4月22日(土)第205回例会

約7年間北原先生に少しでも追いつきたい、いい教師になりたいと365日考えて走り抜いた教員生活でした。毎月の例会・懇親会で北原先生と皆様にお会いできるのが楽しみで貴重で、講義中も一言一句メモを取っていました。そんな会で、講座を担当任せていたさせていただき、大変光栄でした!

新潟から初参加のI先生が来てくださったり、午前中授業やお仕事を終えての参加の先生方も多くいたとお聞きして感謝でいっぱいです。

会の最後は、結婚、大学院入学のお祝いも含め立派な花束まで用意していただいて、北研はいつも温かいなと思いました。

質問も10個以上いただいて、北原先生が北研会員の意欲と姿勢が素晴らしいとありましたが、その通りだと思いました!リアクションがあり、こちらも助かりました。

私は、8/11からアメリカのアトランタにあるジョージア州立大学で博士課程を始める予定です。

大御所の教授2人のZoom面接で「なぜ、博士課程取りたいの?」と聞かれ、きっぱり「日本の英語教育をよくしたいからです!スピーキングとライティングのテストの研究・実践がまだまだ少ないので、私がやります」と答えました。

そこで面白いと思ってもらえたのか、こいつはたくさん実績を出しそうと思ってもらえたのか、4年間の全額学費免除+年俸の高待遇の合格をいただけることになりました。

おそらく、修士論文を終えても、新規で3つの研究活動を行っていることが他の受験者との差別化が図れたと考えられます。2つは、アメリカの教授も知るような世界レベルで活躍している教授の元で研究プロジェクトに入れてもらっていること。3つ目は、北研で7年来の中のK先生とJ先生との共同研究です。J先生がいるおかげで、”国際”研究チームを束ねて研究プロジェクトをけん引しているとアピールができました。(嘘は言っていません!アメリカは盛りまくるカルチャーなのでこのくらい言わないと埋もれます(;’∀’))色々な人種がいる中でリーダーシップを張れるのはアメリカでは大きなポイントになっていきます。

北研での素晴らしい先生方との出会いに感謝です。

アメリカに引っ越してからは、MLで皆様の実践報告を楽しみにしています。私の方からも、現場の先生に役に立ちそうな情報があれば発信させていただきたいなと思っています。

日本の中学校、高校の英語教育の研究をしていきたいので、ご協力のお願いもするかもしれませんが、その際は無理のない範囲でご協力いただけたら嬉しいです。

また、K先生のようにコラボで研究にも興味がある方は、ぜひぜひ共同研究やりましょう。めざせ、論文100本!国際研究チーム(チーム北研)で出版・国際学会で発表までどんどん出来たら楽しいかなと思っています。

(今、即興スピーキングとEMIに興味があります。)

************

●ヤングジョンソンC先生のイギリス留学報告

タイトル:『研究って楽しい!!200%楽しんだイギリス大学院生活』

1.自己紹介

2014年から教員として働く。以前北原先生もいらした和田中で非常勤で働き、翌年,東京都に採用。

深沢高校で7年間勤務した。2015年、北研に入ってすぐ、北研英語教員による英語劇の長女役に。

2021年レディング大学応用言語学修士課程修了。

2023年8月からアメリカジョージア州立大学応用言語学部博士課程入学予定。

2.留学先の選び方

アメリカなら基本2年間。学費はイギリスの2倍だが、大学内に学費免除+生活費支給になるポジションがある。イギリスでは1年で修士が取れる。ヨーロッパ旅行が楽しめる。ヨーロッパだと格安の大学院もある。

3.大学院生の1日/1年間の流れ

7:30起床・身支度

8:00-9:00 最後の予習

9:00-11:00言語テストの授業

11:00-11:30先生に質問したり、クラスメイトと情報交換

11:30-22:00図書館で次の日の予習(言語カリキュラム)

課題本を50-100ページ読む。コロナ禍で学びの仕方も少し変化していて、事前に1時間の動画を視聴して、授業でのディスカッションの質問に準備することが出来たのは、自分には良かった。

グラウンドを通って寮から校舎まで10分歩くのが気持ちよかった。

人によりそれぞれ図書館のお気に入りのブースがある。いつも同じ席に座る人と仲良くなり、交友を深めた。図書館仲間が出来た。フロアによってQuiet

(少し話しても良い)、Silent(話してはいけない)、Group Study

など用途が違う。寮の部屋はワンベットルーム、キッチンつき。机とベッドは個室だった。

4.研究テーマの決め方

普段から疑問に思うことをすかさずメモに取る。

気になる分野についてもメモる。

優秀な修士論文を読み漁る。

論文は1から書かなくて良い。真似でオッケー。トルコ人のデータを日本人に換えたり、高校生を中学生にするだけで十分新しい論文になる。修士は,時間内に形になればいい点数が取れる。

日本人は構成力があるので、今回,大学院では日本人全てがdistinction(優秀賞) だった。独自性、大きなオリジナリティはいらない。

レクチャーシリーズを見る。各分野のレクチャーが上手な、研究者の発表をまとめたもの。各分野のレクチャーが上手な,研究者の発表をまとめたもの。授業の前後に先生や同級生にアイディアを常に聞いてもらったり聞いたりすることがとても大切。1番のポイントは常に探そうとする姿勢。全く考えていなくて,題名提出直前に考えても何も出てこないのは当然!

5.カルチャー編(楽しくなきゃ続かない!)

