【1】なぜ仮定法を選んだのか?なぜこの形になったのか?
例えば、音楽の演奏の場合、先生に習う場合には、習っている先生に教わったことを徹底的に追求して生み出したものを提示するのが原則である。今回の仮定法もまた、その原則に反していない。
本来ならば習ったそのままを出すべきだが、結果として、今回はキタケンメンバーがよく知っている形から外れたabnormalな形になった。中学校に導入されたばかりの文法は、現職の教員の興味関心が高いことから、北原メソッドを日頃実践されている先生方を前に、「結果として」形が変わった姿を元に考察していただければと考えた。
(1)私が考えた仮定法の配慮事項
・仮定法は、状況提示が他の文法事項よりも極めて重要。
・2つの文が接続詞で合体した、生徒にとって負担のある長い形である。
(2)基本ライン
・限られた時間の中で繰り返し、一定の形を繰り返すにしても、他の文法よりも絞り込んだ方が良い。
・『決定版!続・授業で使える英語の歌20』から”If I Had a Million Dollars” sung by Barenaked Ladiesを軸に一つの文にこだわる。
・ビル・ゲイツについてはTalk & Talkの受動態で扱ったことがあるので生徒には馴染みがある。
Microsoft was started by Bill Gates.
(3)パターンAの形を、「結果として」崩した
丸山眞男が「教えるタイプには2つある。自分の知識を滔々と述べていくタイプと、相手と対話をしながら自分の知識・見識を分け与えていくタイプだ」と、講演会や著書で述べていて、前者をアリストテレス型、後者をプラトン型と呼んだ。私の授業づくりの「古層」にあって、必要があるときに思い出す。
通常のAパターンでは、下線による空欄付きの文を提示してからTeacher Talkをする、いわゆるプラトン型。すなわち、相手と対話をしながら自分の知識・見識を分け与えたり引き出していく。
しかしながら、「どんな状況で使う文か」が極めて重要で、Teacher Talkをいつもよりもしっかりと聞かせる体勢づくりが必要であることから、生徒にとって「いつもとは違うな」と感じさせるアリストテレス型を採る必要があった。すなわち、まずは自分が育てた生徒の耳を信じて、自分の知識などを滔々と述べていく。今回のプランでは、私のイメージとしてはTeacher Talkの続きとして、板書の文が存在する。
(4)2022年11月の授業をざっくりと再現
#1. Song: Listening
< (If) I (had) (a) (million) (dollars), (I’d) (buy) (you) (a) ~. >
<>は板書
#6. Grammar
Oh, “Japanese History” written in English. It looks very interesting.
How much is it? 900 yen.
How much do I have in my wallet? I wonder whether I have more than 1,000 yen or not.
(I wonder if I have over 1,000 yen.)
< (If) I (have) 1,000 yen, I (will) buy this book. 2年 Unit 3-3 >
Wow, this car is cool. I want it. But I think it’s too expensive to buy.
How much is it? 8 million yen. It’s difficult to buy now.
< (If) I (had) 8 million yen, I (could) buy this car. Unit 7-2 >
8,000,000 (would)
Is it easy to get 1,000 yen? How about 8 million yen?
Is it easy to get 8 million yen?
It’s very difficult for me to make such a large amount of money.
過去形を使うことで、現実から離れている距離感を出します。
仮定法と言います。
Do you know Bill Gates or Elon Musk? Who knows them?
Who is Bill Gates? Yes, he started Microsoft and became a billionaire.
Who knows Elon Musk? Yes, he started Tesla. He became a billionaire, too.
< (If) I (were) Bill Gates, I (would) buy you the car. >
(was)
I wish I were a billionaire like Bill Gates.
If I were a billionaire, I would do like this.
Oh, I want this car right now. How much is it?
8 million yen? If I HAVE 8 million yen, I WILL buy it now.
Let’s check how much I have in my bag now. Heave ho!
It’s easy for a billionaire to carry 8 million yen.
【2】実際の生徒の様子と模擬授業
今回、11月にやったばかりの授業をそのままやるつもりでのぞんだ。
#1. Song: Listening
< If I had a million dollars, I’d buy you (a) ~. >
模擬授業では、最初のこの活動で、余りにもスムーズに空欄が埋まってしまって、その時点で「まいったなあ」と思った。実際の過去2回、違う年度の授業で、両方とも、肝心な場所で、「haveなのかなあ、hadなのかなあ」「I’ll? いや、なんか違うぞ」と生徒が引っかかってくれた(caught)ので、議論をしながら繰り返し同じフレーズを聴かせることになった。このことが、新出文法事項への興味関心を高めたと思う。
・先生方からのアドバイス「 」
「日本語訳付きの歌詞を早く渡すのはもったいない。」
「仮定法を導入する授業ではなく、もっと前からこの歌を使い、「あの時に歌った曲にあった」と思わせる。」
#6. Grammar
実際の授業では、次々に空欄が埋まったが、模擬授業では#6に入った途端に進まなくなった。
< (If) I (have) 1,000 yen, I (will) buy this book. 2年 Unit 3-3 >
「If I have 1,000 yen, I will buy this book tomorrow. とするべき。」
「”を多用して、生徒が単語を書く時間を短縮するべき。」
*Aパターンの「復習の文」は、普段は、大抵そうしているが、今回はたったの4つの文で、新出文法の文が中心であり、シンプルにしすぎることが、かえって生徒の思考を邪魔をすると考えたので、”で省略しなかった。中3の2学期は、書くスピードが速い。
「Do you need a hint more? ではなくDo you need more hint/another hint? が正しい。」
*いつもは「正しいと思った英文はリピートする」が生徒には身についていて、実際の授業でも生徒がやっていたが、模擬授業では、生徒役の先生方を指導するのを忘れた。
*M先生がやっていたように、多数の生徒役がいる授業においては、書き上がった先生が立ち上がる度に数を言うべきであった。私の授業では、マンツーマンだったり、最大4人という現状から、言う必要がなくなって、普段は言っていない。
< (If) I (had) 8 million yen, I (could) buy this car. Unit 7-2 >
8,000,000 (would)
「新出文法は赤で。」
「新出文法は余り時間をかけずに前に進む。」
*模擬授業が、予定の部分まで進まなかった主な要因はこれに尽きる。実際の授業では前に進んでいるのが常だが、この模擬授業では止まってしまった。
【3】模擬授業では全くできなかった部分
< (If) I (were) Bill Gates, I (would) buy you the car. >
(was)
I wish I were a billionaire like Bill Gates.
If I were a billionaire, I would do like this.
Oh, I want this car right now. How much is it?
8 million yen? If I HAVE 8 million yen, I WILL buy it now.
Let’s check how much I have in my bag now. Heave ho!
It’s easy for a billionaire to carry 8 million yen.
最後の部分が終わると、実際の授業では「あっそういうことか」と数人の生徒が言った。
【4】その他
「(時間外でやった)パターンプラクティスがあってほっとした。」
Basic Dialog:
A: What did you do during the summer vacation?
B: I took my mother on a trip overseas.
A: How was it?
B: She was very impressed with that.
A: If I were your mother, I would feel the same.
