・銀杏のお話と昔のお話を聞きました。
当時教師を海外へ派遣するというものがあり1988年が1回目だったそうです。北原先生が行かれたのは1989年。お話しが回ってきたそうです。communicative language teaching(だったと思います。)speakingやlisteningに重きを置く教え方等々の勉強など。とにかく北原先生が読んだ書物の多さにびっくりしました。でもやはりそれだけのことが必要だし、私もとにかく本を読んでもっと勉強しなければいけないなぁと思いました。アカデミーの話もありましたがその中で「簡単な物な物(簡単な英文や問題など)ほど作るのは難しい」という言葉が印象的でした。
0 生徒最新パフォーマンス
「即興」=教科書をネタ本にして1時間でビデオ撮りまで完結。
1) 3年生即興スピーキング 「赤坂中紹介」
Sunshine 3 p.80を読み、前半40分で準備。日本語の学校案内を配布して、それをメモにして4~5人のグループで発表する。最後の10分でビデオ撮り。
Our school was founded in ~, so it has a long history. 学校の歴史、学校行事、部活動など。
形態…1グループ5人ずつくらい 学校案内を資料として使用する
やり方…
①クラスをグループに分け、学校案内を渡す
②どんな紹介文にするかと誰がどこを紹介するか役割分担する(書くことはしない)、2分程度の内容を作成する
③各班で練習し、授業の最後にビデオ撮り
生徒作成、紹介中のセリフ、In October, we have a school festival. / After that all students sing a song. / Math teacher are …..and…… 複数形、代名詞、動詞の使い方、語順等のミスが見られません。見開き2ページの学校案内を見て、1時間で完結している活動ですが、即興でこんなにもアイデアがでます。3年間積み上げてきた結果です。躊躇したり、何も話せない生徒はいませんでした。3年間で音声と表現が身体に残っています。
Sunshineにある見開き2ページの題材を1時間で扱ったということで、生徒は班で分担して「学校要覧」を手掛かりにして準備し、学校を紹介しました。本来ならば、ノートに書かせるところだそうですが、書かせると時間がかかり、さらにAccuracyが問題になるので書かせずに40分で作り、最後の10分間で発表まで行ったとのことでした。1 学校の創立について 2 部活動について 3 学校行事について 4 教師について 5 再び学校行事について、ビデオで見た班のメンバーは、上記の内容について、ポイントを書いたメモを時折見ながら、それでもあくまでカメラの方をしっかりと見て、聞いていてわかりやすい英文を話していました。とても即興とは思えず、本校の生徒ならきっと何度も練習して覚え、それでもつっかえつっかえでやっと言う程度だろうな、なんて思いました。
入学式を紹介していて、most of them are cute…と新入生を表現しているところはとてもユーモアがあってよかったです。また、次の発表者に対して、Next is ~とつながりをもたせているのが素晴らしいと思いました。即興スピーキングを日頃からやられているので、原稿をきちんと書かないとできないという生徒がいないのだなと感じ、日頃の積み重ねの重要性を再度認識しました。
歴史・部活動・先生・行事などのテーマをグループ内で分担し,紹介する。(原稿は書かない。)始めに学校要覧を渡すことで学校の情報を与える。あとはそれぞれに考え,練習し,発表する(ビデオ撮り)までを1時間で行う。何時間も使って原稿を書かせ,それを暗記して発表するわけではなく,即興です。たった1時間の授業の中でここまでできることが驚きでした。しかも,使っている表現にミスがありません。
2)2年生即興スピーキング 「「日本の学校システム紹介」
Tuesday Lesson (スピーキングをして、映画を見て50分)のうち、10分を使ってやる。
Talk and Talkの学校紹介(助動詞のページ)を利用して6文で説明する。できたら北原先生or ALTのところに来てOKをもらう。accuracyは問わない。外国人が聞いて理解できればよい。終わった人はここで初めてノートに書きとる。早いうちから「頭の中で作文させないで話しをする」という体験をさせたい。We mustn’t go to school by bicycle. We want to go to school by car because it is faster than on foot.