イギリスは1年で取れる代わりに、勉強は厳しい。イギリスの大学院は「マスターなのだから勉強して当然」という考え方。それでマイルールを作り、一日12時間は図書館で勉強した。そのかわり1カ月で5日休暇を作り、

イギリス在学中、14カ国旅行した。

コロナ禍中、着物の着付け方法を習い、自分で着られるようになり、友人が安くたくさん手に入れていた着物(浴衣)を着せてあげて喜ばれた。

世界の料理が食べたくなったら料理上手な友達の家へ!教会に行き,知り合った方と仲良くなり,お宅訪問。

音声学の教授兼ロックバンドのヴォーカルの先生がファンキーで、コロナで講義を休んだ後、テスト1週間前にライブをやったので、見に行った。

6.大学院で会った北原メソッド

北原メソッドとレディング大学院の共通点は?

●良い先輩の作品をシェア

必ず過去のAを取った生徒のエッセイが3本ほどシェアされているので、参考にすることができる。

●評価をすみ分け

総括的評価(Summative Assessment)と形式的評価(Formative Assessment)

評価するための課題(総括的評価)と学期の途中に行う理解度を測ったり、フィードバックをもらう評価(形式的評価)の役割がしっかりしている。

※ピンポンブーでやるBDは形成的評価。意見が合わない先生に対し、「先生、形式的評価と総括的評価ってご存知ですか?これについては形式的評価なので、フィードバックはしません」と理論武装が出来る。総括的評価はテストなどは別にきちんとするので,全てで評価する必要はない。評価の役割を意識すると自分のつける評価に自信が持てる。

【やりとりについての研究】

海外のスピーキングテストの研究者の日本人(筑波大学 小泉利恵教授)を発見したので、「先生のファンです!」とメールを送り、即弟子入り!

スピーキングのやりとりについての研究やウェブサイトの運営の助手をやった。

やり取りのテストを行う場合、2-3人の受験生だと、平等に話すことができ、良い効果が取れるという研究が出ている。2人だと相手のレベルが低すぎると、不満が出ることがある。生徒1人対教師だとやり取りとしては教師が主導になり、正確な結果が取れない。テクノロジーを用いた言語テストでは、AIの進化がすごいので、少し前のデータは古くなるので注意する。

Distinction とは優勝賞のこと。それがあると履歴書に書ける。成績はレポートがすべてなので、出席点とかは全くない。音声学、language

curriculum designの授業が面白かった。

●Discussion の例

学習指導要領は世界にあるの?

National Curriculum

アメリカは各州で決められている。

イギリスは4つの地方ごとに違う。

イギリスの中でいEngland, Scotland, Wales, Northern Ireland は別の国なので、ひとつの国

だと同じに見ると大変なことに。

7.研究って超楽しい!

身近な疑問をすでに世界中の誰かが実験して結果を出している。論文探しは宝探し!

8.指導教官で大学院時代の運命が変わる

基本6月から卒業の8月までの2カ月間は教授たちはバカンスに出かけてしまう。一切連絡が取れなくなる。それで、論文は6月までにまとめるつもりでないといけない!

クラスメイトの例:メールに返信をくれないで、やっと2カ月ぶりに会えたら、「君のテーマは何を言っているのかわからない」とダメだし。ふりだしにもどる。→せっかくやったのに努力が水の泡になり病む人も。コロナ禍もあり、4週間ノーペナルティで延長出来たため、延長する人も多かったが、千穂先生はきちんと予定通り卒業された。

質問コーナー

●出会った研究者から貰った仕事は?

、、、学会でのお茶出し,片付けなどなんでも。

●訪問した14カ国の中で良かったところは?

、、、バルト三国はオススメ。

ヨーロッパ内ではコンパクトに旅行に行ける。

ロンドンからポーランドまでたったの1000円!

リトアニアエストニア、ラトビアなど安全な国。

女性が1人で歩いても平気。

●研究テーマの決め方についてはどうしたのか?

、、、今心が燃えるテーマを受けるために書いておいて、入学後変えても良い。変えるには理由があるから。

9.私の研究について

高校生の時、英会話スクールの教師から教えてもらって驚いたのはスピーキングテストがあるから基本話せるよ、というスウェーデン人の先生が会い、かっこいいと思った。

センター入試の発音問題って意味なくない?と思っていた。TOEIC900以上でも英語を話せない人がいることも多々あったので、発音がわかっても話せないなら意味がないと思っていた。

IELTSでは語彙文法の幅が問われるので良いと思った。北原先生で言うBe different!が海外では特に大事。

「無責任なテストが落ちこぼれを作る」

「英語テスト作成の達人マニュアル」

根岸雅史先生、靜哲人先生はみなレディング大学で学ばれた。それでテスティングを研究しようと思った。

【研究テーマ発掘への道のり】

1月から始まった言語テストの授業で運命が変わった。講義はブリティッシュカウンシルのテスト研究者のRichard.