「(自作BDについて、)very impressedではなくmuch impressedが良い。」
「(一般の生徒には)5行は負担が大きい。」
「相手の文が出てこないときには生徒の対処方法が2種類ある。一つは、ジェスチャーでヒントを出す。もう一つが、今やってもらったように、相手に同じ台詞をもう一度言う方法。修復のテクニックを生徒に言ってあげると良い。」
【5】最後に
高校生をターゲットに作られたと思われる英検2級と準1級教材には、仮定法が何回か出てきて、「先生、これこの前やった仮定法ですよね」と生徒も仮定法とすぐに認識できている。また、準1級のSpeakingテストのNo. 1は定型の疑問文で必ず仮定法が使われる。Look at the 4th picture. If you were the man/woman, what would you be thinking? 準1級で、ようやく話すことが当たり前であることが要求される。やはり、中3にとってはハードルが高い文法であることは確か。
今回の研修で、多くの先生方に貴重なアドバイスや励ましの言葉を頂いたことに深く感謝しています。
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昨日、もう一つのabnormal北原メソッドBパターンをやった。余りにも思いがけないことだったので、マンツーマンで動画を撮りやすい環境であったにもかかわらず、撮るチャンスがなかったことが残念。それだけ思いがけないことだった。
現在小6の生徒。コロナ禍の影響で学校のオンライン授業を受けてすっかり英語が嫌いになり、保護者の熱心な指導でもどうにもならず、私の教室に来て約1年半。「これだったらやっても良いかな。」と言いながら、マンツーマンというお互いに逃げられない環境下の中で地道にやってきた。英語レッスンはマンツーマンが良いというのは全くの嘘だ。上達させる本気の授業の現実は厳しい。「だめだ。もう一回!」とか「下手くそ!練習が足りない」と私が言うと、時には目を丸くし、口を膨らませて首を左右に振ってから、仕方なくやることもあった。
この日は、学芸会の練習で学校を出るのが遅れ、見るからに、生徒がいつもよりも非常に疲れていた。「先生、慌てて出てきてスパイラル忘れました。でもやっています。」「いいよ。音読やってきているから許す。」そんないつもの会話を、生徒が教材を鞄から取り出す間にした。
旧SunShineの2年生。いつもなら教科書の絵を見せてQ&Aをやるのだが、代わりにYouTubeのセヴァン・スズキによるリオでの「伝説のスピーチ」を見せながらQ&Aをした。YouTubeでは細かく戻って見ることが容易で便利。動画を止めては、質問をして、もう一度戻って確認した。
英語で問いかけられること自体に拒否反応を示していたが、ここまでできるようになった。
T: Who is this girl?
S: Severn Suzuki? この人がさっきの(New Wordでやった)Severnなんだ。日本人なんですか?
T: No, Japanese Canadian.
T: How old is she?
S: Thirteen. そう聞こえた。
T: Yes. But she said, “Twelve or thirteen.”
T: Where is she from?
S: She’s from Van…?
T: Good. She’s from Vancouver in Canada.
スピーチがIf you can’t fix…という教科書に登場する文が登場するところまで見せて、今度は日本語字幕版を同じところまで見せた。中断したときに、生徒は、「続きはYouTubeで見れるのですか。」と聞いた。
この後、生徒が教科書を閉じたまま、私が教科書本文を音読して聞かせるnormalパターンに戻った。
この動画を見せた途端、生徒の顔つきが明らかに変わった。疲れて、無理矢理やっていたはずなのに、授業の後半にもかかわらず、生き返ったかのように目が輝いていた。セヴァンの題材は、中学生向けの教科書で取り使われているが、当時のセヴァンと同じ年齢の小6で見せて、先生方にも奇跡のような瞬間を楽しんでいただきたい。
残念ながら不本意に終わった土曜日のマイクロティーチングは、10年以上かけて改訂を繰り返して作り上げたプランで、この教室では、あの指導案そのままでやったのが2回、改訂中、中高の学校の英語の授業を尋ねたら思い出して泣き出した高校生に1回やった。実は自信作であり、やる度に、私が生徒の変化を見て感動したものをあの機会に、abnormalと自覚しても、見せたかった。強い決意で意図的に、意味があって変えたものなら効果があることも見せたかった。本当は出したくはなかったけれども、「出席した」キタケンメンバーになら出しても良いと思って選んだもの。それだけに、用紙に書いていただいた一部のコメントを読んで、全く意図が伝わらなかったことなどに深く傷つき、どうすればより完成度が高まるかをさらに考えた。
あのプランの発端は、10年ほど前に田尻悟郎先生が、研修会で何度か取り上げて感心したネタが元になっている。『決定版!続・授業で使える英語の歌20』(開隆堂)に、あの当時を彷彿させる内容が書かれている。北原先生と田尻先生、二人のヒーローから感動を受けたことに私のアイディアを混ぜて、ベストな仮定法導入を創り出したかったこだわりのプランだ。
この数日間、振り返って、Teacher Talk だけではなく、あの歌の「生徒同士が議論する」場面が重要だということに気づいた。生徒が、「haveのはずなのにそう聞こえずにhadに聞こえる。I’llのはずなのにそう聞こえない。何でだろう。」これが、その後の流れが上手くいくかどうかを決定づけるポイントだと確信した。最初に聴いた時の生徒の頭の中は、If you haveから始まる2年生で学んだ文形がdominateしている。実際に聞こえたものとのギャップが起こっている。あそこで「意味を考えて理由を加えながら」生徒同士がどちらが妥当なのかを議論をして、生徒が自分の耳で聴いて納得するまで、教師はあの歌で繰り返されるフレーズを聴かせなければならない。だから、あの歌は仮定法導入の日に初めて聴かせる必要がある。北原先生には、あの日、パターンプラクティスのやり方など、レポートに書いていない貴重なアドヴァイスを頂いて感謝しているが、唯一、あの歌を聴かせる時期は「もっと前が良い」については、やはりそういう理由があるので、申し訳ないが採用しない。
あの歌については、以降、毎回授業開始時に使いこんなことを生徒に言っている。「これだけ繰り返せば覚えてしまうでしょう。If、過去形、would/coudの3点セットが入ったフレーズで覚えることが重要なんだ。」
貴重な時間に出席して下さった先生方を喜ばすつもりが、上手くいかなくて打ちひしがれ、逆に、励まされる酷い展開になり、最悪の気分で迎えた翌日の日曜日ではあったが、月曜日に生徒たちと上記のやりとりがあって元気を取り戻した。
紹介したabnormalについては、normalをきちんとやってこそ、生徒がいつもと違う「なんだ?」という新鮮な気持ちで授業にのぞむものだと思う。
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「お前、試験前ぐらい、もっと勉強しろよ。」
入塾して約2ヶ月の高1生徒は、先に始めた同い年の高1に対して、帰り際にこんなことを言っていた。授業のはじめには、私には言い出せずに、May I borrow your mechanical pencil?と聞いていて、段々と私の生徒らしくなりつつある。
最近、英検4級を取得したばかりの中1とはこんな会話をした。
T: (学年末)試験どうだった?
S: (何も言わずに机の上に伏せる)
T: で、英検の結果は学校に持って行ったの?
S: あの試験最悪だった…塾行って勉強できるやつも、あれは定期試験ではなくて単語テストだって言っていた。
T: それならなおさら学校に英検結果を持って、英語の先生に、「先生のおかげで4級に合格しました」て行かないと。学校の先生を敵にしてはいけないよ。
S: 2年になったら、もうあの先生は変わってほしい。(授業とは無関係の出題ばかりをする)あの先生はいやだ。
この生徒は教科書の音読をよくやっていて、教科書の本文を私のジェスチャーを元に音声で再生できたり、聞いて書き取ることがよくできる。
私は①何でもかんでも日本語訳と②単語テストという、日本の悪しき英語教育の伝統をぶっ壊した英語教育を実践するためにこの教室を作った。
模擬授業でやった内容の次回、実際の授業で行った生徒の「わくわくペアワーク」が出てきたので紹介する。
実際の授業の構成メンバーは、2022年第2回に英検準2級合格が2人(A, B)、2021年第3回に英検3級合格1人(C)、2022年春に入塾した時点で英語成績2で、2022年第1回に4級不合格、第2回で4級と3級ダブル合格1名(D)の合計4名。声をかけて持ってきてくれた全4人分。
「わくわく」が間に合わなかった1人(B)は代わりに、「後輩に使ってください」と使わなくなった中2の教科書を持ってきてくれたが、ありがたいことに翌日に見つけてわざわざ持ってきてくれた。なんて優しい生徒なんだろう。
Green #17
A
Nobita: I would sleep every class.