They usually leave school around 5:30 because in winter the outside is very cold and dark. It is very dangerous. I’m scary!!(=scared)
やり方…
①Talk and Talk を使用し、6文くらいで説明文をつくる(書かない)、辞書を使ってもよい
②ジェスチャーを交えながら、練習する
③説明できるようになったら、後ろにいるALTのところに行ってチェックを受ける
④合格をもらったら、説明した文をノートに書く
生徒作成の文:We mustn’t bring our smartphone. / Students go to school on foot. / We have to clean the school building. / We usually leave school for home around six o’clock. ジェスチャーを交え、必死で説明をしています。この時期になると、ジェスチャーが語順や表現を思い出すための、手助けになっています。ジェスチャーをヒントに英語で考え、英語を引き出している様子が見られます。よくある「日本語で考え、訳している」様子は見られません。また、生徒自身が楽しんでいて、クラス全員がずっとどれかの活動を必死でやっています。ALTも楽しそうに判定し、ただ聞くのではなく、”I see“ ”Yeah!” “OK!”とナイスなつっこみをいれていきます。当然、6文に足りていない場合や、完全に間違った表現はアウトですが、目的は通じる内容を話すことなので、細かいミスを恐れないで、使うという点を重視され、合格(ピンポン)が与えられます。
「Talk & Talk」にあるスクールシステムズを参考にして、「学校システム」について6文で表現し、ALTからOKをもらいなさい、という指示で生徒はALTの撮影するビデオカメラに向かって、学校システムについて説明しようと何度も挑戦していました。ALTのジョウル先生の発する英尾も、生徒の意欲を引き出すもので、時にはほめ、時にはつっこみ、聞いていてとても心地よく感じました。映像で見た生徒は皆ジェスチャーを用いて英文を発しており、中1のころから継続して行ってきているジェスチャー音読の成果、数々のパフォーマンステストに向けての努力の成果がよく表れていました。言葉が出てこなくても、ジェスチャーをしながらなんとか言葉を導き出そうとしている様子が見ていてとても印象的でした。「覚えてきた事を思い出そう」としているのではなく、明らかに「話そう」としているのがわかりました。なかなか合格せずに必死に話そうとしている数人の生徒とは対照的に座っている生徒たちは静かに何をしているのか気になりました。同じことを考えている方がいて、北原先生に質問をしてくれました。「彼らは自分が言った英文を書いているのだ」ということでした。スピーキングからライテ
ィングへの移行が速やかに行われていました。「読んで、話して、聞いて、書く」という4技能の統合という言葉を思い出しました。また、早く終わった子が遊ばずに取り組むことで、教室の荒れを防ぐ手立てになるのだろうな、などと思いました。
Tuesday Lesson (即興スピーキング1つ10分×2と映画とリスニング)の授業の中の、10分間の即興スピーキング。教材のschool systemというページを参考にして、頭で6文考えて(書かずに)ALTのところにいきジャッチしてもらう。文法ミスは細かくは見ず、意味が通じたらよしとする。バツにされていた例①文が足りない②あー、えーなど日本語が出てくる③通じないレベルの間違えI am scared.をscary にしていた生徒がいた。合格したら、座って話した内容をライティングする。普通の授業はライティングさせて話すが、まずは話させることが重要。元気が有り余る生徒たちがジェスチャーを大きくやっていて、一生懸命な姿が印象的でした。また、先生にチェックをもらう前の生徒も教室の端で一生懸命ジェスチャーを使って自主練習をしていました。10分という短さも集中を保つよい時間だと思いました。ビデオはALTが手で持って撮影。北原先生はその場では内容を聞かないためだそうです。
Talk & Talkを使用。学校への通学方法・部活動・下校時刻などについて,6文程度でAETの先生の前で説明をする。合格したら言った英文をノートに書く。多少のミスがあっても通じれば合格。日本語を使ってしまったらその時点で不合格。頭の中で作文をしてしゃべるのではなく,即興です。この活動にはたった10分しかかけていないとのこと。
どの生徒たちも一生懸命伝える様子が印象的でした。しかもどの生徒もはっきりと発音し、小さい声で言うような生徒は一人もいませんでした。言葉を選びながら確実に伝えようとする女子生徒、大きくジェスチャーを交えながら伝えようとする男子生徒達。どの子も共通していたのはあきらめずに最後まで、先生にダメと言われるまで粘って頑張っていたことでした。やらされているのではなく、自分から表現している様子は素晴らしかったです。(先生のOKが出た後は、それぞれ自分のスピーチした英文をノート書く)。またこの活動は映画のリスニングの活動とセットで行っている。
6文くらいで日本の学校のシステムについてALTのところに言って話す。間違えたり止まってしまったら何回も何回もトライして合格したら、言った文を今度は書く。話すときの間違いも多少ありますが書くと間違っていたんだなと気づくそうです。ALTのところに言って話すときはfluency重視。fluencyからのaccuracyにする。そもそも自分が授業をすると、原稿を考えてそれも一生懸命覚えて話そうとするのでスピーキングとは言えないと、前から思っていました。結局そんなことしているから英語を話せる子にしてあげられない。それを痛感しました。
3)2年生スキット 「買い物」
北原先生曰く、「史上最低」と言われた道案内スキットから復活を見せた2年生のスキット。会話表現が多く使われていて、まさに「いつ、どこで、何のために使うのか?」を統合する活動だと感じた。
形態…ペア、 ブルーシートを使用し、屋外で行う
やり方…
①ペアでスキットを作成する
②完成したら、原稿をチェックしてもらう
③ペアで練習し、屋外にブルーシート、ハンガーラックを設置、スキットに使用する小物を用意したうえで、撮影する
生徒作成、紹介中のセリフ
Discount ? / How about this one ? / I’ll take it. / I’m just looking. / May I help you ? / What are you looking for ? / Just kidding! / I want something to eat. / Here you are. / ……,you know ? / Just a minute please. / I didn’t know that. / I will buy it. / I don’t want to sell except this! / Can you give me a discount? / May I help you? What can I do for you? / I’m just looking. Thank you. / Ok. Take your time. / Do you think I’m alright? / I don’t think so. / Pardon me? / Oh my gosh. / You know what I mean? / I already have some of that.
I didn’t know that.