レディング大学の卒業生。授業の冒頭でブリティッシュカウンシルとコラボでリサーチが出来るチャンスがあるから応募するように、と告知があった。校内選考に合格し、学部のブログに研究内容を紹介。教授の助言を得て、日本人教師と他国の採点者の採点傾向を比較することに。

先生側のライティングの評価について先行研究の論文を46本目に読んだ論文でみつけることが出来た。

2001年中国人?の先生が書いた論文が自分の研究したいこととヒットした。その論文を元にさらに世界には研究している人がいるので、金脈を掘り進めるように調べていく。世界中の人と繋がっている感覚。

【大学院卒業後の楽しみ方】

●世界中の学会に自分の論文を応募する

●どこかのジャーナルに投稿を目指す。世界中の人に見られる可能性が。

●尊敬する教授に連絡してみる。仕事がもらえたり,博士課程に誘われることも。

【C先生の英語の研究論文で印象に残ったこと】

日本人教師がエッセイで重視するのは、構成力だということ。Aptis(IELTS

より安く受けられるテスト)のraters(採点のエキスパート)がチェックするのは語彙と文法だったこと。日本人は「これはエッセイだから、構成力が大事」と考え、Aptis

ratersは「これは言語のテストだから、語彙や文法が重要」と考えた点。

※じつはじゃれマガの選考でもこの点が意見の分かれたとのこと。北原先生は語彙や文法を重視し、ジャレル先生は構成を重視された。国際的な視点に立つ北原先生と,日本人化しているジャレル先生??に面白さを感じました。

French

AmericanのG先生によると、やはり、英検は、構成を強く意識する日本人らしいテストだそうです。パラグラフごとに何が書かれているかを問う問題はいかにも英検で、世界にはない独特のテストだとおっしゃっていました。

Aptis

ratersは、構成が完成していなくても(起承転結が出来ていなくても)、内容に豊かな語彙が含まれていたり、文法が正しければ高い点数をつけていた。同じエッセイを評価した時に、日本人教師は17位をつけ、Aptis

raters は10位をつけた点が興味深かったです。

C先生によると、そのようなテストで叩き込まれた日本人的な課題に対する適応力は、大学院では生かされたとのこと。他の国から来ていた大学院生はレポートの構成や課題を捉える力が弱かった。おかげで日本人はみんな優秀賞だったとのこと。

(感じたこと)

与えられた課題に対して適応する力や構成力を重視するなど、日本人的な視点は良い点ではあるけれど、語彙や文法に対して考慮することは世界標準の基準なので、今後テストを採点する際、より意識する必要し、生徒にも教えていく必要があると思いました。正しく評価するためには、教師が学ばない統計学や評価についてもっと勉強する必要がある、という北原先生の言葉に強く同意します。テスティングについてはすべての教師が1から学び直す必要性があると感じました。

【今後の北研】

今後の北研では、北原先生がメインで教えるのはあと2年とのこと。北原メソッドを受け継いでいる先生方の講義を交えてやる予定。北原先生から声がかかるので、積極的に受けて欲しい。また立候補も歓迎。次回は懇親会参加者のリクエストで、夏か冬かのディベートなど、その時期時期に合わせた映像を交えて北原先生が講義される予定。

【未来の先生基金】

北原先生は将来を見据え、今後、教職を取っている大学生に,北研会員を派遣して教えるプロジェクトを考えている。交通費、宿泊費、講義謝礼などをこれまで北原先生がためた講師代などから支払われるとのこと。

今回もとても興味深いアカデミックな研修会でした。いつも全力で前に進むC先生、とても輝いていました。今後の活躍に多いに期待しています。5/1に静岡に引っ越され、新婚生活を楽しまれた後、8月末に単独でジョージア州アトランタに旅立たれるそうです。お体に気をつけてくださいね。またアメリカからのレポートもお待ちしております。

************

【1】研究の発端

・センター入試の発音問題は意味がないと思い「日本の英語のテストを変えたい」と思った。

・名著、『無責任なテストが落ちこぼれを作る』、『英語テスト作成の達人マニュアル』の著者である根岸雅史先生、靜哲人先生がレディング大学で学んだことから、そこでテスティングを研究をしようと思った。

【2】先行研究と後続研究

・自分の研究と近い先行研究を探すことは極めて重要。先行研究と同じ研究結果が後続研究で得られれば、先行研究の信頼性を高める意味があるし、後続研究が逆の結果を示せば、それはそれで意味のあること。

【3】研究内容

・日本人教師10人と他国の採点者(Aptis trained raters)10人が、20人の英検2級レベルのwritingを採点する傾向を比較した。

【4】研究から得られたこと

・Aptisの1.8に対し、日本人教師は2.36の評価のばらつきが見られた。

・理由としては、Aptisがアカデミック・アチーブメントではなく「言語試験の採点であることを意識して」GrammarとVocabularyを重視したのに対して、日本人教師はTask achievementを重視した。

・日本人教師達は、独学による採点方法を現場で受け継いでおり、評価方法や統計学などについて、専門的な知識があるわけではないのが大きな問題。

・GrammarとVocabularyを重視した評価を行うためには、採点者の高い英語力が求められる。

・日本人教師は、日本の生徒がやりやすいミスを良く知っていて、減点するきっかけになっている。

【5】北原先生のコメント

・『じゃれマガ』コンテストで、ジャレル先生が内容を重視したのに対して、北原先生がGrammarとVocabularyを重視する、この研究の日欧の傾向と逆のことが起こった。

・ルーブリックなど評価方法を生徒に示した集団と、示さない集団を比較する研究では、示さない集団では「ミスを少なくしよう」と消極的な傾向が見られる。量やemortionalな部分をもっと評価できるような方法を取るべき。

・統計学は教職課程に必ず入れるべき学問。

************

*1.その道のトップに師事せよ。*

C先生は、「わが国トップの英語教師」北原先生に出会えたことが”今”につながっていると話されました。

英国レディング大学においても研究テーマにおけるトップの教授に師事し、続く米国ジョージア州立大学でも、素晴らしい指導教官との出会いを勝ち取ったとのことでした。理想を追い続け、アンテナ高く求め続けているからこそ道は開けるのだなと思いました。