Gian: I would help you.
Suneo: I would go abroad.
B
Gian: I would fight with his friends.
Sizuka-chan: My partner would play the violin.
Suneo: I would buy many expensive things.
C
Doraemon: I would use Moshimo box.
Nobita: My partner would sleep.
Shizuka-chan: I would take a bath.
Suneo: I would use a lot of money.
D
Doraemon: I would eat Dorayaki every day.
Gian: I would play baseball with Suneo.
Green #18
A
Takekopter: My partner would go fly high.
Time-machine: I would go 22 century.
Dokodemo-door: I would go to hell.
B
Dokodemo-door: I would go abroad.
Takekopter: I would fly high in the sky.
Anki-pan: I would get my perfect test.
Small-light: My partner would use to a person.
C
Dokodemo-door: My partner would go to Okinawa.
Time-machine: I would go to Edo period.
Honyaku-konyaku: I would sell it.
Anki-pan: My partner would memorize English.
D
Takekopter: I would go to Fujisawa.
Honyaku-konyaku: My partner would sell Honyaku konyaku.
生徒に返却する準備をしていた際、思わず笑ってしまった内容が、#19にあったので書き加える。こうして並べて見てみると、この「わくわく」という優れた教材は、生徒同士で教え合うという機能が備わっているように思う。記入するときに、「自分のでもパートナーのでも、面白いと思った方、自分のために書くべきと思った方を書きなさい」と指示している。
Green #19
A
Dokodemo-door: I would go to the U.K..
Time-machine: I would go to the future.
Anki-pan: I would pass the exam easily.
Small-light: I would make teachers small.
B
Time-machine: I would go to the past.
Takecopter: My partner would fly freely.
Small-light: I would make waste small.
C
Time-machine: I would go to Sengoku period.
Takekopter: I would fly freely.
Small-light: My partner would make garbage small.
D
Time-machine: I would go to Kamakura (era).
Anki-pan: I would use (for) science answers.
Small-light: My partner would make teachers small.
講評の時の北原先生との会話で一つ、嘘を言ったので正直に告白する。「今回のはUnit 7-2と7-3(8-1)の両方だったのですか?」に対して「いいえ」とこたえたが、事実は「はい」。鋭い質問だとびっくりしつつ、思わず嘘をついてしまった。偽造しようのないほど、びっしりと書き込まれた私の板書プランに動かぬ証拠が書かれている。
(If) I (had) (a) (million) (dollars), (I’d) (buy) (you) (a) ~.
(If) I (have) 1,000 yen, I (will) buy this book. 2年 Unit 3-3
(If) I (had) 8 million yen, I (could) buy this car. Unit 7-2
8,000,000 (would)
(If) I (were) Bill Gates, I (would) buy you the car.
(was)
実際には、この下に以下をやった。
I wish I (had) 8 million yen. Unit 8-1
現在、唯一いる中2が英検準1級クラスにいる関係で、次回このプランをやる予定なのは、現在の中1が中3になった時。今回の研修を受けて以下のように改訂する。勿論、新文法事項は、歌の段階からすべて赤で記入する。
(If) I (had) (a) (million) (dollars), (I’d) (buy) (you) (a) ~.
(If) I (have) 1,000 yen, I (will) buy this book tomorrow. 2年 Unit 3-3
(If) I (had) 8 million yen, I (could) buy this car. Unit 7-2
8,000,000 (would)
(If) I (were) Bill Gates, I (would) buy you the car.
(was)
I wish I (had) 8 million yen. Unit 8-1
板書については、有能な社会科教員から、いかに大切か、どのようにしてできあがるかを学んだ。北原先生が、指導案の板書案に触れたときに、参加者全体の無関心な雰囲気に私は文字通り驚愕した。
レポートで話題になっていないのが不思議だと思うのは、指導案と、この時期の日付のことが話題に出ないこと。
日付は、中3の2学期で書く必要があるか?
私は、スパイラルワークシートなどで扱ったときに、このように確認する。
①顔を上げてもう一度全部言ったら手を上げなさい。
②ノートに全部書いたら近所で答え合わせをして持ってきなさい。
全員合格したら、「私学の入試でよく出るから、たまに書けるかどうか自分でチェックしておきなさい。」これ以降では必要ない。
やることがたくさんあるので、必要のないことはカットして他のことをやるべきことに時間を当てている。
上記の板書プランは、以前、北原先生がやって見せてくださったように、本当はTeacher Talk なしで、まるごと次の授業で再現することを予定していたが、生徒の理解などが十分だと感じたので実際にはやらずに、他の活動、本物の新聞記事を使った活動に時間を使った。
指導案については、『ひと味違う教師の幹をつくる本』と、このマイクロティーチングの話が出た際に、北原先生からお手本を頂いていたはずなのに、現職の教員がそれを手本に使っていないことに疑問を持っている。月曜日に、私の良き理解者に成長した上記の中3に「わくわく」を持ってくるようにお願いした。その時に、指導案という「台本」の存在に彼らは驚いていた。彼らは、あの授業をよく覚えていてくれた。今でも生徒の心を動かした授業だと思っている。
私がまだ雇われていた時、信頼できる、かつての「同じ教科の」先輩同僚は、「いつも王将で(お礼を)ごまかされる」と言いながら指導案の書き方や、読み方を教えてくださった。
一体、何のために指導案を書く?何のためにある?
今や指導案を書く必要がなくなった私は、ちゃんと書けなければならないはずの現職教員に問いかけたい。
今回の模擬授業は、あらゆる授業で経験したことのない「完全に動きが止まった」授業。しかも現職教員たちが、私の指導案を読んで、わたしの生徒を想像しながら生徒役を演じた授業だった。私が命がけで育てている(雇われている人に、この感覚はわからないであろう)自分の生徒を馬鹿にされたように感じて、それ以上続けたくなくなった。実際の授業で絶対に起こらないようにするために、これからも私は生徒の実情を把握することに努めて、最大限の効果のある授業を目指す。
私はよりクオリティの高い仕事をするために、全く仕事とは違うことをやるようにしている。つまり、できるだけフルート演奏に没頭する時間を作るようにしている。
ポール・タファネル、フィリップ・ゴーベール、そして神と称えられるマルセル・モイーズに受け継がれた後、事実上、フレンチスクールは途絶えたと私は捉えている。
あれだけたくさん弟子がいたのに一体なぜ?
現在研究しているのは、モーツァルトのフルート協奏曲第1番ト長調。モイーズの録音では、SP盤の収録時間の関係でカデンツが省略されている。タファネルとゴーベールから受け継がれて出版された楽譜には、録音には入っていない省略された部分があり、私はモイーズだったらどう演奏するかを想像しながら、物言わぬ音符に命を吹き込んでる。
大学講義シリーズを皆勤した今、一言、申し上げておきたい。多くの北原メソッド実践者に出会ってきたが、単なる形をまねるだけではだめだと思う。まずは徹底的にコピーすること。幹本や研修をヒントにして、現実の赤坂中で何が起こったかを想像することが不可欠。演奏家にとっても、楽譜はヒントにすぎない。研修や幹本は、私にとっては楽譜だ。その次の段階としては、生徒の実態を把握した上で、実情に合った形に、本質を見極めた上で変えることが大事だと思う。
最後に、教員としても有効だったモイーズの言葉を紹介したい。遺言とも言える本の最後の一文である。
『私のフルート論』 マルセル・モイーズ著 吉田雅夫監修 有馬茂夫訳
Marcel Moyse: “THE FLUTE AND ITS PROBLEMS – TONE DEVELOPMENT THROUGH INTERPRETATION FOR THE FLUTE” (1973 Muramatsu Gakki Hanbai Co., Ltd)
「芸術家にとって、もっとも大切な才能は、観察する能力である。」
For an artist the most precious of gifts certainly is the gift of observation.