実際の会話にあるような表現をふんだんに取り入れています。アイデアが豊富で、様々なシチュエーションを考えています。PPAPをもじって作成しているペアなどもいて、「子供は上手にアイデアをもってくるな」と感心します。自然な相づちやフレーズを使用していました。
今回のパフォーマンスはずいぶんと気合いの入った「さすが赤坂中」というものでした。メモを取るのも忘れて見入ってしまいました。どのスキットにも「落ち」があり、それがなかなかの出来で、私はゲラゲラ笑ってしまいました。自分たちだけで楽しんでいるのではなく、明らかにカメラの向こう側にいる視聴者たちに楽しんでもらおうという「おもてなし精神」が感じられました。先輩たちのパフォーマンスビデオを見ていることでそれを上回る作品を作ろうとするから、このようにレベルが保たれていくのですね。自分たちの映像もいずれ後輩たちに見られると思ったら、よりよい作品を作ろうとします。まさに「百聞は一見に如かず」です。
生徒たちのアイディア
⚫腹ペコのお客に対して、60centのバナナを100dollar と言う。客は10dollarしかないと言うと、バナナのさっきぽを切って売る。
⚫リンゴとbananaを売る ペンを林檎に指す
□hey!hey!hey! This is a cute stuffed toy.と言って押し売りをする。
□高い時計を買って、店員が偽札だと気づく、しかし時計も偽物。
全て、自分の言葉として英語を話していて、驚きました。
この前のスキット活動「道案内」について、北原先生が生徒達に「今までの2年生の中で最悪だ」と評価した。この「買い物」のスキットをする時、生徒たちは前回の反省を込めて「先生、僕たちの道案内は、ひどかった。」と言った、という話が印象深かった。なぜなら、北原先生が生徒たちに本音を伝え、本当に愛情をもって生徒達を伸ばしたいという思いがあるからこそ、生徒達も本音で先生に戦いを挑んできたような気がするからだ。こうやって英語の授業通して、本気と本気がぶつかりあうことが大切なんだと実感した。いつものことながら、スキットを見て北原メソッドで育った生徒達の発想が大変豊かなのに驚かされる。
この前見せていただいた生徒と同じ生徒なの?と思うくらい進歩していました。(生徒たちも前の出来は最悪だったと自覚している)外での発表でした。印象的なのが「こんなところにりんごが」「こんなところにパイナップルが」とピコ太郎のパロディ風になっていた発表がありました。これもそうですが赤坂中の生徒も自分の生徒も生徒のアイディアというか発想には笑ったり驚かされたりします。
1 英語劇「銀河鉄道の夜」都大会ビデオ視聴
内容…二年生の時、日本語バージョンで校内の学芸会で行った劇を自分たちでスクリプト作成から
演出、練習を行ったものである。
形態…学年全員
やり方…
①場面を分割し、ペアでスクリプトの担当を決め作成する。
②先生やALTのチェックなども受け、台本を完成させる。
③裏方も含め、キャストを決める。ディレクター役も生徒である。
④まずは、校内の学芸大会(文化祭)に向けて→区大会→都大会へとすすむ
生徒自身で作成しているスクリプトなので、小難しい表現はありません。むしろ、中学生らしく、聞いていてわかりやすいと思います。キャスト全員が発音が上手く、よくある「あの子は上手だね」などの英語のうまい下手のばらつきがありません。全体のレベルが高いと感じました。見終わって鳥肌が立ちました。ジョバンニがとてもキュートです。「はだしのゲン」のような心の激しい揺さぶりは脚本的にはありません。しかし、宮沢賢治の世界観がよく表現させていました。メルヘンのようなファンタジーのような、そんな中で主人公の目覚めや意識の改革がこころの中で起こる様子が伝わってきて、素晴らしかったです。
セリフをすべて自分たちの表現にしていて、迷いがない劇でした。出演者の発音は非常にクリアで音量も十分。発音や抑揚もしっかりしている。機能語や弱音を強く読みすぎていると感じられるところはあるが、ストーリーもわかりやすく聞きやすい。Milky Way Trainの列車の中をイメージした大道具や、車掌さんの白いスーツと制帽の衣裳、蒸気機関車のSE、天の川の星を表現した照明など、実に本格的な舞台に仕上がっている。話しかけられて一瞬戸惑う、相手の会話を遮って自分が話し出す、モノローグで聴衆を引きつけるような表現など、舞台全体の呼吸が揃っていて、とても中学生とは思えない演技である。すべて授業中のジェスチャーリーディングが元になっていると感じた。何と、セリフも生徒たちが分担して英訳したということで、生徒が英訳した原稿も見せていただいた。
見せていただくのは、今回で3回目になります。何度見てもすてきです。本当に伝わってくるものがあります。音響がうまくいかなかったためハウリングが起き、生徒は声を張り上げなければならなかった、ということで結果は残念でした。これだけの分量の英文を生徒たちが自分で翻訳した、ということで、その原稿を見させていただきました。夏休み中に脚本委員会が検討した結果、以前日本語で演じたことのある「銀河鉄道の夜」にしようということになったそうです。9月に入って2時間半で仕上げたということでした。ペアになって、自分たちの言葉で作り上げそうです。中学校で学習した事柄が巧みに使われていて、読んでいて「なるほど」と納得する英文でした。こうやって自分たちで苦労して作ったことは生徒さんたちの血となり肉となっていくのでしょうね。田尻先生のことば「アウトプットさせないと力はつかない」の通りです。