*2.日本の教育のいいところ*

何かと批判されがちな日本の教育ですが、C先生のお話では、今回日本人全てがレディング大学院各部の優秀賞を受賞したとのことでした。

先生の話をしっかり聞いて、求められている課題を把握・理解し、形式を守って提出する力があるからだそうです。そのような姿勢が、教育を通して身についているのかもしれません。

*3.評価者としてのトレーニングが必要*

C先生が取り組んでいらっしゃる研究テーマに関連して、「ライティングやスピーキングにおいて何をどう評価するのか」について伺いました。

振り返ってみると、学生時代にルーブリックや統計学について学ぶ機会はありませんでした。評価者としてのトレーニングは必要ではないかということです。私も微力ながら研究のお手伝いをさせていただき、学んでいこうとしているところです。

************

今回のC先生のお話は留学をしたい先生や大学院に入って研究をしたい先生には特に参考になるし、研究にいままで関わってこなかった先生もこの話を聞いて興味を持てると思いました。

大学院では時計が一周するまでは勉強すると決めて図書館で勉強していたという話。私も大学院の授業を受けた経験がありますが、ガチで大学院の授業を受けようとしたらそれくらい勉強しないと意味がないなと思います。

図書館ではいつも同じ席で勉強していたので、同じように毎日見かける人に話しかけて仲良くなった話。また、飛行機で隣になった人と研究の話で盛り上がった話。イギリスの地元の人と関わるために教会の行事に参加した話。C先生がオーストラリアに研修に行ったときの話を聞いたときも思いましたが、C先生の積極性や行動力、コミュ力は大いにC先生の世界を広げていますね。自分の生徒にも伝えたいエピソードです。

忙しい中でもヨーロッパの国を14カ国訪れた話。オンとオフの使い分けが素晴らしいですね。勉強だけじゃ教育者として自分の生徒に伝える言葉が限定されてしまいますね。いろいろな経験を伝えたいものですね。

研究テーマに始まる研究に関する話はこれから研究を使用という先生に大変有用な情報だと思いました。そもそも研究と言っても何から始めればいいのか分からないですよね。例えば、自分の英作文の指導について研究したいと思ったとしても生徒の英作文をどのように研究していけば分からないんです。そこで、C先生が話していた、今まで誰かがやったことのある研究の真似をすることが役立つと思います。英作文の研究はこれまでたくさん行われてきたはずですから、論文をグーグルスカラーなどで検索して、読んでみて、自分がやりたいことと似た研究を見つけたら同じようにやってみればいい。対象生徒の年齢が違う、国籍がちがう、それだけでも新しい研究になります。ただ、C先生も自分がやりたい研究と似た研究を見つけるまでに50本近くの論文を読んだということで、そこは忍耐力がいりますね。

C先生の研究内容も興味深い話でした。ブリティッシュカウンセルが提供しているAptisという言語テストのプロ採点者と日本の高校教師の英作文の評価の仕方の比較は、日本の教師の方が文法や語彙の正しい使い方ではなく、与えられた課題にどれくらい適した英作文になっているかを評価するという結果になっていました。私個人の経験から考えると、正しいコロケーションの使い方などを正しく評価する自信がないので評価するなら言語そのものより、英作文の構成を評価する方が楽だなと思いました。

日本の英語教師の評価の仕方だと生徒の言語能力を伸ばすには適していないことも意味するのかと質問したところ、課題に対する達成度に焦点を当てる日本式の評価方法のおかげで、海外の大学院で日本人生徒は自己流ではなく、真面目に言われたとおりに課題に取り組むのでよい評価を取りやすいという一面もあるそうです。

************

1 留学先で自分ルールを作った。

 ・1日時計が1周する(12時間)まで勉強する。

 ・1か月に5日は旅行する!ヨーロッパを縦横無尽に旅した。片道千円の航空券なども。

 ・旅行に行った話を留学生に話すと、中国人、フィリピン人、ウズベキスタンの人たちから羨ましがられた。

日本人が日本のパスポートを持つということは、どこの国へも自由に行くことができるということ。

 ・教授がある時、学会に出るので休講となる。→その教授に学会とは?次の学会には連れて行って欲しいと懇願。

結果、移動費も出してもらってアメリカでの学会に連れて行ってもらう。(仕事:お茶汲みやら、参加者への弁当などの用意という仕事をもらって。)

2 教師が「評価」の研修を受けてきていない。・・・評価者としての訓練が必要。

 ・形成的評価と総括的評価

3 大学院で出会った北原メソッド

 ・良い先輩の作品をシェア

 ・評価をすみ分け

 ・授業内のBasic Dialogue は形成的評価。ピンポンブーでできているかは評価するが、成績を伴わないもの。

 ・スピーキング力を図るのならスピーキングテストをする。(北原メソッドでは、事前に準備するものから

 即興型、発表とやり取りとそれぞれのテストで図る力を意識してテストをデザインしている)

 ・Be different! を常に言ってあげていること。

4 研究について

 ・スピーキングテストの研究をしている人は日本で少ない。

 ・話すこと「やりとり」は3人グループがBest.

 ・IELTS(アイエルツ)15分間のスピーキングテスト・・・語彙と文法の幅。減点法ではなく。

 ・現在の研究テーマ:ルーブリックを提示した際に生徒のライティングにどう変化があるか?