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自分としては、いつもの授業の調子をあまり崩さずに発表できたと思います。
ただ、boardworkに関しては、準備の段階で考えすぎて、3年生向けとしては必要ない振り返りが2つあったと思います。
これは北原先生からも、また北研の先生からもご指摘を頂きました。
ポイントだけまとめて報告いたします。
AパターンのboardworkとBasic Dialogのみ15分間でマイクロティーチングを行いました。
言語材料は、仮定法 I wish I could (would) 〜.
3年生 New Horizon Unit 6 Scene 1 (6-1)
いつものように、黒板の上、中央に( )ー( ) Saturday, February 18th, sunny
を書くのを忘れていました。これを書けば、先生方がノートに写すふりをされたでしょうに、
私は、気づかず、当たり前の顔で、(ぼけっとしてないで、早く用意しなさい)という、意味を込めて”Miki Notebook!”と言ってしまいました。
board work
1 I ( am ) a student.
2 You ( are )a teacher. (この、youって、Ms. Miyaneのことと書き添える)
3 My friend, Miku ( can ) swim 100 meters.
4 I ( can )not swim 100 meters. <- このとき、一人の先生から、( )の右とくっついてるのかな?という発言が。。。notもカッコ内に入れるか、迷っていたので、
ご指摘の通り、生徒は迷ってしまうので、いっそのこと、ここは否定だとジェスチャーなり、ヒントを言って入れば良かったかなと後で思いました。
5 I ( want ) to swim 100 meters but I can’t. ( I only can swim 10 meters. を書き加える)
今回は、I wish I were 〜のbe動詞の文ではなく助動詞、一般動詞の文に限ったBasic Dialogだったので、1番と2番の振り返りは必要なかった。
これもやるなら、1、2番も入れるなら、その後にwas,wereの復習をやって、I wish I were Doraemon. などのように。
今回のBasic Dialog
昨年度、今の3年生が2年生の時から教科書が開隆堂のSunshineから 東京書籍のNew Horizonに変わりました。そこで、
2年生の時からBasic Dialogは、自分で考えてプリントに印刷してそれをboardworkの後に、生徒に配付し、ペアでBDの活動をやっています。
ですから、今回のマイクロティーチングでも、board workの後に、先生方にBDプリントを配付しました。
Basic Dialog
赤さん:Look! I’ve won the lottery.
青さん: Wow! That’s great.
赤さん: I’m going to Hawaii for my vacation.
青さん: I wish I could go with you.
先生方から頂いた評価用紙から
・ターゲット文法の「したいけれどできない」という意味の部分がよくわかる流れだった。仮定法の形だけが残ってしまわずに、状況から感じて
伝えたことが体にしっかり残る。これ、その後の使用に大切です。
・例がわかりやすく、100m、10mと泳げる距離に合わせて、気持ちの変化を I wish〜で言えるようにしていて面白かった。
最初のam, areの振り返りは全体の流れを考えた時になくても良かったのでは? I wish I were 〜のような文がBasic Dialogでも出ていなかったので。
・board workの英文の流れはいつも悩みます。何から始めてどのように目標分に持っていくか。難しいです。
仮定法が中学での学習内容になり導入にはなるべく生徒に身近なわかりやすい英文を提示したいと思います。Basic Dialogとても良かったです。
・簡単な英語を使って説明していたのでわかりやすかった。そして全く英語なので生徒は英語のシャワーを浴びれてすごく効果があると思った。
自分の解答が先生の欲しい解答でなくても、拾って板書をしてもらえるので、達成感もあると思った。
・板書が下線でなく( )カッコを使う。ー>わかりやすい。リピートやフルセンテンスで言わせる促し方が自然で的確。
たった生徒の数を1、2、3と言っているのが良い。みんなが立ったら座らせてから答えて言わせる。先生自身にも、生徒にもやりやすく、
安心して取り組めるようになっていると思った。
・優しい語りかけで安心感を持って授業を受けることができた。いつもの授業の様子が目に浮かぶマイクロティーチングだった。
board workで助動詞がいろいろ出てしまうのは、仕方ないのかもしれないが、I cannot swim. やI want toを特に出したい場合、何か
工夫ができるかもしれないと思った。Teacher Talkの時にジェスチャーや顔の表情がもう少しあるとわかりやすいかなと思った。
Basic Dialogがとても覚えやすくて実際的な内容だったのが良かった。
お付き合いくださった先生方、自信を持たせていただきありがとうございました。大雑把な英語の指導案で、申し訳ありませんでした。生徒役をやってくださる先生方に
Basic Dialogの内容や板書計画を知らせるわけにいかなかったので、あんな指導案となってしまいました。
***********
【T先生のマイクロティーチング】
15分+10分(ベーシックダイアログ)のチェック
If I had a million dollars, l’d(I would) buy you (a)〜歌のディクテーション後、活動を飛ばしてボードワークへ
If I have 1000 yen, I will buy this book.
2 年unit 3-3
If I had 8 million yen, I would by this car.
=8,000,000円 3 年unit
現実から離れている。距離を取るために使う。
もしこうなったらいいなぁという表現を仮定法という。
Do you know Bill Gates and Elon Musk?
They are rich men.
If I was Bill Gates, I could buy you the car.
黒板に8枚、手書きの絵と語彙を書いた紙を貼り,パターンプラクティスをした。
北原先生講評:
パターンプラクティスは大事だから良かった。
だから教科書には簡単な練習をあえて入れている。簡単でつまらないから飛ばすという先生もいるが、教科書の活動を飛ばさずにやることは大事。
パターンプラクティスでは先生は初めは教師の後にリピートさせ、あとで生徒が言えているか教師は聞くべき。ずっと教師が言わなくて良い。
ベーシックダイアログでは、5文は多い。
ペア同士で助け合うことが出来る。出来ていたら褒めてあげるとよい。ペアがDo you want to say “
〜”?などと言って(日本語の会話でもあるように)教えてあげるのも良い。negotiationという。
先生の発音、速さは問題なしだが、つっかえが気になる。
Do you need another hint?など言い換えると良い。
指導案には板書計画を書くことが必ず必要。
歌については、唐突に聴かせるのではなく前もって聞かせておく方が良い。あとで、「あれがこれか!」とわからせることができる。
If I have 1000 yen tomorrow, I will buy this book.
という風にtomorrow を入れてその際現在形になることを復習すると良い。
If I get three thousand yen,
なら混乱しなくて良いのでは?北原先生もわくわくナルホド文法を作るにあたり,文例をよく考えた、とのこと。
どこまでが復習でどこからが新しい文法なのかわかりづらいので、新しい所は赤で書く方が良い。
新しいところはThis is new.といって全員立たなくても良いようにする。
……………………………………………………………………..
【M先生のマイクロティーチング】
Are you opening your miki notebook?
板書
- I need am a student.
- You are a teacher.
- My friend Miku can swim 100meters.