夏休みに、劇の題材を選ぶ選考委員を立ち上げ、2年生の際に日本語で劇をやった銀河鉄道の夜にテーマが決定。ペアごとに担当を割り振り、自分たちで英語に翻訳していく。そのため、わかりやすい言葉が多く、生徒たちも思いがより込められていたと思います。また、この子は帰国子女かなと思うような目立った子がいい意味でいなく、全員が普通の中学校にいたら、帰国子女と間違えられるような生徒たちでした。
今回初めて視聴しました。素晴らしかったです。引き込まれてしまいました。ハウリングが原因でBGMを小さくしなければならなかったり,セリフの音量を上げなければならなかったりなど,ハプニングがあったようなのですが,十分に伝わりました。今回の,みんなで一つのものを作り出す経験は,間違いなく将来の自分を形づくっていくのだと思いました。英語を通してこのような経験おさせることができるのは,本当に素敵なことだと思いました。
ハウリングが鳴ってしまったりBGMも音が小さくなってしまったりとハプニングがあったようで、それに負けまいと生徒がセリフをさらに大きい声で言おうとしてさらにがんばるというような感じになってしまったそうです。生徒の感想を読むとこの仲間でやれたことや支えてくれた人に感謝しているし、いっしょうけんめいやったことなので満足はしているけどしかし悔しさは拭えないといった感想でした。 私は「この赤坂中の発表で賞が取れないなら賞を取る学校はどれだけ神なんだ?」としか思えない発表でした。生徒が一番実感していると思いますが人生を左右するような経験なのでは?と思います。 セリフに関しても生徒たち自身で原稿を作っており、その元を見せていただきました。やはりじぶんたちの言葉というところも大きいようです。
生徒さん達の精一杯の発表を見て、魂を揺り動かされるような素晴らしい感動を覚えました。台本を覚えているのではなく、実は、もうこの言葉は彼らの感情と一体になっている、と視聴しながら感じました。視聴後に、生徒さん達がセリフを自分達で英訳したものを見させていただき、こうやって自分たちで最初から作り上げ、見据えながら1年、2年とWriting力をつける授業や活動を組み立てていくべきなのだということがわかりました。
2 3年生2学期期末テスト
「英語劇 Illusion 2016 ~ Night on the Milky Way Train ~に参加して」というテーマで自分の感想を書きなさい。英文の量と質の両方を評価します。
英文の量(8、6、4、2、0点)+英文の質(8、6、4、2、0点)=16点
The most difficult point for me is finding good timing.
I think it was the best play I’ve seen.
And there were many machines I have never seen.
I am in the group that handles lighting.
I also helped compose and improve the script.
・後置修飾が多く使われていてとてもナチュラルな英語が多いと感じた。
・テスト内容(こういう内容のライティングを出すぞ!)の事前告知なし。
・Outputさせないと英語の力はつかない。「Outputなくして成績Upなし」
生徒の解答である作文を読みました。事前のアナウンスはなく、係名や大会名の語彙を与えられただけで、こんなにもアウトプットができるようになっています。特徴的なのは、語順のミスがないことです。通常はこの程度の作文をさせると、語順がぐちゃぐちゃで、意味不明の文を作成してきたりしますが、赤坂中の生徒の作文にはそのようなミスはありません。ミスとしてあるのは、細かなつづりミス 例えば actor → acter nervous→ nearvas、冠詞 a と theの使い方程度です。やはり、ジェスチャーリーディング、そのまんまスキットの基礎ベースがここで生きてくるなと思いました。
・take part in
・at the same time
・for the first time
など様々なイディオムが正しい形で使われていました。文法の穴埋めばかりやっている生徒はこのように、正しい形で英文を自分の言葉でつかえないと思います。頭で英作文をさせない北原メソッドのまず話させて、たくさん音読させインプットさせるやり方が本当に有効だと感じました。文法のミスも過去形にしていない、スペルミスくらいで、be動詞が抜けたり、動詞がそもそもなかったりというミスはありませんでした。
テストには係を表す英語8語と大会名が英語で出されている。12名の生徒さん達の感想文を読ませていただき、一人ひとりの英文にそれぞれの思いがしっかりと書かれ ており、読んでいる者に伝わった。また文法面では、接触節・現在完了形・比較級・関係代名詞などなど素晴らしい表現がいくつもあった。
I think it was the best play I’ve ever seen. …there were many machines I have never seen. Akasaka Junior High Shcool(‘s) English (was) better than (the) others! I am in the group that handles lighting.