 ・大学院卒業後の楽しみ方:世界中の学会に自分の論文を応募する。(国際学会デビュー)

 ・尊敬する教授に連絡してみる・・・仕事がもらえたり、博士課程に誘われることも。

************

〇大学院では、1日の課題50~100P 

 「時計が1周りするまで図書館にいるぞ!」とずっと図書館 で勉強。(すごい!)

(図書館での表記 Quiet 少ししゃべっていい Silent 絶対しゃべらない )

〇研究テーマの決め方

普段から疑問に思ったことをメモる

優秀な修士論文を読み漁る(BA MA Award, IELTS Award 英検助成論文など)

〇忙しい学生生活だが、息抜きも大事。1か月に5日は息抜き!と決めた。イギリスからポーランドが渡航費1000円だったのは驚き。

⇒ウズベキスタンや、フィリピンの方などは他の国へ行くのはビザ申請。2週間かかる。

日本のパスポートはスイカのようにすいすい。日本のパスポートのありがたみが分かったとのこと。(先日、教科書に出てくるトルコのエルトュールル号の話や、杉原千畝の話などを通し、生徒たちに「日本のパスポートが信用されているのは、このような日本人が世界で信頼を得てきているから。みんなも 彼らのような誠の国際人になってほしい」という話をしました。C先生の話で、やはりそうなんだ、と思い、生徒に伝えたいと思いました)

〇スピーキングの研究が日本では少ない。

〇やり取りでは、2,3人が最も平等に話せる。 

〇学習指導要領(national curriculum) 国によってはない。

〇IELTSのテストは良い (来月初めて受けるので、楽しみです)

〇「無責任なテストが落ちこぼれをつくる」「英語テスト作成の達人マニュアル」を書いた根岸将司先生 静哲人先生などレディング大学で学んだ。 だからレディング大学を選んだ。

(「自分が学びたい!」と思っている分野で、最高峰にいる人にC先生はアンテナをはり、学びに行きます。それが成功の秘訣の一つなんだと思いました。)

<ICT情報>

☆Text Inspector→無料のアプリ。エッセーのレベルをはかる。

☆Teams の文字起こし機能→話しながら文字起こしをしてくれる。

<北原先生より>

「未来の先生基金(ファンド)」をしようかと。教員のなり手が減っている。

北原先生や、北研メンバーが英語教育のおもしろさを伝えていく。

(私も、今の学校で教員不足を肌で感じています。北原先生のされようとしていることが

素晴らしいと思いました)

************

○研究テーマの決め方

 ・アンテナを高く。常に探そうとする姿勢が大切。

 ・疑問に思ったことをメモ。

 ・優秀なレポートを読む。レクチャーシリーズを読む。

○カルチャー編

・1日時計が一周するまで勉強。その代わり、一ヶ月5日は休んで旅へ。

・日本のパスポートが普通ではない。他の国のパスポートでは何ヶ月も前からビザを申請しなければならない。(歴史地理教育雑誌読みたくなりました)

○大学院で出会った北原メソッド

 ・よい先輩の作品をシェア。

 ・総括的評価(評価するための課題)と形成的評価(理解度を測ったり,フィードバックをもらう評価)の明確化。

 ・テスティングの実用性(北原メソッド◎:教室内では通常授業、一人ずつ別の場所でテスト)、信頼性(北原メソッド◎:ALTとT1で評価)、妥当性(北原メソッド◎:即興、発表、やりとりなど目的によってやり方を変えている)

 ・やりとりのテストを行うなら3人がベスト。(2人だと相手のせいになりがち)

○研究論文

 ・日本人教師が重視することとAptisが重視することが違う。日本はエッセイだから形式、構成を重視するが、Aptisは言語テストだから語彙を重視すると考えている。

 ・教員は評価の仕方、統計学を学ばなくてはならない。

************

①アメリカとイギリスの大学院の年数や学費について。

 アメリカは基本2年、イギリスは基本1年。そして学費はイギリスの大学院の方が安い。ただしアメリカの方が学費免除+生活費支給というポジションがある。

→調べたら、 日本だけでなくアメリカもイギリスもオンラインで学ぶチャンスがあるんですね。

②修士論文提出9月を前に、6月にはもう担当の指導教官がバケーションに入り連絡がとれなくなる。そのため、自分のテーマやその進め方を話すなどのコミュニケーションをまめにとっておくべき。

③研究テーマの決め方。

今回これを一番楽しみにしていました!

★まずは普段から疑問に思うことや気になっている分野についてメモする。

★優秀な修士論文を読む。(BA MA Award / IELTS Award / MA AWARDで検索。英検助成論文)

真似でOK。まずは修士論文のレベルなら、新しいものでなくても、元の論文に対し少しプラスしていくだけでも新しい論文となる。

→これが一番びっくりしたことです。これを聞いたおかげで少し気が楽になりました。普段から気になっている分野についてもっとアンテナをはってみようと思います。あとはとことん読み漁ります。

④大学院で出会った北原メソッド

北原先生が実践されてきたことは、当時からそして今も変わることなく生徒のためになる方法で、それは生徒の年齢を問わない。

特に評価をすみわけしているという表現がしっくりきました。(総括的評価と形成的評価)

⑤研究テーマ発掘への道のり

C先生は研究テーマを決定するまでにたくさん論文を読んでいますが、自分のテーマに似たような先行研究を読んだとき、46本目でついにやりたいと思える論文に出会ったそうです!