- I cannot swim
- I want to swim 100meters butI can’t.…
※I wish I could swim 100 meters.
wishを辞書で引かせて確認する。
【北原先生の講評】
最近ベネッセでも聞いた表現だが、ニューホライズン教科書のまとめにあるが、ありえる仮定、ありえない仮定という表現はおかしいのでは?
中2のwillは条件、というべき。ありえる仮定という日本語がおかしい。仮定はそもそもありえないことだから。
(今雨が降っているけど)もし今日晴れていたら、釣りに行っただろうに。(行けなかった)
If it were sunny today, I would have gone fishing.
復習の機能が入っていることが北原メソッドの大切なところ。復習は個人の努力では難しいが、学校では個人に任せている。北原メソッドはそれを改善するためにために開発された。
条件のif を音で確認する。
日本語だったら何というか?という対比が必要。
明日もし晴れたら。と、今もし晴れていたら。
日本語では同じ。でも英語では区別する。
文法用語を使わずに説明する。仮定法過去は現在のこと。過去のことは仮定法過去完了という文法用語がわかりにくい。
中3でI amとyou areに戻る必要はない。
シチュエーションが大切。ヒューマンリレーションシップが,大切。
板書の3.4.5の流れが良かった。
学校で、学校の外で仮定法を使う(会話として)ことがあるか?
帰結説
こう出来たら良かったのに
文法を組み立てて会話として使えるには時間がかかる。北原先生もイギリスに行ってからだった。
If I had ….., I would (could) …..
教員自身が使えないのが現実、であるならば、「関係代名詞は理解にとどめる」という感じで仮定法もいいんじゃないの?と北原先生。
生徒の気持ちを気楽にしてあげるとよい。
いきなり文法ではなく、Teacher Talkで仮定法を使っておく。11月くらいから言っておくとよい。
I wish I had a girlfriend.など言っておくと、いざ学習する時に「先生が言っていたのは、これか!言えるとカッコいいなあ!」となる。
反実仮想という文法用語がある(U先生,Yさん)
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【上智大学生の授業を見て感じたことを参加された先生方から】
*フラッシュカードの自筆のバランスが良くない(字が汚い)
*fight , night, right, light
などのサイレントghなど黒板に書いたものがさほど重要でないのに記憶されてしまった。Celebrate からChocolate
(新語はcelebrate なのに黒板にはchocolate )
* 英語で説明したあと、もう一度日本語で説明するくせや説明が多い。生徒の発話が少ない。
途中で何をやっているのかがわからなくなった。
*日本語が長い。軽重のつけかたが悪い。
【北原先生の講評】
fought「他の語は?」→thought 、oughtは中学段階ではそれほどない。問わなくて良い質問。
「他にサイレントghがつく語は?」→fightのfを隠してany other words?と聞くと良い。
Civil rights でrightを辞書で引かせたのは◎ただし、最もコロケーションの強い物を探させるべき。
Civil War , civilization など,関連語をあげるとよい。rightsに関してはcivil rightsよりhuman
rightsのほうが良く聞くのではないか。
ホワイトボードに書く必要がない言葉を書いていた。
influenced celebrated →語尾のedに注意してという必要はない。
greatly….「lyで終わる語はだいたい副詞。(と言いながら)friendly
、lovelyなどの形容詞もある」というと生徒は混乱するので、名詞+lyは形容詞とみなす。最初から網羅的にやらない。
Martin Luther King, Jr.を出して社会化の知識と結びつけたのはCLILなので良い。
発信語彙productive vocabulary と受容語彙の区別をする。
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お二人の先生方が、新しい文法事項の仮定法を扱って下さったので、とても参考になりました。中学段階では、理解に留めるという対応についても北原先生が示して下さったので、安心しました。
北原メソッドは、それぞれの先生の個性を活かして行うことが出来ますが、北原先生のやり方を見る時にいつも感じるのは、先生が決して目立つのではなく、あくまで生徒を生かす(活躍させる)ことです。私もそれを心に留めて頑張りたいと思います。いい意味で肩の力を抜いて、ゆとりを持って教えていきたいと思います。
また新しい文法の時にはわかりやすく赤で書くことなど生徒目線で優しくあるべきことも再認識出来ました。
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お二人とも仮定法の導入をしてくださいました。流れや詳細コメントなどはすでに参加された先生によるレポートに記載がありますので、仮定法導入について感じたことや調べて整理したことを記します。
★ifについて。
単なる条件(可能性が五分五分のもの)と仮想の条件(事実に反する仮定)がある。
1)「単なる条件」については既習。
例文:①If it rains tomorrow, I will stay home.
②If you come to Korea, you can stay with us.
2)「仮想の条件」が今回導入する仮定法。
現在の事実に反する仮定は「仮定法過去」を用い、過去の事実に反する仮定は「仮定法過去完了」を用いる。
2)-1仮定法過去
例文:①If I was(were) a superman, I could help you.
②If I knew her name, I would tell you.
願望を表す文で使われる仮定法過去
③I wish I was(were) young again.
④I wish I could help you.
2)-2仮定法過去完了
例文:①If I had been Lincoln, I wouldn’t have gone to the theater by myself.
②If I had asked me, I would have told you.
願望を表す文で使われる仮定法過去完了
③I wish you had left that unsaid.
今回は仮定法過去の導入ですが、導入時に自分が悩むであろうポイントや、考えたこと。
①既習の「単なる条件」のifとの比較をするか。
②例文の提示において、条件節(if節)にbe動詞、一般動詞のそれぞれの文を提示するか。
③帰結節にcould, wouldどちらも提示するか。
④現在の事実に反するという場面設定を作り上げた状況での例文の提示が大切。現在と違うんだということをしっかりとにおわせた上で提示することがとても大切。
⑤教科書Here we goではUnit7-2でIf ~, …would~, Unit8-1でI wish I could ~が出てくる。New Horizonでは、Unit6-1でI wish I could~、Unit6-2でIf I were you, I would~が出てくる。Unit6Read&ThinkでIf 主語 一般動詞の過去形, が出てくる。
教科書基本文に限りなく近い例文を一つ、場面設定とともに提示するとわかりやすいだろう。そういう意味ではNew HorizonはPartごとに願望を表す文で使われている例、条件節にbe動詞、条件節に一般動詞と順を追って学ぶことができるのでわかりやすい。一方で、教科書Here we goのUnit7-2の基本文は、If I could speak to that worried girl, I would say, “There’s no need to worry.”なので、条件節のcouldと帰結節のwouldが生徒を混乱させてしまうのではないか。このように教科書によってPart一つに教えたいことが詰まっている場合は、それをかみ砕いた簡単な文で理解させた上で、本文を読めるように持っていくのが望ましい。
ちなみに、SunshineでもUnit7で①If I were you, I would ask someone to help.② If I had some money, I would buy some cakes. ③I wish I had a camera with me.と順に学べるようになっている。
参考:ロイヤル英文法(旺文社)、Practical English Usage(Michael Swan)、その他教科書。
自分が指導するときには、教科書に左右されて戸惑ってしまいそうだと感じました。特に、一つのパートに教えたいことがいくつも載っているような教科書だと、教える内容に軽重をつけるべきだし、かつスパイラルに学べる機会を作る必要があります。
★上智大学の学生によるマイクロティーチング
学生によるBパターンの実演でした。動画視聴後、先生方とディスカッションをしました。指摘するところはたくさんありましたが、一方で果たして自分はできているのか?考えさせられました。自分の授業を俯瞰する必要性を感じました。
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短い時間の実践の中にも、ものすごい量の情報が詰まっている、と感じ、自分の日頃の指導の雑なところに気づいて反省しました。良いところを盗んで、少しずつ自分の実践に取り入れようと思いました。
大学授業シリーズ⑮ 「マイクロティーチング② Aパターン」
1 北研会員のマイクロティーチング②(北原メソッドAパターン)
1)T先生のマイクロティーチング
対象は先生の塾の中3、4名。2名は英検準2級、もう2名は3級合格 教科書は光村のHere We Go
冒頭、いきなりLet’s fill in the blanks.と言って、 If I had a Million Dollars
という曲の聞き取りではじまる。
*以下( )は板書では下線
(If) I (had) (a) (million) (dollars), (I’d) (buy) (you) ~
*ここで個人的にはElton John のYour Songも使えるかな、と思っていました。
つづいて、本題、
<板書計画から>
(If) I (have) 1,000 yen, I (will) buy this book. 2年Unit3-3
(If) I (had) 8 million yen, I (could) buy this car. Unit 7-2
(If) I (were) Bill Gates, I (would) buy this car.