ハウリングという劇の中身ではない要因で今回は辛い結果になってしまったかもしれないが、生徒さんの日本語の感想にもあったように(「失敗をはげましてくれたみんなが、…一生懸命取り組んだ団結したみんなが大好きです」)この経験が生徒たちの心に今後生きていく上での貴重な経験となり、こうやって北原先生をはじめとする先生方が一丸となって続けてこられたことが、確実に生徒達の成長につながっていくのだと思いました。視聴ありがとうございました。
3 北研アカデミー使用文献紹介
※○がついているものは手に入るので、アカデミー会員はぜひお買い求めください。
第2回オフ会は2017年3月28日(火)午後1:30~5:00、@赤坂中
アカデミー会員は原則全員参加。今から日程の調整をお願いします。
1 Nobuaki Kitahara “A Study on Pair Work & Group Work that Provide Stages for More Communication Activities” (University of Exeter, 1989) (参加者には後日PDFで配信予定)
2 鳥飼久美子『本物の英語力』(講談社現代新書、2016) ○
3 若林俊輔『英語は「教わったように教えるな」』(研究社、2016) ○
4 長 勝彦、長フォロワーズ『英語教師の知恵袋 上下巻』(開隆堂、1997)
5 門田修平『シャドーイング・音読と英語コミュニケーションの科学』(コスモピア、2015) ○
6 北原延晃『英語授業の幹をつくる本』(ベネッセ、2010~2014)○
7 北原延晃『第7回英検研究助成 C 調査部門「楽しい授業は力のつく授業だー生徒へのアンケート調査結果ー』(日本英語検定協会、1995)○(HPよりダウンロード可)
8 北原延晃『第10回英検研究助成 C 調査部門「Successful Learnersの英語学習法ー生徒へのアンケート調査結果分析ー」(日本英語検定協会、1998)○(HPよりダウンロード可)
9 北原延晃『第20回英検研究助成 委託研究部門『英検Can-Doリストを使ったSelf-Access Learnersリスト作り』(日本英語検定協会、2007)○(HPよりダウンロード可)
10 北原先生がイギリスで購入した専門書(David Nunan, William Littlewoodなど)
4 感動的なクリスマスソング
・Happy Christmas(John Lennon)
・I Saw Mommy Kissing Santa Claus(Jackson5)
・Bedtime For Toys(Stevie Wonder)
歌詞の中の語りの部分に,sometimes,just sometimesというところがあります。「なんでこんなこと言っているのかな?」と問いかけたそうです。ただ曲を紹介して歌うだけではなくて,歌詞の意味を考えさせます。自分も真似しなくてはいけないところだと感じました。
・Someday At Christmas(Stevie Wonder)
・時間がないのにジョンレノンのハッピークリスマス、聞かせていただきました。ほっこりです。
・The Jackson 5 の”I saw Mommy kissing Santa Claus”も聞かせていただきました。恥ずかしながら曲名を知りませんでした。
“Someday At Christmas”恥ずかしながら知りませんでしたが日本でもauのCMに起用されたこともあるそうです。https://www.youtube.com/watch?v=MaA7B9cu4kU
↑Stevie Wonderと遅咲きの歌手Andra Dayのデュエットバージョンを見せてもらいました。とっても感動的でジーンとしました。
“Bedtime For Toys” Stevie Wonder 1967帰ったあとYou Tubeで聞きまくっています。
https://www.youtube.com/watch?v=WvUebwl4P0c
セリフのところでsometimesを2回言ったのはなぜだろう?と北原先生が生徒に聞くと恵まれない子もいるから、戦争中の国もあるから、などと答えがあったそうです。サンタさんは君が悪い子だから来ないわけじゃない。世界が広いから時間が時間が足りないこともあるんだよね、きっと。歌のメッセージとは何なのだろう・・・などと話も広がります。現役ならこの時期、生徒も自分もクリスマスソングを楽しみにしているので今年はできなくてさみしいなぁと思っていたところに素敵な曲を教えていただき復帰したときが楽しみです。
5 Catch a Waveの使い方
博多の道路陥没の記事を使って、「受動態が6つあるからアンダーラインしてこらん」という問いかけをして、フォームに注目させる。実際に使われているところに注目させる。「by ~ってあった?ないほうが多いよね」
「記事を読み、受動態を6つ見つけたら立って、後ろでわかったもの同士で確認しなさい。」博多駅の地盤沈下の記事を読みました。最初、北原先生は生徒に「4つ受動態を見つけなさい。」と指示しましたが、生徒が写真を説明する英文の中にさらに2つ見つけたということでした。面白いです。実際にやってみましたが、私は残念ながら時間切れで、確認ができませんでした。「受動態とは言え、あまりbyを用いていない」ことに生徒が気づくということでした。
お題は該当の記事内で「受動態はいくつある?」「生徒は7つ、わかったら、答え合わせして」というもの。「生徒より遅いねー」と言われながら答え合わせまで行ったのが数組。わさわさして、7つになるにはキャプションまで読んでいる生徒がいて、ということがわかりました。Try to be different.教師が訓練として要求していることをそれぞれの目が全力で行っている結果、こういうことを共有するのがお互いの理解と成長につながると再認識。