⑥研究論文のシェア

Aptisと日本人英語教師の、ライティングにおける採点の違いについて。

同じエッセイを採点して、20点近くの差が出ていて驚きました。

そのエッセイは言ってみれば書きかけ。導入と本論1までで終わっている。

日本人はエッセイテストだからということで、「構成」や「お題に正対しているか」を見る。語彙や文法も見るが。また日本人は、できないことを挙げ、それを理由に減点していると説明する。一方で、Aptis採点者は、これは言語のテストだから言語のレベルを計ることが目的であるととらえて採点している。そのため、書き終わっていないエッセイでも、語彙や表現に幅があると加点されていく。また、その点数を付けた理由を説明する際も、「~ができているから」とできていることを挙げている。

→C先生が話していましたが、確かに日本人教師は評価者としてトレーニングを受けていないし、自分たちが受けてきた教育がそうさせているのかもしれません。そして、自分の採点を思い出しました。かつて英作文の採点の際、区の調査などから配布される採点基準を元に、「そうやって採点するといいのか」と真似した覚えがあります。そこには、真っ先に「お題に正対しているか」が挙げられていました。また、「スペルミスの程度」により減点される数値も違っていました。また、英検の英作文の模範解答などを参考にすることもあります。そうなると、私もその日本人英語教師と同じ採点結果だっただろうなと思いました。でもだからといって、いきなり語彙や表現を見て採点できるかというと、恥ずかしながら自分の英語力では難しいのが現状です。しかしこのままだと、回答する方は簡単でミスのない無難な文を書いてくることになります。北原先生の、正しい文1つにつき2点でたくさん書いていいという出題形式が、私でもできるやり方でかつ生徒のやる気を伸ばせると感じました。英部の量と質の両方で評価するというやり方は、ALTの力を借りればできると思いました。

************

1 会場へ

 北原先生が、研修の内容と一緒にアップしてくださった会場へのアクセス方法に何回も目を通しながら、蒲田駅からS中学校へ向かいました。右手にJRの列車が並んでいるのは何だろうと不思議に思っていたら、なんと列車の運転手さんの教習所でした!(←と私は理解しました。正式名称はもっとお堅い名称でしたが…)車の教習所の列車バージョンがあることに『ホ〜』

2 S中学校

 なんて開放的で明るい校舎!

 東京は土地が狭いのに、オープンスペースがこんなに広いなんて贅沢な造りだなぁ『へ〜』

3 C先生

 7年間、北原メソッドで理論、生徒目線、データーの3点について学ばられ、今回のイギリス留学の研究の決め方やデーター分析の方法をわかりやすくお話ししてくださいました。

 タイトルの「研究って楽しい!!」というワードに???だった私。研究と名の付くものは難しく、校内分掌の研究主任は、できるなら誰かにやってほしいと思う役職です。研究が楽しいってどういうこと?

 先生のお話を伺って、楽しさがちょっとわかった気がしました。

 楽しさ その1 普段から疑問に思っていることを集める(収集癖のある私は同感!この場合は、モノではなく物事ですが。)

 楽しさ その2 優秀な修士論文を読み漁り、「これだ!」と思う論文を見つけた時の喜びは何とも言えない(多くの調べものの中から自分にヒット したものを見つけた瞬間の喜びってないですよね、これぞ宝探し!!)

 楽しさ その3 先生や同級生に自分の考えを聞いてもらってブラッシュアップする(論文は調べて書く作業で孤独と思いきや、ま.

とめるまでは、いろいろな人と話すのですね。自分の頭の中で堂々巡りをして煮詰まってしまった時、人に話しているうちに解決できたり、新しいアイディアが浮かぶことがあります。そんな感じなのかな。)

 C先生が、キラキラした表情で、一番のポイントは常に探そうという姿勢、そして、一番心が燃えるテーマに!とお話しされた時、私の頭の中では斎藤由貴の「夢の中へ」が流れました。(←井上陽水ではなく…)

「日本の言語テストを変えたい!」という思いから、レディング大学でテスティングを研究することになり、日本人の採点者と、他国のプロの採点者で採点傾向を比較する研究を行った。

 英検2級レベルの文を各採点者に採点してもらい、どうしてそのような評価をしたのか理由を尋ねたところ、日本人採点者は、課題に対してどのくらいきちんと答えているかという理由で、文章の構成力を重要視した。対して他国のプロの採点者は、言語テストなのだからという理由で、文法や語彙の正しい使い方ができているかどうかを重要視した。

日本の教育は減点法で評価し、他国はできていることに注目して評価していた。

熱い想いをもって留学されたこと、そこから素晴らしい師に出会い、大変興味深い研究をされ論文を発表されたことに心から拍手を送りました。そして、どこでどんな師に会うかは、一人の人間の生き様を変えるのだと思うと、自分は目の前にいる子どもたちにとって、そういう存在であるかを自問自答しました。『まだまだだなぁ』

 研究を始める際には、こうなるといいなという結果は予想するものの、その期待する結果と違っていてもそれを裏付けるものを提示すれば、それも立派な論文になる。

結果を○か✖️で判断してしまいがちの私は、時間をかけて研究しても期待する結果にならなかったら残念すぎる!と思っていたのですが、これもありなのかと思い、目から鱗でした!

 C先生を含めた日本人留学生3名は、Distinction(優)で卒業。研究された内容からすると、文の構成力を重要視する日本教育の中で育った3人。海外でも評価されたということは、この評価は海外でも通用するということなのか。留学先がイギリスだったということもあるかも。

次はアメリカ留学をされる先生。アメリカは論破する力を重要視するようなので、どうなるか。

文化が全く異なる二カ国で、挑戦される先生を尊敬します。今もキラキラされていますが、4年後どんなオーラを纏って帰っていらっしゃるのかワクワクします!