*was
それぞれ、教科書の該当箇所や正答の語の頭文字などヒントを段階的与えながら進む。
この後、Basic Dialogue
に進む前に、先生手作りの絵入り動詞句?がホワイトボードに張り出され、以下のようなパターンプラクティスで、文法事項に習熟を図る。
If I had [ ], I could ( )
[enough time]— (sleep more/ study more/ watch TV more / read more novels)
[a computer] –- (write emails/ talk with friends on line/ get more
information/ learn programming)
この後、つぎのようなBasic dialogueのペアでチャレンジ
A: What did you do during the summer vacation?
B: I took my mother on a trip overseas.
A: How was it?
B: She was very impressed with that.
A: If I were your mother, I would feel the same.
A Bの役を交代してどちらも合格したペアは、ノートに暗写し、先生にチェックを受ける。
北原先生が大学生の評価に使用している評価シートには
① 英語の発話 ②授業の流れ ③生徒目線から見て ④板書 ⑤指導案
という観点からそれぞれ5段階評価をするようになっている。
これを例会の参加者がそれぞれ、良かった点、改善点なども併せて記入し、渡す。
私自身がいいなとおもったのは、以下の通り。
・はじめの文の導入に際して、本をとりだしOh, Japanese history written in English, How much is it?と言ったり、3番目の文の導入のまえにyou have 8 million yen in your bag?とかCan you make 8 million yen easily?やDo you know Bill Gates and Eron Musk? とたずねたり、知っている生徒に、They are very rich.と言わせたり、といったターゲット文が使われる文脈を与える工夫。
・絵入りの動詞句を提示してパターンプラクティスを行ったことは、仮定法というレベルの高い文法の導入において、生徒の耳と目と頭が慣れるためにとてもいい補助的な指導だと思いました。
続いて北原先生の講評から、印象に残ったところを以下に列挙します。
・英語発話について:発音問題なく、スピードもいいが、つっかえながらだったのがきになった。
・いきなり歌は、ちょっと唐突だったか。
・If I have 1000 yen, のところはtomorrowなどを添えれば、条件節ifのなかは未来でも現在形を使うという2年生の復習になる
・どこまで復習でどこから新出かわかるよう、赤で書いてあげる必要。ここからはNewだといってあげたほうがいい。
・新しいところは、全員立たなくていい。
(これは講評ではありませんが)
・教科書のなかに、「実現可能な仮定ありえる仮定、ありえない仮定」という言い方があったが、「実現可能やありえる仮定」は日本語としておかしい。あり得ないことだから「仮定」という。(「反実仮想」という言い方もあり、そのほうがわかりやすいのでは、という意見あり。
・この文法導入に復習の機能がはいっている。大学生も「復習をやってもらったことがない」と言っている。進むので精いっぱいということだろうが、それはおかしい。語学なんだから。
それで私は復習の導入をはじめた。条件のifは(3年では)復習だが、(定着していなかった/忘れていた)その子にとっては初出同然。だから音を入れてあげないといけない。わかったつもりで、そのまま進むのではなく、読んであげて、聞かせて、リピートさせないといけない。
・日本語との対比も必要。晴れていたら、「行くよ」、と「行けたのになー」の条件/仮定は、日本語ではあまり大きな差を感じにくい。
・Uさんが、パターンプラクティスでほっとしたというのは本当。教科書の中のプラクティスを簡単だからと飛ばす先生がいるが、飛ばしてはいけない。
・ただパーンプラクティスを進める中で、生徒が(自律的に)言い始めたら、先生はだまらないといけない。生徒の発言に耳を傾ける。エラーはないか、どの子が言えてるか、いえてないかなど。
・Basic Dialogue
において、先生いきなりやらせた。M先生は練習してから。生徒がすでにいえるなら、練習なしでやらせる。場合にもよるが、なんでもかんでも、練習でなく。
赤坂中ではいきなりやらせていた。
・ペアワークで、相手が詰まったら(頭真っ白状態)、いわなかったら、繰り返してあげたり、Do you want to say …?
とか、流れの修復をしてあげること大事。Negotiationという。気づいたらほめてあげよう。
・五行は長い
2) M先生のマイクロティーチング
対象は中学3年生 東京書籍のNew Horizon Unit6-1
以下 板書の完成形
1.I (am) a student.
You
- You (are) a teacher.
Ms .M
- My friend, Miku (can) swim 100 meters .
*option: will/ might
- I (can) not swim 〃 〃 .
*must à because I am sick
I can swim only 10 meters
- I (want) to swim 100 meters, but I can’t.
*have/ need
New Grammar
※ I wish I could swim 100 meters.
これにつづくBasic Dialogueは以下のとおり
赤さん:Look! I’ve won the lottery.
青さん:Wow! That’s great.
赤さん:I’m going to Hawaii for my vacation.
青さん:I wish I could go with you.
私がいいと思ったところは、
・板書がきれい。
・空欄埋めて立つ生徒を、One, two ,threeとカウントしていくのがいい。生徒の集中を高める感じがする。
・単語だけ答えた場合、フルセンテンスを促す
・おそらく自分にとってやりやすいように、北原先生の原型から少し変化させている。下線のかわりにカッコ、最後の立った子に答えを言わせるまえに全員座らせる等。センテンスに番号を振るなど(もれなく板書を移すのに有効)
北原先生の講評
・はやくかけた子 1,2,3・・・とカウントされるのは励みになる
・3年生なのだから、1 I ( ) a student. や2 You ( are) a teacher.までもどる必要はない。
3,4,5について。先生は場面を演じたり説明していた。これが大事。いきなり埋めなさいでは問題集といっしょ。human relationshipがわかるように。そこを(M先生は)cannot swim100 meters の状況を、can swim only 10 metersとやって、よくつながった。
(講評とは別に)
・英語教師も、教室外では仮定法はなかなか言えない。
フォーミュラに照らして組み立てないといえないから。(北原先生も)ネイティブみたいにポンとでてくるのはイギリスで1年くらいたってからだった。
・かつて、関係代名詞は理解にとどめると指導要領にあった。つかわなくていいから理解にとどめるそんな感じでいいのかもしれない。生徒には「その場で自然に発話、というのはむずかしい、入試なら書けないとだけど」といったことを言ってあげたほうがいい。
・11月くらいからTeacher Talkで仮定法を使っておいて、三学期に入ってから種明かし(正式に導入)すればいいかも。
休憩後
3) 上智大学生のマイクロティーチング①Bパターン
一人の学生さんによるマイクロティーチング(自作のフラッシュカードを使った語彙の導入)の録画を視聴し、そのあとディスカッション。
Sunshine English Course 2 Program 6-2 新語(教科書順)
カードにした語句
“Happy Birthday” holiday Dr. Martin Luther King, Jr.