<K先生の詳細なレポート>
1) 3年生即興スピーキング 「赤坂中紹介」
Sunshine 3の p.80にあるPOWER-UP Writing2「ホームページで学校紹介」を元にした活動。教科書は見開き2ページになっている。1ページ目に学校紹介ページの例が出ている。
①「どの項目をクリックすると以下の内容が出てくるか記号で選びなさい。」というちょっとした読解問題になっている。ただ例を載せると読まずに書いてあることを聞いてくる生徒が出るので、こういう作りで問題を解かせながら、さりげなく必要な表現に触れさせてしまおうという仕掛けであると思われる。
②次の1Location 2History…等の6つの項目について1行程度の英文で自分の学校について書きなさいという欄がある。いきなり全文書かせる前にスモールステップを踏ませている。
③学校行事と部活動に関するそれぞれ6文程度の英文を読んで、構成の仕方を学ぶ。
④最終的な書く活動。グループごとに分担して40語程度にまとめる。
必要な語彙のリストも示されている。(これがないと単語調べの時間の方が長くなる。)
教科書には次の手順が示されていた。
1.どれについて書くか話し合って決める。
2.情報を整理し、配列を考える。
3.全体を英語で書く。イラストや写真を入れて模造紙に書き、教室や廊下に掲示。
4.お互いに読み合って意見交換し、修正してからホームページを作る。
これを赤坂中では1時間で次のように行っていた。
(1)5人くらいにグループ分けして 学校要覧を資料として配布
(2)誰がどこを紹介するか役割分担して班で2分程度の内容を作成。
(3)練習して授業の最後10分で班ごとにビデオ撮り
教科書の文面通りにやると2,3時間はかかってしまいそうな一大プロジェクトに見えるが、このように1時間で納めていた。また、教科書ではあくまで「書く」活動なのだが、「即興スピーキング」活動に転換されていた。映像を見た時には生徒のパフォーマンスのすごさに目を奪われる。しかしそれは1年生の4月から始まる妥協のない発音指導と音読指導などの積み重ねの先にあるものであろう。だが、家に帰ってSunshineの教科書を見てみると随分と狙いや活動の手順が変えてあることに気づかされるのだ。一般的に検定教科書は実によく考えて作られていることが多く、活動の目的や達成する目標に向かって見事な仕掛けや布石が打ってあるものだ。そしてそれが3年間の3冊に練りに練った配列で並べられている。世間では教科書を独自にアレンジしたり、使わなかったりすることが高尚で教師の能力を示すものと誤解したような言説が流布しているが、実際には教科書の狙いや意図が読み取れていないだけということが多いのではないか。難解な知識や問題を解かせることで悦に入ったり、個別の項目は素晴らしくても全体的なバランスを欠いた我流の教え方になっていたり。人によっては教育的視点よりも知識の注入が最優先事項になっている。中には教科書を離れることが反権威主義的でかっこいいというようなスタンスに酔っている者までいる。つまり検定教科書の構成や活動を変えたり削ったりするにはそれなりの見識や生徒の実態との調整への意図が必要で、安易にやってうまくいくものでもないということだ。これはある程度の経験や研究を経て、教科書の意図が見えるようになってくると思い知らされるものである。
さて、話を戻さなければならない。まず元の教科書通りにやった場合、どのようなことが考えられるだろうか。おそらく1、2は手際よく進んでいくだろう。問題は3である。「写真やイラスト」というのが結構、曲者だ。教師があらかじめ写真を用意しておいて「これを使え」と指示したり、イラストも事前に家で描いてこさせるか余程手際よく声掛けをするかしていかないと、生徒が凝りすぎて、英文を書いている時間よりイラストを描いたり写真を選んでいる時間の方が長かったということが容易に起こりうる。その結果、見栄えは綺麗だったりかわいらしかったりするのだが、かけた時間の割に身についた英語力は?ということになる。また、模造紙に書くグループ活動なので生徒によっては人に頼って考えてもらった英文を書き写しただけ、という者も出てくる。写真やイラストというのは日本語を介さずに言語活動させたり、英語への抵抗感をやわらげ、理解を助け、生徒を楽しませるものとしては極めて有効だ。しかしoutput活動の時には使わせ方に配慮しないと英語をやっているのか図工をやっているのかという本末転倒になるケースが多々あるものだ。
4はどうだろうか。内容について意見交換させる前提で英文を読ませるというのはなかなか実際の使用場面を意識した活動で面白いと思う。我々が何かを読む、という時には目的があるのであり、テストのような問いに答えるためではないからだ。また、ただ掲示して終わりにしない、という点も良い工夫ではないだろうか。職場体験や修学旅行の班別行動などと違って、自分たちの学校紹介だから生徒にとってはほとんど新情報がない。つまり余程向学心のある生徒でないと英文を読む動機がないのだ。したがって張り出されたものをわいわい楽しそうに見てはいるもののほとんどが写真とイラストを楽しんでいるだけで、英文を読んではいないということが起きうる。ただ、問題はそのような工夫の先にある、「修正意見を取り入れた最終的な英文ホームページ作成」はどのようにして行われるのかということだ。まさか40人近くをPC室に入れて学校ホームページの英文版を作るという作業ができるとは思えない。