4 北原延晃先生

 I先生とK先生に背中を押されてきました。

 正直、例会に参加しようと決心するまで時間がかかりました。数年間、コロナをはじめとしたできない理由探しをしていた私ですが、3月の新潟での辞書指導ワークショップで、ここで終わりにしたくない!と思いました。あのワクワクドキドキ感を毎月得られたら、どんなに幸せだろう、どんな風に自分が変われるだろうと思い、決意しました。

 C先生の研究内容の紹介後、日本の教員は評価の仕方を教えてもらっていない、皆独学で何となく評価している。評価者にとって統計学はマストだというお話にいたく共感しました。

 独学で評価し、裏付ける資料ですら、本当にこの資料で評価して良いかどうか不安だから、親にツッコまれないようにゆるく評価している教員が多いと思います。

 また、教員育成のために、未来の先生基金を立ち上げようとされていたり、地方の大学にも手弁当で行きますとおっしゃってくださる先生の熱意に感服しました。

 ご退職後も、こんなにパワフルでハートフルな生き方をされていらっしゃる方を、他に存じ上げません。

5 懇親会

 例会に参加するだけで、吐きそうなくらい緊張していた私は、懇親会参加はかなりハードルが高く、当初は参加を希望していませんでした。

 ところが、C先生が、誘ってくださり、ドキドキの懇親会デビュー!

 更にはじめての参加者は、北原先生のお隣の席。緊張度MAX!!と思いきや、何と居心地の良い空気感にすぐ溶け込ませていただきました。みなさんありがとうございました。

 毎回、例会レポートを読ませていただき、先生方のレポート内容で、自分勝手にイメージしていた先生方が目の前にいらっしゃることに感動!そして自分で作ったイメージとのギャップに一人で楽しんでいました。失礼ですね。すみません。

 右手に北原先生、左手にC先生。すごい先生方に囲まれたものです。この例会のレポートの話をした際、C先生が、一番に提出することに決めていたとおっしゃっていました。そして、今回も有言実行されていたので流石だなと思いました。

 会場のS中学校を貸してくださっているN先生とお話させていただきました。とってもチャーミングな先生で、おしゃべりが楽しかったです。緊張していた私はどこに行ってしまったのか!

6 徒然なるままに

 北研に参加するために上京するなら、金曜の夜から日曜夜までの2泊3日を存分に楽しもうと、東京でのやりたいことリストを作りました。全てのタスクを達成し、帰りの新幹線で爆睡。よく学びよく遊んだ文遊両道のショートトリップとなりました。

 

 北研例会&懇親会に興味はあるけれど、敷居が高すぎて自分なんて、と思っている方はいらっしゃいませんか?私も数日前までその一人でした。

 しかし、そんな不安は一掃されました。みなさんから温かく迎えていただきました。

 北原先生が、「北研のメンバーは!」と言われたことが実感、体感できました。

 来月も参加させていただきます。よろしくお願いします。

 迷っていらっしゃる方、ぜひご一緒にいかがですか。

 レポート内容はこれでよいのか不安です。読み返して、この文章採点されたら何点になるのかなと思ってしまいました。構成力も語彙力も中途半端な気がします…

************

100点です!構成力はまだまだですが、イギリス式の評価による「北研への熱さ度」という評価規準では満点です。

コロナ前の北研は新幹線や航空機を使っていらっしゃる先生方が毎月数名はいました。復路便のギリギリまで懇親会で楽しまれていきました。

地方にお住まいの先生方、またいらっしゃいませんか。5月からは毎月生徒のパフォーマンスビデオを見てスピーキングテストの運営と評価を考えるようにしました。「次のパフォーマンステスト何にしたらいいだろう?」と悩まれている方、ぜひおいでください。

懇親会デビューがまだの方、稲田さんのお書きになった温かな雰囲気なのでこちらにも参加されてください。

北原延晃

************

1 内容につきましては、C先生が例会での全ての資料のURLを例会の前から公開していらっしゃいますのでご欠席の方は是非ご覧下さい。ご自分の研究を全て公開して下さる姿勢にも北原先生の教えが生きていると思います。

2 以下、自分が特に感銘を受けた部分を書きます。

(1)C先生の精神の自由さ

何ものにもとらわれず、自分が本当にやりたいことをしっかりご自分で選び取り、その課題のゴールに向けてひたすら邁進する。すがすがしい。

(2)自由でいるための努力

図書館で1日10時間以上の勉強。/ 研究テーマを決めるにあたり、①常に疑問はメモる、気になる分野についてもメモる。/ 先生や仲間とアイディアを常にシェア

メモる姿勢は、C先生の勤務校(都立深沢高校)で出会った生徒さんの姿勢に通じる。あの生徒さんは学びに対する姿勢もC先生から学んでいた。

(3)遊ぶときは、遊ぶ。

精神が健全であるためには必須。

(4)(イギリスの)大学院で出会った北原メソッド

うなずくことばかり。実践を普遍化するためにも研究は必要。

(5)「研究って超楽しい」

「(先行研究の論文を読み)鉱山で鉱脈を発見したかごとく、これがやりたいと思える世界中の論文が発見される」

これが、時や場所を越えて他者とつながるということなのでしょう。素晴らしい。

3 C先生の論文(日本語版)を拝読して考えた事

(「 」内は、C先生の論文の抜粋。⇒以降は、私の考えた事。)