Fought<fight civil rights greatly influence celebrate mutural
Respect set up
一つ一つの語句の説明にかなり時間をかけていました。説明内容の情報量は多いものの、北原先生が大事にしている、音声に重点をおいて、フラッシュカードをいろいろな風につかってテンポよく進める「飽きない繰り返し」は見られませんでした。
◎ディスカッションででた意見・感想
・フラッシュカードの字がきたない。2階建ての語などよみとりづらい。
・限られた時間で、どの単語を時間かけるかもっと整理すべき。教科書を読みやすくするために、どこに重点をおくか。
・Civil Rightsについて戦った人なので、説明はそこが重点では。
・ちょこちょこ動くので安定感がなかった。生徒が集中できないのでは。
・説明が長くて子供がしゃべっていなかった
・fought のサイレントghのつづりを含んだ単語を上げさせるところから、同じghをもつrightにうつり、-ight
を含む語に発展させてところはよかった。
◎北原先生の講評(配布レジュメにも掲載)
・語句の数が十幾つもあるが、本当に必要な発信語彙と意味だけ分かればいい受容語彙との扱いが分けられていない。
・「中学校発信語彙リスト三種」によれば発信語彙はfightの1語だけ
・受容語彙はHappy Birthday fought greatly celebrate respect set upの6語
・mutual はrespect と組み合わせるよりunderstanding にするほうが
・fought の-ought を含む他の語は、中学段階ではそれほどないので問わなくていい
・influence(d) celebrate(d) 「語尾のedの発音に注意」→1年生レベルなので不要
・greatly 「-lyで終わる語はだいたい副詞。Friendly , lovely などの形容詞もある」
→まずは-lyは副詞であること、lyを取ったら形容詞であることを確認。そして既習語を言わせる。
・Happy Birthday 「他にHappy が点く言葉?」 Valentine, holiday, New Year, Christmasなどを出させる→コロケーション指導
北原先生が、生徒目線を大事にしているそのきめ細かい徹底ぶりに改めて目を見開かれるおもいでした。(発信語彙と受容語彙の峻別や、既習事項と新出事項の扱いの違い(全員立つまで待たない、赤字にする、語彙指導の際の配慮の一つ一つ、
-ought, 名詞-ly-
は気づかせるなど、)難しくて余計な負担になるものを避ける一方で、簡単すぎるものは問わない、ということも大事。それから、教科書の問題は易しい行けれど飛ばしてはいけない、なども。
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生徒さんのために積み上げられてきた各所各所に敬意を表します。先生のユーモアと研究魂、M先生の女性らしい包容力とツッコミ、ステキです。
今日はなんかタイムリーな「仮定法」について書きます。お二人ともこの「単元」でした。
北原先生も私達(だーれだ?)も、法則で覚えたやつ、「反実仮想」ってやつですよ。難しい上に生活の中で使わないと実感がない。
北原先生は確か、だから高校文法だった、僕もイギリスで生活してやっと使えるようになった。だから音と共にどういうことなのか入れてあげとく、そういう状況になっ
たときに、そいういうことかとつながるように。
10代の子、絶対あり得ないことを望む苦しい思いはあまりしていない(といいですね)、でも、その状況とか感じを少しでもわかったらいいかなと思います。
でも、そんな難しいことでもなく。「わたしが鳥だったらあなたのもとに飛んでいけるのに」って定番、あれ、高校のときに笑ったけど、そのトシでも「うんうん」って思ったかも〜〜。
そして田尻先生の「たられば」、昨日の都中英研研究部研究発表会での日台先生のI wish〜「期末(試験)なくなっちゃえばいい」、そいつらは中学生の日常そのもの、そこで実感できれば。
おまけ:
でも「あり得ないORその可能性は低い」ことを「現実」と思い込みたいことはあって(例えば去っていった恋人が戻ってくると自分に言い聞かせたり)、そうすると帰結節が入れ替わったり・・・現実は厳しい。
そんなことを思いながら大人は味わいます、若者、いまはしっかり感じて楽しんでほしいですね〜〜。
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今回、北研に参加させていただき、先生、M先生の素敵な授業、北原先生からのご指導、そして参加されている先生方から、たくさん刺激を受け学ばせていただきました。
勤務校の試験問題作りに追われており、レポートが遅くなってしまいました。申し訳ありません。
今回のテーマは「仮定法」。この文法は教えたことがなかったので、とても新鮮、そして勉強になりました。私自身、高校時代に参考書に書いてあった If I were you, I would ask her for a date. を丸暗記してた記憶がうっすらあります。ただ、先生方が仰る通り、その後
外国の方との会話で仮定法はあまり使ったことはないのですが…。
先生方のテンポのよい授業のはこび、(お二人の授業の導入の仕方、とても勉強になりました)そしてTeacher Talkの多さ、私も見習って実務に生かしていきたいです。
また、学生さんのマイクロティーチングを拝見し、先生方とディスカッションをできたことも大変に勉強になりました。細かいところまで話すことができて、
私自身を見直すよいきっかけになりました。教員として働かせていただいていることを肝に銘じ、向上心を忘れず頑張っていきたいです。
また参加させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
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北研には久しく参加できていませんが、臨場感のある先生方のレポートを楽しく拝見しています。
今回の先生の改訂版レポートを熟読し、改めて予備校や塾の先生と学校の教員の差を感じました。
一つは英語力。やはり予備校講師や塾の先生と学校教員の差はあります。あってはならないけど。ある大手予備校講師になる為の最低条件がTOEIC900点取得。私などはとても予備校講師にはなれません。
何故なら、それぞれの組織の先生の数が圧倒的に違うから。この差を埋める方法が教員給与を上げることと働き方改革。ユニクロをはじめ大企業が続々と初任給を上げ始めた現状では、優秀な人財は益々企業に流れてしまいます。
教育は国家百年の計ですが、現状は余りにも厳しいと言わざるを得ません。
二つ目は指導力。教育は結果、成果を出すことが全てと言われながら、その責任は教員にはあまり問われません。そう言う意味では教員の世界は、企業等と比べると遥かに甘いです。私は教員42年目が終わろうとしていますが、しっかりと結果を出してきたか?と問われると心許ない。それなりの成果は出してきたと言う自負はありますが。生徒数が違うとよく言われるが、言い訳に過ぎないと考えます。
でも予備校、塾はそうはいかない。成果を挙げないと存亡がかかっているから命懸け。その意識の差はとても大きいと感じます。私の知り合いが二人、塾を経営していますが彼らから学ぶところは多大に有ります。
私は既にリタイアしているので、現場の教員を代表して気楽に行政には要望を言い続けます。改善は困難を極めていますが。
私は数年後、学校現場を退職したら英語アカデミーを主宰したいと考えています。そう言う意味でも塾や各種学校、高校の先生方と交流できるこの北研は他に類を見ない貴重な研修組織だと思います。一人の百歩より百人の一歩を目指して頑張りましょう。今後とも宜しくお願いいたします。
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久しぶりに北研に参加させていただきました。いつもあたたかく迎えてくださりありがとうございます。先生・M先生、授業をしていただきありがとうございました。また、会が始まる前に佐藤先生と、休憩時間にM先生とお話することもできてとても嬉しかったです。ありがとうございました。
1マイクロティーチング T先生
T先生の授業では、
①歌による仮定法の導入
②Aパターンによる導入
③ベーシックダイアログ
④パターンプラクティス
という構成でした。
①では、”If I had a Million Dollars”の冒頭を聞き、穴埋めをしました。こんな曲があるんだと初めて知りました。(田尻先生が選ばれた曲だそうです。)歌による導入はおもしろいなと思いました。北原先生からは、初めて聞くのでは唐突なので、学習する少し前から聞かせておいて、あとで種明かしのようにするのがいいのではとアドバイスがありました。