完成した原稿をパソコン部員か担当職員に渡して掲載してもらうということになるのだろうか。しかし公開するとなると公的なものになってしまうから校長決済が必要になるし、一度作ったら次年度の生徒はほとんどやることがなくなってしまう。 つまり「読み手を意識して書く」ということを考えた場合に実は実行面で難しい活動になってしまっているのかもしれないということだ。ただし、扱っている言語材料は指導する価値のあるものだし通常のストーリー性のある本文に盛り込むのが難しい内容であることは間違いない。「本校は19○○年に創立されました。」とか「当部は何度も決勝戦まで進出しているが、初心者も大歓迎。」というような、日本語だとよく使っている内容を英語にするとどうなるのだろうね、という活動は生徒に新鮮な発見と英語で表現する楽しさを味わわせるからだ。こうしたことを踏まえて、北原先生は即興スピーキングとして扱うことにより、1時間で時間の費用対効果が高い活動に転換したのではないだろうか。また、模造紙と違って、英語を頭に入れて話さざるを得ないため、人に頼り切って書き写しただけといういい加減な逃げ道を封じてしまっているとも思われる。書く方は後でライティングノートに書くしね、という訳だ。つまり実行面での齟齬を修正し、教科書が狙った言語材料はしっかり定着させる、尚且つグループ学習で生じうるマイナスの行動は絶った上で、話し合い教え合いの教育的効果は引き出す、ということをさらっと行っているのだと思える。最後に生じた疑問が二つ。Sunshineを採用している学校の方々は実際にこれをどのように行われたのだろうか。自分は「英文ホームページを作る」って発想としては楽しそうだが、クラスサイズの実行面で考えるとなんか無理だぞ、と書いてしまったのだが実はいいやり方があるのだろうか。1ページ目の問題解かせてさらっと読ませるだけ?ノートに書かせる?時間内に手際よく終わるようにワークシート形式?それとも北原先生のようにスピーキングの発表活動にした?いざ授業を考えた時にいろいろ無理があることに思い立って自分のように当惑された?どうだろうか。もう一つがこういう活動って教科書の編集段階ではどのように話し合われているのだろうか、ということだ。教科書の例が沖縄の中学校になっていて、著者に琉球大学教授のお名前もあるから、大学の先生が担当したページなのだろうか。しかし大学の先生だって附属中学校での実践研究もあるし、実施に当たってのシミュレーションをせずに書いているはずはないだろうから、何らかの見通しがあって掲載されたのではないだろうか。それはどんなことなのだろうか。それとも28年度版ではその点が修正されているのだろうか。
さて、学校に行って28年度版Sunshineがあったので見てみたらびっくりでした。こうやって教科書って改訂されていくのかという、進化の過程を垣間見た思いです。28年度版は左ページが学校行事と部活動、それぞれ2つずつ、合計4つの項目の読解教材のようになっています。行事は合唱祭と文化祭、部活は運動部と文化部というなかなかの配慮。右ページの設問は読みトレでおなじみの下線方式で次のように分析させる指示です。
(1)行事については「時期」、「特徴」の箇所に下線。
(2)部活動については「活動状況」、「勧誘の言葉」に下線。
これは要するにある観点を持って読ませることで、書く際の観点の枠組みを作ってしまうという心憎い伏線でしょう。発表形式の学習ではこれらの観点を与えずに漫然と書かせると、多くの生徒は脈絡も解釈も何もないデータの列挙をしたり、やただ目を奪われた点のみを挙げたりするなど、読む側の視点や書く目的を全く考慮しない内容を書き始めたりするものです。これは社会科の「国調べ」や「都道府県しらべ」みたいな調べ学習でよく起こります。
生徒「○○国は人口○千万人、面積○○㎢で、人口密度は○人です。云々…」
教師「その数字ってイメージできてるの?何が伝えたくて挙げたの?その面積って日本の何倍くらい?」
生徒「……」
教師「その人口密度って日本と比べてどっちが多いの?」
生徒「……」
みたいな感じでしょうか。この単元でもおそらく学校の生徒数とか職員数とかを延々と述べたり、ひたすら部活名を列挙したりというようなことが起きえます。せっかくいい例文を載せておいても読む側に適切な観点がないとそうなってしまうのであれば、視点を与えたうえで読ませ、自然とモデルにして書くように仕向けてしまおうということでしょう。さらに指示のところの「ホームページを作りましょう」が消え、「違うクラスの作品を見て参考にし、さらに修正して完成させましょう。」に変わっています。これなら掲示した際に写真で盛り上がるのではなく、英文を読む必然性が生じるということでしょうか。また参照語彙の欄も倍増して、「部費」とか「シードされる」とか「練習試合」など、「意外と英語で言えない中学生の生活語彙」とも言うべき語が充実しています。「生活語彙のinput」は千葉大の西垣先生が小学校英語の大きな役割として挙げられているところですが、「中学校生活語彙」をinputしないといくら文法だけ教えてもいつまで経っても表現活動ができないものです。このあたりはだいぶ現場で指導する中学校教員からのフィードバックが反映されるようになったのでしょうか。しいて言えば、「ホームページを作れ」よりは現実的だが、一旦、写真やイラストまでつけて模造紙に作り上げた作品を「多クラスの作品を参考に修正する」っていうのは現実的にできるのだろうか、という疑問が次に生じてくるところでしょうか。まさか作品に朱書きで訂正するわけにもいかないし、完全に作り直すとなると最初の手間がかなり徒労になってしまう感はあります。「下書き段階で一度張り出して読み合う」あたりが妥当なのでしょうか?
