むのか、新しい時代へどんな生徒を育てていけばいいのか、たくさんのことを考えさせられます。しかし、大切なのは「生徒目線」であることです。そして、授業を参観された先生方が口をそろえておっしゃった、先生の指示なくとも動ける「自立した学習者」、パートナーやクラスメイトとの助け合い、といった、教科を超えて大切な生徒指導・生徒理解の視点も忘れてはいけないと思います。まだまだ先生方から学ばせていただき、自分の授業や日々の指導につなげていきたいです。

・今回の北研は,北原先生のファイナル授業の日ということもあり,全国からたくさんの先生方がいらっしゃっていました。北研は,英語教育について一緒に熱く語れる先生方の集まりです。生徒への愛をたくさん感じます。自分は恥ずかしながら授業も先生としてもまだまだで反省するばかりです。また,甲斐先生の授業を参観された方からのレポートを読み,自分の生徒との関わり方についていろいろと考えながら過ごした1週間でした。とても勉強になりました。北原先生,参加された先生方,どうもありがとうございました。次回もどうぞよろしくお願いいたします。

・お若い時の先生に、初めは気付きませんでした。その時、その時で、課題に真剣に向かって授業を作られている先生の姿にやはり学ぶことが多かったです。教師としての姿勢というか。確かに先生がおっしゃったように、流暢に英語を話されて授業をされていますが、今の先生の授業の英語のほうがわかりやすいと思いました。 常に生徒の視点に立って、授業を作ってこられ、常に進化されていることがよくわかりました。夜の懇親会では、多くの先生方と話ができ、こんなに生徒に真剣に向き合っていらっしゃる先生方が全国にいらっしゃるのだと思いました。たくさんの元気をいただきました。このような機会を作ってくださった北原先生、本当にありがとうございます。また、全国の先生方とお会いできる日を楽しみにしています。  

・例会最後の北原先生のお話の中に、30年近く前の授業だけど、英語教育会は変わったところもあるけど、変わっていないところもある(訳読や単語テスト等々)とおっしゃっていました。よい方向へ、よりよい方向へと変わってきているとは思います。ただ、そのスピードは決して速くはありません。私自身もそうです。北原メソッドを広めたい、北原メソッドで生徒にもっと力をつけさせたい、と思っていますが、結果が出せず不甲斐なく感じています。(昨年度は、学校・学年体制がガタガタで1年生は授業成立が厳しかったのですが、ようやく2年生になり体制も安定し生徒も落ち着き、やっとスタートラインに立った感があります。でも気づけばもう少しで3年生になります。)北原先生や北研やアカデミーの皆さんにお会いすると、たくさんのエネルギーをいただき「また頑張ろう」と思えます。長先生から北原先生が受け継いできたものを、自分達が受け継ぎ、さらに進化させること、英語教育会に貢献することなんてできるだろうか、と北村先生と同じようなことを思います。北原先生に以前、「これからはICTの時代」これまで北原先生方が積み重ねてきた上にICTを生かしたものをできるようにしていくことが必要だというようなお話を伺いました。それから先進的な学校のICT教育の本を何冊か読んでみましたが思うようなヒットやひらめきはありませんでした。でもそこが勝負どころなんですよね。そこから生み出す、絞り出すことが必要なのですよね。北原先生は、例会の最後の頃にこうもおっしゃいました。「自分が疑問に思ったことをやったらいい。」この“疑問”を追求していったらきっともう少し北原先生に近づけるのかな、と思いました。今後も学びの歩みを止めずに頑張りたいと思います。北原先生、今回は豪華2本立て(授業参観、例会+懇親会)とありがとうございました。

・30年前のビデオの北原先生は35歳?と若々しく、髪もフサフサ、イギリス帰りのためスラスラと滑らかな英語を話されていました。ご本人としては、流暢な英語を話していても笑顔がないからダメと、今の方が余裕があるとの事でした。前任校ではやる気のなかったALTを見事に変身させ、スムーズに連携を取るまでに鍛えられて、そのALTは母国のオーストリアの大学でご活躍だということ。英語でTTを行う上での参考になることが詰まった内容でした。せっかくの関係を壊したくなくて言いたいことも言えずにいるというのは生徒目線ではダメだと気づかされました。北原先生はALTにやってほしいことをハッキリ伝え、役割を果たしてもらう必要があり、リピートさせる場合も読む速さや抑揚まで指示を出しているのかなと思いました。また、ALTにメインで動いてもらっている間も自分は違うことをしているのではなく、むしろ生徒を見て、声かけて関わっていたのも印象に残りました。さらに体育館に机を運び、そこを教室と見立てて授業を行うという画期的なことを35歳の若さで行なっておられた北原先生はやはりスーパーティーチャーなんだな!と改めて思いました。偉大な師匠のほんの一部を真似をするしか出来ないのですが、少しでも今置かれた場所で北原メソッドの花を咲かせたいと思いました。

(北原先生の公開授業の感想)

○まずナンバーワンは、「正しい生徒愛」です。北原先生は、メソッドの命であったはずの活動を休止されていました。スパイラルワークシート、ディクテーション、ワークです。生徒たちとの衝突原因をなくされていたのです。休止されてから、結果は向上。私だったら、いくら生徒との衝突原因だからといって、こだわりを捨てることはできなかったと思います。でも、誰のための英語教育なのか?生徒のためであるならば、よりよくなる可能性を探してみる勇気や愛、覚悟を持ちたいと思いました。しかしながら、「音声面」は削ってはいけないとのことでした。私の生徒たちは、「家庭学習」をほぼしません。☆読みもしません。ならば授業内での音読回数を増やすしかない!と思い、月曜日から音読を様々な方法で多く行ってきました。しかしながら、自立に向かえる生徒も増やしたいと考えています。

 二つ目は、「真の自立」です。生徒さんたちは、授業開始前から歌を歌い、何の指示もないのに、読み取れを行い、新語の復習をし、日付を書き、比較の導入に入っていました。私は、必ず、指示をしていました。指示から生徒たちが動くのは数秒後。自然に自立ができている北原先生の生徒さんたちに驚きました。月曜から、赤坂中の生徒さんたちの様子を伝え、私の指示を待たずに、次に何をするのかを考えて動くように伝えたら、数人ができるようになりました。いかに、自分が指示待ち人間を作ってきたかを思い知り、反省しました。

 三つ目は、「無駄を一切省くこと」です。以前からそうですが、北原先生は授業の始まりの挨拶を特別なとき以外せず、終わりもあっさりしています。私は始まりの挨拶をさせるのに、数分、ふりかえりも数分とってしまいます。北原先生は目標も書きません。でも生徒たちには明らかにちからがついています。私はまだ、挨拶をすることも、目標を板書して声に出して読むこともやめられていません。幹に沿って授業を深め、最初と最後の在り方を考えていこうと思います。