②では、If I 1000 yen, I buy….の穴埋めから入りました。シチュエーションの説明を演じてくださったので、単なる「新しい文法を学ぶための文」ではなく、場面と合わせて内容が理解できました。ヒントで2年Unit3-3と書いてくださっていましたが、空所にhaveとwillが入ることがとっさに理解できず、難しかったです。先生は徐々にヒントを書いてくださいました。ここでは、北原先生から「yenの後にtomorrowなどを入れて未来のことにしなければifの「条件」の使い方になっていない。」と指摘がありました。そして、「頭に入っていなかったら音でもう一度確認させる。わかった気にさせない。」ともアドバイスがありました。
続いて、If I 8 million yen, I buy this car.の穴埋めでした。ここで、大きな額を示すのは、現実離れしていることだからと説明がありました。ビル・ゲイツやイーロン・マスクの例を出し、If I BG, I buy you the car.の穴埋めをしました。北原先生から「この内容からは新しいから、それを示すために、空所の下線は赤線にする。新しい内容なら全員が立つまで待つ必要はない。仮定法でbe動詞と一般動詞は分けたほうが生徒の負担が少なくてすむ。」とアドバイスがありました。また、日本語は「条件」も「仮定」も「(もし、)~なら・・。」と同じですが、英語は使い分けが必要なため難しい。「ありうる仮定」「ありえない仮定」「仮定法過去完了」など、文法書の言葉がなおさらわかりにくくしているとお話がありました。
③では、ペア同士の助け合いが見られたら、それを褒めることもアドバイスいただきました。つっかえたらそこで終わりではなく、もう一度自分のパートを言う、ジェスチャーでわかるように伝える、また、“You want to say ~.”のように「こう言いたいんでしょ?」のような言い方で助け舟を出した生徒が北原先生の教え子にいたそうです。より日常に近い会話にしていくためにはこういう意識が必要なのだと痛感しました。
④では、絵を使って “If I had a computer, I could ~.(get more information, talk with my friendsなどが入りました。) など2文を練習しました。「パターンプラクティスがあることによって基本が身につく。あえて誰でもできるように簡単にしてあるものだから、とばしてはいけない。教科書にも意味があって載っている。」また、「生徒が文を言えるようになってきたら、教師は言わない。生徒の発音や、つっかえて困っている生徒はいないかなど、生徒の声に耳を傾ける。」とアドバイスがありました。
2マイクロティーチング M先生
M先生の授業では、
①Aパターンによる導入
②ベーシックダイアログ
という構成でした。
①で、M先生はあえて文にナンバリングされているとのことでした。また、速く書けた生徒を数えてらっしゃって、それは生徒にとって励みになるので良いと北原先生からアドバイスがありました。
①I ( am ) a student.②You ( are ) a teacher.の最初の2文が、「3年ならここはなくていい。」と北原先生からアドバイスがありました。
③My friend Miku ( ) swim 100 meters. で、私はcanを入れましたが、他にもmustなどの意見が出て、北原先生のTry to be different!はこういうところからコツコツとやっていくのだと改めて実感しました。また、聞いた後に100metersを10metersに変えることで④の内容へとスムーズに気持ちの変化をさせていて、「なるほど!」と思いました。
④I ( ) not swim. で、canやmustといった意見が出ました。私はcanかな?でも入れていいのかな?と迷っていたら、佐藤先生と頓所先生が「これ、notとくっついてるのかなあ。」「どうなんだろうね。」と生徒になりきって会話されていたのを聞き、迷ってないで自分もこうすればよかった! と思いました。生徒のつぶやきも大切にしていきたいです。
⑤I ( ) to swim 100 meters, but I can’t.では、have, need, wantが挙がりました。そこで、New targetとしてI wish I could swim 100 meters.を紹介されました。
北原先生からは、「実生活で仮定法をしゃべるのはなかなか難しい。英語の教員ですらなかなか使わないから。理解することができれば、中学生の間に使いきれなくてもいいのでは?『(聞く・読むなどの内容で)入試には出るかもだけど、発話では無理しなくていいよ。』と生徒に言ってあげてもいいのではないか。」とお話がありました。さらに、導入する1ヶ月くらい前から “I wish I had….” のようにteacher talkにちょっとずつ入れていくといいともアドバイスいただきました。
②M先生はご自身でBasic Dialogを作られているそうです。
赤さん: Look! I’ve won the lottery.
青さん: Wow! That’s great.
赤さん: I’m going to Hawaii for my vacation.
青さん: I wish I could go with you.
短くわかりやすいダイアログで、やっていてI wishの感覚がつかみやすかったです。I wishの文は、I want to go with you, but I can’t.に書き換えられるというところも、生徒達にとって表現の幅が広がるのでいいと思いました。
後から疑問に思ったのが、赤さんの2文目のI’m going to Hawaii~.の、現在進行形で未来のことを表現するのは中学校の教科書に載っていますか?今、中学校の教科書は1年生のものしか使っておらず、勉強不足ですみません。ただ、載っていてもいなくても、こうした形で学べるのはいいことだと思いました。
3上智大学生のマイクロティーチングBパターン
大学生がフラッシュカードを使って授業をしていました。(Sunshine English Course 2 Program6-2)映像を見た後に先生方とディスカッションをしました。先生方から、こんなに説明はいらないのでは、生徒が単語を言えていない、フラッシュカードなのにフラッシュになっていない等のご意見が出ました。私はフラッシュカードの日本語の面と次に発音する単語のフラッシュカードの英語の面が同時に出ていたのが気になりました。目移りしやすいだけでなく、特別支援の生徒(特にADHDの子どもに多い)なら、まず日本語の方に目がいかないと思います。1つ1つ見せていくのがいいと思いました。
北原先生のアドバイスからは、「①問う必要のあることなのか、②問うならどう問うか、③生徒達にどんな力を身につけさせたいか」の3つがポイントだと感じました。
①は「foughtのように-oughtを使う他の語は?」など、中学段階ではそれほど語が広がらない問い方、中学1年生レベルの復習、発音のルールなどの情報は不要ではとアドバイスいただきました。
②は、「-lyで終わる語はだいたい副詞。friendly, lovelyなどの形容詞もある。」という大学生の発言に対し、北原先生からは、「混乱させてしまうので、friendlyなどが出てきたときに、『(-ly副詞と)どこが違う?』などと言って子どもたちに発見させるのがいいとおっしゃっていました。また、right(権利)を辞書で引かせるならば、最もコロケーションの強いものを探させるべきでは(例:human rights)ともアドバイスがありました。
③では、Happy Birthdayが語彙に含まれていたことに、私は「なぜ?歌のタイトルにしても言葉の意味自体は知ってるし、中2のここであえてやる意味はあるの?」と思っていましたが、「他にHappy がつく言葉は?」とHappy New Yearなどのコロケーション指導につなげるというお話を聞き、「そうやって広げていくのか!応用力をつけていくためなのか!」と目から鱗でした。他にも、influenceでは「インフルエンザ、インフルエンサー」などを挙げて語感を育てたり、respectでは “Who do you respect?” のように実際によく使う言い方を教えたりし、1つの単語からの広がり方の多さを感じました。しかもその広がり方に混乱させるような情報や、知識自慢のような情報はなく、他の語を学ぶときにも応用できる広がり方でした。もっと勉強しなければと思いました。
今回も非常に多くを学ばせていただきました。私は来年度までは特別支援学級(知的と自閉症・情緒)の担任として勤務することになっていますが、通常級で生徒たちと一緒に英語を学びたいなと改めて思いました。北原先生、ご参加された先生方、ありがとうございました。
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