私が経験上、共感した部分を抜粋。

(1)「日本人教師がより構成に重点を置きながらエッセイを評価する傾向があったことである。日本人教師は、序論、本文、結論という慣れ親しんだ構成 に沿ったものであれば、より肯定的に評価する傾向があった。一方、Aptis 採点者 比べ、不完全なエッセイをより否定的に評価する傾向があった」

⇒日本人採点者は基準が明確な事項を正確に評価することに長けている

⇒このような点を鍛えられたせいか、C先生の仲間の日本人留学生は論文の構成についての評価が高い。教授の課題を正確に把握する力が高い。と言う点は、興味深い。

(2)「Aptis 採点者は 「できていること」「良いこと」を中心に言語使用を評価したが、日本人教師は 「悪いこと」に着目し、学習者の「誤り」に着目して点数を調整する傾向がみられた。」

⇒入試における減点主義。これを超えてかつ客観性が高い平等な採点基準作りが目標なのだろうが、とても難しい。

(3)「各グループが評価しようとしているライティングの項目が異なるた め、テストの採点が採点する教師によって異なる解釈になる可能性があるという明 らかなリスクがある。(2)生徒が受け取るフィードバックには、採点の妥当性の問題 がある可能性がある(Shi、2001)。 (3)このような採点方法のばらつきは、学生の学 習・試験に対する態度にウォッシュバック効果をもたらし、結果的な妥当性にかか わる。日本人教師は言語使用を評価する際に正確さを重視する傾向があり、生徒が 簡単なフレーズや文法を使用することを間接的に奨励してしまう。また、採点がが 間違いをベースに行われている場合、学習者は間違いをできるだけ避けようとする ため、より幅のある言語を使用とせず防御的になる恐れがある。」

⇒その通り。

 北原メソッドの「書きっぱなし英作文」の採点と文法、語彙の正確さを評価する英作文の採点とは基準を変え、それを生徒にもあらかじめ説明していた。しかし、入試レベルの指導では、まさしく「防御的」になっていた。

C先生の講義から、テスティングのみならず、すがすがしく精神の自由を保ちながら生きる姿勢をも学びました。刺激的でした。心より感謝いたします。

************

他の皆様も書かれているように、今回の例会はC先生のイギリス留学の研究(そしてカルチャー、今後)のお話でした。

C先生の、常に向上心をもちながら、様々なことに挑戦していらっしゃる姿‥‥とっっってもかっこいい!!とお聞きしながら静かに痺れていました。

日本の英語教育のために。

先生の信念が、お言葉の端々から伝わってきて感動しました。

採点傾向について調べる研究で、採点者の国により傾向が違うなど、興味深かったです。また、「今後は、日本の英語教育も評価者としてのカリキュラムを入れるべき」と仰っていたのが印象に残りました。評価については日頃から試行錯誤だったので、今日お話を聞くことができて勉強になりました。

これからも、北原メソッドを学びつつ、試行錯誤し続けたいと思います!

(K先生のスピーキングポータルサイト、拝見させて頂きました!活用させて頂きます。)

************

■1日12時間、図書館で勉強すると決めていた。

■寮に閉じこもっているとメンタルがやられる。

■教会は信者でなくともよいコミュニティなので交流しイギリスを知るのにとても良い場所。

■コロナで留学が1年伸びてしまったが、その期間着物の着付けを習っていたのでパーティで着たり海外の友達に着せてあげたそうです!写真のC先生、すごくお似合いなので、ぜひぜひ今後も学会や学会後のセレモニーなどで着てほしいです!寿司つくり方も教えていたなんて、かっこいい!

■テスティングの授業のSubjective test ではPracticality(信頼性)、Reliability(実用性)、Validity(信頼性)の観点で活動させる必要があり、北原先生がやられている廊下でのspeaking test、ALTとの即興speaking、発表は北原メソッドではこれらにあてはまる。C先生がこれに気づけたのは本気で北原メソッドを学んで教えてきたから。普段私がしている生徒への活動・評価が何の目的なのか考え、ALTの先生とを共有して活動の効果を上げ、生徒に還元しなければと思いました。

■研究者を発見して弟子入り!す、すごいです!

■スウェーデンの先生が「私の国はspeaking testで成績をつける」の一言がC先生の心に残ったという。私がここで思ったのは、IELTSの英語力がつけられるよう、日本の英語教員は大学を卒業して教員として5-6年働いたあとにこういった研修を1~2年設けるべきだと。中堅に差し掛かる前に問題意識をもって語彙・文法の幅が伸びるような勉強をすればグッと力が伸びるはず。

■「無責任なテストが「落ちこぼれ」をつくる」について。私の勤務校で毎週全ての学年で行っている文法テストは明らかに基礎クラスの生徒達にはハードルが高い問題です。でも上位層を伸ばす小テストが実施されています。なので千穂さんが紹介してくれたこの言葉に考えさせられた。

■日本人教員と他国の採点者の採点傾向の比較の研究は本当に興味深いです。私の同僚のALTは文法減点よりも内容重視です。先生が実験で提示した項目も大変参考になりました。私の採点法はスペリングミスや文法ミス、論理破綻について減点する方式ですが、ルーブリックを吟味し、生徒にEssayを書かせるときには必ず評価の基準―ルーブリックーを提示しなければと思いました。また英検のwritingは配点が高いわりに基準かが不透明なので採点基準について研究することはとても有意義だと思います。

************