2)2年生即興スピーキング 「日本の学校システム紹介」
Talk & Talk Light Book2 「№34 School Systems」を使った活動
実際のTalk & Talkにはアメリカの学校生活について6文が載せられている。始業の時期、通学方法、制服、給食、下校時間など。have to ~ / don’t have to / must / mustn’t などそれまで中2で習ってきた助動詞の統合型活動という位置づけだろうか。そして、学期、通学、掃除、昼食、制服、放課後の活動、という6つについて英語で説明しなさい、となっている。今回の活動では、生徒は6文以上で言えるようになったらALTか北原先生のところに来てOKをもらう。終わった人は言ったことをライティングノートに書く、という流れ。映像はALTが構えているカメラで撮ったものなので、生徒がどんどん発話していくことに対して、子気味のいい合いの手が入れられている。これが実にテンポが良くて、生徒もどんどん乗っていく。赤坂中にはTuesday LessonというALTが主になって行う時間がある。これは通常の週4時間の英語とは別に行われるもので、総合の一コマを国際理解というような形で充てているものだったと思う。ALTが考案したプログラムのこともあるが、通常は「25分が映画を使ったListening、25分がTalk & Talk Lightを使ったスピーキング」という形で行われている。映画のListeningは以前、北研でも実体験版で行われたもの。映画を見せながら、北原先生がここぞと思うところで一時停止させて、「今、何て言った?」で黒板に語数分の下線を引いて、ノートに書けた者から立ち上がっていくというもの。Talk and Talkは一回に2単元(ページ見開き分ということになる)進んでいく。だから今回の単元も10分あまりでこなしていることになる。以前、授業に参観した時に生徒がTalk & Talkを持っているので、いつ使っているのだろうと思ったら、このレッスンの時間だったと聞いたことがあった。さて、このTalk & Talkも田尻先生の使い方だと、まずノートに書かせてきて出したものからどんどん添削していくというもの。添削とは言っても間違いと間違い方の指摘だけで生徒は合格になるまで直して再提出。それが完了したらインタビューテストを受ける、という流れになる。つまり正確さと定着を徹底的に図る教材として使われている。一方で赤坂中のこの時間ではALTに伝わる範囲であれば、細かいミスにこだわらず、どんどん発話させていくための教材として使われている。北原先生の授業では教科書本文をとことん定着させ、ベーシックダイアローグで発音も含めた正確さと定着を極限まで追求しているのでTalk & Talkのこの使い方が可能になっているのだと思われる。そしてそこには「頭の中で作文してから話す」という旧来の英語教育を受けた人間がなかなか抜け出せない呪縛から生徒を解き放ちたいとの思いがあるそうだ。それが今日、「即興的スピーキング」ということが言われるようになった理由に他ならない。この点については東京外国語大学の根岸雅史先生が示唆に富むことを書かれているのを読んだことがある。曰く、「学期に1回、イベント的な英字新聞を作らせるより、間違っても良いから毎日少しずつ書かせる方がはるかに伸びる。」「話す力も量を増やすことが大切」「言語の習得過程ではたどたどしいやり取りをする段階が欠かせない。」(VIEW21,2016 vol. 2」)とのことである。どうも日本人はこの「たどたどしさの過程」に我慢ができなくなってしまうのではないか。几帳面で正確さを重んじる国民性がことここにおいては裏目に出ているように思えてならない。話がそれるようだが、スポーツ指導でもこれと似た現象があって、野球の世界でも少年野球や中学野球の段階で打者の三振と投手の四球を毛嫌いするあまり、少々空振りが多くても強くバットを振る子や少々荒れ球でも腕をよく振って速い球を投げ込む子の芽を摘んでしまう傾向がある。確かにその方が目先の大会には勝てるから当てにいくようなバッティングをする選手が作られていく。しかしキューバやアメリカではそのようなことは全く評価されずあくまで大人になってからスケールの大きい選手になれるような豪快なスイングが重んじられているということを千葉ロッテでコンディショニングコーチをしていた立花龍司氏がかつて指摘していた。年齢が低い段階のテストでは正確だが、大人になった段階でどちらが伸びているか…という点では全く共通している。「思い切って振っていけよー!」と打席に送られて、三振すると怒鳴られる。指導案には「間違いを恐れずに」とか書いているのに、生徒の発話にミスがあると許せない。テストの作文もひたすら綴りと文法のミスの減点法…。最後の生徒が冬の下校時間は早くなり、外が暗いから It is very dangerous. I’m scary!!と言って、Really? Are you scary? と突っ込まれていたのも楽しそうな雰囲気の中で行われていた。この違い、なかなか一度理屈で説明されたから身につくようなものではない。excitedとexciting、tiredとtiringなど事あるごとに間違えて指摘されてやっと身につくような項目なのであろう。だから正確になりきらないからといってoutputの活動を減らしてしまったり、すべての言語活動を事前の原稿チェックと正確な英文暗誦にしてしまってはいけない、ということだろう。狙いは即興的な発話力なのか、正確な英語の定着なのかをはっきりさせたうえで即興的な発話の機会の数と量も増やす、というのが今後の流れになっていくのではないだろうか。北原先生も過去に随分とこの生徒のスピーキング活動中の発話のミスを批判されたりしたとおっしゃっていた。しかし批判する側の人間は自分の英語習得には「たどたどしい過程」がなかったのだろうか。おそらく昔の学校英語で文法正確主義みたいな授業を受けた後、大人になってから話す中で、その過程を経たのだろう。しかし今の生徒は学校で習っているうちから話す力も身につけることが求められているのだから、学生のうちにどんどん「たどたどしい過程」を通過していかなくてはならないのだ。そしてその方がどう考えても言語の自然な習得の姿であるはずだ。